悪魔で霊な元人間   作:P223

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84 魔獣と珍獣は使いよう

 

「「「かんぱーい!」」」

 

収穫祭の本部横にあるテントにて特別講師たちがグラスを交わしていた

この場にいるのはみな、高位の悪魔たち、今このテント内だけは圧倒的な戦闘力となっていることだろう

 

「……なんで私連れてこられたのかしら」

 

モモノキはそう一人ごちる。

生徒たちの救助も一旦終わり、他の先生と変わって本部で休憩しようと戻って来たらこれだ、モモノキ自身も位階"7(ザイン)"という高位の悪魔なのだが、他の悪魔はそれ以上に強く恐ろしいものばかりだった、完全にアウェーである。

 

「お邪魔しまぁす!」

 

そう言って入ってきた悪魔を見ると、モモノキはまた驚嘆した。

バビルスの理事長サリバン、三傑の一人でもある彼がやってる?と言わんばかりの軽さで現れたのだから仕方ない。

 

「僕たちも座談会ま~ぜ~て!」

 

そのまま軽い感じに特別講師たちに混ざっていく、まだ入りきれないモモノキからすると困惑に困惑が重なっていくばかりだ。

 

「ほら、モモノキちゃんも!」

 

「えっ?なんですか?」

 

「貴女もいるでしょ? 弟子」

 

モモノキはサキュに誘われて端から中心に引きずり込まれていった

 

(やっぱり、弟子の事関係だったのね)

 

モモノキはこの場に呼ばれたときにふと思い浮かんでいた、自分の弟子、レイラの事をだ。

自分にできることは全て行い、マルバス先生にも協力を要請し、彼女を育て上げた。

他の先生には褒められはしたが同じことをしてきた彼らは違う、お互いの弟子に絶対的な自信を持っているはずだ。

そんな彼らが褒め合う事などするわけがない。

となるとこの後の流れは簡単に理解できた、飲み会の皮を被った誰の弟子が一番優秀かを語る会だ。

 

「上等よ」

 

自分にだって自信がある、一番優秀なのは我が弟子だ。

 

★★★★★★★★★★★★★

 

「【魂狩】!」

 

第一ブロックの頭級(ボスクラス)を更に討伐、5000Pゲット。

総所得が10000Pを越えたしメダルもこれで5枚なので絶好調である。

一日目の夜も深くなり、魔獣たちがも眠るころ、俺はまだ戦っていた

というより実は家系魔術の影響もあり、あまり夜寝る必要が無かったりもする、普段は肌にも悪いし気持ち悪いので寝るが、今は急ぐので別だ。

 

「そろそろ別の場所に行った方がいいかな?」

 

そんな事を手元のメダルを見ながらつぶやいた。

頭級は強いが数が少ない、直接妨害が許可されていない収穫祭において既に頭級と戦っている生徒が居いた場合に行える手段は、待つか協力するかだ、俺の場合は無視してメダルだけ探すというのもある。

 

協力した場合は楽に倒せるが獲得ポイントが確実に減り、残るのは普通の収穫物と同じ量なんてことが起きかねない。

それを避けつつ頭級の出現予測場所を回っていたのだが、結局倒せたのは今戦ったロイヤルクイーンビーでハチの巣が5000Pになる頭級だけだった。

 

まだ頭級は残っているのだが、固定で出現すると予想した場所には限りがある、次に行くのが先決だろう

そういうわけでバイクにまたがり別のブロックへと行くことにした

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

第二ブロック、ここに着いた時ある事に気が付いた

なんかやけに魔獣たちが集まっている場所がある、魔獣が列をなしているのははっきり言って異常事態だ

 

「ちょっと行ってみようかな」

 

エンジンを鳴らして方向を変える、力のメダルは他に集めてそうな悪魔もいなかったので後回してもいいだろう

 

意外とこのブロックは獣道も多くバイクで通りやすいので助かった、第一ブロックの時は【風刃(シェイバー)】で道を作っていたので尚更だ。

 

「この辺かな……ありゃ」

 

魔獣が集まっている場所にたどり着くと、そこにはなんかの儀式かって感じに魔獣が整列しており、その奥には見知った顔があった。

ヘルメットを外して近づいていく

 

「誰?」

 

「ケロリ……何してんの?」

 

女王様然とした友人がいて俺はいま絶賛困惑中である。

 

「うわ、レイラ……こんな深夜に何かと思えばあんたなの?」

 

「なんとこれはお美しい方!……ごほん!失礼!今は女王の御前ですよ!平伏なさい!」

 

「女王?……というかやっぱり珍獣と一緒だったんだね、後この魔獣たちは何?」

 

「私の兵よ、そちらこそここに何しに来たの?敵地ってわかってる?」

 

「みたいだね、でも魔獣なら多分なんとかなる、彼らは生存本能が強いからね」

 

「女王……!魔獣たちが怯えています!強い死の気配がするとかで」

 

「なんですって?」

 

