VRMMORPGって大体こんな感じのゲームなんじゃないの?   作:プソFブル

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〜裸になるとフレームレートが上がるんで脱がないやつは馬鹿です〜

私はPvP申請をした。

変態はそれを受けた。

私と一匹を中心に薄い円が広がり中央に『PvP開始準備中!』のホロウィンドウが出現した。

 

通常安全エリアである町中は、フレンドでもないプレイヤーへの接触をシステムで弾くようにしている。しかし戦闘エリア、もしくはPvP含む戦闘判定中であれば局部であろうと身体的接触は可能になる。徒手空拳や絞め技に配慮した素晴らしいシステムだった。変態はそれを理解してPvPを受けた。教養のある素晴らしい変態だった。

 

尚だからと言って感触が変わるとかはない。

 

変態は大柄な体に筋肉質な肉体を動かし、ブリーフ一丁だけで構えた。股間以外何も隠していない。顔とかプレイヤーネームも隠せ。

 

いくらVRMMOがキャラクリゲーだからといっても、着せる数はともかく脱げる数には限度がある。パンイチのその気迫は、システムの妨げがなければその最後の防波堤も壊していただろう覚悟を感じる。

 

「うぉっなんだぁ?」

 

町中で突如発生したPvPフィールドだ。観客、というより、PvPフィールドに巻き込まれた者もいる。EGにおいてそのプレイヤーは無敵オブジェクトとして扱われるため、間にいたコワムは遮蔽物とかした。

 

変態から滴る汗。ギリリとしなる弓。喉を鳴らすコワム。思わず立ち止まる観客。

 

永遠のような緊張は、システムの合図によって崩される。

 

『Go!』

「死ねっ!!!」

「おん?」

「う”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”♡」

 

開始と同時に放たれた私の弓は、驚くコワムの股を抜き、硬い石畳の床を『跳弾』スキルで跳ね返り変態の変体を1本増やした。

変態は死んだ。

 

てってれー。レベルが1上がった。

 

 

「いやぁ、まだ鯖分けが進んでないからか、ああいう奴が出てきちまったんだろうなぁ」

「7鯖でどっかのカフェにでも引っ込んでろよ」

 

PvPなので合法とはいえ、思わずびっくりして人を殺してしまった。うぅ、ほんとは人なんて殺したくないのに⋯⋯っ! え、経験値多。コワムちょっと一戦やらない?

 

「俺はPvP下手だから遠慮しとく」

「そっかぁ」

 

私は聞き分けがいいの素直に諦め、意地が悪いのでそこらの通行人に片っ端からPvP申請を行った。

晒しスレに載せられるのが怖くてゲームできるのかってんだ。

急にPvP申請を送られた通行人は全員びっくりして、立ち止まるなり首を傾げるなり逃げるなりしていく。

 

そして通行人の2割くらいがなぜか裸だった。

⋯⋯いや、なんでだよ。こっちがびっくりだわ。変態キャラクリ流行ってんのか?

 

「あー⋯⋯今日変態多いな? VRなんてキャラん中入るんだし、奇抜なアバターは少なくなるもんなんだが⋯⋯春だからか?」

「ひょっとして私の知らないところでイベントでもやってるのかな。脱いだらレアブゲット、みたいな」

「正気とは思えんイベントだな。EGの運営ならやりそうだけど。まだコラボとかで裸になる方が確率あるだろ」

「何のコラボぉ⋯⋯?」

 

あって美容液とか脱毛コラボか? そもそもEGが何かとコラボしたとか今まで1回もないけど。いや確かジュース飲料だけ1回コラボしてたな、運営の偉い人が好きだからとかいう理由で。それでええのか?

 

私はしかめっ面を浮かべながらも指を振り、UIから掲示板を出現させる。とりあえず不思議な事が起きれば掲示板。Xitterが使えないログイン中の今は、お客様モドキの声を聞こうと思うと選択肢は掲示板だけだ。

 

『安価で謎ファッションを流行らせる』

 

あーる:どんなファッション流行らさせる?

汎用的エビフライ:学生服

ドン・ヤナイテ:ビキニアーマー

stroberyyyyyy:石膏

最高指導者ポンカーン:何も希望無いから全裸でいいよ

あーる:じゃあそれで

 

ただの悪ノリじゃねぇか。

 

「コワムこれ」

「んー? あー⋯⋯あぁ?」

「まぁまさかこれが原因で実際に流行ってるとか笑」

「いや、発祥はこれっぽいな? これに追従してスレが増えてる。おーおーおー服の表示ポリゴン数が減る分処理軽くなるって書いてるぞ」

「んなわけwww」

「一応ちゃんともっとらしい理由付けてるあたりタチ悪ぃな。言う方も言う方だが、信じる方も信じる方だ。嘘は嘘だと見抜ける奴じゃないと、ネットは使わない方がいい」

 

そうこう話している内に目先のプレイヤーが立ち止まり、一瞬光りに包まれたのちパンイチになった。

そしてジャンプすると何かを確かめたように頷き、軽い足取りで去っていった。

 

「バカ乙」

「この時代、VRハードなんて規格統一されて、回線かて指数関数的に向上したんだから、服脱いだ程度の負荷軽減で変わる訳ないんだよなぁ」

 

そもそも服脱いだりしてFPS向上してた時代は、他キャラ表示上限をこちらで設定できた時代だ。

ネット関連の性能が全体的に飛躍した今、同鯖同マップち見なされれば機械は勝手に全プレイヤーを読み込む。そこで自分一人が裸⋯⋯まぁどんどん増えてるから一人じゃないんだけど、自分が裸になって服の負荷を無くしたところで焼け石に水だ。

 

あ、また一人全裸になった。

 

全裸になった奴を見てびっくりして、理由を調べてびっくりな真実(嘘)を知り全裸になる。

嫌な無限ループが完成しちまってるなぁ。

 

「これ、どうするよ」

「どうするも何も⋯⋯何もできることないでしょ。システム上、何か悪いことしてるわけじゃないから通報もできないよ。アクセで局部再現してるならまだしも⋯⋯」

「シモの話だけにってか」

「死ね。上手くもないし」

 

PvP申請をコワムに送りつけながら広場を歩くプレイヤー達を見る。全裸の人間はどんどん増え、増えた全裸を見てまた全裸が増える。母数が増えたから掲示板のワザップもさも真実かのように出回っていく。ネズミ算式だぁ。楽しいなぁ。

 

幸いなのはMMOと言うのはえてして、男が多いので女キャラが多いということである。最初はさすがに⋯⋯って感じで脱ぐのを躊躇っていた女キャラも、躊躇いなく脱げる男キャラがどんどん脱いでいくのを見て、赤信号皆で理論で脱いでいった。

うーんこれはR17ゲー。

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