悪魔で霊な元人間   作:P223

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30話くらいでやろうと思ってたお話
今話は【不可侵円卓(パーフェクトセッション)】が長いので色反転は無しです

あとちょっとアンチ・ヘイト強めです


71 訪問設問・鈴木入間

 

「お邪魔しまーす」

 

「ゆっくりしていってね」

 

終末日も後半、今日はイルマとの約束もあってサリバン公の屋敷にお邪魔している

俺の髪飾りを返してもらうついでに部屋に上げてもらって一緒に遊ぼうという事でもある、男女2人きりにはなるが他の女子と違って俺はイルマに恋愛感情はないしタイプでもないので大丈夫と思いたい

 

「イルマ君の部屋って結構広いね」

 

「うん、おじいちゃんが思いっきり羽を伸ばしたり友達と遊んだりできるようにってくれたんだ」

 

そういうイルマは嬉しそうで、宝物を自慢するかのように話す

 

「いいね、さて 早速だけど用を済ませようか」

 

「これは使い捨て魔術(マジックスクロール)って言って、限定的に保存した魔術を一度だけ使える魔具の原形のようなものだ」

 

そう言ってビンを取り出す、中には魔力が渦巻いており少し禍々しい感じすらする。

 

「今この中には【不可侵円卓(パーフェクトセッション)】という密談に使われる最高位魔術を保存してもらった、普通に使うのと違って効果は数分程度だけど十分だと思う、じゃあ使うね」

 

「え?どういう事──」

 

ビンを割ることで保存した魔術は発動する、部屋全体が世界から隔離されたような感覚に陥る、発動成功だ

 

「時間が無いので単刀直入に言うね」

 

「サリバン・イルマ、きみは──人間で間違いないね?

 

 

 

「──えっ」

 

混乱している、きっとずっと隠していたことを暴かれた絶望と恐怖で頭がいっぱいなのだろう

 

「落ち着いて、これを他の悪魔(ひと)にばらす気はないから それにこれはサリバン様の許可あっての事だからね」

 

使い捨て魔術(マジックスクロール)に魔術を込めること自体普通に魔術を使うのと比べて圧倒的に魔力消費が大きい、その上当然その魔術が使えないといけないというのもある。

不可侵円卓(パーフェクトセッション)】を込められるのなんてそれこそ3傑か魔王くらいだ

 

しばらくするとイルマは落ち着き、会話が出来る状態となった

 

「えっとその……ですね」

 

「まず私は君の味方だからそこは安心してほしい、私が暴れたりしたときの為に外でオペラさんとサリバン様も待機してるから」

 

「うん……なんでぼくが人間だと?」

 

「それは私の家系魔術【幽霊(スピリット)】があるからだね、この力は自分を幽霊にすることが出来る能力なんだけどその一部に魂を観測できる力があるんだ。その力なら相手の種族が分かるからね、イルマ君が人間だってのもすぐに分かったよ」

 

「……因みにいつ頃?」

 

「入学式の時」

 

「最初じゃん!?」

 

まぁ最初は見間違いかと思っていたのだが、その後も人間でしか知らないことだらけだったので仕方ない。

一応今の今までは実は人間っぽい魂を持つ悪魔って線も考えてはいたが、この様子だと人間で間違いないだろう

でもまぁ確認だ

 

「で、一応確認したいんだけど イルマ君は人間で間違いないね?」

 

「う、うん そうだよ……」

 

「よかった嘘をつかないでくれてありがとう まぁ嘘言ってもバレてるわけですけどね」

 

「え?」

 

「だって、偶に私()()()()()()()()()()()

 

「えっ」

 

初恋メモリーの事からイルマが日本語を理解できるのはわかったので、今まで何度か二人きりになった時は会話に日本語を混ぜていた。

それをイルマは気が付かず対応していたのでまぁそりゃバレるもの

 

「ど、どういう事?」

 

「魔界と人間界の言語が違うってのは知ってる?」

 

「そういえばそんな話を聞いたことがあったような」

 

「例えばこれは"あ"って書くけど魔界文字はまた別でしょ? それと一緒で口頭でしゃべる分にも発音とかが全然違うわけ」

 

日本語で"あ"と書いてその横に魔界文字で同じように"あ"に対応する文字を書いておく

入間の目にはこの二つの文字が同じに見えている可能性は考えているがどうだろうか

 

「因みにイルマ君はこの二つの文字は一緒に見える?」

 

「うん、でもこっちはなんか違う感じがする」

 

「あぁ、そっちは魔界文字の方だからね、となると翻訳も完璧ではないって感じがするなぁ」

 

「あの、聞いてもいい?」

 

「ん? いいよ、何でも聞いて」

 

「レイラさんはなんで日本語が話せるの? 見た感じ人間には見えないんだけど……」

 

まぁそこは気になるか、俺自身この質問は予想していたしお互いの秘密を共有したほうが公平だろう

 

「簡単な話、()()()()()()()()()()()()

 

「えっ人間だった? それに俺って……」

 

