【凍結】星の兵士   作:ジュネープ

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この小説からは手を離します。
途中の状態で放置するのもアレなので、最後に大まかなプロットも入れときます。文才が欲しかった。


途中:第1章:壊れた死神

『我々は欲している!!我らの思想を是とする戦士たちを!!!』

『我々はつかみ取る!!王国の圧政を否定する勇者を!!』

 

型落ちのテレビから流れる放送で1人の男がまくし立てるように話している。それを食い入るように眺めているボロボロの作業服を着た男がいた。

 

『勇気ある若者たちよ!!我らアダムス評議会で男になれ!!』

 

手に持つ旧世紀から変わることのない農機具を持つ手に自然と力が入る。

その日、俺はアダムス評議会の兵士として志願する事になった。

 

 

 

「こちらエコー分隊異常なし」

『エコー分隊了解。引き続き周辺を探索せよ』

 

「隊長。通信完了しました」

 

「ご苦労様。移動するぞ」

 

密林の中、俺が率いるエコー分隊は隊列を保ったまま前進を続けた。

 

「まったく・・強硬偵察の次は哨戒任務かよ。勘弁してほしいぜ」

 

愚痴を零すのはこの分隊の偵察兵であるミシェル・ワゾンスキーだ。

分隊最年少の彼に同意の声がちらほらと上がる。

 

「おい小僧。喋ってないで真面目に仕事しろ」

「・・・分かりましたよ。ゲオルグさん」

 

「すまんな。ゲオルグ」

「いいってことよ。隊長」

 

そんな軽いやり取りをして引き続き警戒態勢を維持し、俺たちは進む。

 

非日常も慣れれば日常とは仲のいい同期が投げかけた言葉だ。確かに、人が消耗品のように消費されるこの戦争は最初こそ異常だと思った。

しかし人間というものは不思議なもので非現実的な事が常日頃から起こると感覚が麻痺してしまう。

その言葉を投げかけた同期は配属されたB戦線の攻略作戦で死んでしまったが何の感情もわいてこない。

唯一感情が動いたのはつい数時間前の強硬偵察だが・・・今は話さなくてもいいだろう。

 

 

空気が抜けるような音がした。

 

ドス!!

 

疑問に思う前に後ろから何かが倒れるような音がして、振り返ると通信兵のアンナが糸の切れた人形のようにへたり込んで顔を伏せていた。

 

「・・アンナ。どうしたの?」

 

不安げな顔をしてアンナに近づくのは衛生兵のゾイだ。普段から分隊内で同性同士仲良くしているからか少し焦ったような動きをしている。

最初は肩に手を置いて語りかけていたが、まったく反応しない彼女に嫌気がさしたのか、肩を強く揺さぶった

 

「どうしたのアンナ!!・・・・ッヒ!!」

 

強く揺さぶることで俯いていた顔が真上を向く形で露わになる。彼女の片目に穴が開いており、虚ろな表情で血の涙を流していた。

 

「敵よ!敵の攻撃が・・」

 

それを見た彼女の言葉が続くことはなかった。

空気が抜けるような音が鳴り響く。

その瞬間彼女のヘルメットに小さな凹みが出来た。事態を理解する前に再度空気の抜けるような音が鳴り、凹みは1cmほどの穴となって彼女は倒れこむ。

 

「敵襲!!敵襲!!」

 

俺がそう叫ぶと音が鳴り響いたところに向け攻撃を加えた。

アダムス評議会の兵士に配られる14式リアクティブガンの光線が周囲を明るく照らし出すのを気にせずに残りのメンバーも俺に続き攻撃を加えること10秒。静寂が支配する森の中、引き続き音が鳴り響いた方向に銃を向けていた。

 

ドス!!

 

動を倒したと思い安堵したその刹那、空気の抜ける音・・・否、敵の攻撃により選抜狙撃手のスチュアートが地に伏した。

 

「?!・・今度はここか!!」

 

俺たちとは反対方向から聞こえた射撃音に反応し、振り返って銃撃を行った。

 

(なんだこれは・・俺達は何と戦っているんだ?!)

 

「隊長ぉ!!これじゃ敵の思う壺だ!、一旦どっかの木に隠れましょう!」

 

唖然とする俺に大声でどなりつけたゲオルグは近くにある木を背中合わせに隠れた。

 

パシュ!!

