ようこそ時魔法使いのいる教室へ   作:ゆーざーめい

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11話 休息?

 無人島サバイバル試験終了後、俺は丸一日眠っていたらしい。目覚めたのは翌日の朝方だった。まだ少し体調が悪かったため、復元で体調を回復させておく。現在は、同室の神崎から試験の結果を聞いているところだ。

 

「この結果から考えると、リーダー当てを行ったのはDクラスくらいか。それも、狙ったのはCクラスだけ。BクラスとCクラスはリーダー当てを行わない安全策を取ったか。椎名と一之瀬、葛城の性格を考えれば納得だな。あわよくば、俺がリーダーだと見破った上でリーダーの交代作戦に気付かず、リーダー当てを失敗してくれないかとも思ったが、流石に高望みがすぎたな」

 

「Dクラスは何故Aクラスを狙わなかったんだ?龍園なら、6日目のあの雨の中でもリーダーの看破に全力を注ぐと思うんだが」

 

「確かに、6日目の夜、スポットの占有中に微かに人の気配がした。恐らくあれは龍園だったのだろう。だが、龍園は俺がリーダーだと見破った上で、リーダー当てを回避したのだろうな」

 

「まさか、リーダーの交代作戦に気付いたのか?」

 

「恐らくな。結果的にリーダーの交代は無駄になってしまった訳だが、まあ、スポット占有のボーナスポイントを必ず獲得するためだ。仕方ない」

 

 俺の意図的な体調不良も無駄になってしまった訳だが、これも仕方ない。全ては結果論。BクラスとCクラスがリーダー当てをする可能性も、僅かではあるがあったし、龍園がリーダーの交代作戦に気付かない可能性もあった。あの時の体調では未来予知をする余力も残っていなかったしな。

 

「それにしても、他クラスとのポイント差がかなり開いたな。これは、もしかすると逆にまずいんじゃないか?」

 

「というと?」

 

「他の3クラスが同盟を組み、3対1の構図になるかもしれないという事だ」

 

「かもな。だが、Cクラスは6月頃にDクラスから嫌がらせを受けていたし、トラブルも起こしている。一之瀬と葛城の性格から考えて、龍園と手を組むというのは抵抗があるだろう。それに、坂柳と龍園が素直に同盟を組むとは思えないな。組んだとしても、一時的な共闘。お互いにどう相手を出し抜いてやろうかと考えるだろう。それに、特別試験で毎回3対1の構図を作れるとも限らない。そこまで心配する事はないと、俺は考えている。何より、今後クラスポイントの差が縮まったとしても、俺達のクラスはそれまでに莫大な量のプライベートポイントを得ることが出来る。これは大きなアドバンテージだ」

 

「確かにそうだな。クラス貯金もあることだし、プライベートポイントのアドバンテージは大きい」

 

 夏休み直前、俺達はクラス貯金というものを始めた。読んで字の如く、クラス全員のプライベートポイントを一定数、一箇所にプールするというものだ。

 

 始めたのはつい最近だが、プールするポイントは4月まで遡り、毎月1人5万ポイントを残して、残りは全額俺に預ける事になっている。

 

 ポイントの使い道は俺に一任されているが、使用した場合はその用途をクラスメイトに公表する事が決まりだ。つまり、クラスに有益となる使い方しか認められていない。

 

 8月分は、どうやら特別試験中に学校から与えられていたようで、気付いたら既に俺の所に送金されていた。現在のAクラスのクラス貯金は、986万ポイントだ。

 

「そういう事だ。それにもし3クラスが大々的に同盟を結んでも、俺がこのクラスを勝たせてやる。当然、神崎たちにも働いてもらうぞ」

 

「大した自信だな。足元を掬われないようにしろよ」

 

「肝に銘じておく」

 

 少なくとも、直近の船上での試験では、3クラスの同盟が有効なものになっているが、問題ない。()()()()()()()()

 

「さて、俺は少し行きたい所がある。特別試験の結果を知らせてくれてありがとな、神崎」

 

 そう言って、俺は目的の場所へと向かった。

 

 俺が向かった場所、それはカジノだ。法律関係は詳しくないから分からないが、現金ではなくポイントをかける分にはセーフなのだろうか。とにかくこの客船にはカジノ施設がある。ゲームの種類は3つ。ポーカー、ブラックジャック、ルーレットだ。

 

 その中でも、俺のお目当てはルーレットである。理由は単純、未来予知と相性が良いからだ。未来予知を使えば、俺は百発百中でルーレットを当てることが出来る。

 

 という訳で、カジノにやってきた。カジノにいる生徒数は、全部で8人か。全クラス160名しかいないから、こんなものだろう。寧ろこの船の施設の充実度を考えると多いくらいか。

 

 早速、ポイントとチップを交換し、ルーレットの席につく。まずは赤と黒の2択から始めよう。

 

 賭けるポイントは100万ポイント。これはクラス貯金を除いた俺個人のポイントの約90%だ。まあ、絶対に勝てるから問題ない。

 

 ディーラーがボールを投げる。未来予知を使う。最初は赤だ。100万ポイント分のチップを赤にフルベットする。ディーラーが少し驚いた顔をした。関係ない。ボールは予知通り赤の23に落ちた。

 

