悪魔で霊な元人間   作:P223

96 / 107
アンチ・ヘイト注意

今までで一番オリ主しているかもしれません、オチョが推しの方はごめんなさい


96 元祖返りな小物と元祖返りな悪霊

 

「これで逃げ道を塞いだ気か? ですがこれだけの効果となると解除は出来ないのでは?自ら墓穴を掘るとは随分と愚かだな」

 

「好きに考えたらいい、10分間出るつもりは無いし出すつもりもないから」

 

「時間稼ぎが目的か……だったらさっさとお前を殺して逃げの準備をさせてもらう!」

 

「殺せたらね? 元祖返り相手なら俺も遠慮しない」

 

「【風神刃(シェイブレスト)】、そんなに言うならこれくらいは防いでみろ!」

 

高位の風魔術だ、小柄なのもありココの後ろをついて回る三下の様子だったが、先ほどの【重力支配(フラクトボス)】の事もあるが、やはり一定以上の強さは持っているようだ。

位階(ランク)で言うなら最低6(ヴァウ)以上はあると思って間違いないだろう。

しかし、その程度の実力であれば道具でひっくり返せる。

いざとなったらあの箱魔具から発想を得てから作成した緊急用ランダム自己ワープ魔具もあるので安全性も確保した、前のように無理な勝負じゃない

 

「グランシールド、起動」

 

左腕に装着した盾で【風神刃(シェイブレスト)】を弾き飛ばす、弾かれた風の刃は疑似【断絶(バリア)】に当たって消え去った。

 

ローブから取り出したのは盾形魔具のグランシールドだ。

この魔具は中盾程度のサイズで【保護(グラン)】の魔術にクロローンで使った【ブースト】の機能を加えた魔具だ。

保護(グラン)】の欠点である、指定した属性以外への防御力不足を無理矢理解消した魔具なのだが、そもそも【ブースト】は燃費が最悪で数発受けるだけでチャージした魔力分を使い切ってただの金属の塊になるし重いだけの欠陥品ではある

こういう限定的状況下なら使用に耐えられるので使わず持っていたのが功をなした。

断絶(バリア)】の盾を作ろうとも思ったのだが使い勝手が悪く、盾に付与したりと動くものに使う事は出来なかった、効果は高いが壁にしかならないようだった。

 

「ーーーッ!!! ズルだろそんな道具ばっかり使いやがって!!」

 

「そうだよ? 俺はこれくらいしないと勝てないからさ、色んなズルを重ねて勝ちに行くんだ だって、それが悪魔ってやつでしょ?」

 

「チッ!」

 

元祖返り的な考えだからだろうか、反論らしい反論は出てこなかった。

だが、悪魔にとってズルや卑怯と言った行為は否定されるようなことではなく、ルールの裏を突いた賢い選択とされるのがこの魔界の普通なのだ。

 

「それに道具ならそっちも使ってるでしょ?」

 

認識阻害魔具だろうが何だろうが、道具を使って生活しているのは誰だって同じなのだ

例えばス魔ホだって魔具の一つと言える、使われて不利を感じるのであれば使えばいいだけだ、それに今やっているのはルールなどない戦い、もっと言えば殺し合いなのだ、公平さなど欠片も必要ないしそもそもバックに大物が付いているのなら同じように道具を準備できたはず、ならばただただ準備不足を嘆いて次に活かせばいい

 

「まぁ、その次はないけどさ」

 

「何を……!」

 

「そろそろ終わらせようかと思ってさ、そろそろ5分経つ、これくらいあったら先生も来るしな」

 

「バビルス教師か……ッ! その時間を稼ぐためにこのキリヲくんの【断絶(バリア)】もどきを張ったのか!」

 

「違う、邪魔されないためにだ 時間も無いしもう終わらせよう」

 

