VRMMORPGって大体こんな感じのゲームなんじゃないの?   作:プソFブル

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〜床舐めてる間はどんなに頑張ってようとDPSゼロですよ〜

床を舐めるとは。死んで地に伏していること。床ペロとも言う。

 

 

ボスが見つかったらしい。

古今東西ゴミスキルをレベリング野良メンツでやっていたら、一人が急に「オブジェクト生せあ、ボス見つかったって」と言ったので確かだ。

 

ボス戦。それはMMOの目玉コンテンツ。プレイヤーは皆、強い装備とか称号とか服とか金策とかそれ以外やることが無いからと、ボス戦に挑んでいく。

 

当然、私たちもレベリングはそれなりにこなし、次は装備だなって段階に入ったのでボス戦に向かう。メンツはその場にいた8人(だいち君も遅れてログインしてきた)がノリ良くそのまま参戦。ボス戦は12人コンテンツなので、フルパで行くなら4人はガチの野良だ。

 

一応、MMO文化というかゲーム文化に詳しくない人に説明しておくと、野良とは身内じゃない人間を指す。つまりは知らない初対面の人間だ。

 

「と、いうわけで改めて自己紹介をしときますね。カンナギです。前作はサポートメインでしたが、今作はVRといったこともあり、昔部活で所属していた弓道部を思い出して弓職を選びました」

「リアル弓やってたは強い」「儂も昔はスポッチュで5分くらいやっとったのぉ」「黙れ」

 

「コップル・ワムネルト・ムオ。コワムでいい。名前はガキん時適当に付けたのをそのまま使ってるだけだ。タンクメイン」

「これで勝つる」「これで勝てるんすか?」「あージェネレーションgap〜」「ギャップだけ発音いいの止めません?」

 

「カルシアでーす。ロマン型が好み。得意技は大明槓」

理由(ワケ)のわからんダイミンカンを止めろ!」「はい嶺上」「ツモ、6000オールじゃ」

 

「だいちっす。えー俺は近接が怖いので遠距離やってるっす! MMO歴はまだ1年!」

「歴1年でこの場所時間でレベリングするようになるの才能感じますね」「閃いた」「何をだよ」

 

「徘徊おじいちゃんなのじゃ。ワシも孫に誘われてピコピコやるようになったのじゃ。⋯⋯RP(ロールプレイ)歴は4年です。PCではネカマでしたが、流石に画面見てネカマするのと入り込んでネカマするのは違うよなぁ⋯⋯と」

「いやそれは逃げでは」「チャットでしかなりきりしてなかったタイプな事が分かる話し方だね」「最後まで貫けー!」

 

「18歳JKの冷凍準マグロだ。見ての通り槍使い。魚アレルギーだからVRゲーには魚を食う目的が半分だな」

「18歳JK!?」「18歳JK!?」「リアクションを被せるな」

 

tofhe(とっふぇ)です。アサシン型をやってます。17歳JKです」

「こっちの方が本物っぽいっすね」「上位互換じゃの」「俺のネタが新鮮な内に使われた」

 

「日本はまだLoseてない。ロス、とか呼んでね。前作だとヒーラーでゾンビ戦法させてたからこっちでもそのつもり」

「あー竹島」「あー新高山」「親日国は止めろ」

 

いやぁ合いの手も茶々入れも塩梅が良く気持ちのいいチームだ。やはり同じリアルを捨ててる人間どうし波長が合う。

ちな口調はアレだがコワムとおじいちゃん以外は美少女アバターだ。おじいちゃんは美男子アバター。そこはじいさんにしとけよ。

 

ま、そんなわけで愉快な8人パの完成だ。

 

「きっと野良4人も良い人を引くよね、コワム太郎!」

「へけっ!」

「あ、フラグ」

 

 

「はぁ? 誰だよお前ら。っち、ドロ整理でさっきまでの野良とハグレたか⋯⋯。俺が顔知らねーってことは前線にも来ず引き籠もってシコってレベリングしてた連中だろ。リアルじゃキモデブだからってこっちで動いても痩せねぇんだぞ雑魚ども」

「すげぇテンプレなの来た」

 

ボス前パーティー集合広場にいたのは典型的なゴミだった。

 