 次も同様、未来予知をする。今度も赤だ。もう一度赤に200万ポイント分のチップをベットする。ボールは赤の12に落ちる。これで400万ポイント。

 

 更に未来予知。今度は黒だ。黒に400万ポイント分のチップをベットする。ディーラーの顔が引き攣っている。ボールが黒の17に落ちた。800万ポイント。

 

 …さて、かなり稼げたな。これ以上は出禁になってしまう。最後のベットにしよう。俺はディーラーがボールを投げたのを確認し、未来予知を使う。…3にフルベット。ディーラーが驚愕の表情を浮かべた。

 

カラカラカラ…。

 

 ボールが回る。先程までよりボールが落ちる時間が少し長く感じる。いつのまにかカジノに居た他の8人の生徒も固唾を飲んで見守っている。よく見たら波留加もいた。

 

 …コトッ。

 

 ボールは予知通り3に落ちた。ディーラーが絶望の表情を浮かべた。倍率は36倍。800万ポイント×36で2億8800万ポイントだ。

 

 これで晴れて出禁だな。今後は学校側もこのようにゲームで大金を稼ぐような方法も規制してくるだろう。ボーナスステージ終了といったところか。取り敢えず、カジノを出よう。

 

 俺は湧き立つ他の生徒を尻目にチップを換金し、呆けた様子の波留加を連れてカジノを出た。

 

「すごいね、大金持ちじゃん」

 

「この学校限定だがな」

 

「興味本位でカジノに来てみたら、紫苑がルーレットで大勝ちしてるから思わず見入ってたけど、いくら儲けたの?」

 

「2億8700万ポイントだ」

 

「なんか金額が大き過ぎてピンとこないなー。使い道とかあるの?」

 

「少し考えていることはある」

 

「へー。考えてることって何?」

 

「秘密だ」

 

 波留加は口が軽いからな。交友関係は狭いが、あまり言い触らされても困る。

 

「つまんないなー。教えてくれても良いのに」

 

「悪いが話すつもりはない」

 

「…まあいっか」

 

 不承不承といった様子だったが、波留加は引き下がった。

 

「悪いな」

 

「いいよー。それで、このあとはどうする?もうすぐ昼だけど」

 

「波留加さえ良ければ、一緒に昼食でも取るか?」

 

「オッケー」

 

「他のグループのメンバーも呼ぶか?」

 

「むっ、女の子とデート中に他の女を呼ぼうとするとは、良い度胸してるね」

 

「清隆は男だが。それにこれはデートなのか?」

 

「男女が2人きりだったらそれはもうデートだよ。とにかく、今日のお昼は2人だからね」

 

「分かった…ここで良いか?」

 

 丁度近くにあったレストランを指差す。

 

「いいよ。入ろうか」

 

 2人でレストランに入る。中には客が2人いた。というか…。

 

「あれ、清隆と…たしか坂柳さん?だよね」

 

「ああ、清隆と坂柳だな」

 

 中に居たのは清隆と坂柳だった。しかも2人で食事をとっている。

 

「声かける?」

 

「いや、やめておこう。デート中かもしれない」

 

「それもそうだね。後で問い詰めよう」

 

「そうだな」

 

 2人がどういう関係なのか、俺も興味がある。とても接点があるようには見えない2人だが…。

 

 その後、清隆と坂柳を観察しながら2人で食事を取り、2人が解散するのを見計らって清隆の所に突撃した。

 

「清隆、坂柳とはどういう関係だ?」

 

「私も気になるなー」

 

 2人で清隆を問い詰める。

 

「実は、坂柳とは幼馴染なんだ。今日初めて同じ学校に入学しているのに気付いて、少し遊んだ後に食事を取っていた」

 

 清隆はあっさりと白状した。しかし、どうも本当の事は言っていない気がする。まあ、人間隠したいことの一つや二つあるだろう。敢えて詮索はしない。

 

「そうなんだ。清隆も隅に置けないないね」

 

「そちらこそ、もしかしてデートか?」

 

「うちらはさっきたまたま会っただけだよ」

 

 …つい先程デートとか言ってなかったか?まあ良いか、黙っておこう。

 

「それより、紫苑に坂柳から伝言を頼まれている。『チェスの再戦をお願いします』だそうだ」

 

 そういえば、坂柳とは4月にチェスをしたな。

 

「分かった。いつでも受けて立つとしよう」

 

「助かる。俺も坂柳とチェスをやったんだが、再戦を申し込まれてな。正直面倒だと思っていた所だ」

 

「友人ができて良かったじゃないか。何がそんなに面倒なんだ?」

 

「…あいつは友人ではない」

 

 清隆は少し無言になったあと、坂柳と友人であることを否定した。

 

「まあ、何か事情があるのかもしれないが、仲良くしろよ」

 

「…分かった」

 

 清隆は渋々頷いた。何がそんなに嫌なのだろうか。ここまでの反応をされると気になってくる。

 

「それはそうと紫苑、波留加。盗み見とは感心しないな」

 

 清隆がいつになく冷たいオーラを纏っている。

 

「それに関しては申し訳ない」

 

「ごめんね」

 

「以後気をつけてくれ」

 

 素直に謝ると、清隆から許しを得られた。

 

 その後、先程のカジノの話や他愛もない話をして、俺たちは分かれた。

 

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