ふわふわ宇宙世紀   作:十二分間

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妄想100%とうろ覚え ガンダム関係ないと言われればごもっとも、という内容でお送りいたします


宇宙世紀のお食事情

 ララァはスーパーマーケットの商品棚の間で考え込んでいた。

 ひょんな出会いと幸運でコロニーに移り住むことになって数か月、見上げると地面がせりあがって頭上にまで人が住んでいる、という状況にもすっかりと慣れた。

 今日はその恩人であるシャアとその妹、そして彼らの友人であるレイ父子、居候させてもらっているボゥ家のお嬢さんの幼馴染でもある、のために食料の買い出しに来たのだ。

 特にアムロはほっとくと栄養失調で倒れてそう、とフラウ・ボゥと話し合って定期的に食事を届けよう、ということになってる。

 だからと言ってシャアもきちんとしているか?というと疑問符が付くが。

 立ち居振る舞いや言葉遣いなどからかなり良い育ちであることに疑いはないのだが、妹も含めサイド3出身者なせいか今イチ食事にこだわりがないというか、適当に済ませたがる節がある。

 今は仕事やここでの生活そのものが楽しい、といった風ではあるようだが、食事も人生の楽しみの一つであると知って欲しい。

 だからこそせっかく作るのであればおいしいものを作りたいし、喜んでもらいたい。

 そのために献立を考えていると思わず声が出る。

 「香辛料、高いんですよね……」

 貧乏暮らしが板についていたくせに贅沢だ、ということは分かっているが、スパイスランド、と言ってもいいインド出身者としては、街角と食卓に香りが少ないということはいささか淋しい。

 それに嗜好品、茶、コーヒー、チョコレート等々の類も、地上で見かけたものに比べると品数も驚くほど少ないし、ややお高い。

 安いものもあるのだが基本的に合成品でわざわざ買ってまでは、という味である。

 これらの問題の共通点は主にサイド7がまだまだ新しい、言ってみれば田舎のサイドである、ということが関係している。

 コロニーは基本的に完全な閉鎖循環系で設計されており、農産物はコロニー周辺に浮かんでいる専用のカプセル型ブロックで作られている。

 いるのだが、基本的に需要が高いものが優先的に生産され、香辛料の類もコショウやトウガラシなど、メジャーどころが数種類、と言ったところ。さらに言えば成長まで時間のかかる、それでいて直接的に食用ではないものは後回しにされがちということで他サイドからの輸入品に頼らざるを得ない。

 そして宇宙では、昨今推進剤も安くなったとはいえ質量=コストであるためまず必需品、他はついでに隙間があれば、ということになるため不定期でしか入荷しないの必然的に高くなる。

 嗜好品の類の場合は、例えばコーヒーの場合、ブロックを丸ごと生産用にしてしまうと現状コロニーが一基しかないサイド7では供給過剰となってしまうということで、生産は保留という扱いになっている。

 作り始めたとしてもどこそこ産、というように地球のように産地ごとで特色を出すようになるまではかなりかかるだろうとテムからは教えられた。

 他のサイドの状況はというと、移住元となった地球の各地方ごとで特色が出つつある、という状況だそうだ。

 歴史が長いサイド1、人口が多いサイド2、サイド5などは例えばインド系、チャイナ系出身者が立ち上げた企業などが、コロニーを丸ごと一基所有して栽培専用に当てていたりもするらしい。

 人口が数十億を数えるようなサイドの場合、個別にブロックごとで生産するよりもコロニー全体を栽培に適した気候条件にして地形などで変化を付け、複数種類をまとめて、草だけでなく樹木も含まれるもの、を育てるんならこちらのほうが楽、とこれもテムから教えられた。

 あの人は何でも知っているな、とテムに理由を尋ねると

『技術情報を追いかけていると色々と目に入るんだよ。なんだかんだでコロニーは宇宙技術の先端ではあるからね』

 

 

 そういったことを思いながら歩いていると地球にいたころと比べても充実した肉類コーナーを通り過ぎ、貧弱極まる鮮魚コーナーが目に入る。

 内容はマス、コイっぽいの、ティラピア、ツナと書かれている何か、以上。

 近くの冷凍食品のコーナーに行っても種類はそこまで多くない。

 淡水魚はそれなりなのだが海産物は壊滅的である。

 これの原因は、こちらはシャアから聞いたのだが、端的に言えば、と前置きして

『水槽は割と簡単に作れるが、海は難しいんだ』

と彼から言われた。

 彼の出身であるサイド3にはいくつか『海』をもつ海洋コロニーが存在しているが、本当の意味で『海』にするためにかなりの労力が払われている。

 始まりは工業サイドとして始まったサイド3が塩素やアルカリ金属類を塩(塩化ナトリウムや塩化カリウム等)という形で安定して保管するためや、石灰のもととなる炭酸カルシウムを貝殻などの形で安定的に手に入れるため、というものらしい。

 地球ではどれもありふれたものだが、宇宙、月の裏側では運ぶだけでも一苦労、ということで自活が急がれたそうだ。シャアはそれ以外にも、月の裏側で見ることができない、地球の海を懐かしんだのだろうとも言っていたが。

 そうやってできた塩水の水たまりに安定的にプランクトンを繁殖させ、食物連鎖を作り上げ維持していく。これはどちらかというと職人芸に近いらしく、現在成功している方法を別のコロニーで試しても上手くいかないことも多いとのこと。

 そこまで環境を整えてやってようやくプランクトンを常食する海洋魚などは繁殖させられるようになるため必然的に高くなる。

 イワシなどはそのいい例だ。逆にある程度大型のものはエサでどうにかなるため比較的、それでも肉よりも高いが、安くなると。淡水魚も同じような理由で安い、らしい。

 その辺りのノウハウはサイド3が最も経験豊富なためか、技術情報も含めてそこそこ重要なサイド3の輸出産業になっているという話だった。

 そういうことをつらつらと考えながら品物を見ていたが

(やっぱり無難に鶏肉にしましょう)

 ということになった。

 

 

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