VRMMORPGって大体こんな感じのゲームなんじゃないの?   作:プソFブル

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〜初期の経験値狩り? 弓一択だね〜

よりリアルとなったVRMMOにおいて、弓という武器は不遇である。なんせ弓矢は消耗品だ。初期こそ攻撃力がゴミな無限弓が貰えるが、あんなもんメインにしてたらDPSがサポート職にすら負ける。

だからといってちゃんとした弓矢を用意するとなると、とんでもなくお金がかかる。モンスター1体につき何本弓矢を使うかもわかんないし、外れることも当然あるし、ボスになんて下手したら4桁使うかもしれない。連射スキルとか使うならその分弓矢減るし。

それぐらい、通常攻撃とスキル毎に消耗品を使うのは金がかかるのだ。

だからこそ、弓職は人気がない。

 

ではレベリングにおいてはどうだろうか。

まず遠距離。これは強い。敵から距離を取れることが強いのではなく、遠くからダメージを与えれるのが強いのだ。何せ1ダメでも与えれば後は誰かが倒せば経験値が入る。半径1mが狩場の前衛とは違うのだ。

 

そして通常攻撃であること。これも素晴らしい。スキルだからCDの関係で15秒に1回しか遠距離攻撃できないよぉ、という前衛と違い、通常攻撃は遠距離連打である。1ダメだろうと0ダメだろうと戦闘に参加できればいいレベリング中にとって、低ダメ連射は崇める対象だ。

 

というかそもそも、攻撃速度が早い。これもデカい。詠唱時間が必要な魔法職と違い、こっちはつがえて射つだけだ。弾着にかかる時間もあるものも、それでも魔法職より攻撃を当てるまでが早い。弓職は魔法職と比べ、攻撃したはいいが当たるまでにモンスターが狩られ空振った、が少ない。

 

そして───ハメやすい。やっぱこれに尽きる。

何せ遠距離で矢が通る隙間さえあればいいのだ。こんなんハメやすいに決まってる。

しかも通常攻撃なので連打も矢のバラまきも効き、射線によっては(流石にVRだとできないけど)放置も可能。そしておもちゃの弓を使えば矢の金も掛からないと、完璧である。

 

よって私はダンジョン前の長い洞窟、苔がむしどこからか太陽光が入り込みデコボコとした岩棚の一部に登り、他の弓職の人と雑談しながら矢射ちBOTと化していた。

 

「へぇ、カンナギさん2代目出た当時からやってたんですか。2代目なんて実況動画でしか⋯⋯というかそもそもPlaystand(プレスタ)3自体触ったことないですね」

「まーEGも結構昔のゲームですからねぇ。続いてくれてるのは嬉しいですけど、同時にこんなゲームが続いてていいのかとも思ってます。ほら、面白いけどよく燃えますからこのゲーム」

「いやでも、端から見れば炎上も事件も面白いっすよ。フェミの事件見て、俺EG始めましたし」

「だいち君は4代目からですか。あれ、僕らプレイヤー目線から見れば、まーた何かやってる程度だったんですよ」

 

腕だけ決まった動きを繰り返しながら、視線も意識も隣。

この先に中ボスがいて、そして中ボス前だからモンスターも普通に強いこの場所は、絶好のレアドロと経験値の堀り場所となっていた。

 

なっているということは、他のプレイヤーもいるということであり、カスダメを与えたモンスターが直ぐに別のプレイヤーに狩られて経験値になることを意味する。

 

ぶっちゃけ寄生と変わんないんだけど、弓職には触ったモンスターに掛かるレアドロアップのスキルがあるので見逃されていた。

 

ちなみにフェミの事件とは4代目のMMOで、アプデで追加された街にいる男NPCが「女は全員男の奴隷! 結局俺等男がいなきゃあいつら何もできねぇんだよ!」と、どう考えても燃えるセリフを言った事件だ。

年長者のプレイヤーはまぁいつもの事だと面白がり、その後遅れてやってきたエンジョイ勢がXitterにアップ、当然のごとく炎上した。

 

そして炎上した10分後にはアプデが行われ、その男NPCは這いつくばり、「男なんて野蛮な生き物は早く管理下におくべき。産まれた瞬間から汚い股間のモノ切り落として去勢する必要があるわね」と喋る女NPCの椅子になっていた。

なおホームページには「創作と現実の違いがわからない方に配慮できず申し訳ありません。今後は下に合わせる予定ではありますが、マイナスには合わせられませんのでご了承ください」と記述されていた。

これにキレたフェミはEG運営オフィスに突撃、リモートワークで誰もいなかったらしいオフィスに不法侵入し捕まった。

 

あまりにもEG運営が好き勝手やってるかよく分かる事件だった。

 

なおその後のアプデで「調律師(フェミニスト)」というクッソ皮肉な職業が追加された。

なんだこの会社無敵か?

