悪魔で霊な元人間   作:P223

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収穫祭中は描写の都合上1人称と3人称がくるくるします。
後、80話にして下地が出来たのでここからはレイラのオリジナル技が増えると思います。


80 収穫祭開始!今こそ特訓の成果を見せる時

 

「出来た……!」

 

終末日からずっと行っていた魂鋼の加工、それに成功した。

特訓中にもマルバス先生に相談して、未知の金属の加工法を学んだ甲斐があり、魂鋼を利用した魔具と大鎌が作成出来たのだ。

 

それにもう一つ……

 

『炎』『風』『雷』

 

「……はっ!」

 

無口頭で指定された魔術を行使する

そう、無口頭での基本魔術の習得も完了したのだ

これにより魔術の使える幅はかなり広がり、戦術も魔具と大鎌を合わせると無限大になった。

明日にはこの成果を2人の師匠に披露するつもりである、楽しみだ!

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

モモノキ先生に伝えて軽く試験をしてもらった、内容はフラッシュ暗算のように表示された魔術を行使していくもので、口頭魔術では速度的に間に合わないような試験である。

しかし無口頭魔術を数多く覚えた俺にならその試験も難なく突破することが出来たのだ

 

更には、マルバス先生に教えてもらった魔具の仕組みや、新たな方式を試していって完成した大鎌を始めとする数々の魔具も披露した、どれも携帯性に優れており、俺にとって必要な性能を保持しているものばかりである。

 

「で、これがその魔具で、無口頭の成果です!!」

 

「「……」」

 

一通り披露しきった後は二人とも絶句していた。遂にそれぞれの特訓が実を結んだことになるので先生にとっても喜ばしい事だろうし感動しているのだろう

俺としても誇らしいし、独学でここまでやるには数年かかっていた可能性すらあるので感謝してもしきれない

 

「……驚きましたね」

 

「……ええ」

 

「ふふん」

 

今だけは俺も胸を張っていられる、最近挫折するようなことが多かったのもあり、優等生(エリート)の面目躍如といったところでテンションが上がる。

まだ収穫祭までは時間があるので、これを強化しつつ情報収集なんかもしていければと思っている。

 

「これなら──」

 

「そうですね──」

 

「ん?」

 

「良く出来ました、これは我々の予想以上の出来です」

 

「ええ、正直収穫祭までに出来るかどうかと思ってたので、魔具に関しては私はわからないけど無口頭魔術の習得はそれくらいの難易度だから」

 

「は、はい」

 

なんか嫌な予感……

 

「まだ2週間以上も時間があるからね、試したいことがいっぱいあるもの──全部やりましょう!」

 

モモノキ先生が恐ろしいほどに爽やかな笑顔でそう言った、助けを求めるかのようにマルバス先生の方を見るがそちらも同じであった

 

「僕も教えたいことがたくさん……色んな魔具の使い方をその身に教えてあげよう」

 

あぁ、四面楚歌

 

「さぁもっとやりましょう」

 

「さぁもっとやろう」

 

「「もっと!もっと!もっと!!」」

 

「え、あ、え……た、助けてぇぇぇ!!!」

 

悪魔とは、期待を越えて気に入った相手には理性のタガが外れるもので、教師という生き方を選んだ悪魔がそうなった場合──生徒の人権は無くなるのだ。

 

★★★★★★★★★★★★★

 

「ついに始まるね!収穫祭!!」

 

「そうね、最近ずっとせわしなかったしこれで落ち着くといいんだけど」

 

収穫祭当日、エイコはシンユーのガーコと一緒に収穫祭の会場にいた。

もう一人のシンユーのレイラは特別授業だか特訓だかでここ数週間、授業以外では会えていない。

 

「レイラ、大丈夫かな 最近元気なかった気がするし」

 

「大丈夫よ、あの子ならすぐにケロッとした顔で来るわ」

 

