「血をくれっ!」最初は聞き間違いかと思った。しかし其れは間違いなく、複数の人々が互いに向け合っている言葉だった。
彼らは目を血走らせ、まるで獲物を求める獣のように、互いを睨みつけ、争っている。街全体が、まるで得体の知れない飢餓に襲われているかのようだった。其の異様な光景の只中、突如として響く甲高い笑い声と共に、一人の魔族が姿を現した。
「キキキキキッ〜マハトさんっ!俺は魔族のドラキュラスだっ!俺は俺の魔法である音波に反応して人間をコントロールする頭脳を持ったウイルスを植え付けた人々同士を争わせているんでっせっ!凄い作戦でしょうっ!我々は人類を滅ぼしたいですもんねっ!。そしてその為に若い女を狙うのが手っ取り早いと思ったんですよっ!女さえいなければ人類は自ずと滅びるのですからな。ははははははっ!」
と言ったドラキュラスは、自らの凶悪な計画を誇らしげに語った。人間を互いに争わせ、そして女性を狙うことで、人類を滅ぼそうとしているというのだ。俺は怒りを抑えきれず、詰め寄った。
「では血清は何処だっ!」
俺の問いに、ドラキュラスはあっさりと答えた。
「ウイルスの血清ですか?翼にある目覚めの棘っすっ!」
と言われた瞬間、俺は閃いた。ドラキュラスに血を吸われた女性のアクセサリーを奪い取ると、其れをディーアゴルゼの閃光と共に黄金の十字架に変えた。突然の閃光に、ドラキュラスの動きが一瞬止まる。その僅かな隙を見逃さず、俺は黄金の十字架を奴の胸へと投げつけた。十字架はドラキュラスの体を貫き、彼は断末魔の叫びを上げて灰と化す。翼だけを残し、彼の存在は消滅した。残された翼から目覚めの棘を回収した俺は、それを争っていた人々に刺し始めた。
すると、彼らの目に宿っていた狂気が消え去り、我に返ったように互いの無事を確かめ合い、仲直りをするのだった。人々が元に戻り、安堵の息をついたのも束の間、俺は更なる異変に見舞われた。村は混乱の渦中にあった。非常に強固な甲羅を持った亀型の水陸両棲魔物が暴れ回り、馬車の脱線事故を頻発させているのだ。此の魔物は、地中に蓄積された雷エネルギーを吸電し、口と尻尾からは15万ボルトもの稲妻、
すなわち「パラライズ・ショック波」を発射する。此の魔法名は俺が命名した。中々の強敵で、俺自身も苦戦を強いられていた。何しろ、其の体は常に高圧電流を帯電しており、迂闊に近づけば感電してしまうからだ。しかし、脱線事故の一部始終を見ていた馬車運転手の息子くんが、俺に助言をくれたので有る。
「親父が死んだ日に、うちの馬が此奴の首に噛み付いた時にすごく痛がっていたんだ!多分……頭が弱点だよ!」「ゴルシとかセントサイモンかよ!?」と心の中で突っ込みながらも、其の情報は貴重だった。
俺は、吸電亀の電撃によって倒木していた木を「ディーアシルバ」でナパーム弾に変え、それを魔物に向けて放った。ナパーム弾は吸電亀に命中し、奴は一時的に弱った。其の隙を逃さず、俺は横薙ぎの斬撃を月型の刃を纏わせて互い違いに2連続で放ち、吸電亀を倒し、一息つく間もなく現れたのは、四足歩行の鈍重な爬虫類のような姿をした新たな魔物だった。鼻先の巨大な角、クワガタムシの顎のような触角、耳まで裂けた口には鋭い牙が並び、丸くつぶらな瞳は焦点が合わず不気味さを漂わせる。黄色い虎のような配色の背中には隆起した部分があり、背の中央から尻尾の先にかけては鰭や帆のようなものが形成されている。この魔物は古井戸の住処が手狭になり地上に現れ、大量の雷エネルギーを求めて暴れているという。
そんな中、俺は先ほどの馬車運転手の息子、シャン・シュテルン少年に、以前教えたゾルトラークを放つように促した。少年が放ったゾルトラークは魔物の片目を正確に潰し、奴の動きを鈍らせ片目を潰されながらも、魔物は俺との激しい戦いを繰り広げた。だが、その激しい攻防の末、俺は奴の巨大な角をへし折り、そのまま投げ飛ばす。そして、刀を全く振ることなく、竜巻のような斬撃を出現させ、魔物を直撃させた。轟音と共に、雷を纏う爬虫類魔物は爆死したので有る。
人々の安全を確保した俺は、再び旅路についた。今…マハトがいる場所から遠い様で近い、微妙な距離に有る場所では、針から溶解液を噴射する小型の人喰い蠍を操る魔族が、拉致した人間を奴隷として虐殺しているという。そして、其の魔族の声が聞こえて来たので有る。「此の私は寛大なる処置を持ちまして、本来なら処す所を10分以内に砂漠を走り抜けたら許しちゃるですわっ!」と言ったので有る。そして…老人は俺に助けられ…俺は宿屋で匿う事にしたので有る。
「シーッ!シーッ!シーッ!シーッ!」奇妙な音が宿屋のドア越しに聞こえてきた。警戒しながら俺が恐る恐るドアを開けると其処に立っていたのは、親友であり恋人でもあるキフミだった。
「キフミ!キフミじゃないか!」俺が驚きと共に名を呼ぶと、背後にいた老人が不安げに「誰です?」と尋ねた。
「御安心なさって下さいっ!俺の魔族学校での親友で、常にトップを争う良きライバルなんですよ!」
俺が説明すると、キフミは少し不満げに言った。そして付き合ってる事を忘れられては困るわっ!?あっ!?毒蠍だ!?」そしてキフミの足元には、いつの間にか小さな毒蠍が忍び寄っていた。彼女は容赦なく其れを踏み潰す。毒蠍の出現は、此の宿屋にも危険が迫っている事を意味していた。俺とキフミは顔を見合わせ、言葉なく頷いた。手分けして敵を探す事に成ったので有る。
今回も楽しんで下さいっ!宜しく御願い致しますっ!