キィィイィィン!!
「何でこれが防げるのかな!? その刀、刃が無いはずだよね!?」
「無論、我が【
「それでソウルリーパーの攻撃を防げるのも意味わかんないんだけど!?」
第二ブロックすやすや城の備蓄置き場にて俺とガープはそれぞれの武器で戦闘を行っていた。
この収穫祭は、防御されたとしても生身の相手に怪我……ないし、攻撃を命中させた時点で失格となるのだが
「っ!!」
パシュンッ!
威力を抑えた風の刃を腕で受けようとすると、直前で霧散する。
ローブは多少斬れているのだが、俺の身体は完全に無傷なのだ。
これが【
俺のソウルリーパーの力と似たところがある。
そもそも、ソウルリーパーの一撃を風の刀で防がれているのも意味が分からない。
本来ソウルリーパーは俺の霊体化の影響を受けるため、ある程度の物理的な障害をすり抜けて攻撃が出来る、仮に魔術だとしても俺の完全霊体化と同じように流動的に抜けるくらいなら出来るはずなのだが
キィン!
「──ッ!またッ! 霊体の大鎌を防ぐってどういう原理!?」
「霊体がどんなものなのかは分からないでござるが、そこに流れがある以上防げぬわけがないでござるよ!」
霊の流れ……?
何を言っているのか全然分からないが、事実それで防がれているからたまったものじゃない
「隙ありッ!!」
「くぅっ!!」
無口頭【
「【フラッシュ・バン】!!」
ピ……キィィィィィィィィン!!!
「ぐあっ!!」
光源を発生させる魔術と音を発生させる魔術の複合オリジナル魔術だ。
その効果はその名の通り、フラッシュバン。つまりはスタングレネードと同じものである
俺自身は部分霊体化を目に使用して、代償を聴覚にする事で無効化できるがガープには有効で助かった。
視覚と聴覚を戻すと怯んだ様子のガープが確認できる、しかしこれだけで逃げるくらいの時間は確保できないので別の道具を取り出す事にした。
ハンドガン型魔具GデバッファーVer.5だ。
Ver1~4は不具合だらけだったので没にした、GはGUNのGである。
タタタタンッ!
特殊な弾を撃ちだして準備をする、直接当てても効果はあるのだが、そうした場合多少のダメージが発生するため俺が失格になるので無しだ。
「今のは……!」
ここでガープが回復したが、俺のやりたいことは既に完了した。
「少し驚いたでござるがもう慣れたでござる! 次は無い!」
「これで十分だよ、もうここは私のフィールドだ。」
「行くで……むっ!?」
ガープが踏みだそうとして一歩進んだ時に異変を感じたようだ、ガープの足元にはGデバッファーで射出したトリモチが設置されている、悪魔にはこの程度さほど効果は無いがほんの少しであれば拘束になるはずだ。
「はあッ!!」
スパパパンッ!!
……一瞬で斬り刻まれてトリモチが無くなった。
もしかしてあの風の刃って増えるのだろうか、なんか俺に振っている以上に刃が出ていたように見えたのだが……
だがしかし体勢は崩れており、まだすぐに次の動きにつなげられなさそうだ。
「じゃあこれだッ!」
懐から取り出したのは眠り茸、衝撃を加えることで胞子が広がり相手に眠気を誘発する植物である、獲得Pは50Pだ。
それをガープの足元に投げることで胞子をばらまいて妨害するという魂胆だ
「えいっ!」
「しまっ!?」
茸は俺の手を離れ、そのまま飛んでいき……俺の後ろの壁にべちょっとぶつかった。
「……」
「……」
「あの……」
「言わないでッ!!」
いけると思ったんだ!
正直5mも離れてないから当たると思ったんだッ!!!
畜生! これだからモン〇ター〇ールも作れないんだ! 作ってもッ! 使えないからッ!!
正直空間系の魔術を利用すれば作れるけど、俺が使えないのに作っても楽しくないのだ!
「そろそろ、良いでござるか……?」
「うん、ごめんね 待ってくれて」
俺が内心暴れている間も待ってくれていたようだ、俺なら不意打ちしていたので
でもこの収穫物を盗み出すのは別の話だ、逃げ切ってやる。
「そろそろ決めに……ん!?」
足が動かない……
下を見ると、足を縛る様に地面が隆起している。
一体どういう事なんだ……?
