【アーデンティア帝国編 「第二章 風の精霊シルフィード VS 水の精霊ウンディーネ」更新中!】剣を捨てて殴ったら人生が変わった!   作:初雪空

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追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!
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第46話 空を飛ぶ死亡フラグと、その末路

 俺は、いかにも船長と言わんばかりの軍帽をかぶった男の首筋に後ろからダガーを突きつけた。

 

(リボルバーを落とした男は、肘を下ろしたままで開いた両手を上げている…)

 

 後ろに回り込まれないように注意しつつ、せまいブリッジを見回す。

 

 ガシャン ガシャリと、床の金属にそれぞれの武器が落ちた音。

 

 恐る恐る、両手を上げるクルーたち――

 

 ボンッ! と、細い水流が、銃口を向けようとした奴のそばを通りすぎた。

 

 小さな穴が開き、外に通じたことで一気に空気が抜けていく高音。

 

「……っと!」

 

 水の権能により穴を塞いだままで、固定する。

 

 穴が一気に広がって、全員が吸い出される事態を防いだ。

 

「バカなことは、考えるなよ? お前! 呼吸できないように、体の中を水で満たしてもいいんだぞ?」

 

 実際にやってみると、急に苦しみ出した男が、四つん這いになって水を吐き出す。

 

 苦しそうな呼吸に、見ていた周りが緊張する。

 

「ちなみに、俺は水の精霊ウンディーネじゃない! 俺を殺すか拘束すれば、お前らはまとめて溺れるわけだ! 覚えておけ!」

 

 すると、ブリッジにできた水たまりが震える。

 

 可愛い声が、場違いに響く。

 

『僕が、ウンディーネだよぉ? ティルに危害を加えたら、全員の水分を抜くからね? 見せしめは……必要ないか! じゃ!』

 

 フランソワーズは、低い声から高い声へ戻りつつ、沈黙した。

 

 ダガーを外した後で、全員に告げる。

 

「そういうわけだ! 今の制圧で、死人は出ていないと思うが……」

 

 手を下ろした船長が、こわごわと振り向く。

 

「……そ、それで、何を要求するんだ?」

 

「質問で返して悪いが、そちらの予定は? 全員、武器を拾っていいぞ? ただし、俺を攻撃すれば、フランにどういう殺され方をしても知らん」

 

 少し考えた船長は、落ちているリボルバーを拾い、ホルスターに収めながら、息を吐く。

 

「地上にいる味方へ爆弾を落として、あとは帰るところ! そこに、お前さんが乗り込んできた!」

 

「そうか……。俺は、反帝国のゲリラだ! 何かする気がないなら、もう帰って――」

「四元素の精霊の1つが、帝国に逆らっているのか!?」

 

 血相を変えた船長の発言に、周りも思考力を取り戻す。

 

 ざわついたブリッジで、船長が詰め寄る。

 

「おいおい! 人になった水の精霊は、帝都の聖堂にいるんじゃねえのか!?」

 

「どう考えても、フランが本物だぞ? それとも、聖堂から逃げ出した?」

 

 俺を見たままで、逆に後ずさる船長。

 

「そんな話は、聞いてねえ! なあ?」

 

 視線を向けられた女は、やはり偉そうな軍服だ。

 

 狼狽えつつも、同意する。

 

「え、ええ……。そんな事になれば、全軍に通達があるはず……」

 

 2人とも、薄暗いブリッジでも青ざめた顔だ。

 

 俺が、結論を言う。

 

「水の精霊は、2人もいないだろ?」

『いないよー! その自称ウンディーネは、僕みたいに水を操れるの?』

 

 フランソワーズの声が響き、ザアアアッと、空中アートのように水の鳥の群れがせまいブリッジの天井近くを飛ぶ。

 

 いきなり消え失せたことで、呆気にとられる一同。

 

「マジかよ!?」

「幻覚……とは思えませんね?」

 

『そこは、濡れたらマズいでしょ? 気を遣ったつもりだけど……』

 

 フランの声に、慌てて答える船長。

 

「あ、ああっ! その通りだ……。じゃ、聖堂にいるのは偽者?」

 

 副長らしき女が、それに続く。

 

「と、考えるしかないですね……。アァアアッ!」

 

 悲痛な声を上げながら、両手で頭を抱え込む。

 

 呆然とした船長が、金属の天井を見上げたままで、ポツリと呟く。

 

「ヤベえ……。俺ら、帰還しても殺されるじゃん」

 

 俺が見つめていたら、ため息をついた後での説明。

 

「どう考えても、アーデンティア帝国の重要機密だろ? 本物のウンディーネが別にいると知っちまったら、粛清される!」

「事故か戦死に見せかけて、味方に殺されますね?」

 

 絶望した表情の女が、それに続いた。

 

「まあ、元気を出せ」

 

「お前のせいだよっ!」

「そうです!!」

 

 考えついた俺が、提案する。

 

「落ち着け! 何もなかった振りで、帰ればいいだろ? 俺は、すぐに飛び降りる」

 

 少しだけ冷静になった男女が、考え込む。

 

「そ、そうだな……」

「大丈夫でしょうか?」

 

 けれど、船長が明るい声を上げる。

 

「ヨシッ! 聞かなかったことにしよう!」

「……そうですね!」

 

 副長の女が合わせるも、無線による男の声。

 

『申し訳ないが、親衛隊として看過できない! 君たちには、名誉の戦死をしてもらうぞ?』

 

 後から知ったが、フィラブー守備隊の司令を脅した大尉の声。

 

 それをキッカケに、ブリッジの向きが変わった。

 

 船首が地面へ突っ込むような角度となり、実際にそう動いている。

 

 慌てて調べたクルーが、報告する。

 

「か、舵が効きません! 推進装置も同じく!」

「何ぃいいいいいっ!」

 

 絶叫した船長が、装置の1つに向かい、親衛隊と名乗った男の声に抗議する。

 

「ちょっ、ちょっと待ってください! 俺らは、こいつの言うことなんて信じちゃ――」

『気持ちは、分かるがな? ウンディーネと思われる水の操作が、大規模に確認された! 生存者がいては、困るのだよ! その飛行船には、たっぷりと爆発物が積まれている。フフフ……。君たちの上に、だ! 聖女リナを殺して、ウンディーネを無力化できれば上々。そうでなくても、我々が後詰めになる。安心して、死にたまえ』




過去作は、こちらです!
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