片田舎の剣聖、TUBAMEを斬る。 作:you are not
「…‥?」
ルーシーが不思議に思い、ベリルの顔を見れば、恐ろしいほどの発汗をしながら、剣を寸止めしていた。
「なぜやめた?」
「‥‥無暗に人を殺すのはダメだ」
ベリルはそれだけ言って、剣を納めた。ベリルは、剣が好きだ。そのために研鑽と努力をいくらでもする。だが、そのために他者を犠牲にするのは許されないとベリルは理解していた。
『誰であろうと踏み台にして強さを求める闘争心』
『無辜の人々を殺してはいけないという道徳心』
きっと、どちらもベリルの本心なのだろう。だからこそ、彼は己の道徳心に従う。
ベリルは、納刀するとその場を去った。
―――
一人残されたルーシーは、ぽかんとしながら、ゆっくりと首筋に手を当てた。
――そこには、たしかに先ほどまで存在していた『殺意』の余熱が、微かに残っている。
(最後の剣技……)
魔法を極めてきた者だからこそ、彼女には理解できた。
あれは魔法ではない。だが、それは明らかに世界の理へ“干渉”していた。
並行世界への干渉。
それによって、時空にねじれを生み、斬撃の数を『増やす』という、剣士の域を逸脱した現象を成立させていた。
「クッ、ふふっ、いやはや……なんと、なんという馬鹿じゃあの男は!」
あまりの非効率。手数を増やすだけなら、もっと簡単な方法がいくらでもある。だが、あれは違う。魔法を使おうとして辿り着いたものではない。
魔法に似て非なる『技』。
あくまで、剣という枠の中で到達した領域――常軌を逸した研鑽と執念、血反吐では足りぬ試行錯誤の末に生まれた『結果』だ。
(なぜ、そこまでして……?)
ルーシーには、その動機がまだわからなかった。だが、確かなことが一つある。
「――美しいのう」
その技は、理屈を超えていた。
合理性を捨て、常識を捻じ曲げ、たった一人でそこへ至る。その狂気すら、才能の輝きに変えてしまう男。
しかも、それだけの力を持ちながら、自ら理性で剣を止めた。
(なんと、不器用で、なんと真っ直ぐで、なんと……生きづらい男か)
けれど、彼はそれを貫く。剣士としてではなく、一人の人間として。
己の信念を背負い、誰も踏みにじらずに剣の道を行こうとしている。
「まったく……予想外じゃ。ここまで、あの男に惹かれるとはな……」
呟いたその声は、どこか柔らかい。ルーシーは気づかぬうちに、微笑んでいた。それは、かつて感じたことのない感情の芽吹き。新たな友への敬意か、まだ名前のつかない特別な感情か―――
いずれにせよ、魔導師ルーシー・ダイアモンドの心に、確かに『何か』が刻まれた瞬間だった。
闇のおっさん(少年)「強者死すべし、慈悲はない(鯉口チャキチャキ)」
ベリル「エゴだよ、それは!」
ルーシー「おもしれー男」
この世界の少年ベリルは見切りカウンター特化じゃなくて、見切ってからガンガン行こうぜな戦術です。もうちっと経験詰んだら、原作みたいな見切りカウンターツリーが育つかな?まぁ、何故か対人魔剣ツリーを育ててるんですけど()