羽沢先輩がヤンデレ?ハッハッハ、御冗談を   作:コントラポストは全てを解決する

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11.君、ヒミコの才能があるネ。そっちの君はホストだネ

 

 おかえりパスパレ祭り。

 

 母校紹介系の番組でやって来たテレビ局と、例のハッピーお嬢様が出会ってしまった結果生まれた突拍子のない催し。

 

 番組は花咲川編と羽丘編に分けられ、花咲川編の進行は丸山彩と白鷺千聖によってお送りされる──はずだった。

 

「ち、千聖ちゃん?なんで秋ちゃんと手錠で繋がれてるの?」

「強いて言うなら、不慮の事故……かしらね」

「ち、千聖先輩が無理やり付けて……」

「故意じゃん……」

「事故よ。私の中の『秋と手錠で繋がれたい欲』が刺激されてしまったんだから」

「横暴だ……」

「本能には逆らえないものでしょう?彩ちゃんで言うところの『有名人に見られたい』、みたいなものよ」

「「な、なるほど……?」」

 

 秋と彩は丸め込まれた。

 

「で、でも、これで収録は厳しくないかな……?ほら、見た目的にこう……危ないような気がして」

「大丈夫よ。そういう企画だって事にしてもらったから。話も昨日通したわ」

「それで昨日忙しそうにしてたんだ……。し、秋ちゃんは大丈夫そう?」

「スキャンダルにならないなら……」

 

 そうして、大物女優に手錠で繋がれた状態で収録が始まり、秋は他に類を見ない絵面でテレビデビューを果たす事となった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 所属バンドのメンバー がテレビに出るとの事で、盛大に学校を休んで羽丘までやって来たパレオ。もとい鳰原れおな。

 

 バンドメンバーのロックの様子を見つつ、あわよくば秋と良い感じの思い出が作れないかと画策していた。

 しかし、ふたを開ければ秋は花咲川にいると言われるし、なにやらパスパレの収録に付き合っているという話まで出てくるしで、もうてんやわんやである。

 

「あれ、パレオさん?どうしたんですか、そんな浮かない顔して。ジブンでよければ話、聞きますよ?」

「麻弥ちゃん……」

 

 秋は花咲川にいる。となると、十中八九千聖に捕まっている。そこまで予想し、どう頑張っても秋の奪還は無理と悟った瞬間、どっとした疲れがれおなに押し寄せて来た。

 

「やっぱり、秋さんのことですよね? 」

「はい……。せっかくの機会ですし、秋さんと2人で一緒に……あわよくば最後に良い感じの思い出を作れたらと」

「最後?も、もしかして、しばらくこっちに来れなくなっちゃうとかですか……?」

「あぁ、いえ、そうではなくて」

 

 なんとなく、根拠はないけど、ずっと秋を見ていたれおなは感じていた。

 

「おそらくですが、秋さんとつぐみさんはもうすぐくっつきます」

「な、なにか根拠が……?」

「いえ、勘です。でも、分かるんですよ。秋さんを見ているとなんとなく」

「ぱ、パレオちゃんは告白しないんですか?せっかくの初恋なのに……」

「できればしたいですが……私にはとても……」

 

 自分の気持ちを曲げたくないとはいえ、秋の気持ちは無視できない。それになんだかNTRみたいで後味が悪い。

 

「まあ、秋さんがつぐみさんに振られたらアタックしてみます。それに、この天気で告白するのは気が引けますので……」

「確かに、気分が沈みそうなくらい雲がかかってますけど……」

 

 見上げた先に広がる、本当に太陽が上がっているのかと疑いたくなる程の曇天。

 れおなはため息を吐き、帰りの電車の時間を調べなおした。直感だが大雨だけでは済まない気がする。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 氷川日菜は天才である。

 

 初めての物事でもちょっとやれば上級者並に上達し、それをあらゆる分野で発揮して、周囲から羨望と嫉妬のハブられを貰って来た。

 その天性の才は、姉との仲が拗れるほどのものである。

 

 そして昨日、つぐみのチキンテルテル坊主を500個飾ったところで、自分が何でもできる才能持ちである事を思い出した。

 

 窓に吊るされるテルテル坊主を見ながら、胸に芽生える確かな危機感。なにか良くないことが起こる……と、日菜の直感が囁いていた。

 

 しかし、持ち前の語彙と日頃の行いのせいで、つぐみには笑って流されてしまい、今日が来てしまったのだ。

 

「つぐちゃん、シューくんのところまで……行けそう?」

「む、むむむむ無理です!!!!見てくださいこの黒い雲!!これ絶対雷が落ちるやつですよ!!!!無理です!!!!世界の終わりです!!!!」

「いや……でも、ほら……シューくん取られちゃうし?」

「怖くて足が動かないので無理です!!!!!」

 

 つまるところ、日菜にはヒミコの才も備わっていたのだ。

 

 それも、雷が鳴る兆候だけで、つぐみが腰を抜かすほどの悪天候を引き寄せる才能が。流石の日菜も自分を恨んだ。

 

「ほら、あたしも一緒に行くからさ」

「お、お金払うので配達お願いします……」

「あたしは配達員じゃないよ?」

 

 少し拙い話し方で、若干の幼さを見せながら、つぐみは日菜にお金を渡した。日菜は即行返したけども。

 

「うぅ……しゅーくん……どこぉ……」

「花咲川に行けば会えるよ」

「日菜先輩は私に死ねと言うんですか!!!」

「情緒不安定だねー」

 

 荒れに荒れてキャラ崩壊を起こし、見たことのない形相のまま、生徒会室の掃除用ロッカーに隠れようとするつぐみ。あまり刺激しない方が良さそうだった。

 

「はぁ……どうしようかな〜……」

 

 つぐみの言う通り、日菜が秋を連れてくれば悪く収まる。

 けれど、それは二人にとって良くないと思うのだ。テコ入れと言うのはTPOを弁えてこそなのである。

 

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