【急募】一般プロキシ男性ワイが白髪ボンキュッボンの爆美女とお近付きになる方法[吉ケツが見たい] 作:ベルトを虐待する太ももを締め付けるベルト
小鳥のさえずりが耳に届き、眠りから目覚める。
日の昇り初めの時、いつもであればまだ寝ている時間だが、今朝は妙に寝覚めが良い。
「どれ、起きるとするか……」
この時間なら、朝稽古の前に余裕を持って朝食を食べれるな。
服を着替えて部屋を出た。うむ、朝日が眩しい。
「おぉ、おはようお師さん。今日は早起きだな」
「潘か、おはようさん。寝覚めが良くてな。朝餉は用意できているか?」
「あぁ、もう作ってあるぞ。そろそろ姉弟子たちも来る頃だろう。先に食べるかい?」
「いや、一緒でいい。茶だけ先に頂こう」
「相分かった」
席に着き、テレビを眺めながら潘の淹れた茶を飲む。
新エリー都のニュース番組では天気予報がやっている。今日は一日晴れるそうだ。出掛けるにはもってこい──そういえば、協会からホロウ調査の依頼が来ていたな。福福は零号ホロウ、他の弟子達はラマニアンホロウに出る予定か。釈淵辺りに行かせるか?
などと考えていたら丁度よく釈淵が来たな。
「おはようございます、師匠。珍しいですね、食卓一番乗りなんて」
「おはようさん、たまにはこういうこともあるものだ。丁度良いところに来たな釈淵。お前に頼みたい事があったんだ。協会のホロウ調査の件だがな──」
「確かヤヌス区の共生ホロウでしたっけ。最近エーテル活性が不安定になっていると聞きましたが」
「うむ。お前さんに任せようと思うんだが」
「任せてください」
釈淵が頷き、ビシッと気合いを入れたところで、テレビからこんな声が聞こえてきた。
『今日の運勢、一番最悪なのは……今テレビの前でやる気満々なそこのあなた!』
ピシッ、とメガネにヒビが入るような音がしたような気がする。
テレビを見ると、どうやら占い特番とやらをやっているようだ。
釈淵の方を見やると、生唾を飲みこみながらテレビを凝視しているな。
『特に、メガネをしていて黄色っぽい服を着ているモフモフ尻尾を持つあなたは──!』
ビクッ!と音がしたな。まさかこんなピンポイントで占われる事もあるんだな。
しかし最近のアナウンサーは占いにも精通しているのか。これを機に適当観も天気予報でもしてみるか?
福福にアナウンサーをやらせればいい具合に客も集まるんじゃなかろうか。
『今日死にまーす!』
「ええ!?」
珍しい釈淵の驚愕の声が叫び渡る。部屋に入ろうとしていた弟子達が驚いているな。
「し、師匠……」
「まぁなんだ。骨は拾ってやるさ」
「じょ、冗談ですよね……?あるいは、この占いは当たっていないんですよね?」
「さてな。所詮占い、されど占い。当たるも八卦、当たらぬも八卦さ。信じるも信じないもお前さんの自由だ。そんなに気になるなら自分で吉凶を占うか、朔に占ってもらったらどうだ?」
「そうします……」
そう呟いた釈淵は術符を手に朔の元へ向かって行った。
入れ替わりで福福が来たな。
「おはようございます、お師匠様!今日は早起きですね!」
「おはよう福福。皆二言目にはそれだな。私は寝坊助とでも思われているのか?」
