「このっ アホ教師!!」
「こんなに走らせやがって!!」
「サイテー!!」
「モブ顔ー」
クラスメイトのヤジが飛ぶ。
いきなり不意打ち気味に走らされたのだから当然だ
まぁ飛ばされた方の先生は涼しい顔をしながら笑っているのでわざとだったのだろう
それはそれとしてノリで俺もヤジは飛ばしている。
「ハッハッハッ! いいウォーミングアップになったでしょ?」
言われてみれば丁度いい感じに身体があったまっている。
これから運動をするのだったらいい状態と言えるだろう、わざとこれを狙ったのだったら出来るこの先生顔に見合わず出来るのかもしれない。
それにコレから行う授業は毎年恒例だから予習済みだ、それは…
「じゃあこれから皆には飛行レースを行ってもらう!」
そう、飛行レース。
毎年行われるこれと使い魔授業の結果で
コースは2つ、
金剪の方は危険度が高いが短いコース、囀りの方は
「あ、今回は囀りのほうだけだから。」
「なんかあったんスか?」
「金剪の長の気が立ってるらしくてね、立ち入り禁止になってるんだよ」
「やべー」 「金剪の長ってなに?」 「やばい魔獣らしいぜ」
男子生徒の質問に先生が答え、少しざわつくがすぐに収まる。
勿論、毎年金剪の谷に行って重傷を負ったり命を落とす生徒もいるらしいが今年はそれも少ないだろう。
強行突破で金剪の谷に行くような生徒はどうせ反則で失格だろうし、悪魔ならルールは守らないとね。
「諸注意ね、今年は囀りの谷限定とはいえこっちにも危険な怪鳥が生息しています。それらを殺したりするのもいいですが減点対象となるので気をつけるように。」
「コースは広いけど巨大な岩山が多くそびえたっているので上手く避けるなりして進んでいってください。っと」
先生は紙を見ながら著注意を読み上げた。
「よし!建前は以上!」
パンッ!と紙を閉じこう続ける。
「飛行レースはとにかく早さを競う競技だ!協力しても良し、妨害しても良し!とにかくいち早く谷底のゴールにたどり着けばオッケー!楽しくやろう!」
にぱっとした笑顔でそういいのける、それにより悪魔たちの空気ががらりと変わる。
この先生は周りを蹴落としてでも先を急げと言ったのだ。他のクラスでどうかはわからないがこのクラスではただの競争ではなくなった、誰であろうとも手段を選ばずに進むだろう。
「じゃあ準備して」
バサッ!!
全員が一斉に羽を広げる。
基本的にはコウモリのような羽が多いのだが一部生徒は変わった羽を持っているものもいる。実はというと俺もその一人だ。
「では、位置について 用意」
誰かがゴクリと喉を鳴らした、緊張が伝わる。
「スタート!」
ドッ!!
という音が聞こえるほどに一斉に飛び立った。
これからすぐに妨害や協力を駆使して好成績を狙う者たちが動き出すだろう
「それじゃ、私は先に行くね二人共」
「うん、私たちも頑張るね」
「レイラ頑張ってねー」
いつもの2人に別れを告げ、距離を少し離す。
「…よし、全力で行くぞ」
羽を上手く使い速度をどんどんと上げていく。
まっすぐ、ひたすらにまっすぐに。
「そこの女子危ないぞ!!そっちは…!」
誰かが叫んでいるが今は全力なので聞く暇もない、もっと速度を上げる。
すると目の前に岩山が見えた。このままの速度では直撃が必至だろう。
しかし、この俺にはそんなこと関係がないのだ。
「危ない!ぶつかる!!!……?」
「あれ?」
「消えた?」
他の生徒が見回す
「あ!あそこ!」
「いた!!……どうなってんの?」
「すり抜けてる?」
ガイストの家系能力【
この霊体化にも当然デメリットがあり、そのデメリットは五感の完全消失。使用中限定とはいえあまりにも強大なデメリットである。
しかし、霊体化中は代わりとして霊感が使えるようになるのだ。これは魔力の流れや魂を視覚的に捉えることが出来る魂視の上位互換能力である。
そう、俺はこの能力を使って障害物を完全にすべて無視することが出来るのだ!
事前に金剪ルートと囀りルートのどちらも目隠しで完走出来るようにしておいたので迷う事がないのである。努力の勝利だ
「最速最高!魔界のスピードスターとは私の事だぁ!!!」
障害物無効化、一直線での移動によるショートカット。そして、我がガイスト家はとにかく
ここまで軽いと風なんかで吹き飛ばされるようにも思えるが、霊的な存在でもあるガイストにはそんな物理法則は通用しない。*2速度を何処まででも上げられるのだ。
単純な飛行能力だけで言えばきっとガイストは魔界最速を狙えることだろう。
そんなわけで今最高速度に達した俺は非常に興奮している、ここまでの速度を出した事は初めてだしここまでの速度なら学年トップを狙えるという自負があるからだ。
そうしているうちに予測したゴール地点付近に達したと思うので能力を解除した、数分も使っていないのに魔力はもうギリギリだ。
しかし目的は達した。予測も完璧、視界が戻ればゴールは目の前だった。
「ゴール到着!記録は……」
「こりゃ凄いね、ここ数年で最速だ。」
…?