「あぁ、最もお前とは別のパターンだとは思うがな 俺はこの世界に転生した元人間、前世の記憶があるだけの悪魔とも言える」

 

「転生? 前世?」

 

「漫画とかでもあるだろう? 死んだ人間が別の人間や動物にに生まれ変わったりするって話、それだよ」

 

「あれって本当にあるんだ……」

 

あっさり信じるんだよな、正直こういうところは心配になるけど今は好都合だ

 

「で、俺の前世は人間でその記憶を持ったままこの身体に生まれ変わってワケ、わかったか?」

 

「う、うん ところでレイラさんって前世はもしかして……」

 

「男だよ、前世では居ないと思ってた悪魔の女性に産まれるってのは大変だったなぁ勝手が違うんで戸惑いしかなかった まぁ今となってはこっちの方が長いんで余裕だがな」

 

「その口調は素ってことになるの?」

 

「いやぁ? これは敢えて前世の口調で話してるだけよ、今となっては普段のレイラちゃんの方が素になるかなぁ まぁ……この口調の時の俺は人間として話してるって思ってもらってもいいぜ」

 

「へぇ……」

 

イルマとしても突然聞かされたことで話したいこととか色々まとまっていないだろうし、こちらから話を付けていくことにした

 

「とりあえず、時間も無いしさっさと話しを進めよう まずは忠告な」

 

「忠告?」

 

「あのさ……油断しすぎ!! 隠す気あんの!?」

 

「!?」

 

ずっと思っていた、イルマは人間だという事を隠したがるくせにぜんっぜん隠せていない事を

 

「まず桜はまぁしゃあないとして、花火て! いや、花火はまだいいとしてあの恋愛漫画は何!?」

 

「は、初恋メモリーです」

 

「タイトルじゃなくってさぁ……日本語じゃないか! 日本語を知ってる悪魔(ひと)相手なら即バレだわ!」

 

「ごめんなさい……」

 

せめて自分で図面に書き直して持ってきたほしかった、流石にあれは驚いた

 

「で、まぁ無意識だろうから言っとくけど ツッコミで人間界の物を言うのはやめなさい、バレるよ?」

 

「え、嘘…… ぼくそんなに言ってた?」

 

「そりゃもう大量にな 最近だったらプラモデルとか……まぁ魔界にもなくはないけどさ、絶対師団の事部活とか処刑玉砲の事ドッジボールとか言ってただろ」

 

「……言ってましたぁ」

 

「これからは気をつけるんだよ?」

 

「はい……」

 

正直ずっと思ってたことが言えてすっきりした、次は警告だ

 

「ここからは気をつけたほうが良い事ね、まずそのブレスレット サリバン公から貰ったと思うんだけど」

 

「公……? うん、おじいちゃんから渡されたよ、ずっとつけておいてくれって」

 

「それは俺が作った魔具な、魂の偽装をして悪魔に見せかけるためのやつだから絶対外しちゃだめだからな、特に俺以外のガイストの悪魔がいる場だとそれ無しだと人間ってすぐにばれるから」

 

「そうだったんだ……それで師団披露(バトラパーティ)の時に渡されたんだ」

 

「ギリギリだったけどな、とにかくそれのおかげでうちの親とかにもバレてないからそこは安心していいぞ」

 

「うんわかった、ありがとう」

 

「で、次は実験したいんだけど ちょっと針で指刺していいか?」

 

鞄から消毒済みの針の袋を取り出してそういう、これに関しては俺にとっての実験も兼ねている

 

「痛いのは嫌だけど……うん、どうぞ」

 

「ごめんな……よし」

 

ほんの少しだけさすことでイルマの指から血が出てくる……よかった、大丈夫だ

人間の血は悪魔を惹きつけると父から聞いていたが俺にとっては元祖返りの制御と同じくらいという事が分かった

仮に暴走しかけてもいざという時は自分に電撃を流せば正気を維持できるだろう

 

「悪いな、ちょっと舐めるぞ」

 

一滴、ほんの一滴だけ器具で救って口に入れてみる……!?

 

ゲホッゲホッ!! おえっ!!

 

「レイラさん!? 大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫……やべぇわこれ」

 

たった一滴だけ舐めただけなのに、体の中の魔力が膨れ上がって暴れだしそうになった、下手に多く摂取しなくて良かった

多分これ摂取しすぎると相当な力と引き換えにバーサーカー状態になって死にかねないやつだ

サリバン公が来なかったのは俺を信頼しているのか、実験に使っているのかはわからないが、止められなくて良かった、いい勉強になった

 

「んっ!! あー……イルマ」

 

「うん」

 

「悪魔の前で血を流すような大怪我は出来る限りしないようにした方がいい、仮にした場合の為に治癒魔術を覚えておいて欲しい 【回復(リカーバ)】、これね」

 

俺も最近覚えた回復魔術でイルマの怪我を治す、人間相手でも問題なく働いて良かった。

 

「わかった、ぼくも怪我はしたくないし でもなんで悪魔の前で怪我をしないほうがいいの?」

 

