【アーデンティア帝国編 「第二章 風の精霊シルフィード VS 水の精霊ウンディーネ」まで完結!】剣を捨てて殴ったら人生が変わった!   作:初雪空

53 / 53
追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!
https://hatuyuki-ku.com/?p=4566


第53話 戦略兵器の発射ボタンの周りをたたいてる気分

 日が暮れたフィラブー守備隊の基地は、呉越同舟のまま。

 

 反政府ゲリラとしては撤収するべきだが、四元素の3つが集まっている場から離れれば、呼応した帝国軍に追撃されての包囲殲滅。

 

 オアシスの拠点に戻っても、先がない。

 

 ここに留まったほうが、安全なのだ……。

 

 そのリーダーであるユーリは、自分たちの領域と決めた敷地の中心で、息を吐いた。

 

「どーしたもんかね?」

 

「俺に、選択肢は?」

 

 前向きな消去法でここにいるが、周りは距離を置いている。

 

 笑顔を向けたユーリは、きっぱりと言う。

 

「ない! お前だって、あの大乱闘に巻き込まれたろ?」

 

「それは、そうだが……。あいつらの話し合いを待ってから、決めるしかない」

 

 俺の発言で、ニヤッとしたユーリが尋ねる。

 

「で、お前の本命は誰なんだ? あーっ! いや、冗談だ、冗談!」

 

 言い終わってから、四元素の少女たちが盗聴していることに気づく。

 

 降参するように、肘を下ろしたまま、両手を上げた。

 

 …………

 

 許されたようだ。

 

 ぐったりとしたユーリに、話しかける。

 

「まだ、考えている! それより、3人がどういう結論を出すのかと、その配置だよな?」

 

 顔を上げたユーリが、同意する。

 

「そうだ! あいつらの動向によっては、すぐ逃げるしかない」

 

「誰か1人でも残ってくれれば、中立地帯になるだろうが……」

 

 肩をすくめたユーリは、首を横に振る。

 

「俺たちのために残ってくれないし、アーデンティア帝国と戦わないだろう? それは、仕方ない」

 

「ここまで騒ぎになった以上、サクリフィ王国に因縁をつけての侵攻や、スベクル共和国へ何らかの制裁をするのでは?」

 

 頷いたユーリだが、悩んでいる表情。

 

「割り込んできたソフィア・デュ・ロシュフォールに、考えがあるんじゃないか? 俺たちの助かる未来とは、限らんけど」

 

「帝国の上層部がどう判断して、どう動くか……」

 

 総括した俺も、息を吐く。

 

 世界の3/4が考えをまとめた後じゃないと、うかつに発言できない。

 

 

 ◇

 

 

 帝国の親衛隊にいる大尉は、難しい顔。

 

「申し訳ないが、上の命令だ……。考え直しては、いただけないか?」

 

 視線の先にいるのは、上級将校が使いそうな空間で丸いテーブルを囲む少女たち。

 

 直立不動の大尉とのギャップで、シュールギャグのよう。

 

 しかし、豪華な内装があるサロンは、緊張した空気。

 

 上品に微笑んでいるソフィア・デュ・ロシュフォールが、首をかしげる。

 

「あなたのお立場も、分かります! けれど、帝都へ召喚されるのは……。それを避けるために、親書をお渡ししたのですが?」

 

「まったく、その通りです……。しかしながら、聖女リナとシャーロットは我々が保護しており、サクリフィ王国との交渉チャネルで――」

「言っておくけど、私がミシャール伯爵令嬢だから遠慮するとは思わないで? あっちとは敵対に近いし、帝国に亡命する気もない。それから、帝都で高位貴族や将校にネチネチ言われたり、嫌がらせを受けたり、政略結婚を強制されたりしたら、その瞬間に帝都ごと吹き飛ばすわよ?」

 

 マリカ・フォン・ミシャールに告げられ、唯一の突破口を潰された大尉は思わず唸る。

 

 見かねたソフィアが、提案する。

 

「わたくしが参りましょう! そもそも、親書を渡す役目……。マリカさんは、できれば残ってください! あとは……」

 

「マリカは、どうするの?」

 

 フランソワーズの問いかけに、座っているマリカは腕を組む。

 

「ここを空ければ、近隣の帝国軍が襲撃してくるか、水や果物が湧いたことで周りの住民が押しかけてくる……。私は、ここで留守番!」

 

「えーっ!? ズルい!」

 

 文句を言ったフランソワーズに対して、ソフィアが(たしな)める。

 

「フランさんも、監視できますよね? それに、あなたは水の精霊……。ウンディーネとして帝国に正当性を示せるのは、この機会だけ! わたくしと共に、参りましょう? フォローしますから、お一人での対決よりも有利ですよ?」

 

「ハイハイ……。マリカ、貸しだよ? あとで、返して」

 

 フランソワーズの文句に、マリカは手を振る。

 

「いいわ! その代わり、あなた達が帰ってくるまで、イチャイチャさせてもらう」

 

 話がまとまったので、大尉が口をはさむ。

 

「水と土の精霊のお二人が、帝都へ同行すると……。表向きはロシュフォール様のご一行で、上に報告します」

 

 会釈した大尉がキビキビと反対側を向き、軍人らしく、立ち去った。

 

 静かに閉じられたドアに、少女たちが息を吐く。

 

「ティルには、誰かがついておかないと……」

「うん! 帝都へ連れて行ったら、絶対に狙われるし」

 

「いっそのこと、わたくし達を侍らせるぐらいの甲斐性があれば、簡単でしょうに……」

 

 それでも、世界を統一する覇者への道だが。

 

 女として考えた場合、モンモンしたままでキャットファイトをするより、愛する男に愛されてその敵を蹂躙したほうが、よっぽど気楽だ。

 

 息を吐いたソフィアは、自分の本能で落ち着かないまま、提案する。

 

「帝国の中枢を抑えましょう! 今なら、この3人で分担して動けます」

 

「そうね」

 

「分かった!」




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TSメス堕ち俺っ娘スライムと作る宇宙最強ハーレム(作者:最条真)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼青春ボーイ・ミーツ・エイリアン異能バトル。(ラブコメとハーレムもあるよ)▼なんにでも変身できるスライムと出会い、恋に落とすことで宇宙最強のハーレムを構築していく話。▼通称:スライムハーレム▼なろう・カクヨムにも同時投稿。▼週1~2投稿▼※タイトル模索中▼カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/822139843928473732▼作者…


総合評価:8543/評価:9.25/連載:72話/更新日時:2026年06月13日(土) 10:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>