ガーコはいつだってこうだった、これは突き放しているのはなく信頼しているが故、エイコには言わないがバビルスでは平均的な成績の自分とエイコに対してレイラはトップ争いをする優等生(エリート)、そんなシンユーの実力を誰よりも信じて疑っていないのが彼女である。

そんな彼女はレイラが姿を中々見せなくともきっと事情があり、ちゃんと間に合わせると信じている、それを当然と思っているが故心配していないのだ

 

「お待たせー」

 

「ほらね、ケロッとしてる」

 

2人の元にレイラが到着した、ここ数週間はいつもどこか疲れた様子を見せていたのだが、今の彼女は疲れ一つなく、絶好調に見える

レイラの頭にはいつも付けている髪飾りは見えず、代わりに鍔の大きな魔女の帽子に大きいローブと古めかしい魔女の姿がそこにあった、ガーコは(また何か悪さをするつもりね)と思って気にしないようにした

 

「レイラー!」

 

「どうしたのエイコ」

 

最近疲れて元気がなかったレイラをずっと心配に思っていたエイコは元気なレイラの姿を確認すると、安心からか思わず抱き着いていた。

元々距離が近い三人ではあるが、最近レイラの特訓で離れていた反動が来ている、この後また数日会えないだろうという事も含めてなのかもしれない

 

「ところで収穫祭なんだけど」

 

「どうせまた個人でやりたいんでしょ、わかってるわよ」

 

「私たちも頑張るからね!」

 

「そっか」

 

レイラは嬉しそうにほほえんだ、彼女がしたい事ややろうとしている事は大体が長い付き合いのシンユーである二人には筒抜けだった。

しかし、それはレイラにとって嫌なものではなく、嬉しいものだ。

 

「レイラさん」

 

「ココくん」

 

三人の元に一人話しかけて来た、彼はオロバス・ココ、学年二位の成績を持ち、問題児達以外で唯一レイラに勝ち越している悪魔だ

 

「今日から数日間、お互い頑張ろう」

 

「そうだね、負けないよ」

 

健闘を祈るように両者は握手する、それ以上の言葉は不要、オロバスは少し離れかき集めた資料を読みながら開始を待つ事にしたようだ

 

待つ事数分、放送が開始された

 

一年生(ルーキー)たちよ!準備はいいかー!?」

 

「「「ウォォォォォ!!!!」」」

 

教師統括、かつ1年A組担任のダンタリオン・ダリの声に一年生(ルーキー)は皆湧き上がる、今か今かと待ちかねた収穫祭が始まる

 

その前にまずは、収穫祭を解説しておこう

収穫祭は6666分という約三泊四日のサバイバルを行いながら個人の成績を競うイベントである

このイベントはポイント制となっており、収穫物に設定されたポイントを多く集めた一年生は位階の昇級や希望の職への斡旋などの特典が期待できる、その中でもポイント1位である"若王"は記録にも残り、将来の栄光が確約されたようなものなのだった

 

さて、収穫祭の場所であるがこれは大きく分けて4つ存在する、1~4に分かれた入り口から入る事でそれぞれ区分けされたエリア(1~4番ブロック)に散らばることが出来るが、各ブロック間で隔離されているわけではないので歩いての移動は可能となっている

これは1年の人数は111人で一か所に集まるとすぐに争いが発生するためである。

 

続いてポイントの取得方法について

これは、大きく分けて二つある。

一つは収穫祭中に各所に設置されている報告塔へ収穫物を提出する事。その場でポイントに加算されるので提出すれば安心だが襲撃や待ち伏せされるリスクがある。

 

もう一つは収穫祭終了時まで収穫物を保持することだ、守り通すことを目的とするのであればこちらの方が楽だが盗難のリスクがある。

 

最後に、反則行為について

基本的には何でもありな収穫祭ではあるが、反則行為がある。

それは"他悪魔への直接攻撃"だ。

襲撃などで相手に物理的な危害を加えるのは即失格となるが、危害を加えない妨害については黙認されている。

また、"模造品の提出"も失格となるので注意が必要だ。

 