パシュ!!

パシュ!!

 

敵の攻撃が今まで聞いてきた中で一番鮮明かつ継続的に聞こえた。

しかし残っている隊員に攻撃を当てている様子もない。

 

「どういうことだ?・・・・まさか!」

 

俺は倒れた仲間に目を向ける。俺の意図に気付いたゲオルグとミシェルも仲間が倒れている方向に目を向けた。

 

「ううぅ・・・いたい。いたい」

「スチュアート。生きていたのか!・・・ッ?!」

 

安堵の表情を浮かべた俺だが、ある違和感に気付いた。

スチュアートの体が銃声と同時に”揺れている”のだ。

 

(なんだこの惨さは。人の心を持っていないんじゃないか・・)

 

俺は戦慄した。

敵は遊び半分にまだ息のある仲間をわざと撃っているのだ。それに敵の射撃も精密で今の所一発も外していない。

 

!・・・この外道があ!!」

「まて。やめろゲオルグ!!」

 

仲間が弄ばれている様を見て、怒りに震える彼は軽機関銃を銃声が聞えた方向に乱射した。

 

「うおおおおおおおお!!!!!!」

 

ドドドドドドドドド!!!!

 

当たればその部位が消し飛ぶ威力の実弾の雨が敵が隠れているだろう方向に突き抜ける。これで敵は消え失せた・・・そう内心思っていたが。

 

グチョ!!!!

 

突如ゲオルグが消えたのだ。いや、正確には押しつぶされるようにしてペチャンコになっていた。

唖然とする俺とミシェルをしり目に、彼が消えたその空間が"揺らぎ"始める。

 

「・・なんなんですかこれは・・・隊長!!!」

 

木々に跳ね返った返り血が、俺の顔をぬるりと撫でた。あれが、ゲオルグだったものの最後の痕跡だった。

 

「・・・・・・」

 

それは薄緑色のスリムなアーマーを身にまとった兵士だった。異様なのがフルフェイスヘルメット部分が赤色に怪しく光っており、俺たちを黙って見ていた。その右手には王国軍が採用しているハンドガンにサイレンサーを装着された物を握っている。

 

「ッ!!敵だ──撃てっ!!」

 

俺の言葉とともに16式リアクティブガンから光線が発射される。

が、しかしその攻撃はソレにはまったくと言っていいほど効いていなかった。

絶望感を感じながらも俺たちは必死に攻撃を加えているとソレは動いた。

俺たちの方向に歩いてきたのだ。銃を右太ももから飛び出たラックに入れ、代わりに外付けされているコンバットナイフを手に取ると、必死で銃を撃っているミシェルの肩を掴んだ。

 

ゴキャ!!

 

肩を握った時に鳴ってはならない音が響く。苦痛に顔を歪ませるミシェルを気にも留めず、ソレはナイフを一閃。

彼の首から鮮血が流れ出た。

 

「ゴフッ!!ブフ!!」

 

流れ出た血液が喉を圧迫し、呼吸が出来なくなったのかミシェルは左手で喉元を抑え、必死に止血しようとしていた。

 

「・・・・・やめてくれ」

 

それは、圧倒的な強者だった。

 

数時間前の強硬偵察で遭遇した敵の突撃兵・・彼の放つ雰囲気と同じものを感じた。

今この瞬間、食物連鎖の頂点にソレは君臨しているのだ。俺たちはソレに怯え、生きているだけの虫けらだ。

 

そんな感情に支配された俺をしり目に、ソレは素早い動きでミシェルの肺、心臓、胃の位置に素早く、執拗にナイフを差し込む。

掴んでいた彼の肩を放すと、その場に崩れ落ちた。さっきまで恐怖と苦痛に染まっていた目から、生気が消えていた。

 

少し前まで生きていたスチュアートに目を向ける。彼はピクリとも動かず・・・・おそらく死んでいた。

 

ソレが俺に顔を向ける。

フルフェイスで見えないはずの兵士の瞳に射抜かれた俺は悟った。

 

(あぁ・・・これは。”狂気”だ。死神の・・・瞳だ)

 

その瞬間俺の意識が、深く深く沈んでいく──底の見えない暗闇に。

 

 

-------------

 

目の前には泡を吹き失神した敵と惨たらしく殺された死体がある。

 

「隊長。命令通り敵の分隊長を捕縛しました」

「ご苦労様、イア」

 