【チェルーシル】を使うような様子は無かったのだが
「いつまでやってんだガープ、そんな奴一人さっさと追い返せよ」
「アガレス殿! いや、あの帽子の中に拙者たちの収穫物が入ってるのでござるよ! どうにかして取り返さねば……!」
「あぁ? って事はこいつが犯人って事か」
「これはまた、随分な美形が来たもんだね、この城の王子様ってとこかな? それともお殿様の方がいい?」
「どっちでもねぇわ! ったく、その盗んだ収穫物を返せ さもないとこのまま収穫祭が終わるまで監禁させてもらう」
そうして来たのは、アガレス・ピケロ
俺が一番関係性の無い
彼の家系魔術はよく知らないが、地面に関係するものと
「悪いけど、お断りかな 私これでも若王目指してるんでね」
帽子を被りなおすように手を当てて視線を誘導している隙に足だけ霊体化で拘束から抜け出した。
俺の能力について詳しく知っているのは入間達魔具研メンバー以外だとケロリくらいなので、バレない……と嬉しい。
とはいえ、二対一となるとかなり厳しい状況と言える、それに他の悪魔たちも来たとなると無力化されるのも時間の問題か。
【
攻撃魔法は無理なので、とりあえずはこれだ。
「【フルアッパー】!」
筋力、速度、幸運、持久力、精神力といったものを全て同時に上昇させるオリジナル魔術だ。
発動速度の向上ではなく、効果時間にブレがある各魔術の効果時間を統一するために開発した魔術である、個別で使うと同時に切れないので効果時間切れギリギリの時に大きな隙になってしまう事の対策だ。
それに加えて、時限式トラップの起動だ。
ぼふんっ!
「むっ!」
「なんだ!?」
終わりの鉢の試練の後ムームーに無理を言って回収した桃色の罠の魅了ガスだ、まともに受けたら10秒程度は行動不能になるのはリードで実証済みだ、俺には効かないけど
「ガスは拙者には効かないでござるよ!」
風の能力を持つガープに効かないのはわかっている、だから本命はこっちだ。
「【ゼロ・グラビティ】!」
「「なぁっ!?」」
重力解除魔術である、普段相手にかかっている重力の影響を外すことで浮遊させて拘束するオリジナル魔術だ。
精神的に油断している時でないと他人には成功しないので、ガープが罠を防いだ一瞬の油断をついた、これで俺の勝ちだ。
「それじゃあね!」
二人が体勢を戻す前に完全霊体化で壁をすり抜けてこの場を離れる、壁の反対側についた俺は完全霊体化を解除してケロリ達の元へ戻ろうと……
バシュッ!!
「……へっ?」
ぼとぼとぼとぼと!!!
突然壁から生えてきた棘によって帽子が破損して、中の収穫物と俺の魔具が溢れてくる。
何とか魔具と一部の収穫物は抱えて、ローブに仕込んでいたサブ収納に収納出来たが殆どの収穫物は落ちていく……途中で壁から生えた腕のようなもので回収されていった。
「……あんなのあり?」
完全にやられた、地面を操る能力だと思っていたのだが、壁を地面と認識出来るとは思わなかった。
それを利用してピンポイントで俺の帽子だけを撃ちぬいたのか……まったく問題児は化物だらけだな。
流石にもう警戒されているので俺の仕事はもう無理そうだ、ケロリに報告しに行こう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「それでこれだけだった、ごめんね」
「これだけでも4000P分くらいはあるし十分よ、お疲れ様 それじゃこれ貴女の取り分ね」
そう言ってケロリは大体1500P分くらいの収穫物を渡してきた、少ないように思えるが俺の場合はココの捜索を頼んでいるのも含めた契約なのでこのポイントだ、契約書にもそう書いてある。
「それとオロバスの事だけど見つかったらしいわよ」
「本当?」
「ええ、今はこの第二ブロックと第一ブロックの中間地点辺りにいるらしいわ、大体この辺ね」
そう言ってケロリは地図の一点を指差した。
今ココはこの辺にいるのだろう、すぐにでも会いに行こうじゃないか
「ありがとう、じゃあ私はこれで! 残りも短いけどお互い頑張ろう!」
「はいはい、さっさと行きなさい」
そうして俺はその場を離れた。
向かう先はココの場所……の前に報告筒の近くだ。
「お待たせ……
「あの二人を誘導してくれたから余裕だった、ほらこれ」
魔獣王国ともすやすや城とも少し離れたこの場所でソイと俺は待ち合わせをしていた、その理由がこれだ。
すやすや城にあった俺が盗んだ方ではない方の収穫物、合計20000P分の収穫物である。
俺は収穫物を盗むのも二つ目以降はバレると予想していた、それについてどうしようと考えていたところ丁度近くを通っていたソイを見つけたのだ、そして彼と取引をした。
その取引内容は単純で、俺がガープとアガレスをひきつけている間にソイが【認識阻害】を利用して残りの収穫物を掻っ攫うだけのものだ、どちらも一人では出来ない事なので五分五分の取引が出来たのだ。
報告筒の先生も魂視で本物と確認してから二人で連名提出し、半分の10000Pを受け取った。
これでケロリから貰った分を含めても11500P獲得だ、他の収穫物と合わせても大体45000Pとなった。
「じゃあこれで」
「ありがと、またね」
ソイはまた認識阻害を使いどこへと消えていった、彼とのかかわりはこの程度が丁度いいのだ、関わるには軽く、去る時は追わずにだ。
「──さて」
羽を広げて空に飛ぶ、魂視で確認しつつココの元に向かう事にしようじゃないか