「嘘でしょ?」
「何が?」
な、な、な
「なんで先生が先にゴールにいるの!?!?!?」
「先に来てたから?」
はて?と言うような顔ですっとぼけられる
正直、あの速度を出した俺なら父以外には負けない程だと思っていた。
それがどうだ、井の中の蛙大海を知らずとはまさにこの事。慢心ゆえの敗北感をひしひしと感じるのだった。
「はぁ~、正直先生より先にゴールしてると思ってました…」
「ははは、いくら速くても流石に教師が新入生に負けてたら面目が立たないからね。まだ負けてあげられないよ?」
残念なのは残念だが切り替えていこう、さっき聞こえた限り学生では最速っぽいし今はそれで満足とする。
「にしても、ここ数年なんですね?私、正直めちゃくちゃ速かったと思うんですけど。」
「そうだね、でも意外と飛行能力を上げる家系能力持ちってのもいるもんでね。ガイストさんよりも速い生徒もちらほらといたりするんだ。それこそ飛行どころか転移の家系能力を持った生徒なんかで反則みたいに速い子も過去にはいたとかなんとか。」
「あー、転移ですか。確かにそれがあればもっと速そうですね、相当な魔力量要りそうですけど。」
「そうそう、よく分かってるね 転移系の家系能力って燃費が悪かったり条件が厳しかったりするんだよねー」
そういう感じに会話をしていたのだがその途中ずっと先生が何かモニターを見ていたので聞いてみることにした。。
「先生それは?」
「今皆がどの辺りを飛んでるかを見られる魔具だよ、といってもガイストさんは速すぎる上に障害物無視するせいでカメラが追従出来てなかったから僕が直接自分で見てたけど他の子は大丈夫。」
そう言いながらボタンを押すと丁度エイコとガーコが飛んでいる所だった
「あ、エイコとガーコだ」
「君たち特に仲が良いもんね、幼馴染だったりするの? お、エイコさん意外と俊敏だな」
「まぁそんなとこです、割と長い付き合いですよ」
「仲良き事はいい事だ オロバスくんも見てみよう」
そう言ってチャンネル(?)が変わる。
オロバスが写るが、やはり彼は優秀でかなり速い。
「いいね、流石次席。 速いなぁ〜」
「彼とはいいライバルになれたらとは思うんですけどね、寡黙なのか気難しいのか近寄りがたい雰囲気だしてますよね」
「だねぇ でも全然話しかけていいと思うよ? あぁ見えて寂しがり屋って子も多いからね 会話しないと何も始まらないからさ」
「それも そうですね、後で話してみます。」
「うん」
そんな話をしながら一緒にモニターを見ているとオロバスがゴールに到着した。
「あ、オロバスくんだ」
「おつかれ、オロバスくんは2番目だよ。」
「随分速いな ガイストさん」
「飛行は得意だからね、負ける気はないって言ったでしょ? 勝てるやつは確実に勝たないとね」
「ふっ…そうか、私も負ける気はない 共に精進していこう。」
「そうだね これからよろしく」
流れでオロバスと握手をしていたがまぁ悪い気はしていない。
うん、先生が言ってたとおり案外話せる。
「青春って感じでいいね!」
先生も満足なのかサムズアップをしている。
そんな事をしながら待っていると順々に皆ゴールしてきた。
全員無事にゴールできたので安心だ、逆張りで金剪に行って行方不明なんて笑えない冗談だし。
「レイラー!お疲れー!」
「エイコおつかれ、頑張ったね」
「お疲れ、レイラはちゃんと一番取れた?」
「ガーコもおつかれ! もち取れたよ!数年さかのぼっても一番だってさ!」
「よかったね~ 私たちはまずまずって感じだったよ」
エイコとガーコもそれなりに優秀ではあるが、そこは他の生徒も優秀なバビルスなようで。
上位とまでは行かなかったようだ。
「皆到着したね! じゃあ集合!」
先生の号令があったので素直に集合する。
「これから
そう言って先生は梟を呼び出した
「この子は
「じゃあ飛行レースの順位で1位からだから……ガイスト・レイラさん!」
「はい!」
最初とは思っていなかったが、逆に良かったのかもしれない。
注目が集まる。
さて、手を入れて……これかな?
何か硬いものがあったのでそれを掴んで取り出した。
それは先輩や先生が持っているようなものと同じ形の
「これが私の
「レイラ、どうだった……わっ!」
「やるじゃんガイスト!」「まじかよ!」「これは驚いたな」
ざわつく周囲、俺自身も少し驚いている。
この俺の
そこには[ג]の文字。つまりはそう
「
処刑玉砲が終わるまでは問題児達に絡めないのでサクサク行きたく思います(寄り道しないとは言ってない)