南雲はそう言って周りの惨状に目を向ける。

 

「にしても、もう少し手早く殺せばよかったと思うんだが?」

「アーマーが実戦にどれほど耐えられるのかチェックするためには仕方ありませんでした」

 

「・・・にしちゃあやりすぎだぜ?」

 

ずっとドン引きしても仕方ないとばかりに、南雲の指示で敵の両腕を抱束。ナイフでめった刺しにされた死体から水筒を取り出すと、そいつに向けて水を浴びせかけた。

 

「ッ!!ゲホ!!!ゲホ!!」

 

「よぉ起きたか、眠り姫?」

 

「・・・お前たちは何者だ?」

 

「ん~強いて言うならいたずら好きの妖精さんだ」

 

「俺をどうしようってんだ」

「情報が欲しいんだわ。まぁそう言っても簡単に渡してくれないと思うし?俺らのボスに聞き出してもらうよ」

 

少しオーバーな雰囲気で捕虜をおちょくり、後の尋問は隊長に任せる事にした。

俺らは雇われ兵だ。尋問なんて契約外の仕事はゴメンだ。

 

「少々失礼な部下で申し訳ない。私が2匹の妖精の飼い主だ」

 

「クソったれの王国軍なんぞに情報を渡すわけない!テメーに話すぐらいなら死んだ方がマシだ!!」

 

南雲に対して唾を吐きつけるかのようにまくし立てる男。それをヘルメット越し、冷めた目で眺めている様は容易に想像できる。

 

「・・・・2人とも少し席を外してくれないか?」

「了解です」

 

「了解しました・・・おぉ~怖い怖い」

 

腹の底が見えない奴ほどとんでもない事を考えているもんだ。俺たちは南雲がいる地点から10mほど離れた所にある大木に腰を下ろした。俺とイアの視覚には南雲が見えないし、南雲からも俺らを見ることが出来ない絶好の位置だ。

 

カチャ、という音と共に俺はヘルメットを外した。恐らく俺の顔面はしっとりとした汗が浮かび上がってる事だろう。

【どんな気候でも活動できる】とはいえ、最低限の気温保持機能しかないため、多少の不快感は避けられない。

 

「グリーンマン。任務中ですよ?」

 

「わかっているが、こんなクソ暑いとやってられん!!イアも脱いだらどうだ?」

 

「・・・敵の反応がありますが、問題ないでしょう・・うん」

 

そう言うとイアもヘルメットを脱いで俺の隣に腰掛けた。肩の力が脱力したのを確認した俺はスーツの胸元にある収納スペースを開き、タバコの箱を取り出してイアに開口部を向けた。

 

「イアも吸うか?」

 

「いいえ結構です。私はタバコは吸わないので」

 

イアの返答に黙ってタバコを取り出し、自分の口に咥えて火をつける。

「いつから始めたんですか?」

「何の事だ?」

「タバコですよ」

 

肺いっぱいに深く吸い込む。煙をしばらく滞留させ、ゆっくりと吐き出した。

 

「さぁな」

「そうですか」

 

少しばかりの沈黙も自然が生み出す不規則な名曲を前にすると些細な問題の様に感じる。唯一気になるのは隣の女がとんでもないモノを抱えてるかもしれない不安感だけだ。

 

さっきの虐殺をカメラ越しに見るに、相当深い事情があるのたろう。

 

「なぁ。お前今までの戦場でなんかあったのか?」

 

自然の魔力だろうか。ふと口にした言葉は不思議と辺りに響き渡る。目線だけをイアに向けるとそこにあったのは【無】だった。

 

彼女の瞳は全てを覆いつくす闇のように何も映していない。どこか危うげなモノを携え、俺と視線を合わせた。

 

「そうですね。色々ありましたね」

 

にこやかに笑うイアを見て安堵する事は無い。なぜなら、彼女の瞳は変わらず【無】だったからだ。

 

ピピ!