これは俺の体質もあるがソウルリーパーのせいだ、この大鎌は命を直接刈り取る事ができる物、頭級クラスならまだしも普通の魔獣ならこの大鎌を見ただけで震え上がって逃げてしまう事だろう、本能的に

これで逃げていないのだから、この魔獣たちはよく調教されている

 

とりあえずそれとなく訳を伝えたら納得したようで、俺の目的もここではないとわかったのか問題なく別れることができそうだった

ふとそこで俺は思い浮かんだ、ここまで魔獣を手懐けられるのであれば一時的に協力関係を結べるんじゃないだろうかと、そうして提案する

 

「頭級を一緒にしとめない?」

 

「頭級を」

 

「しとめる?」

 

作戦はこうだ──

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ここがこのブロックにおける最大の頭級である大霜降りタウロスの住処です、こればかりは女王でも難しかった魔獣……本当に可能なのですか?」

 

「大丈夫だよ、珍獣くん、私だって一人では無理そうだけど、力を合わせればいけるはず」

 

「魔獣たちは準備出来たわよ、わかってるわね?」

 

「よし、やろう!」

 

大鎌を構える、その時世界が震えた。

 

ブオオオオオオオオオオ!!

 

「来ましたよ!皆様、配置について下さい!」

 

珍獣が号令をする、それに合わせて魔獣たちが各々の配置にばらけていった。

 

「ワイヤー射出、【硬質化(ブロック)】」

 

強化魔術と防御魔術の複合魔術だ、ワイヤーの強度を極限まで上げることで疑似的な壁を生み出せる。

網目は広めにとっているので大きい体のタウロスは抜けられないが俺達は抜けることが可能だ。

 

「ブオオオオオオオオオオ!!」

 

ドスドスドス!!と地響きが鳴るほどの踏み込みで奥から走ってくる、かなりの大きさでありその速度も加えると恐ろしいまでの膂力となっている。

 

「ケロリ任した!」

 

「はいはい」

 

ケロリが家系能力の【氷面(ひょうめん)】の力で地面を凍らせていく、氷柱を作らずにただ平らな地面を形成した

 

「ブモオオオ!?」

 

走っていたタウロスは勢いのままにこけてしまう、頭からワイヤーの壁にぶつかるが何とかワイヤーは耐えてくれたようだ

 

「今です!」

 

その合図とともに魔獣たちが一斉に攻撃を仕掛ける、風や炎や雷といった普通の物から粘液や霧などの俺達悪魔では再現が難しいものまで、多種多様の攻撃が一転に集中した

 

「ブモ……」

 

それでも抵抗して立ち上がろうとするタウロスは流石の一言で、攻撃もいささか有効とは言えないようだ

しかし、ここで俺の出番だ

 

「【完全霊体化】、そして……【憑依】!」

 

完全霊体化してからタウロスの身体の中に入り込む、憑依といったものの別に身体を乗っ取るようなそれではない。

完全霊体化した状態で行える行動の一つである魂への干渉、それを利用してタウロスの魂を縛り付けたのだ、水族館(アクアケース)でのナンパを追い払ったものの強化版である。

ここからは五感を失っているので秒数を数えて解除するだけだ。

 

3.2.1……良し

 

「解除っと……どう?」

 

「成功です!この頭級は我々に平伏いたしました!力を認め、貸してくれるそうです!」

 

よーし、成功だ。

今回俺が提案したのは、頭級のテイムである。

ケロリだけでは頭級のテイムには時間と手間がかかるようで、まだ取り組めていなかったそうだ、そこに俺が来て提案して来たのでそれに乗った形になる。

その対価として、俺はこのタウロスの提出部分の角の半分(両方で5000P、片方で2500P)と力のメダルの回収だった。

 

「正直助かったわ、これでやりたいことが出来る。」

 

そう言ったケロリの表情は美しいながらも恐ろしいものだった、敵に回して悪魔(ひと)はご愁傷様と言っておこう。

 

「じゃあこれ、献上品の中にあったわよ」

 

そう言ってケロリが力のメダルを渡してくれる、10枚ほどあるのでこれだけで目的達成だった、今までの俺の努力は一体……?

 

「にしても契約書までする必要あった?」

 

「あるよ、こういうのはしっかりしてないと嘘つかれることもあるんだから」

 

「そんな事……アロケル達に会ったわね?」

 

「……まぁそんな感じです」

 

というわけで、目標達成。後は帰るだけだ

 

「それじゃ私はこれで!」

 

「はいはい、じゃあね」

 

夜ももう遅いし、そろそろ朝になる。

俺も一度休みに拠点へ戻る事にした。

 

 




【スキ魔】

カムイ「ところで何故私は珍獣なんですか?紳士としては少し受け入れがたいのですが……」

レイラ「え?可愛くない?」

カムイ「珍獣でございます!!えぇ、珍獣ですとも!!」

ケロリ「貴女のその感覚はわからないわ……」
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