「俺は魂の半分が人間なのと特殊な訓練をしたからあれくらいで大丈夫だったけど、多分他の悪魔ならイルマの血を見ただけで悪周期みたいなことになって食べられかねないと思う、アスモデウスとかクララでも例外と思ったほうが良い、本能的なやつだから」

 

「食べッ……!? わかった、絶対に大怪我はしないようにする」

 

「後、イルマを食べた悪魔も多分死ぬから大切な友達相手なら尚更だ」

 

「ぼくが二人を…… うん、気をつけるよ ありがとうレイラさん」

 

警告もこれくらいでいいだろう

次は質問だ

 

「ここからは聞きたいことだから答えなくてもいいんだけど、まずイルマが人間ってのは誰が知ってる?」

 

「えっと、レイラさん以外ならおじいちゃんとオペラさんと……あとはバラム先生くらいだと思う」

 

「バラム先生が!? どういう繋がり?」

 

「二人で話すことがあったんだけど、その時に弾みで……」

 

「危機感もってくれ……」

 

「ごもっともです……」

 

ここまでくると今までバレなかったのが奇跡に感じる

 

「もう一つ質問、イルマは人間界との行き来の仕方は知っているか?」

 

「それは……知らない、両親に売られてこの魔界に来たから」

 

「お、親に売られたァ!?」

 

「うん、昔から色々あったんだけど、お金が無くなったからって」

 

「ごめん、嫌な思い出だと思うんだけどその親について色々聞かせてもらってもいいか?」

 

「……わかった」

 

ぽつりぽつりとイルマが半生を語る。

齢一歳の時にマグロ漁に出されたところからはじまり、山での強制サバイバルやヤの付く事業から盗みの片棒を担がされるなど色々と

正直俺の前世と比べるまでもないほどの修羅である

 

「イルマ……ごめん」

 

「え?」

 

「同じ人間の大人だった俺として謝らせて欲しい、本当に申し訳ございませんでした」

 

土下座、これは俺がしたいことであり独りよがりの事であるとは思うがこうしないと気が済まない

 

「魔界でのきみはいつも楽しそうで幸せそうに見えた、だがその裏には人間界への失望があったんだと思う。」

 

「そ、そんなことは……」

 

「悪いけど言わせてもらう、本当にごめんなさい、人間界に失望させてしまって……中学頃までの青春を無駄にさせてしまって」

 

「や、やめてよ……レイラさんが悪い訳じゃないんだからさ……」

 

「大人の責任だ、きみの両親が謝らない分俺が代わりに謝罪する 本当に申し訳ございませんでした」

 

きっとこれは俺がやるべき事じゃない、でも他に誰が彼に謝るというのか

少なくとも同じ日本で社会を回していた俺が一番彼に謝罪する意味がある、たとえそれが1%にも満たない責任だとしてもだ

 

これ以上はイルマにも俺にも良くないので切り上げるが気持ちだけでも伝わってくれると嬉しい

 

にしても実の息子にあれだけ酷い事が出来る親がいるなんて……いつか会ったらぶん殴ってやろう

 

「イルマくん、変な事を言ってごめん でも、人間界に苦手意識を持ってほしくなかった……いや、これは俺の勝手だな」

 

「ありがとう、ぼくももう少し元の世界の事を考えてみるよ」

 

「あぁ……っと時間ももうないか、じゃあこれだけ」

 

これはずっと言いたかったことだ、正直他の事も重要だが個人的な用事はこれだけだ

 

「ありがとう、魔界に来てくれて」

 

「ッ!!」

 

「あの桜を見た時に思った、この魔界で俺だけが人間なんじゃないかという疎外感とかあったんだ、何年も何十年もな」

 

「うん」

 

「その寂しさもきみがいるって思うと無くなった、俺だけじゃないんだと嬉しかった」

 

「うん」

 

「本当にありがとう()()、俺は君に救われた」

 

長い日々だった、この魔界で一人だけ人間だった記憶があってずっと寂しかった

エイコやガーコと会った後もふとした時に他者との違いというのを感じた

そういう意味で俺は一人だった、だが今はもう違う

 

「人間の入間に元人間の■■として感謝と友情の気持ちを受け取って欲しい」

 

そう言ってある物を差し出す、それは彼岸花と桜を模したキーホルダーだ

どちらもこの魔界には存在しない花であり、それぞれ入間と俺が咲かせた花でもある

どちらの花にも意味合いなんかはあるが、ただ俺たちの友情としての証としてほしいだけだった

 

「ありがとう、大切にするよ」

 

受け取った入間は綺麗に笑い、俺を受け入れてくれた

 

そうして俺はこの魔界で唯一の人間の親友が出来たのだった

 

 

 





【スキ魔】

エイコ「レイラ、イルマさんの家に行ったってホント!?!?しかも二人で!!」

レイラ「ほんとだよ、別に何もないけどね」

エイコ「嘘だッ!! だってそのキーホルダーとかおそろいのやつじゃん! の、脳が壊れる……!!」

レイラ「……まぁ、これはこれで面白いからいっか」

ガーコ「そういうとこよ?」

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