 

右腕のデバイスから音が鳴る。確認すると集結命令が出ていた。

 

「よし、そろそろ戻るか」

「そうですね」

 

ヘルメットをかぶり、南雲のいる地点まで移動する。そこには先ほどまでいた捕虜の姿が見えない。

マップを確認すると俺たちから離れていく赤い点が1つだけあった。

 

「隊長さんよ。イアが捕まえた捕虜はどこに行ったんだ?」

「物分かりの良い兵だったからね。そのまま解放したよ」

 

「まじかよ。俺らの装備について漏らされたらアドバンテージが無くなるんじゃないか?」

 

俺が少し責める口調で言うと、彼はその質問が来ることを予めわかっていたかのように話す。

 

「確かに、私たちの正体が敵に露見すると戦いづらくなるだろう。しかしね?現状は試作品でしかないアーマーの情報を持ったとして何か有効的な対策を打つ時間的余裕はあると思うかな?それにこれは企業が開発したアーマーだ。遅かれ早かれこの情報は敵軍どころか宇宙に広まるんだ。今の段階からピリピリしてても仕方ないさ」

 

「・・・・」

 

イアは何かしらの問題を抱えていて、隊長である南雲は腹の底が読めない。

こんな分隊・・・・失礼。小隊でやっていけるのか不安になった。

 

それから俺たちは聞き出した情報を元に、敵前線基地まで8kmの距離にいた。

俺と南雲に搭載されているマップの敵表示機能はAIが音、サーマル機能を基に位置を表示させているに過ぎないがイアは違う。

 

惑星軌道上に配置されている秘匿衛星からの情報をAIが処理して敵を表示しているため、精度が段違いなのだ。

彼女から共有されたマップ情報によれば、少なくとも200人。中隊規模の兵がいる事になる。それを知った俺たちは身を隠せる場所を作り、作戦会議を始めた。

 

「聞いてくれ、今晩は敵の前線基地に潜入して将校を暗殺して指揮系統を麻痺させるぞ。その後は敵に露見するギリギリまで基地要員を削る事に専念してほしい」

 

「作戦だけ聞いたらただの特攻作戦と大差ないじゃねぇか」

 

「今までの遭遇戦でアーマーの強さは体験したはずだ。このアーマーがあれば彼らが持っているリアクティブガンのレーザー武器を無効化する事が出来る。問題は・・・」

 

「実弾兵器を持っている火力支援兵・・・か?」

「・・そうだ」

 

実はこのアーマー。無類の強さを誇るが明確な弱点が存在するのだ。

レーザーコンポーネントを装備した武器から発する光線をアーマーは吸収しており、エネルギーを蓄積。

攻撃を受けると自動的にレーザー膜が展開して防御する機構なのだ。

実弾兵器が継続して直撃した場合、蓄積していたエネルギーを消費してバリアを展開する為、バリアが無くなるとアーマーの装甲頼りとなる弱点があるのだ。

 

「俺は突撃兵コンポーネントだから無反動砲の直撃を食らわない限り破られないと思うぜ・・・・多分」

 

「僕の場合は原子力エネルギーを搭載しているから、そうなる事はないと思う・・・問題はイアだ」

 

俺たちに支給されたアーマーで一番軽装なのはイアが装着している支援兵コンポーネントなのだ。エネルギー切れとなると、対物ライフルの攻撃で容易に貫かれる程度の装甲しかない為、縦横無尽に動き続けて敵の射線から逃げる必要があるのだ。

 

「私は大丈夫ですよ?前の戦場で私服で参加させられたことがあるので平気です」

 

「・・・・まぁいいや。とりあえず、今は糧食を食べよう。そして夜に備えて休息だ」

 

 

 

 

夜行性の動物が鳴いている。この鳴き声は原生生物のバンシードックだろう。

物騒な名前ではあるが戦前この惑星では吉兆を運んでくれる動物としてめでたい存在なんだそうだ。

そんな事は気に留めず、俺たちは敵基地のサーチライトをかいくぐってフェンスの前でしゃがみこんでいた。

 

「よし、もう一度確認する。優先目標は敵司令の暗殺だ。基地の設備から考えて少佐相当の奴がいるはずだ」

 

「何度聞いても大雑把な作戦だな」

 

「僕たちはこの戦域の急先鋒、仕方ないじゃないか・・・・イア君、このフェンスを開けてくれ」

「承知しました」

 

呆れた俺をよそに、南雲の指示でイアがフェンスに穴をあける。その穴から俺、南雲、イアの順に潜入すると別々の方向に静かに移動した。

 

しばらく移動すると目の前に紫明が2人、楽し気に談笑していた。アーマーが拾った音を聞く限り、クソどうでもいい下世話な話をしているみたいだ。

「練度もクソもねぇな。まぁ基地内だからしょうがないと思うが」

 