こういった輩に対し、EGでは基本暴言トロールフィードなどは対処しない(EG運営が一般プレイヤーへの嫌がらせのため対処されない。かといって調子乗りすぎるとゴミへの嫌がらせとして一発BANされる。普通のMMOだった昔はともかく今は競合もいないからと殿様商売極まっている)方針なので、ブラリスに入れられるだけの存在だが、今回は(微妙な顔してるだいち君を除いて)皆が面白がっているのでこのままボス戦に向かうことにする。というか顔合わせるようになったVRゲーで初対面にここまで言えるのは普通に才能か障害だと思う。

 

ちなみに暴言君は4人パーティーだが、全チャで色々言ってるのが暴言君なだけで、口と表情の動きからしてパーティーチャットでは思い思いの暴言を吐かれているのだろう。

 

小馬鹿にしたような顔をしている暴言君パーティーと、馬鹿にしている私達の共同ボス戦が始まる⋯⋯!

 

所定の場所でスイッチを弄り、15秒待ってからボス戦開始。魔法っぽい紋章で塞がれていた道が開け、中央にボスが鎮座する大きな広場へと向かう。

 

寝ていたボスが身を起こし不快そうにケモ耳を動かしぐぉぉぉぉおんと嘶く。立ち上がったボスは全長5mは越えようかという、巨大な松ぼっクーガだった。

 

『失伝進化図・松ぼっクーガ(再来)

 

「あ? さっきまでのクーガと違⋯⋯レアボスか! っしゃツイて⋯⋯ってお前弓かよ!? しかも3人もか!? んだってこんな時にマゾのオナニーに付き合わされンだよ⋯⋯っ!」

 

「Wiki情報出てる?」

「ふむ、通常は突然変異・統率で激レアはまだ情報が出ないっぽいですね」

「行動は召喚、叩きつけ、切り払い、突進、飛礫じゃ。あ、レア種は追加で確定デバフハウリングと魔法による打ち上げがあるらしいのぉ」

「出現率〜?」

「運営ソース保証で、いつも通り5パーセントだな。激レアはその内の1パーセントらしい」

「まぁた2000分の1マラソンするの、僕嫌なんだけど」

 

『ルォォォォォンッ!』

「うわぅるっさ」

 

軽口を叩いているとクーガ君が天を向き吠え、その声量にびくってなる。視線だけ右下に動かすと、青色の下矢印のアイコンが出ていた。

 

「これハウリング?」

「そうっぽいっすね」

「攻撃魔力速度ダウンだね、減少量は⋯⋯1割かな」

 

1割下か。EGのダメージ計算式は簡単ではないが、火力−防御力=ダメージ式じゃなく防御力による割合軽減のため、実はよっぽど火力防御力差が出ない限りは最低保証にはならない。

要は気にせず攻撃し続けろってこった。私は樫の弓(おもちゃの弓は流石にトロール(わざとふざけているの意)なのでお金がかかる普通の弓だ)打ちBOTとなった。

 

合わせて暴言君もハウリングを気にせず突撃していく。武器はナックル。射程とHPと防御力とユーティリティと連携を犠牲に圧倒的な火力を得る、オワタ式の超前のめり武器種だ。

 

「おらおらおらぁっ! ははっタンクは俺にヘイト奪われねぇようタウントだけしてな!」

 

「おー、目に見えて削れてるね。流石ナックル」

ウィクアロ(ウィークアロー)どこ打つっすか? まーーーえあしっすか?」

「弱点は顔だと思うけど、遠距離少ないからね。あっちのパーティーも前衛4で、遠距離火力弓3人だけだよ。というかメインヒラ一人だけで僕大忙し」

「じゃあ右足っすね。というかファンタジー定番の魔法職、誰も選ばないもんなんすね〜」

 

そういうわけでウィクアロ(通称WA)は前脚に決定。こいつは弓職Lv15から取れるサポート系統のスキルで、当てた部位を弱点化する。弱点倍率は1.2〜2.5倍(運営の気分で変動)の全員に恩恵がいくクソツヨメインスキル。その関係上CDが長いので、複数の弓職がいるならちゃんと連携しよう!

