伝説の魔-メン受付、と書かれた建物の中に入った。
「あそこに受付があるよ!」
「食事を食べに来ただけだよな……? 血と血で争う戦いでも始まりそうな感じがするけど」
「何言ってるのレイラさん! 食は戦争だよ!!」
「あっはい」
いや、確かに戦争の理由の一つに食糧不足があったりするのはわかるのだが、それにしても熱量が凄い。
まぁ食は三大欲求の一つでもあるし悪魔的にも重要なものの一つなので分からないでもないと自己解釈することにした。
「ではこちらに名前を記載してください」
受付の女性悪魔にそう言われたので名前を記入する、俺も入間もお忍びだし本名でなくとも良いとのことなので偽名として俺はレイ、入間はマルという名前で登録した。
因みに入間も少し髪型を変えて俺が化粧することで入間とは分からない程度に変装させている。
参加費も少量ながら*1必要とのことなので支払って、ルールを記載された紙を貰って奥へ通された。
「
「確かに、ペア名でアイン・ソフとか名乗っとく?」
「アイン・ソフ?」
「あ、いや、知らないならいいんだよ」
入間は年齢的に厨二病でもおかしくないと思ったのだが、案外そうでもないようでちょっと恥ずかしい。
気を取り直して控室のような場所で貰ったルールの紙を読んでいく
ルールには試練の流れも書いてあったようでルールと一緒に記載されていた。
簡単に要約するとこうだ。
・試練は全5種目
・各種目ごとにクリア定員が存在し、最終5種目めの定員は2名となる。
・種目ごとにルール説明が行われる
・この試練での事故などの責任は全て参加者自身の責任とみなされる
・魔術、および魔具の使用は禁止される、道具は魔力を介さない物のみ使用可能
因みに、魔具の使用は禁止されているが使わなければ持ち込みは可能なようで、俺の髪飾り魔具と入間の悪食の指輪は使用しないという制限の元許可された
周りを見ても肉体的に力のある
まぁ魔界の中には数日単位で並んで小説を買うとかいう例もあるので無くはないとは思うが、それだけ美味いのだろうか……それが伝説なのか
「入間、ほらこれ」
「え?」
魔具無しとのことなので今のうちに収穫祭の時に使った技術を応用した鞄から普通の道具を入間に渡す
何があるかわからないが間違いなく手荒なことになるのは間違いない、使える武器は必要だ
この鞄も試練開始後は使用禁止となるので今のうちに物を取り出しておく必要がある
俺も木製の大鎌を取り出して持っておく、普段のそれとは違い少し小さめだが重さが殆どない魂鋼でないので仕方ない
入間には同じように弓と矢を渡す、彼の性格的に怪我をさせるのは戸惑うだろうから矢をぶつかると粘着性のある液体で拘束するものと対物用の普通の金属の2種類を渡している、予備もあるので弾切れが起きることも無いだろう
「ありがとう! これなら何とかなりそう!」
「身体能力だけの種目があると考え物だけどな」
と、準備が出来たところでアナウンスがあり試練会場に向かうことになった。
場所自体は大きめの広場のような場所に参加者たちが集められたようだ。
結構派手に募集がかけられていたようだが人数自体は大体300人と言ったところだろうか、この中から二人だけが食事権を得られるのだが、それが多いのか少ないのか分からない
『えー、本日はお集まりいただきありがとうございます。 ベヘモルト様プレゼンツ伝説の魔ーメン争奪戦への参加ありがとうございます ベヘモルト様は別件がございます為、進行は我々特別委員会が取り仕切らせていただきます! また、この争奪戦はテレビ放送がされております!』
ワァァァァ!!!
力自慢の悪魔たちの咆哮が四方から聞こえてくる、入間も俺の横でビクッとしているが逃げ出すような様子は無いのでウォルターパークや収穫祭を経て精神的にも成長したのだろう
『第一種目はコチラ!!魔ーメンマウンテン!』
その声と同時に俺達の前の地面が隆起していく、最終的に巨大な山のような形状になった。少し見づらいがてっぺん付近は平たくなっているようだ
『66mあるこの山に登った上位100名が次の試練に参加できます! もちろん妨害も可能ですが魔術や魔具は使用禁止です! また、制限時間666秒を越えた場合はその時点での到達者のみをクリアとします』
300人が一斉に上るので普通にすれば大変そうだ、それに俺や入間は力が無いので正攻法では無理だろう
『では参加者の皆様は山を囲むように配置について下さい』
「レイラさんどうする?」
「これは割と簡単だけど妨害だけどうにかしないとね」
魔具でない道具でも終わりの鉢の時に使ったワイヤーフックを射出できる道具くらいなら持ってきているし、銃型なので腰のホルスターに入れているがこれで登る時に邪魔をされると登り切る前に落とされてしまう
となるとどうするか、まぁ先に排除すればいいだけだ。
「入間、今から俺が飛ばすものをあの山のあの辺で射抜けるか?」
「え? ……何か作戦があるんだね!わかった!」
「よし来た」
俺がまた別の銃器を取り出した、ハンドガンではなくハンドキャノン型の道具だ
Gデバッファーの単発範囲版なのだが、今回のイベント用に改造して魔力を利用せずに使えるようにしている
ぽんっ!
軽い音をたてて俺の銃から水風船のような物が勢いよく飛んでいく、魔界の素材を使えば魔力や火薬がなくともいい感じに飛距離が出て助かる。
そして目標地点へ到達
「ばちこんっ!!」
ぱしゃぁん!!
