ようこそ時魔法使いのいる教室へ   作:ゆーざーめい

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書いたはいいが納得がいくものができなかったので1年弱放置していましたが、勿体無いので4連投
ただでさえクオリティ低いのにさらにクオリティ低いものをお出ししますがご勘弁


15話 対龍園

 充実した豪華客船でのバカンスも終わり、俺達一年生は本格的に夏休み期間に突入していた。

 

 と言っても、もう既に夏休みも折り返しである。無人島と豪華客船でのバカンスで二週間近く費やしたのだから仕方ない。仕方ないのだが、せめて無人島の分の一週間は夏休みを延長してくれたりはしないだろうか。あれはどう考えても休みではない。一応その後に船上でも特別試験があったので、さらに一週間夏休みを延長してくれても一向に構わない。…ないか。

 

 ともあれ、夏休みはまだ二週間以上残っている。学生の夏休みといえば、課題、遊び、遊び、遊びと相場は決まっているが、課題は夏休みが始まってすぐに終わらせた。元々特別試験期間の二週間分を考慮してか、課題が少なめだったのもあるが、夏休み1日目に、能力をフルに使って即片付けた。

 

 という訳で、残りは遊びである。さて、何をしようか。そう考えていると、ユキから連絡が来た。

 

『姫野は拘束した。解放して欲しければ、指定した場所に一人で来い」

 

 …龍園か。誘拐犯みたいな文面だな。いや、誘拐犯ではあるのか?しかし、思ったよりも動きが早い。しかも、人質を取るという悪質な手段を使ってきたか。だいぶ余裕がなくなっているようだ。頭にはあったが…気分が悪いな。そっちがその気なら…潰すか。

 

 俺は言われた通り、指定された場所に一人で向かった。途中、石崎が迎えに来たが、教師等の部外者を連れてきた時用の保険だろうな。心配しなくても、お前達にはそこまでする必要がない。

 

 そして、指定された場所、敷地の隅の方にある、防犯カメラのない古びた倉庫に到着した。中には、Dクラスの武闘派、身体能力の高い連中が、龍園と石崎含めて8人いる。そして、ユキが拘束された状態で座らされていた。

 

「よお、神城。約束通り1人で来たか」

 

「ああ、俺1人で十分だからな」

 

「相変わらずイラつく野郎だぜ。状況が分かってんのか?」

 

「分かっている。分かった上で、俺1人で問題ないと判断している」

 

「舐めた野郎だ。お前に武道の心得があるのは知ってる。だが、こちらは8人だ。勝てると思ってんのか?」

 

「問題ないと言っている」

 

「分かった。分かった。随分余裕だな。一応こちらの要求を伝える。お前が持っているプライベートポイントを全て寄越せ。そうすれば、姫野に関しては何もしない事を約束してやるよ。お前に関しては、どうなるか分からねえがな」

 

「カツアゲか。退学になるぞ」

 

「問題ねえな。お前は自分の意思で俺にポイントを渡すんだ」

 

 俺の心を折るのが狙いか。残念ながら、それは叶わない。

 

 実力的にも不可能だし、もし仮に武力で俺を上回ったとしても、俺は復元能力で精神の状態を戻すことが出来る。俺の心を折れるのは、俺が自分から心を折るべきだと判断した時だけだ。そして、そんな時は訪れない。

 

「そうか。残念ながらそれは無理な相談だな」

 

「交渉決裂か。お前ら、やれ」

 

 龍園が指示した途端、龍園を除いた7人が一斉に襲いかかってきた。

 

 さて、7人同時は、全力でいかないと流石に厳しい。という訳で、能力フル活用だ。

 

 まず、一番近い真ん中の奴に加速を使って自分から突っ込んでいく。そのままの勢いで腹に一発。倒れた。まずは1人目。

 

 動揺して他の6人の動きが止まっている。好機。両サイドの2人を他の4人を巻き込むように加速した蹴りで飛ばし、全員の体勢を崩す。

 

 その後、左サイドの3人から、腹に一発ずつ。分かりやすい怪我は残さないように丁寧に戦闘不能にしていく。

 

 次に右サイド。3人中2人は完全に戦意が喪失している。だが、石崎だけはまだやる気のようだ。こちらに向かって拳を振り上げてくる。

 

 これに対し、逆に掌で迎え撃つ。加速を使い、石崎の拳の勢いを殺し、弾く。そしてこいつだけは他の6人に比べて頑丈なため、特別に腹に二発。無事戦闘不能にさせることに成功。