『マスター。提案があります』

 

「ナイトか。どうした?」

 

そう愚痴った俺に声をかけたのはパーソナルAIであるナイトだ。

 

『様々な情報を整理した結果、兵士から情報を抜き取るのに最適な方法が見つかりました』

 

「・・・・聞こうじゃないか」

 

ナイトからの助言に従い、近くに設営されている食糧庫の扉を開いた状態にして、その先に30個ほどの業務用小麦粉袋を置いた。

 

(よし、後はうまい事ハマってくれるのを待つだけだ)

 

兵士が食糧庫の前を通った。

 

「なんで扉が開いてるんだ?」

 

兵士は疑問に思い、暗い食糧庫をタクティカルライトで照らす。そこにサイレントモードで移動音が減している状態で後ろからタックルを喰らわせた。

 

アーマーにより強化されたタックルは車にぶつかるレベルの衝撃を生み出し、何も備えず歩いていた兵士は俺と一緒に食糧庫に吸い込まれた。

敵は積み上げた袋の山に突っ込む事で音を減衰する事に成功。兵士が衝撃から立ち直るまでの短い時間でドアを閉め、邪魔が入らないようにすると、予めおいていた空の袋を兵士にかぶせた。

 

そして何度も何度も腹部を殴りつけた。

 

最初は抵抗していた兵士もいきなりの暴力に恐怖が勝ったのか、ただジタバタともがくだけとなった。

 

袋を引っぺがすと、血と涙にまみれた顔が現れた。ぐしゃぐしゃの表情で俺を見つめている。

 

間髪入れず力を最大限抜いて、何度も、何度も張り手をお見舞いしてやった。

 

『マスター。そろそろ最適な頃合いかと思います』

「そうか」

 

ナイトからの助言に従い、外部疎通モードをオンにすると、兵士に話しかけた。

 

「基地司令の野郎はどこにいる?」

 

「し、司令はこの先を進んだ豪華なたて、建物にいる。だか、だからもう殴らないでください」

 

極度の恐怖とショックにより、言葉がうまく話せないのか。つっかえながらではあるが必要な情報を渡してくれた。

 

「そうか・・・」

俺は一言呟くと、外部疎通モードをオフにし、荒い呼吸で恐怖に歪み切っている兵士の顔面にパンチした。

 

グシャ!

 

アーマー本来の力により頭を潰された兵士は、死の間際に感じていた恐怖からか、ブルブルと小刻みに震えていた。

 

「ナイト。さっきの兵士が言っていた建物までの最短ルートを表示してくれ」

 

『了解マスター・・・設定しました。画面上に表示されるルートに従って進んでください』

 

扉を施錠して画面上のルートを辿っていく。すると、他の建物より若干堅牢な作りの建物が見えた。

 

「これがアイツが言っていた【豪華な建物】・・ねぇ」

 

貧民からしたら確かに豪華な建物であろう建築物に近づく。

 

『マスター。建物をスキャンして生体反応を確認する事が可能ですが、どうしますか?』

「やってくれ。ナイト」

 

『了解・・・どうやら中の人間は1人だけのようです。ディスプレイに表示します』

 

HUDに表示された透過された屋内では確かに1人だけしかおらず、動きがない事を加味するとベットに寝ているようだ。

間抜けな司令官であることを祈り、扉を回してみるも鍵がかかっており開く気配がない。

どうしたものかと建物の周りを1周すると、意外な所に突破口を発見した。

なんと生体反応を示した部屋の窓が開いたままになっていたのだ。

 

(確かにこの惑星は年中クソ熱いから仕方がないか。でも今回はこれが命取りだったな)

 

窓から顔を覗く。ベットに恰幅の良い男が眠っており、近くのハンガーには士官服が吊り下げられていた。

HUDでズームしてみると首元には中佐を示す階級章が確認できる。南雲が言及した通り、この基地の司令は中佐らしい。

 

『マスター。眠っている敵の情報閲覧許可が降りました。HUDに表示します』

 

名前:ジョセフ・イヴェンコフ

階級:中佐

略歴:

マクギリア王国軍参謀本部付士官として勤務。

贈賄容疑で逮捕。移送中に脱走しアダムス評議会に合流

 