的はかなり小さいのだが入間の矢は吸い込まれるように水風船を射抜いて中の液体をまき散らして山にかかっていく
そのまま山を回りながら次々と撃ちだしていって山が液体まみれとなった
「ん?なんだこの液体……ってうわあああああ!!!」
力のままに上っていた大きめの悪魔が液体に足を取られた次の瞬間ツルツルと滑って落ちていった、怪我はないようだが何が起きたかわかっていないようだ。
他の
「レイラさん何を撒いたの?」
「ローション」
「……うわぁ、えぐい事するね」
「妨害歓迎なんだから対策してないほうが悪いね、ほら行くぞ」
入間の腰を抱いて、ワイヤーを射出する。
そのワイヤーを巻き取りながら山を滑る様に登っていく、邪魔しようとする
そのまま順調に登っていき、ローション地帯も越えてそのまま頂上にたどり着いた
「はい到着」
『おおっとキルリーダー!レイandマルの到着だー!!』
なんか実況していたようでカメラ用魔具が飛んでいるのに気が付いたので、入間を引き寄せてポーズを決めた。
一応先に来ていた
『おっとここでタイムアップ! 到着人数60名!これは随分と絞られた!!』
ローションを越えられなかったものが多く、大半は俺達が妨害をする前のようだった。
残っている悪魔たちを見る限りでも流石にバビルス教師や元祖返りと言ったような高位階の悪魔は見られないのでまだ安心だった。
その後も順調に試練を越えていき最後の試練となり、残り人数も10人とかなり少なくなった。
他の試練は意外と魔ーメンに関するクイズ問題や、なぜか的当てなどと俺達が有利な試練が多く難なくクリアできた。
最終試練は伝説の魔ーメン……というか伝説の魔ーメンモンスターを争奪する戦いらしい。
魔ーメンモンスター(略して魔メモン)とは何だという話なのだが、麺や具材に目と羽が付いていて飛び回るとんでも魔獣だ
一応普通の魔メモンは慣れれば捕まえること自体は苦ではないのだが、伝説の魔メモンはかなりすばしっこく普通の魔メモンの10倍以上の速度で飛び回っているので捕まえることがかなり難しそうだ。後なんか光っている
この伝説の魔メモンを手に入れた先着2名が今回の伝説の魔ーメンを食べる権利があるらしい。
「あっ!畜生取れねぇ!!」「この野郎!俺のもんだ!」「どこ行ったぁぁぁぁ!!」
「こりゃ大変そうだ、どうする入間……」
入間の方を見ると入間は弓を引き絞って一点を狙っていた
「ばちこんっ!!」
粘着矢を飛ばしたようでそれが超高速で飛び回る魔メモンに見事命中し、入間の元へと落ちて来た。
粘着液が付いてしまっているがどうせ洗って調理するので問題ないだろう
『おおっとぉー!! 伝説の魔メモン一匹捕獲者が出た! 捕獲者はキルリーダー・マルだぁぁぁぁ!!』
実況も興奮して叫んでいる、俺も負けていられないのでワイヤーを次々と展開していく。
展開が終わると中心のワイヤーの交差部分にジャンプして飛び乗った、重力制御を行っていないからこそ今俺はジャンプ力だけは他の
これで邪魔はいなくなった。
状況は収穫祭でステルスコブラを倒したときの電気が無いバージョンと言える、受信用の補助魔具も無いが襲われない分集中が出来るので問題ない
今回は振動をたどってパターンを分析する。
……ここだ
「【
ソウルリーパーではなく木製の大鎌なので別に即死攻撃というわけではないが気分の問題だ、居合じみた勢いで放った一撃で魔メモンは無事に倒れ、俺のものとなった。
『キマッタアアアアア!! もう一つの伝説の魔メモンを手に入れたのも同じくキルリーダー・レイだぁぁぁぁ!!!』
やかましい声が聞こえてくるが、何とか俺たち二人共目的を達した。
他の参加者も残念そうにしているが、暴れたり動いたりすることが目的だったのかそこまで悔しそうな様子はなかった。
その後表彰やインタビューなどもあったが、あっさりとしたもので本題は伝説の魔ーメンの実食となる
「こちらが伝説の魔ーメンとなります」
「うわぁっ! なんか輝いてるよレイ……さん!」
「だな、何が混ざってるのか分からないけどまぁ変なものは入ってないっしょ」
豪華な椅子に座った俺たちの前に黄金に輝く魔ーメンが置かれた。
サイズは普通の魔ーメンと同じようだが、その食材はどれも見たことが無いものばかりだった、卵にチャーシューメンマにネギともやしと具材は普通なのだがどれも光っていたり色が違っていたりと異様な雰囲気だ。
まずは軽くスープを飲んでみる
「……!? 何だこれ、醤油スープのようだが濃厚だがしつこくなくすっきりする感じがして……あぁ、もうボキャブラリーが足りん!」
「凄いっ! こんなの初めて食べるよ! これが伝説の魔ーメンなんだ!」
その後も一つ一つの食材に感動しながら食事を進めて行った、普段はあっさり完食する入間も良く味わってゆっくり食べている辺りこの魔ーメンがとんでもなく上手いのが分かるだろう。
今後魔ーメンを食べる時にこの魔ーメンと比べて物足りなさを感じることも多いだろうが今はこの感動を少しでも長く味わっていこう。
魔-メンモンスターってマジでどういう生き物なんでしょうね、グルメ界から逃げて来たとかだったりして