片田舎の剣聖、TUBAMEを斬る。   作:you are not

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えー、先に言っておきます、Fateのキャラは出ません。




武を求む者、祭壇にて

 

 その教会は、王都の旧市街の外れに、ひっそりと佇んでいた。

 

古びた石造りの外観に、重く軋む扉。高い屋根があり、大きな窓には円状のステンドガラスといった、どこにでもある一般的なスフェン教の教会の造りだった。

しかし、その教会は寂れているせいか、神聖さではなく、不気味さからくる近寄りがたさがあった。

 

昼間でも薄暗い路地の奥、その扉の前に、ベリルとルーシーは静かに立っていた。

 

「……行くか」

「うむ」

 

二人が扉を押し開けると、そこには人気のない礼拝堂が広がっていた。祭壇の前に赤い絨毯が敷かれ、壁のステンドグラスからわずかに差し込む光が、教会内を幻想的に照らしている。

 

礼拝堂の奥、祭壇右にある長椅子に一人の男が座っていた。

 

「珍しいものだ。こんな教会に、客が訪れるとは」

男はこちらに気づくと、立ち上がりゆっくりと歩み寄ると、礼拝堂の中央で立ち止まり、わざとらしく深く頭を下げた。

 

「教会へようこそ。……ただし、客人に振る舞うパンも葡萄酒も、残念ながら今日はない」

その男は、赤色の東洋の着物を着ていて、手を後ろで組んでいた。腰にはスフェン教がよく使う、刺突剣のエストック。首にはロザリオを下げていた。

 

「司教に用があっての、どちらに?」

ルーシーが答えると、男は組んでいた手を横に戻す。

「そうか」

男はそれだけ言うと、代わりに一歩、前に出た。

そして、腰の剣を抜くこともなく――それを投げた。

投げた動作は、まるで弓を引くような精密さと躊躇のなさがあった。

 

鋭い風切り音が鳴り、剣が一直線にベリルの眉間を狙って飛ぶ。

 

「ッ!」

咄嗟にベリルは抜刀し、剣の腹で飛んできたエストックを受け止め、弾き返す。金属音と共に刃は横に逸れ、礼拝堂の柱に深く突き刺さった。

 

「ふむ、期待通り、武を求める者の動きだ。」

「何のつもりじゃ?」

ルーシーが怒気を含みながら、男に問いかける。

 

「残念ながら、司教に会わせることはできん。司教に頼まれてな、護衛というわけだ」

指をポキポキと鳴らしながら、男は呟く。

「それに、魔法師団の団長とその連れとなれば、通す理由もない」

男の目が細められる。敵意ではない、どこか愉悦すら滲む声だった。

 

ルーシーが男の前に出ようとするが、ベリルが手で制す。

「ルーシー。お前は司教と『聖杯』を探せ。こいつは──俺がやる」

男が口元を緩め、ただ立っている。

「‥‥わかった。死ぬなよ」

ベリルと男を交互に見た後、ためらいがちにルーシーは言う。

「任せろ。」

その言葉にルーシーは頷き、教会の右側にある地下に通じる階段を下っていった。地下へ降りる直前、ルーシーはほんの一瞬だけ振り返った。何かを言いかけたが、結局、言葉にはならなかった。

 

 

――

 

 

「行かせた俺が言うのもなんだが、良かったのか?通して?」

「構わん。元より、俺はどこぞの英霊どもと違って、聖杯などという厄ネタは求めてない」

男が口元を緩める。その笑みは狂気ではなく、冷ややかな満足の色。

「求めているのは、それに惹かれるお前のような強者だ。」

無手のまま、男は静かに、呟く。

「どうした?打ち込んでこい?お前はそれを望んでいるはずだろ」

「武器も持たずにか?」

ベリルは、その挑発にあえて乗るように剣を構えて、横一閃で斬りかかる。丸腰相手、すぐに終わるだろう。そう考えていた。

 

が。

 

男は右からの斬撃を肘と太ももで挟み込むことで受け止めてみせた。

「なっ!?」

「‥‥侮ったな。剣士よ」

ベリルは驚愕しながら、剣を引き抜く。男は、回転するようにその衝撃を受け流す。そのまま、ベリルの斜め横に回り込み、死角にもぐる。

 

ベリルが、背後を振り向いた時には、男の手刀がベリルのうなじに叩きこまれていた。

「がっ‥‥」

ベリルは、耳鳴りと、震える脳で失神するのを耐えながら、男と距離を取る。だが、男はすかさず、左手を前に、右手を後ろに引いて拳を構え、素早い突きの連撃を繰り出す。

 

ベリルはその飛んでくる拳を剣で切り返すが。

 

なんと、男の拳とベリルの剣がぶつかる度に、鉄同士がぶつかったように金属音を奏で、火花が散る。

「拳を魔術で強化してるのか!」

「ご明察。だが、その拳は槍よりも鋭い」

男が自慢げに裏拳を振り下ろし。

 

ベリルの前で虚空を叩く。

 

「なぜ外した!?」

男が困惑するのをよそに、ベリルは三本の斬撃で男に斬りかかり、両肩と右わき腹に傷をつける。

 

ベリルは、『無形』という特異な踏み込みによって、相手の時間認識と距離感を狂わせたのだ。それによって、攻撃を外させ、反撃を狙ったという訳である。

 

だが。結果は互いに痛み分け。ベリルはうなじをさすりながら、ズキズキとした痛みを感じ、男は両肩の怪我によって、腕の可動域を制限されてしまう。

 

「やっと楽しくなってきたじゃないか」

そう言うと、男は魔術で傷を塞ぎ、諦めずまた拳を構える。立ち姿からもわかるほど、男は純粋に殺し合いを楽しんでいるようだった。

 

「‥‥そうか」

その在り方が、どうにもベリルには眩しく映った。そして、うらやましく思ってしまった。

 

男が再び、ベリルに近づき殴りかかろうとした、その時。

 

男の足元からツタのようなものが伸び、男を拘束し、地面に縫い付けてしまった。

「すまん、遅くなった」

「いや、早いくらいだ」

ルーシーが魔術で起こしたのだと、ベリルはすぐに理解した。

 




fateのキャラは出さないと言った。だが、一般通過YAMA育ちを出さないとは言ってないぜ?

☆捕捉
YAMA育ちの男がベリルに一撃入れたのは、男の戦い方が初見殺しなのと、強化魔法使ってて単純に強いのもあるけど、ベリル君が剣鬼抑えてて無意識の手加減入ってるからというのもあります。まぁ、この世界、魔法とか武器が戦いの主流だから、無手で戦う奴がいるとは思わなくて、侮ったんでしょ。
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