勿論、安全を考えて先生に任せるというのも考えたし最初はそうしようと思った。

元祖返り相手とは思わなかったがウォルターパークの事を考えると今は逃げて教師陣に知らせるっていう手もある、とはいえそもそも収穫祭は危険が多いので多くの先生が監視しているのだ、時々見かける一つ目のコウモリっぽい魔具がそれだ、そう考えると既に先生はこちらに向かっている、だがしかしこいつは俺が倒しきる。

理由は二つ

一つは彼我の戦闘能力は既に把握した、このオチョという悪魔は精神系魔術に長けていて偽装や潜伏は得意そうだが直接戦闘は苦手なんだと思う、ウォルターパークの時の事はあまり覚えていないがあの時の元祖返りと比べても圧倒的に弱い斥候の類なのだろうそれなら俺でもやれる相手と判断した

 

「悪魔にこれを使うとは思わなかったけど、まぁいいか」

 

「それは……銃?」

 

盾を捨ててローブからGデバッファーを取り出して撃つ、わざわざ敵相手に敢えて外したりはしない

命中補正機能もあって外れず四発命中した

 

「ぐっ!! ……ガハッ!! ご、ごれは……!?」

 

「神経毒と麻痺毒だよ、前が分からないでしょ?動けないでしょ、まだまだあるからさ 全部試そうか」

 

「り、【回復(リカーバ)】! ……ごはぁッ!! な、なんで……」

 

「馬鹿か? 毒が回復魔術で回復するわけないだろ? むしろ身体が活性化する分悪化するに決まってるだろ」

 

「げほっ……【烈火(ラフレイム)】!」

 

ラファイアよりも強い炎魔術である、しかしいくら強かろうと麻痺した状態で放たれた魔術が当たるはずもなく見当違いの方へと飛んでいく。

ただ相手もバビルス教師を欺いてこの収穫祭に潜入したほどの悪魔だ、色々と準備はしてきたはずなので今のうちに手段をつぶしておこう

 

「【解析(カルテ)】……解毒薬はここか、やっぱり隠し持っていたな へぇ、これ結構高級なやつじゃん、誰かに買ってもらった?」

 

懐に仕込んでいた各種解毒薬を割っていく、ぱりんぱりんと小気味のいい音を立てて容器の瓶が割れていくのを麻痺でまともに動けない元祖返りは見るだけしか出来ない。

 

「グ……グソがぁ……!!」

 

「レイラさんッ!!」

 

と、ここでモモノキ先生が来た

汗もかき息を切らせているようで、映像で確認してから全速力で来たのだろう

 

「先生、遅かったですね」

 

「レイラさん、この状況は……!?」

 

「元祖返りですよ、この収穫祭に紛れ込んでいたんです」

 

「元祖返り……! その彼がそうなのね」

 

「ココくんの方は大丈夫だと思いますけど、彼はこいつに洗脳魔術をかけられていました。 対処をお願いします」

 

「ぐ…‥‥ぐあぁっ!!」

 

オチョが何かをしようとしていたので頭を踏みつけて阻止した

 

「レイラさん!やめなさい!!」

 

「はい? 何ででですか?」

 

「それ以上は貴女の為にならないわ、そういうことは私達教師に任せなさい」

 

「だったら、なんでこいつが今ここに居るんですか?」

 

「それは……そうよね、ごめんなさい」

 

流石はモモノキ先生だ、俺が言いたいことはすぐに分かってくれた。

 

これが二つ目の理由、バビルス教師への不信感だ。

ココくんが使いたくないと言っていた【幻燈(トラウマ)】を使う程の異常事態、それの感知が遅れたのはまだわかる、オチョの潜伏スキルが高いせいなのだろう

しかしだ、俺が【幻燈(トラウマ)】を受けたのは今から見ても半日以上前、問題児達がココにやられたのであればもっと前から行動している、なんなら収穫祭開始直後にはすでにあの状態だったのかもしれない。

 

だったらなんでその状態を放置した?

ココを捨て駒として利用したのか?

