VRMMORPGって大体こんな感じのゲームなんじゃないの?   作:プソFブル

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〜ジャンプしたら硬直消えるのでジャンプしない奴はバカです〜

最低限のレベリングを行い終え思い思いにプレイヤー達がマップにバラけてきた。

オープンワールドであっても多少は運営が想定している道とはあるもので、VRゲーム一個前のキャラに入り込むのではなくキャラを操るゲームでは、終盤MAPを分けるために山をクソ高くしたり谷をクソ深くしたり特殊アイテムがいるギミック、あるいは単純なとっても強い敵を配置してして誘導を行う事が多い。

ところがEGはそんな先達の『初心者にも快適に遊んで欲しいなぁ』の工夫を知らんぷり。ちょっと脇道に逸れたら普通に高レベルが現れた。結果として私たちは急にクソ強くなったモンスターにぶっ殺され、大人しく好感度マイナスなギルド嬢に初心者定番ルートを教わり、それを気分でガン無視して真反対に位置する、Lv+5ぐらい厳しめな狩り場を発見した。運営が運営ならプレイヤーもプレイヤーである。

 

Lv+5と言っても私の弓は最低値(1ダメ)しか与えられないわけじゃないし、コワムだってタゲを取って逃げることでそう簡単には死なない(一撃で8割喰らうけど死な安)。効率はうーんだが人が少なく一発当てて次のモンスターへ、ということが無い分、ちゃんとMMOしてる感じがある。キャラ育成で完璧に効率だけで経験値稼ぎするのはサブキャラだけでいいからね。たまにはこういう遊びもいる。

 

〈ギャギャギャギュヒョ!〉

「あぁ懐かしき松ぼっクーガ、お前VRで対面するとなかなかキモいな? こっち来ないで欲しいぜ」

「たまにあるよね、描写がしっかりされると新事実が発見されるの」

 

松ぼっクーガは初代EGのみ登場していた敵キャラだ。当時はドット絵で、横になった松ぼっくりにクーガ(ピューマ)の手足と頭が生えており、ぱっと見は太ったアライグマのようだった。が、それはドット絵だからそう印象を抱いていただけで、リアルな3Dともなると植物に浸食されているようで、コワムの言う通りそこそこキモい。即ご退場願いたかった。

 

「あっちょ……うおおおあぶねえええ!」

「はっはっはっはっ。伏せた姿勢は飛び掛かりの予兆だよ。頭が悪いなぁコワム君は。あっ」

「いって!? おい何で俺に今当てたんだよしかもよりによってヘッショ!?」

「いや急に方向転換したからエイムずらしてなくて。ごめん」

「今のでHP3割削られたから即死圏内なんだが? ちょっと回復終わるまでヘイト取っといて」

「は?」

 

コワムがヘイトを取るのを止めた。タウントスキルが使用されず、安全にDPSを出していた私にタゲが移った。

 

「は?」

 

クーガ君はタゲになった私へ急に方向転換しダッシュしてきた。

 

「はーーー!?」

「伏せた姿勢は飛び掛かりの予兆らしいぞ」

「うるせぇ!」

 

コワムは完璧に観戦モードだった。ふざけてやがる。となると再度タゲを取ってくれる可能性がゼロになったため、私が倒しきるか私が倒されるかの2択となってしまった。

 

クーガ君(モンスター)運営(ゴミ)も、当然だが手加減なんて言葉すら知らないので、生まれたてほやほやプレイヤーである私の移動速度を上回っている。全力で逃げて追いつかれあわやと横っ飛び。無駄にリアルな最新VRが口の中に砂利と味と感触を届けてくれる。でも回避には成功。

 

が、EGのリアルさは、クーガが頭上に爪を振った冷たい音と風を脳に伝え、私は普通に恐怖した。

 

「うわああああああああこわあああああああああああ!!」

「だろ? 実は前衛選んだこと後悔してた」

「コワムお前には今以上の恐怖を私が刻み込んでやるからな」

「こっわ」

 

喋りながらも体は動かす。地面に手をつき体を浮かせ、足が付いたらバックステップ。クーガ君は空振ったのが不満なのかグルグルと呻きよだれを垂らしていた。

 

ちなみにだが私のリアルの体育評定は5だった。しかしそれは真面目だった故にもらった評価なだけで運動が凄くできていたわけではない。

 

「早くタゲとって♡ とれ。私が死ぬところ見たいんかワレ?」

「んな趣味はねぇなぁ。あ、もう一回突進来るぞ」

「うっひゅゃぁー!(奇声)」

 

クーガが足を狙うように低く素早く突進してきたので、番えていた弓矢を慌てて射ちこみジャンプ。ゲーム特有のジャンプ力によりなんと50㎝も飛んだ私の体は、その程度じゃ当然避けきれなかった松ぼっくり部分に足が削られHPは2割を切った。

 

だが、私はそんなことよりももっと重大な事実を発見し衝撃を受けていた。

足が削られた、それよりも前の違和感。それこそジャンプした瞬間の出来事だ。私の上半身はジャンプをする前に矢を射ち、そしてジャンプした後は番えた態勢になっていたのだ。

 

現実ではありえない、ゲーム特有のモーション。VRになった今でも、いや自分の思い通りに身体を動かせる今だからこそ、ゲームを遊ぶためにはゲーム会社は武術のモーションをプレイヤーにインストールするし、我々はゲームシステムのアシストありきで快適にアクションをしている。そしてなぜか、ジャンプすると矢を番えた状態になるのが、ゲームシステムのアシスト的には正しい行いらしい。

その結果が今のだ。

 

……長々と語ったがまぁ、つまりだ。

 

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「うおおおおおお! 見て見てコワム! これ絶対DPS一番出る奴だよ!」

「う、動きがVRゲーじゃない……!」

 

矢を射ち、小さくジャンプし、自動的に番われていた矢を射ち、また小さくジャンプし……と。

シャカシャカ小刻みに動く私を見て、コワムは戦慄していた。

 

なおDPS出すことに夢中になったせいで避けきれず私は死んだ。

 

 

「うおおおおおお! 見ろよカルシア! 確かにこれDPSやっべぇな!」

「う、動きがVRゲーじゃない……!」

 

数分後。別のモンスター相手に片手剣でもいけるのかと試し、可能だったためシャカシャカ動いているコワムを見て戦慄する私がいた。

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