 

調律師(フェミニスト)、強かったですねぇ。デバフを消せるのが優秀過ぎだったんですよ当時」

「私はPvP勢だったんでそっち方面で好きでしたよ。レベルもステ差も調律されるから純粋な技量泥沼勝負が楽しくて楽しくて」

「俺は一緒に始めた奴が調律師選んだんすけど、スキルのフレーバーがいちいち面白いってずっと笑ってた記憶しかないっすわ」

「あーあれでしょ、「調律完了」の『これで私好みに均された』とか私好きだったなぁ」

「僕は特殊バフ「調律」の『全てはあるがままにではなく、決まった音に揃えられる』でしたねぇ」

「あははっ。社会風刺MMOとか意味わかんないすね」

 

ワイワイガヤガヤ。

ほぼ女キャラばっかの下では、前衛とハメれない後衛が必死こいて駆け回る中、上は優雅だった。

 

いやぁ女子達が表情死なせながら体だけ動かしてる姿を見るのは気分がいいなぁ。

ま、ここにいいる女キャラの9割は中身男なんだろうけど。

 

⋯⋯いや、VRMMOになって、ひょっとすると女の割合も増えたのでは? こっちにも映える要素とかはあるし、最近は陽の者も増えてきている⋯⋯。いや陽の者はこんな序盤にここまで来れてないか。それに画面の女の子を見てなりきるのではなく、女の子に入ってなりきるのだ。通常の性癖ではそんなシチュには耐えれない。じゃあやっぱりここにいる連中は9割男か。

 

「カルシアさん、急にうんうん唸ってどうしたんすか?」

「や、ちょっとVRMMOの男女比を考えててね」

 

そう言うと、だいち君はあーと呟いて、ぐるっと見回し、最後にカンナギさんを見て。

 

「カルシアさん、多分女性っすよね。俺も女なんで男女比にーはちぐらいっすかね」

「えっだいち君女なの?」

「あ、一応言っとくと僕は男ですよー。ちゃんと男アバター使ってますし」

 

私はびっくりしてまじまじとだいち君も顔を見る。

もちろん弓矢を射つ手足動きは変わらない。

 

当然VRMMOでのキャラクリにより、シミ一つない綺麗な肌に整った顔のパーツ。スポーツちょい熱血風のイケメン青年の顔は少し困ったように目尻が下がっていた。

 

ほぇー。こいつリアル女なんだ。

 

とはならんのがMMOという奴だ。相手から私女なんだよねって言われて素直に信じるやつはMMO向いてないので止めた方がいいよ。

でもこいつハッタリかもしれないけど私が女って見抜いてきたからマジの女性かもポイント+1ね。

 

「男アバターだし、名前も男、というか陽キャみたいな付け方だし、一人称とか自然だから全然男だと思ってたわ」

 

VRMMO、というかゲームにおいて、プロとか配信者でもない限り男女なんてどっちでもいいもんなのだが、面白い事に男はナイトろうとするし、女は姫ろうとする。

⋯⋯しょうがないのだ。ゲームしか取り柄がない男は必然的にいいとこ見せようとしちゃうし、一度貢がれた女は味をしめてもっともっととなる。

根本的にリアルと男女比が違うMMOは、男子校が最近共学になったような環境で人間関係に歪みをもたらす。

 

その結果、女は自身の性別を隠すこともあるのだが⋯⋯だいち君はそのパターンらしい。

 

「名前もキャラも、当時好きだったキャラに寄せてるんすよ。PCの時は自分の作ったキャラ見ながら遊びますし」

「一人称は? だいぶ自然だけど」

「何かそういう設定があったんすよ」

「『自動一人称変更』機能ですね」

「知ってるのか、カンナギさん」

「今作から運営が半分嫌がらせ目的で開発した、自分が喋る一人称を瞬時に設定したモノに変える機能です。VRが脳波測定によって実現している技術だからこそ開発された機能とも言えるでしょう。

他の会社は失言などを変換し無かったことにする技術として利用しようとしていますが、特許を持っている肝心のEGはネカマをよりやりやすくし、不幸な弱者男性を増やすために使用しているともっぱらの噂です」

「マジかよ、最低だなEG」

「あ、それっす。いやぁ、前のEGやるとき、性別は隠しとけってお父さんに言われてて⋯⋯」

 

ワイワイガヤガヤ。

 

「クッソ⋯⋯。上は楽で楽しそうでいいよな⋯⋯」

 

下ではコワムが走り回ってモンスターのケツをしばいていた。

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