 

 最後に戦意喪失している2人にゆっくりと近付き、腹に一発ずつお見舞いして終了だ。

 

 腹パン一辺倒で芸がなかったな。まあ良い。これで龍園以外は倒した。当分は動けないだろう。

 

 俺は改めて龍園の方を向く。これで諦めてくれれば良いが…そんな奴ではないか。眼をギラギラさせてこちらを見ている。諦めるどころか、逆に火がついたようだな。…圧し折り甲斐がある

 

「想像以上だぜ神城。俺が相手をしてやるよ」

 

「そうか。来い」

 

 手招きをして挑発する。挑発に乗ったのかは分からないが、龍園は一直線にこちらに向かって来た。

 

 未来予知で龍園の行動を読む。何やら卑劣な戦法を使おうとしているようだが、関係ない。加速最大。龍園がアクションを起こす前にハイキックで龍園の顔面を捉える。龍園も気絶させることに成功。

 

 だが、ここで終わらせない。倒れた龍園を強制的に目覚めさせ、なるべく無機質に、無感情に見えるように拳を顔面に振るう。今度は気絶させないように。何度も、何度も、殴る、殴る。

 

「ゴホッ、かみし、ゴホッ」

 

 何やら龍園が喋ろうとしているが、その隙すら与えない。心が折れるまで続ける。

 

 龍園の顔から次第に闘争の色が消え、恐怖の表情が浮かんでくる。あと少し。

 

 殴る、殴る、殴る、殴る。

 

 龍園の顔が、完全に恐怖一色になった。これで終いだ。ラストに一発、渾身の拳をお見舞いし、気絶させる。

 

 これで戦闘は終了。

 

 俺はユキの元に向かい、拘束を解く。

 

「巻き込んですまなかったな、ユキ」

 

 ユキに謝罪する。

 

「…うん」

 

 ユキが小さな声で頷いた。

 

「帰るか」

 

「…いいの?こいつらこのままにして」

 

「おそらく大丈夫だ」

 

 龍園が意識を失っている今、行動を起こそうとする者はいないだろう。

 

「?…分かった。私も速くここから出たい」

 

「ああ、立てるか?」

 

「…無理かも」

 

 見ると、ユキの体は少し震えていた。流石に恐怖がまだ残っているか。

 

「じゃあ、俺が背負っていこう」

 

「ちょっと恥ずかしいんだけど」

 

「お姫様抱っこでも良いが?」

 

「もっと嫌なんだけど」

 

「遠慮するな」

 

「遠慮じゃないって!分かったから背負う方でお願い!」

 

「分かった」

 

 そんなやり取りがあり、ユキを背負って倉庫を出る。

 

「改めてすまないな」

 

「別に。あんたのせいじゃないでしょ」

 

「だが、ある程度は予測できていたことだ」

 

「そうなの?」

 

「龍園の行動パターンはだいたい把握している」

 

「そっか。じゃあやっぱりあんたのせいね。今度なんか奢りなさいよ」

 

「分かった。100万ポイントまでならなんでも奢ろう」

 

「そんなに要らないっての。金銭感覚おかしくなってるんじゃない?」

 

「いや、今回の一件にはそれ以上の価値がある。詫びとしては安いものだ」

 

「よく分からないけど、ちょっと高い食事奢ってくれるだけで良いから」

 

「そうか。分かった、探しておく」

 

 その後は互いに無言になり、寮までの道を歩いた。途中クラスメイトに遭遇し、ユキがおれの背中から瞬時に降りたりもしたが、まあ、特に問題なくユキを送り届けることができた。

 

 そして、俺も寮の自分の部屋に戻った。流石に今から遊ぶ気にはなれない。

 

 さて、未来予知で確認だ。俺の思惑通りになっていると良いが…。

 

 よし、思惑通りだ。作戦は上手くいったようだ。正直今回は突発的な事もあり、成功確率はそこまで高くなかったからな。成功して一安心だ。

 

 不意に、一気に精神的疲労が襲ってくる感覚があった。どうやら相当気を張ってたらしい。こんな時は、迷わず復元だ。疲労を全て取り除く。

 

 さて、明日には、全てが片付いている事だろう。これでかなり気が楽になる。明日が楽しみだ。

 

 そして、翌日。

 

 龍園が自主退学したとの知らせを受けた。

 

 一件落着だ。

 

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