 

「あー回復間に合わないかも〜ちゃん避けてよ〜被弾するな〜」

「前衛って回復スキルあるんすか?」

「斧のライフスティール、盾のジャスガ回復、ナックルにも回避回復があったはずですよ」

「あと短剣も一定時間ダメージ受けてなかったら回復する、奴があったはず。私もWikiざっと流しただけだから正確じゃないけど」

「あぁそうでしたそうでした。今のところあとはポーション割るぐらいですね」

 

現ボス戦メンツは12人の内1人しかメイン回復できる奴がいない。コワムはタンクなので仕方がないとして、他はダメージを抑えたいところ。

 

その点、こちらの前衛4人の動きは素晴らしく、被弾は少なく回復が間に合わないと感じた時のポーション判断も早い。アサシンのとっふぇさんに至っては被弾してないんじゃないかな。

に対して向こうの前衛4人はゴミカスで、現代人間の基準を大幅に下げる脳みその小ささを大胆に発揮した、攻撃オンリーシングルタスクを披露していた。

 

ロス君の顔が段々と焦りから怒りに変わってくる。

 

「あぁもう⋯⋯間に合わないよこんなの。やっぱり使い捨てにできないモードはダメだね。どうせボス戦中は蘇生もあるっちゃあるんだし、何回か殺すか」

 

「おいヒーラー! こっから更に火力上げてくぜ俺だけ回復してろよぉ! っぎゃっはぁ『ノーガード!』」

 

「ほらもう周囲見ずああいうことするし」

「ノーガードってなんすか?」

「火力1.5倍被ダメ2倍。基本は避ける自信がある奴が使うスキル」

「ま彼はヒーラーの介護前提使ってる感じですけどね」

「介護するわけないじゃん、僕はヒール回さないからな。付きっきりで見てもらえる保育園ぐらい卒園しとけよバーカ。イヤイヤ期ぐらい終わらせといてよ」

 

「はははっやべーDPSだ! ほれヘイト奪ったぞ! お前らやっぱ雑魚だなゲームすら下手な奴はさっさとリアルでも死んどけっておいヒーラー! 早くヒール回せよそんぐらいも出来ねぇのか! ちっおい早くタンクタウントしろあ」

 

「あ、死んだ」

「お前が上手いんじゃないの。お前は性能に頼ってただけ。上手いのは生かしてたこの僕ヒーラー」

「あ、死んででも全チャはできるんすね。めっちゃ暴言届いてるっすよ」

「他責思考はMMOの常ですからね。運営へのレポートは特に意味がないのでブラリスが安定です。僕は無料動物園が面白いので使いませんが」

 

暴言君のパーティーメンバーが何とか死体に近づき蘇生を試みるが、ヘイトを拾い直したコワムがボスを死体の上に誘導して妨害を始めた。ロス君も暴言パへの回復を打ち切り支援を多めに入れ始める。

 

結果としてその後ボスは順調に倒され、暴言君から送られた全チャは100件を超えた。

ちなみに、ボス戦で3分の1以上戦闘に参加していなかったと判断されると経験値とドロ率は半分となる。

 

出現したリザルトには、結局死んで最下位を記録している暴言君の名前がきらきらと輝いていた。

 

「え、あの人ロスさんにすら負けてるじゃないすか」

「支援職、他11人へのバフした分の数値も乗るからね。DPSはともかく貢献度は高くなるよ」

「まーあいつは死んでた分DPSゼロだから最終スコアもこれだけど」

「綺麗な連携でコワムさんが蘇生妨害してましたからねぇ⋯⋯あれBANされないんすか?」

「体感、絶対されませんね。ただし今週のハイライト(素晴らしい嫌がらせ)といった形で、運営の公式チャンネルで晒されることはあります。されました(過去形)」

「えぇ⋯⋯。あ、じゃああの人からの粘着は? ありそうっすよね?」

「それこそ大丈夫でしょ。こっちには嬉々としてPVP粘着してくる奴がいるんだから」

 

あ、暴言君復活してこっち来てるじゃーん。

文句があるならPVP、受けてくれるよね?

最近は下火とはいえ、フレ申暴言タイマンは古から伝わる決闘様式なんだから!

 

 

その後4回殺した。

楽しかった。(小並感)

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