「なんだこれは」

 

『裏切り者・・・・つまり殺しても問題ない人物ということです』

 

ナイトの言葉に返答せず、窓枠に手をかけると音を出さなぬよう屋内に侵入した。

木造で出来た屋内を歩き、司令官の枕元に立つ。

 

右太ももの収納スペースから小ぶりなミリタリーナイフを取り出すと、左胸に向けてナイフを振り下ろす。驚くほどスムーズに入ったナイフをすぐさま引き抜き、二度目の刺突で体が痛みを検知したのか、目を見開き悲鳴をあげようとする。

 

「ギャ・・・・ッ!・・ッ!!」

 

間髪入れずにナイフを左手に持ち替えると彼の口を全力で覆う。

部屋の中に肉を突き刺す音と小さな絶叫が響く。

最初こそジタバタもがいていたが、心臓の位置から赤い染みが広がるにつれ、抵抗は少なくなっていく。

 

そして、とうとう動くことを辞め、ナイフを無抵抗で受け入れるようになった。

 

「……やったか?」

 

『いいえ、敵司令官の生命反応が微弱ですがまだ残っています』

 

「ズタズタに刺したのにまだ生きているのかよ」

 

そう呟くと、口元を押されている右手を開放して左手で持っている凶器を再度持ち替える。切れ味の悪いナイフで肉を切るように喉を切り裂いた。

 

最期の力を振り絞ったのか、司令官は限界まで見開いた瞳のまま、覚束ない動きで両腕を動かす。

どうやら首元からの出血を抑えようとしているらしい。しかし、努力かなわず両腕から力が抜けた。

その瞳から徐々に生命力が無くなっていく様を俺は黙って見続ける。

 

『生命反応が消失した事を確認。敵司令官の暗殺に成功しました』

「あぁ・・・ったく。これは悪夢で出てくる事確定だな」

 

『ご希望であれば私がメンタルケアを実施する事が出来ますが?」

 

「いや、今はいい。南雲たちに連絡してこの作戦の大詰めと行こう」

 

俺は右腕の端末を操作し、目標達成の信号を出した。すると間髪入れず、南雲からの呼び出し音がヘルメット内に響き渡る。

『こちら南雲。敵司令官の暗殺に成功したって本当かい?』

 

「あぁ。隊長の言った通り、敵司令官は中佐だった」

 

『隊長、イアです。幹部専用の兵舎を見つけました。そこに爆弾を仕掛けて爆発させるのはいかがでしょうか?』

 

「おい、イアそれだと飛び起きた200人以上の兵士に囲まれて俺らはお陀仏だ。ばれるまでは確実な方法をとった方が俺らの身の為だと思うぞ?」

 

『それは分かっています。基地の衛星写真を見た限り、司令官以外の兵舎は建付けが悪い建物で、数も少ないです。なので敵の武器庫から爆弾を拝借して兵舎の支柱に爆弾をセットすれば、一網打尽にできると思います』

 

『・・・イア君の案で行こう。僕たちは試験小隊だが、生き残る事を前提とした部隊運用をしないといけないからね』

 

「・・・・生き残るだけならそのまま撤退するのがいいと思うんだがな」

 

通信を切ると、俺は南雲と合流し、言葉少なに弾薬庫へと向かった。

寝ぼけ眼で立っている歩哨を静かに仕留め、物音ひとつ立てずに中へと忍び込む。

積まれた武装を前に、俺と南雲は無言で爆弾を拾い上げた。

 

 

 

 

「準備はいいかな?」

「問題ないです。爆弾はセットしたので後はここから脱出次第起爆します。」

「さすが支援兵だな」

「本来ならこんな早く設置はできないのですが、アーマーのおかげですね。きめ細かい手の動きのサポートから効率的な爆薬の設置箇所の表示まで全てサポートされていましたから」

 

拝借した爆弾をイアに渡した俺たちは、彼女が素早い動きで配線を接合する作業を眺めていた。作業が遅かったら手伝うつもりだったが存外に早い手捌きで設置していく様をただ黙って見ている事しか出来なかった。

 

「なぁ隊長。このアーマー・・・コンポーネントは戦場に革命を起こすんじゃないか?」

 

「私も最初にこのアーマーについて企業から説明を受けた時に思っていたよ。仮にこれが民兵やテロリストの手に渡るだけで優秀な兵士が出来上がってしまうんだからね」

 