「だって珍しいのは本当じゃないですかー。お師匠様が朝ごはん一番乗りなんて、何かが起きる前触れなんじゃ……そういえば釈淵さんが何やら不安そうな顔で外へ出ていくのを見ましたが、何かあったんですか?」
「いやなに、いささか今日の運勢が悪かったようでな」
テレビの占い特番を示すと、丁度次の占いの結果が流れてきた。
『今日一番運勢の良い方は──12月生まれのあなた!』
先程とは違い、えらく大雑把だな。
『特に──いつもより早起きして優雅にお茶を飲みながら番組をご覧になっているそこのあなたは今日一日最高の運勢、何をやっても上手く事が運ぶでしょう!』
「ふむ」
「あ、これってお師匠様のことじゃないですか!?ほら、12月生まれで、早起きして、優雅にお茶を飲みながらテレビ見てて!」
「さっきからえらく具体的に当ててくるな。覗かれてるのか?」
『さらに!人助けをすると素敵な出会いが待っているかも!?ラッキーアイテムは日記帳、またはノートです!』
「お師匠様!私のノート要りますか!?」
「要らん」
「えー、素敵な出会いがあるかもしれませんよ?」
「たかが占いだろう」
「もしかしたら、新しいお弟子さんができるかも!」
「その時はその時だ。さて、皆揃ったことだし、朝餉にしよう」
「はーい!」
相変わらず、福福はよく食べるな。良い事だ。
食事をとりながら考えたが、今日の調査はやはり私が行くことにした。上着の調整やら修繕やらでルミナスクエアを訪れる必要があったし、そのついでに行ってしまうのが良いだろう。
釈淵は……居た居た。出発の準備をしているようだな。
「釈淵」
「師匠、どうかしましたか?」
「今日の調査はやはり私が行こう」
「どうしたんですか、急に。まさか今朝の占いのことを?」
「それもある。が、ルミナモールに用があるからそのついででも良いかと思ってな」
「師匠……ありがとうございます」
「気にするな。お前さんは今日一日、身の回りに気をつけながら道館の清掃をしていろ。それに、お前さんが気にしていた占いによると今日の私は運勢がすこぶる良いらしい。楽勝だ」
グッと体を伸ばし、肩を慣らす。さて、ヤヌス区に向かうとしようか。
協会の者から共生ホロウのキャロットを受け取り、ホロウの内部へ侵入した。
「ふむ、確かにエーテルの流れが乱れているな」
大方、どこかの原生ホロウの伸縮に影響を受けたのだろう。もしくは大型の上級エーテリアスでも生まれたか。
どちらにせよ、さらに奥まで向かう必要があるな。
向かってくるエーテリアスを蹴散らしながら進むとしようか。
キャロットの通りに進んでいくと、何やら地鳴りが聞こえてきた。
音のする方を探せば、かなり大型のエーテリアスがいる。
あれはなんと言ったか……
倒してみれば分かるか。
デカブツエーテリアスの進路上に立つと、そのデカブツは私に向かって攻撃を仕掛けてきた。
それをちょちょいと弾いてちょちょいとしてやれば仕事は終わりだ。
うむ。エーテルの流れは一瞬の大きな乱れを見せた後、すっかり落ち着いたな。やはりあのデカブツが原因の一つだったようだ。
あとは協会の仕事だろう。用事を済ませて帰るか……ん?
