ようこそ時魔法使いのいる教室へ   作:ゆーざーめい

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8話 ルール説明

「これより、特別試験を行う」

 

 真嶋先生の言葉に、場が騒然となる。しかし、真嶋先生はそれを無視し、言葉を続けた。

 

「期間は今から一週間。8月1日の正午に終了となる。君達はこれからの一週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく」

 

「無人島で生活って…船じゃなくて、この島で寝泊まりするって事ですか?」

 

 他クラスの生徒から疑問の声が上がる。

 

「そうだ。試験中の乗船は正当な理由なく認められていない。この島での生活は眠る場所から食事の用意まで、その全てを君たち自身で考える必要がある。スタート時点で、クラス毎にテントを2つ、懐中電灯を2つ支給する。それから日焼け止めは制限なく、歯ブラシに関しては各自一つずつ配布する事とする。特例として女子の場合に限り、生理用品は無制限で許可している。各自担任の先生に願い出るように。そして更にこの特別試験では、各クラスに試験専用のポイントを300支給する事が決まっている。このポイントで追加の物品を購入し、一週間をバカンスのように楽しむ事も可能だ。そのためのマニュアルも用意している」

 

 そう言って、真嶋先生は数十ページほどの厚みを持った冊子を掲げた。

 

「このマニュアルには、ポイントで入手できるモノのリストが全て載っている。生活必需品である飲料水や食料品は言うに及ばず、バーベキューの機材や食材も、必要であれば用意しよう。海を満喫するための遊び道具も無数に取り揃えている」

 

 段々と、険しかった生徒達の表情が明るいものに変わっていった。だが、これは特別試験である。俺は話を手短に進めるために、真嶋先生に質問をした。

 

「しかし先生、これは特別試験ですよね?まさかただ楽しく一週間を過ごすだけのものでもないでしょう。伺いますが、そのポイントはこの試験限定のものですか?」

 

「Aクラスの神城か。恐らくお前が察する通りだ。このポイントは特別試験終了時、クラスポイントに加算した上で、夏休み明けに反映する」

 

 その瞬間、ビーチは静寂に包まれた。300ポイントがクラスポイントに加算される。その可能性は生徒達に衝撃を与えた。

 

 その後、真嶋先生は話の終わりを告げ、同時に解散宣言がなされた。俺達は各クラスの担任の先生から補足の説明を受けるように伝達され、茶柱先生の下に集まった。生徒達が集まったのを確認し、茶柱先生は説明を始める。

 

「今からお前達全員に腕時計を配布する。これは一週間の試験終了まで外すことなく身につけておくように。許可なく腕時計を外した場合にはペナルティが課せられる。この腕時計は時刻の確認だけでなく、体温や脈拍、人の動きを探知するセンサー、GPSも備えている。また万が一に備え学校側に非常事態を伝えるための手段も搭載されている。緊急時には迷わずそのボタンを押せ」

 

 業者の人間が茶柱先生の傍に支給品を積み上げていく。茶柱先生はその中にある一つの箱から腕時計を取り出し、生徒全員に配った。俺達は指示通り、腕時計を取り付ける。

 

 その後、茶柱先生から詳細な補足説明があった。重要な部分をまとめると、まずペナルティとして、『著しく体調を崩したり、大怪我をし続行が難しいと判断された者はマイナス30ポイント。及びその者はリタイアとなる』『環境を汚染する行為を発見した場合。マイナス20ポイント』『毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合。1人につきマイナス5ポイント』『他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収』がある。

 

 そして、これは堀北が茶柱先生に確認した事だが、300ポイント全てを使用した後にリタイアする者が現れてもポイントがマイナスになる事はない。

 

 更に、追加ルールとして、島の各所にあるスポットには占有権があり、占有したクラスに使用権が与えられるが、その占有権の効力は8時間。そして、スポットを一度占有するごとに1ポイントのボーナスポイントを得られるが、このポイントは暫定的なものであり、試験中に使用する事はできない。そのため、試験終了時に精算され、クラスポイントに加算される。

 

 また、スポットの占有には専用のキーカードが必要である。他が占有しているスポットを許可なく使用した場合50ポイントのペナルティを受ける。キーカードを使用する事が出来るのはリーダーとなった人物に限定される。正当な理由がなければリーダーを交代する事は出来ない。スポットは何箇所でも同時に占有できる。繰り返し同じクラスがスポットを占有する事も可能。

 

 そして特に重要なルールとして、7日目の最終日の点呼のタイミングで他クラスのリーダーを言い当てる権利が与えられ、その際他クラスのリーダーを的中させると、的中させたクラス一つにつき50ポイントを得る。そして、逆に言い当てられたクラスは代償として50ポイントを支払う。しかし、この権利も気軽に行使できるものではない。もしも間違った人間をリーダーとして学校側に報告した場合、マイナス50ポイントされる。これに付け加えて、リーダーを見破られたクラスはそれまでに貯めたボーナスポイントを全て失う。

 

 以上が重要なルールだ。

 

 そして、茶柱先生の説明が終わった後、話し合いが行われることになった。議題はポイントをどう使うのかだ。しかし、今はそんな事に時間を割いている暇はない。俺は未来予知でこれまでの説明、無人島の地形、これから起きる可能性の高い出来事など、様々な事を事前に把握しているため、もう既にこの特別試験の攻略法は考えている。

 

 なので、俺は一度話を遮り、ポイントを稼ぐための案を実行に移す事にした。

 

「みんな、聞いてくれ。そのあたりの話は平田を主導にして任せたいと思うが、俺はこの特別試験で勝つための話をこれからする。まず、リーダーは俺がやる。そして、今からスポットの占有に向かう。楓花、真澄、橋本、清隆は俺についてきてくれ」

 

 俺はOAAで身体能力上位のメンバーと、実力を隠している疑惑のある清隆を呼び出した。

 

「待て神城、お前は他クラスからの注目度が高い。リーダーとするにはリスクが高過ぎる。考え直すべきだ」

 

 神崎の発言に、他のクラスメイトも同意するようにこちらに不安の眼差しを向けている。

 

「時間が惜しいから手短に話す。正当な理由がなければリーダーを交代する事はできない。逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あとは分かるな?」

 

「!…なるほど」

 

 俺の言葉に、神崎を含む何人かが理解と驚愕の表情を浮かべた。

 

「他のみんなにもお前から説明してやってくれ。という訳で茶柱先生、リーダーは俺です。キーカードの発行をお願いします」

 

「分かった」

 

 それから暫くして、俺の名前が入ったキーカードが発行された。その間、俺は指名した4人に作戦の概要を説明していた。

 

「…という訳で、お前達4人をカモフラージュにして俺がリーダーであるという事実を隠し、バレた場合に備えて俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして限界までスポットでポイントを稼ぐ。単純だが有効的な作戦だ。キーカードも発行されたことだし、早速スポットに向かう。それと平田、ベースキャンプの位置だが、あちらの方向に洞窟がある。そこを占有しておくから、そちらに向かってくれ」

 

 俺は洞窟の方向を指差し、平田に向かって指示を出す。洞窟を選んだ理由は、島の端にあるため、スポットを占有するための拠点として効率が良いのと、試験6日目に雨が降るからだ。洞窟の位置は船が無人島を一周していたときに見つけた…とクラスメイトは思うだろうが、未来予知で見つけたものである。

 

「分かったよ。こっちは任せて」

 

「ああ、任せた」

 

 クラスの統率を平田に任せ、俺たち5人は森に入った。

 

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