ハイターが投げた白銀のブーメランは、正確に魔物の首と胴体をダルマ落としの様に輪切りにした。そして、首の断面から大爆発を起こし、魔物は完全に死亡した。俺はハイターの御蔭で、辛くも此の魔物から逃れる事が出来たのでハイターに感謝の意を伝えようとしたが、彼はすでに次の目的地へと向かっていた。俺もまた、旅を続ける事にした。
少し離れた場所に有る植物公園へと足を運ぶと、其処で驚くべき光景を目にした。巨大なサラセニアの魔物が、人々を捕食しようとしている現場だった。其の光景に、一人の少年が必死に叫んでいた。「姉ちゃんを助けてくれ!」
少年の切なる願いに、俺の心は強く動かされたので有る。俺は躊躇…無く魔物へと戦闘を仕掛けた。魔物は体に生えた蔦を鞭のように使い、激しく奮戦する。しかし、俺の攻撃は止まら無い。最後は渾身の飛び蹴りを放ち、魔物は緑色の液体と成って地下へと消えて行き…俺は無事に少年の姉を救い出す事が出来たので有る。そして…「アァッアッアッアッ」と言う不気味な笑い声が聞こえ、俺の前に現れたのはカメレオンの魔族だった。
どうやら、此の魔族は近くの公爵家の時価数十億円の財宝を盗み、魔王に届けようとしているらしい。「俺は魔王様に仕えし大幹部だが、人間との共存を願ってるから人間との戦争を激化させたく無いんだ!なのに君はそんな俺に対して公爵家の時価数十億円の財宝を奪うって豪語するって可笑しいね!良いね!其のイカれ度合い……好きだぜ!」そう言いながら俺は
ディーアゴルゼで造った刀を斜めに一閃し、遠距離から複数の方向に地を這う高速の斬撃を5本放ったので有る。カメレオンの魔族は、俺の放った5本の地を這う高速の斬撃に直撃し、大きなダメージを負った。だが、奴はまだ倒れない。其の不気味な笑みを歪ませながら、俺を睨み付けて来たので俺は、トドメを刺すべく、刀を構え強烈な力で素早く繰り出す、抉り斬る様な横薙ぎの斬撃一閃を放つ。其の斬撃一閃の合間を埋めるように、三日月型のうねる斬撃が伴い、カメレオン魔族へと襲いかかって奴は爆死したので有る。
俺の放った渾身の一撃、強烈な横薙ぎの斬撃一閃とそれに伴う三日月型のうねる斬撃は、カメレオン魔族を確かに捉えた。断末魔の叫びと共に、奴の体はバラバラになり、完全に沈黙した。時価数十億円の財宝は無事に公爵家へと戻る事に成った。戦いを終え、俺は公爵邸へと向かった。
其処で待っていたのは、公爵令嬢と、其の父で有る現職の公爵様だった。二人は深々と頭を下げ、俺に心からの感謝を述べ「此の度は、大変な御迷惑を御掛けしました。そして、私どもの大切な財宝を守って下さり、誠に有り難う御座いますっ!」と言ったので有り公爵令嬢の透き通った声と、公爵様の威厳ある言葉に
俺はただ静かに頷いた。人間を守るという俺の決意が、また一つ形に成った瞬間だったので有る。俺が公爵家で感謝を受けていた時、遠く離れた隣領では、ハイターが新たな事件に巻き込まれていた。公爵家と肩を並べる侯爵家が誇る最新鋭の調査艦、マックス号が、相次ぐ船舶消失事件の調査を開始した矢先、そのマックス号までもが消失してしまうという異常事態が発生していたのだ。
行き先はなんと魔王城の有るエンデ。此れは明らかに、侵略を企む魔族、フンマーグルケの仕業だった。 フンマーグルケは、侯爵家の嫡男で有るシュランゲに化けて侯爵家軍基地に潜入。しかし、ハイターは其の偽装を見破り、フンマーグルケと対峙した。だが、ハイターは隙を突かれ、カプセルに閉じ込められてしまう。
絶体絶命の危機。しかし、ハイターはギリギリのところでカプセルを破壊し、脱出に成功した。フンマーグルケはハイターには敵わないと判断したのか、突然背を向けて逃走しようとした。当然、ハイターが其れを見逃す筈が無い。ハイターは背後から、両手の人差し指と中指を伸ばし、その第一関節を右指を下にしてくっつけて交差させた上で額の前に当て、両腕で囲うようにして光線魔法を発射。其の光線はフンマーグルケに直撃し、あっけなく爆死させた。
公爵家での一件を終えた俺は、ふと、ハイターの事が気に成った。彼が遭遇したで有ろう新たな脅威と、それを彼がどう乗り越えたのか。しかし、俺は自身の使命を果たすべく、足を進めるしか無かった。そして、奇妙な巡り合わせか、俺とハイターは同じ日、其々の場所で銭湯に入っていた。
俺は公爵領の、ハイターは侯爵領の銭湯。湯気が立ちこめる浴室で、俺は今日の戦いを振り返る。人間に害をなす魔族を倒し、人々を救った。其のたびに、俺の中のマハトでは無い、人間としての感情が確かに息づいているのを感じるのだ。
では有り難う御座いましたっ!次回も御願い致しますっ!