VRMMORPGって大体こんな感じのゲームなんじゃないの? 作:プソFブル
「今日は武器強化についてお話したいと思います」
「わぁい、お願いします」
ボス戦とカス戦後、両方からドロップさせた素材を使って弓の強化をしようと思ったところ、アサシンのとっふぇさんも付いてきた。どうも彼女(本当に彼女かはわからないが)は
そのため私が武器の強化のため一時離脱することを伝えると付いてきた。
でもこの人、結局ノーダメだったんだよな。ダメージの出方からして回避型じゃなくて致命型だし、普通にゲームセンスが高いのだろう。
他のメンツに関しては、コワムが前作のフレの助っ人に、だいち君と冷凍準マグロが学校に備え就寝、カンナギさんおじいちゃんが仕事に備え就寝、ロス君がソシャゲのデイリーとのことだ。
JKを名乗っているマグロが寝ているのに、同じくJKを名乗っているとっふぇが寝ないのは大丈夫かと思ったが、明日は創立記念日で休みだから大丈夫らしい。
へぇ。明日が創立記念日の高校は⋯⋯2件ヒット。方言ないからこっちは外してこの高校かな。
⋯⋯創立記念日とか受験日とかは、住んでる地域とかも情報漏れてたら割と特定されるので言うのは止めよう!(一敗(マジで怖かった))
ま、君可愛いねどこ住みとかはゲームやる上ではどうでもいいので置いとくとして。今回はまだまだ最終武器じゃないからガチ強化はしないけど、この樫の弓をある程度ラインまで強くしたいと思います。
「じゃあ本体強化から。強化幅は1回の強化で約1.05倍の、最終プラキュウの1.5倍ちょっと。尻上がりだから後半ほど強化幅が高いけど、素材もマゾくなってくるから現実的なラインはプラロクかな。素材は、同名の武器を強化値本数分だよ。代替素材はあるけど、プラキュウまでしようと思ったらいちにーさんよん⋯⋯1+(n+1)? まぁ45個いるはず? 良心的なことに100%成功」
「めっちゃマゾくないですか。良心的っていうんですかそれ?」
「昔は100%保証、つまり失敗することがあるが素材が壊れるだけで強化元の武器は破壊されない、だったんだよ」
「良心的になりましたね」
「そそ。代替素材も案外落ちるし」
なお代替素材のドロ率はレアボスから10%とか。そこそこドロップするしオークションに出品できるので、実は思ったよりマゾくはない。
問題はむしろこの後だ。
「で、こっち。特殊能力。メインは対応鉱石で好きなオプション付けるだけだけど⋯⋯サブオプは他の武器からの継承となる」
「⋯⋯つまりサブオプ厳選するにはサブオプ厳選した武器が必要になるということですか?」
「Yes。二段階認証だね」
これがとっても面倒で、とっても金策になる。
「例えば攻撃力が上がる『パワー』。これが継承武器1個だけだと50%で付く。けど『パワー』付きを2本用意すれば80%、3本なら100%。おんなじサブオプ武器を3つ用意するだけで確実に付けることができちまうんだ!」
「でもサブオプスロット6個ありますよね?」
「はい」
「何なら今付いてる『松ぼっクーガ・エルセント』、50%じゃなくて30%に下がってるんですが??」
「ボスサブオプだからね」
「しかも素材武器にないサブオプも見えるんですが???」
「『パワー』『ピアッシング』『エイム』が素材で揃ってるからだね。一部の組み合わせで特殊サブオプが出現しちまうんだ!⋯⋯そんな顔しないでよ。これでも昔のMMOにはあった穴開けとかないから楽なんだよ、現代は」
それに特殊サブオプもまだ分かりやすいし。
ああ、魂に刻まれたクッソ長ぇ特殊サブオプ。
ギャラクシーソウルと
ルーンファクター と
マテリアルレヴリーと
インフェルノグレアの合成でできて
ギャラソは各章のボスの『〇〇エルセント』を混ぜた『エルセントフュージョン』と同じくボスから付く『ダークエルセント』を最低でも3つは用意して混ぜて作ってルンファクは⋯⋯。
運営はん、なんちゅう過程をくぐらせてくれるんだ。こんなんに比べたら今の段階のサブオプなんて比べものにならないカスだ。
「何ですかその、コーヒーショップの呪文みたいなレシピは⋯⋯」
「あっはは。あれより長い」
「えぇ(絶望)」
