図書館で三波に教えられた本を手に取ってみる。
「何これ......表紙からして胡散臭い......まったく、誰が著者なの?」
そう言葉を漏らしてしまう程に古臭くて、胡散臭い表紙。
本によると、この玻瓈高校には昔にも同じような行方不明者が多発する事件があったらしい。最初に行方不明になったのはとある女の子で、被害者数は21人だとか。
時間が経って、大体半分くらいを読み終えた頃――
「もうこんな時間......! 完全下校の時間になっちゃう!」
いつの間にか、夕方になっていたみたいだ。
結局、何で今になってまた行方不明事件が起こるのか、それと何の関係があるのかは全く分からなかった。
また明日、三波に聞いてみよう。
私は下駄箱で靴に履き替え、帰ろうとしていたら……
――またあの女の子だ
あの子は毎回私の方を覗き見て、瞬きをした直後に居なくなる。一応、居た場所を確認してはみたけど...誰も居なかった。幽霊だったら嫌だな...
ガラガラ......
私は下駄箱の入り口を開け、歩き出す。
まだ寒さが残る晩冬の風が、私の頬を撫でる。
「スカート......寒いな」
そう思いながら一歩踏み出したその時。
一瞬、上げた足が地に付くまでの、ほんの一瞬だった。
私はその一瞬、まるで異世界に飛ばされたかのような全くの別空間が、目の前に広がっているのを見た。
一瞬過ぎてよく見えなかったが、ちらほら葉が見える木には満開の桜が。
見慣れた校門の場所には、タイムスリップしたのかと思うほど古臭い木製の校門。
――そして誰かが私に囁いた。
「"あそぼう"」
後ろから囁いた、「あそぼう」と言う声の正体を知ろうと、私は振り返ってみたけど......
誰も居なかった。
ただ、一つ分かるのは……
あの声は少し幼く、男の子を想像させるような声だった。
「はぁ......はぁ......何......? 今の......」
気付かない内に私は酷く汗をかき、何故だか胸の鼓動が早くなっている。
キィィィ――
ガタンゴトン――ガタンゴトン――
「あ、電車......」
瞬く間に起きた奇妙な出来事に呆気を取られている内に、予定していた帰りの電車に乗り遅れてしまっていた。
私は奇妙な出来事に驚きながらも、電車に乗って家に帰った。
今日は酷く疲れた......ゆっくり休もう
翌日
教室で机に向かってぐったりしている私に、登校して来たばかりの三波が話しかけてくる。
「お、おはよ〜玲奈......ってなんかげっそりしてるね?」
少しだるそうに――
「おはよう......」
と返す私。
「どうしたの? なんかあった?」
三波は私を気にかけて、そう聞く。
「それはもう......思い出すだけで心臓が痛い......」
あの光景を想像するだけで心臓が締め付けられるような感覚……
「本当に大丈夫!? 保健室行く!?」
本気で私を心配する三波に、
「大丈夫大丈夫」
と安心させるように返す。
「本当に辛かったらいつでも言ってね!?」
「うん、ありがとう」
私を想ってくれる三波に感謝しながら、三波に昨日の事を一通り教えた。
「何それ......その話のがよっぽど信じ難いんだけど......」
三波の顔が少し引き攣ったように見えた。
「とりあえず、この学校で昔起きた事が再発してるって言うのは分かったけど、所詮出所の分からない本に書いてある事でしょ?」
「それに、私はまだ信じて無いんだからね」
と、私は強めに返す
「それはそうだけど......」
「じゃあさじゃあさ! 今日の放課後、裏庭行かない?」
「これまた何で......」
「裏庭に大きな桜の木があるのは知ってるでしょ?」
「うん」
「どうやらこの事件にはその木が関係してるとか......!」
どこからそんな話が湧き出てくるのか……
「ちなみに聞くけど......どこ情報?」
「もちろん! あの本!」
私の読めなかった、あと半分のページに書かれているのだろうか。
「あの本最後まで読んでたの?」
「うん!」
三波の元気な反応に私は呆れた目で、
「そっか......」
と一言呟く。
「何その哀れな人間を見る目!」
「あれ? バレた?」
分かりやすすぎたみたい。
「もう! とりあえず今日の放課後裏庭ね!」
「はいはい......」
三波と話していると、昨日起きた出来事の疲れが取れた気がした。私は自分のクラスに戻って行く三波を見届けた――
その時、包帯の女の子が見えた。
それも、いつもと違いはっきりと――
はっきり見える女の子の姿を見ていて、私は気付いた事がある。
女の子は"三波を見ている"事に