そうだとしたら俺はこの学校を許せそうにない。

 

「聞かせてくださいモモノキ先生、もしこの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「何者かが紛れ込んでいたこと自体は把握していたの、3日前から捜索はしていたわ……オロバス君には何かしらの補填をする予定です、それで信じてくれないかしら」

 

「……」

 

モモノキ先生だけでなく、バビルス教師の責任感は理解している。

だが、このもやもやが晴れたわけではない

ただ、モモノキ先生の言っている事は嘘ではないと感じる、彼女はこういう時に嘘をつかない悪魔(ひと)だ。

事前に行動を開始していた事、そしてココへの補填を考えているのであればこのもやもやは一度だけ呑み込むとしよう。

 

解毒薬を破壊したとはいえ、悪魔であるのオチョをこのまま放っておくと案外早めに治ってしまう、なのでそうなる前の動けないうちにソウルリーパーを振り上げる。

 

「レイラさんッ!!」

 

「【(たま)……(しばり)】!!」

 

「あ……」

 

ソウルリーパーでオチョを一刀に伏した。

これでオチョは麻痺が治ったとしても完全に動けなくなった。

 

「【魂縛(たましばり)】、相手の魂に魂鋼という特殊な金属の枷をはめることで行動不能にする技です。 私が解除しない限りこいつはもう自立行動が出来なくなりました。 ……今回だけは信じます」

 

「レイラさん……ありがとう」

 

「じゃあこいつの事はお願いしますが、私も同行して引き渡し後に拘束を解除します 魂鋼は家宝なので回収しないといけませんので」

 

ソウルリーパーのもう一つの技、【魂縛(たましばり)】は【魂狩(たまがり)】と違って多くの魂鋼を使用するため複数対象に同時に使えないのが欠点だ

しかし、不殺で捕らえるという意味ではかなり優しく強い能力なのだ、正直【魂狩(たまがり)】よりこっちの方が俺としても好きである。

 

「レイラさん、このままいけば若王になるのも視野に入っています……本当は言っちゃいけないんだけど、今貴女のポイントは学年トップだわ それにアスモデウス君がさっきリタイアしました、戻らなくったって……」

 

「先生、私は若王(そんなもの)よりもこっちを優先したい、ココくんの事もあるけどこいつをちゃんとこの手で引き渡したいんです」

 

「……分かったわ」

 

それに実はというと残り時間ももう200分を切っている、今の俺のポイントが拠点に置いてきた報告していなかった収穫物を全て含めても51520Pなのだ。

今から頑張ってもレジェンドリーフの60000Pには届かないだろう。

残念だが俺はここで終わりとなる。

まぁ、ココと競い合うのも出来なかったし今回は入間達に勝ちを譲ろう……それに俺の本命は音楽祭なのだ、その為の準備はずっと前からしてきている。

 

「……ふぅ じゃあ行きましょうか先生」

 

「ええ、貴女には辛い選択をさせてしまったわね 私達の力不足でした、本当にごめんなさい」

 

「いいですよ、ちゃんとこいつを調べ上げてくださいね……守秘義務などがあると思うので結果は私に言わなくても大丈夫ですから」

 

「……ええ、バビルスの誇りにかけて調べるわ」

 

これは結局後でモモノキ先生や他の教師陣が俺に教えてくれたことなのだが、結局オチョは愉快犯との結論で一般の元祖返りの悪魔だったという事になったらしい。

今は魔関署に引き渡されて投獄されているところらしい、これからも取り調べは継続するようだがあまりバックについている悪魔に関する情報は期待できないそうだった。

 

俺としては、それでバビルスを責めることはしない、教師陣が今まで以上に対策と鍛錬をしていると見せてもらったし、カルエゴ卿やダリ先生……ましてやサリバン公まで揃って俺とココに謝罪と説明責任を果たしたことでこの件は水に流した。

ただ一つ分かったことはバビルス教師だって完璧ではないという事だった、俺は少し彼らに夢を見すぎていたのかもしれない、彼らもまた1つの生き物なのだから失敗くらいするし後手に回ることだってあるのだ

 

残り時間 200分→0分

ガイスト・レイラ 合計取得ポイント数…51520P。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。