「前世紀で言うところの【インスタント兵士】だな」

 

「あぁ、今の段階ではそんなに気にすることではないよ。AIにより行動がサポートされてるとはいえ、まだまだAIの精度が低いから実践経験の有無が勝敗を左右することには変わらないよ」

 

少し深刻そうに俺が呟くと南雲は諭すように言った。

 

 

「隊長、全ての爆薬を設置完了しました。後5分後に爆発するようにタイマーをセットしたので急いで逃げましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご報告

最初は童貞の男がなんやかんや戦果を上げていくコメディ路線の1話完結だったのですが、肉付けの段階で出てきたキャラから始まりスケールがデカ過ぎて小説の手が完全に止まってしまいました。

今からやっても当時想定していた細かい肉付け内容まで忘れてしまいましたが、そのまま手を離すのも嫌なんで、以下に大まかな流れを書いてこの小説は未完結ながら完結状態とします。唯一の救いは誰も見てなかった事ぐらいですが、、、

 

【第1章の作中で想定していた流れ】

始まり

・イアに対する底知れぬ恐怖を同情に転化させた主人公は、引き続き敵部隊を殲滅していく。その際、イアの無線システムから味方の攻勢作戦が失敗し、戦線が壊滅。撤退してる旨の連絡を傍受。急ぎ前線に戻ろうとする主人公達をショックを受けた南雲が強引に引き留め、渋々それに従う。

 

中盤

・南雲に不信感を抱いた主人公とイアは命令を無視して味方前線基地に帰還する。その際、味方高官の死体が持っていた書類から南雲の抹殺命令が出ていることを知った。

 

終盤

・南雲は地球連邦軍からの密命を帯び、地球政府に非協力的なマクギリア王国に変わる傀儡国家を作る密命を受けていたことを知る。その際にイアは南雲により殺害され、主人公も南雲により攻撃話受けるが奇跡的に生き残ることができた。

 

【今後の想定していた流れ】

始まり

何とか無事な後方基地に辿り着いた主人公は、傭兵会社からマクギリア王国が滅亡したことにより契約終了の連絡が来た為、本社行きの宇宙船に乗り込んで惑星から離れる。アーマーはオープンフィード社が解散したことで所有権を無くし、主人公の所有物となった。本社で次の戦場指示を貰い、次の勤務先であるクルツ公国が所有する衛星基地に移動する。

 

中盤

衛星基地の警備任務中、練度の高い兵士たちによる攻撃を受け、壊滅的被害を受ける。その際に攻撃した兵士の死体が実は機械であることを知った。攻撃を仕掛けて来たのはAI兵士を作り出した地球の企業【X-RAY社】(X社)が開発した【グール】(グロック)を大量に納入した宇宙同盟軍だった。

 

終盤

宇宙同盟軍と戦闘を続けてるクルツ公国はAI兵士をライセンス生産している基地に総攻撃を開始。そして基地内部で激しい戦闘を潜り抜けた主人公は、敵の基地司令がかつて仲間を殺した南雲であることが判明した。諜報部に所属してるだけではなく、X-RAY社にオープンフィード社のAI情報を横流しして作り上げた現時点の究極兵器に乗り込み、主人公を圧倒。しかし主人公は何とかして南雲を殺し、この戦いを終わらせることに成功した。

 

【イヤの豹変について】

アーマーの万能感によって、潜在的な性格が出てきただけです。運転すると性格変わる人、いますよね?アレみたいな感じです。

 

【作品タイトルについて】

南雲が計画してるAIが制御する機械兵士の量産化計画の名前を「星の兵士(スターソルジャー)作戦」って命名してるから伏線回収も兼ねてのタイトルです。

 

最後に

AIを使用して大まかな流れを入れて作品を出力すれば良いのではないかと、一瞬脳裏をよぎりましたが、個人の考えですが作品は細かい部分の肉付けによってクリエイティブなモノが生まれると考えています。

AIを使うのであれば文の清書レベルに抑える程度が良い塩梅と考えているのでAI完全出力での作品続行を行う予定はありません。

もし、大まかな流れを見た方で自分の作品に落とし込みたいだとかストーリーを拝借したいと思った方がいるのでしたら勝手に使用しても良いです。

文が散らかった感じがしますがここでこの作品は締めとします。

 

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