ここまでが収穫祭についてだ。

 

「来たぞ!問題児クラスだ!!」

 

誰かの声が聞こえた、皆が見る方を見てみると問題児クラスの面々──しかし、元祖返りを彷彿(ほうふつ)とさせるほどに変わった彼らがそこにいた。

 

「「すごいね……」」

 

エイコとレイラの言葉が自然とハモった、口には出さずとも周囲の悪魔たちも皆同じ感想を抱いた。

質のいい特別講師からの個人に合わせた授業で成長しないわけがない、それ以上に彼らは問題児(アブノーマル)、予想を遥かに超えた進化を遂げた事だろう

 

「負けてられないな……」

 

しかしレイラもそれは同じ事、無理矢理ねじ込んだ同じ土俵で競えることが今は喜ばしかった。

 

「じゃあまた終了時に」

 

「うん」

 

「わかったわ」

 

簡単な言葉で3人娘は2人と1人に分かれた。

 

エイコとガーコは第一ブロック

レイラは第三ブロックだ、対角線上にあるブロックの為最後まで会うかはわからない

 

「あ、そうだ忘れるところだった」

 

レイラはふと思い出したように移動する、先はA組のメンバーである

まずは男子だ

 

「みんなー!」

 

「あ、ガイスト」「どうしたんだ?」「もう始まるぞ」

 

「みんなちゃんと前に言った事覚えてる?」

 

「あー、あれな」「任せろって」「ばっちりよ」

 

「あ、それとワルブ君──頼んだよ」

 

「お、おう」

 

ずいっと顔を近づけてウインクでそう言われたワルブは少し照れる……嫉妬に燃えるA組男子一同の鋭い視線にハチの巣にされているが、今の彼には効果が無いようだ

続いてA組女子にも檄を飛ばす

 

「シャフ、ミーチェ、マーニー 三人も頼むよー!」

 

「うちの力見せたるよー!」

 

「うぃー」

 

「は、はい」ペショ……

 

こうしてA組メンバーと会話しきったタイミングで再度アナウンスが流れた

 

「制限時間6666分! 出発する入口を選んで集まれーい!!」

 

「じゃあ皆……ご武運を!!」

 

「「「応!」」」

 

遠くで問題児達の罵声が響く中、レイラは三番入口の前に立つ

 

「さぁッ 収穫祭の狼煙を上げるのは誰だ!! 1年生(ルーキー)総決算バトル~~~」

 

「収穫祭スタート!!」

 

★★★★★★★★★★★★★

 

というわけで、俺は早速第三ブロックに到達

 

「っしゃあ!!」「急げ急げ!!」「獲ったー!!」

 

いきなり飛ばす悪魔たちをしり目に準備して来たものを確認する

魔女の服装は伊達じゃない、服自体にも仕掛けがあるがメインはこの帽子だ

 

帽子を脱いでひっくり返す、その中は空間拡張処理がされた荷物置き場……いわゆるインベントリとなっているのだ。

ゲーム的なものだが、マネちゃんの協力と魂鋼の加工で実現したこれの中には数多くの魔具を入れることに成功した。

 

「さ、出てこい! ()()()()()!!」

 

中から大量のドローン……クロローンが出現する。

改良したクロローンには色んな機能を追加してある

 

「ぐおぉぉぉ!!!」

 

茂みからハニーベア(80P)が出現するが、無口頭【火炎(ラファイア)】で迎撃、早速ポイントゲットだ

 

「初日から大量得点……狙っちゃうよ!」

 

俺の収穫祭が今、始まる




本作では無口頭魔術は誰でもめちゃくちゃ頑張れば短期間で習得できる設定ですが、飽き性の悪魔が短期間に集中して頑張るのは大体が無理って感じです。

多分高位階の悪魔は皆大体の魔術を無口頭で使えるでしょうしね
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