何やら叫び声が聞こえるな。向かってみるか。
先程の声の主、やたらホロウの中を移動しているな。そしてそれを追いかける大量のエーテリアス。調査員か?先程の影響でホロウ内の構造が変わって迷ったか。
だとしたら、私にもほんの少し責がある。助けてやらねばな。
しかしこの調査員も運が悪いな。この先の気、引っ張ってるのと同じくらいのエーテリアスが居ると見えるぞ。
青溟鳥を飛ばし、
ついでに逃げるべき方向でも占ってやるか。
「──坤宮に……なんだお前さん、吉と難が同時に出ているぞ。珍しいな。まぁいい、ここまで来れたなら最低限生き残る術は持っているだろう。ここは邪気がやばい。厄が嫌なら墨の通りに行け」
エーテリアスの居ない方向、南西へ墨を伸ばし、道を示してやる。
「──あ、ありがとう!この恩は絶対忘れない!」
「早く行け」
男は墨に従って走り去っていった。あとはエーテリアスを片付けてホロウを出るだけだな。
彼奴、調査員では無かったな。かと言ってホロウレイダーにも見えん。迷い込んだ一般人か?にしてはホロウのなかで動き回っていたしなぁ。ホロウレイダーに見えないホロウレイダーか、あるいはプロキシというのも考えられるか。
まぁどれでも良いか。辺りもスッキリした事だしな。
ホロウも出たし、協会の者に預けていた荷物も受け取ったし、ルミナモールに向かうとしよう。
──ああ、そういえば今朝の占い、人助けが何とやらと言っていたな……ノート、だったか?買ってみるか。近くに雑貨店でも……あぁ、あったあった。
──ルミナモール 洋装店──
「いらっしゃい。服の調整ですか?それとも新調?」
「修繕と調整を頼む」
荷物、もとい服を店主に預ける。
つい先日、上着を木の枝に引っ掛けてしまってな。うっかりしていた。少し裂けてしまったから、調整ついでに直してもらおうと思ってな。
店に置かれている流行りの服とやらを見ながら終わるのを待っているが、流行りというものはよく分からんな。術法の方が余程分かり易い。
「こういうのが流行っているのか?動き辛そうに見えるが」
「試着してみますか?」
「またの機会にな」
やはり店の外で待つとしよう。
「店の前で待っているから終わったら声でも掛けてくれ」
「はい、承知しました」
店員に一言声をかけて洋装店を出る。
待つこと数秒。慌ただしい足音が耳に入ってきた。少なくとも洋装店員のものでは無いな。
騒がしいのがどんな奴かと音のする方を見やれば、その背丈格好は見覚えがある。あぁ、さっきホロウで助けた奴か。元気がいいのは良いことだが、しかし広いとはいえ店の中で走り回るのは……どうなんだ?ホロウに長居しすぎて気でも触れたか?ホロウ内で見た時は普通そうだったんだが……私もまだまだ修行が足りないか。
……ん?彼奴と目が合ったと思ったらこっちに向かってきたぞ。
……あぁ、そういう事か。大方、ホロウで助けてやった事への礼を言わんとしているんだろう。その流れで今後どうすれば良くなるかの相談辺りか?或いは弟子にしてくれと来るか。
「あ!あ、あぁあ!あああの!」
さ、どれだ?
「結婚を前提にお付き合いしてください!」
「無理だな」
どれでも無かったな。
驚いたな、まさか私に求婚してくる男がいるとは。今までそういった事には興味無かったし、今後もするつもりは無い。色々とメンドウだしな。
まぁもう断ったことだし、この話はこれで終い──
「お前は私のことを知らないし、私もお前のことを何も知らない。だから先ずは知り合いから始めるのが良いと思うが?」
──待て、私は何を言っているんだ?頭で考えていることと喋っている口が一致していないぞ。
「雑貨店で何となく買ったノートだが、丁度良い。このノートを使って交換日記でもしてみるか」
そう言いながら私は買ったばかりのノートを目の前で呆けている男に手渡していた。しかもノートの場所が分かるようしっかりと術まで施して。
私は何をやっているんだ。口が、身体が勝手に動いたのか?
……私から提案した手前、やっぱ無しとは言えんしなぁ。
仕方ない、しばらくは様子を見るしかない……か。
「……ではな」
気を落ち着け平然とした顔で店の中に戻った。
「あ、丁度良かった。調整、終わりましたよ」
「そうか、助かった。また頼む」
「いつでもお待ちして……あら?お顔が少し赤いようですけど、どうかなさいましたか?」
「…………いや、少しばかり
「あら、暑かったですか?空調温度をもっと低くした方が……」
「室温は多分大丈夫だと思うぞ。では、これで失礼する」
一応、店の外を窺ってあの男が居ない事を確認してから店を出た。
……まさか私が?いや無い無い、きっと疲れているんだろう。
そうに違いない。
遅れてきた青い春に。