というか素材で倉庫がいっぱいになるんだよね、最終サブオプ付けるとき。しかも武器なら1個だけど、防具なら頭上下足で4つ作らなきゃいけない。楽しいなぁ。
「しかもこれ、最終付与率がどう頑張っても20%なんだよね」
「えっ⋯⋯どうするんですか?」
「〜装備強化するなら、素材ではなく祈りを捧げましょう〜(サブタイ候補の一つだった奴)。最終付与率+30%は無課金でも手に入るけど、もっと言えば課金して失敗しても素材が返ってくる保険が買うほうがメジャー」
「あー流石運営汚いですね」
金で解決できるだけ楽なんだよね、という言葉は一応自称JKを前にして口に出すことはしなかった。
「というわけで今回はサブオプは後回しで本体強化だけやるよ。樫の弓は店売りしてるから、カスからドロップしたお金で賄ってます」
「わ、結構な金額ですね。あの人、銀行に預けないタイプでしたか」
「いや? モンスターにぶっ殺されるのと違って、PVPは所持金かっこ銀行も含むかっことじだから普通に全財産から奪ってってるよ」
「え」
「溜め込みは良くない! モノを買って経済を回そう! それこそ武器代替素材とか相場崩れにくいからオススメ。投資するならバフ料理素材とか服アクセ類かな!」
「オークション戦士は遠慮しときます。ギャンブルはやらないって決めてるので」
ギャンブルじゃないですぅ投資ですぅ。
それに少なくとも代替素材はいずれ使うんだから無駄にはならない。モノに変えておくならまさにこれ以上はないのだ。
「しかし、このサブオプ厳選は大変ですね。慣れるまでは苦戦しそうです」
「んーパズルみたいなもんだから結構慣れるよ。基本は同じだし。シュミレーターあるし」
「でもどううまくパズルしても、100%にならないとかありますよね?」
「もちろん! 敬虔な心で神に祈り、鍛冶NPCにプレッシャーを掛けてください。あ、ちなみに過去のエイプリルフールネタで、表記上は全部100%に見えるイベントがあったよ。もちろん表記上なので失敗して壊れます。ちな告知無し」
「うわ、絶対やっちゃった人とか出るじゃないですか」
「もちろんいたね。最終、検証とかふざけてじゃなくて本当に騙されてやったのは40人ちょっとだって発表された記憶があーる〜」
「それなりの人数が被害に」
「ちなその騙された40人には公平なゲームプレイの提供を目指しているメッセージの元、装備のロルバとオクに出品できない能力付与成功率100%にするアイテムが配られた」
「そんな成功率100%になるアイテム配るのって、公平なゲームプレイなんですかね⋯⋯?」
「『こんなみるからに怪しいのに引っかかる、頭にハンデを背負ったお前にも公平なゲームプレイを』って皮肉だね」
「うわ」
カンカンカン。普通のMMOなら疑問に思わなかったしこれが金属ならまた別だろうが、木素材でできた弓が上下に揃えられる、ハンマーで押し付けられるだけで一つになっていくってどういう現象だ。
本作品の武器強化は失敗しないので、安心して見てられる。
そうしてカスのお金を吸って樫の弓は+5になった。弓の場合はこれに矢の威力も関係してくるけど、暫くは石矢でいいか。
流石に無料で寄生できるおもちゃの弓は威力低杉だからね。安物の矢でも威力はおもちゃ越えるし。
⋯⋯サブオプ付与、ついでにやろうかな。まともな素材は無いけど、今の樫の弓は何も付いてないので逆に言えば失敗したってノーダメじゃん?
「成功率50%50%⋯⋯が計6個って。どれも単品だからニブイチ6つじゃないですか。ここで運使うなら別のところに使うほうがいいんじゃないですか?」
無言でNPCに武器を渡しコンソールを弄り始めたのを見て、横から覗き込むとっふぇちゃんがそう言ってくる。
ふふ、わかってないなぁ。成功率は完全確率。前失敗しから次は成功するかもってのも、さっき成功したから今度は失敗もないのだ。確率は常にシステムが決めるパーセント通り。よって運の使い切りとかはない。デキレースもない。だから今回も確率通り半分は成功、なんなら全部成功もありえ───
「ふむ、失敗なんだろうな」
「殺すぞ」
ウソだろこいつ全部失敗しやがった。
とっふぇちゃんはけらけらと笑った。