TS魔法少女、悪友チャラ男ニ雌落チス 作:ラッダイト
「困りますよ、
「あぁん? なにが」
てとてとと後ろをついてくるイケボのネコ風生物に問い返す。
「ライブハウスの件です」
「まずお前をしまってたユニに文句言うべきじゃね」
「そこは抗議しましたが。それより
「アイツ、そこまで魔法少女に入れ込んでんの?」
「いえ、すみません少々盛りました」
「こいつ……!」
「きゃー*1」
頭をわしづかみにしてくるくると腕を振り回す。
ぽんと前方に放り投げると、大きな頭から落ちるかに思われた
ぱちぱちと
「――とは言いましても実際のところ問題なんですよ」
「なにがだよ」
商店街を一人と見えない一匹は歩きながら会話を交わす。
戦車の耳にはワイヤレスのイヤホンがかかっており、右衛門の認識阻害もあって話していても周囲に不審に思われることはない。
もとより金髪マンバン強面チャラ男をそうそう見ようというものもなかったが。
「門倉さんに魔法少女が必要なのかと思われしまったという点が、です」
「いや、必要だからお前らがスカウトして戦ってるんだろ?」
「そうです。そして門倉さんにもそのように説明していたのですが、よりによって人型のヴォイドを実質一人で倒してしまった観測者がいらっしゃるわけですよ」
知らんがな、という言葉を飲み込む。
「大体なんだよ、その『観測者』って。たしかパイセンも言ってたけどよ」
「剛田さんのように魔法少女に協力いただいている方の呼称ですね」
「気取った呼び名だな」
「では役割にもとづいて『
「いいよなウォッチャー! ネト〇リとかs〇eamとかで配信してそうで!」
「そうですか?」
とんでもない風評被害*2の予感に戦車は慌てて頷く。
そして全力で話を本筋に戻そうと試みた。
「つってもよ、結局とどめを刺したのユニだぞ?」
「そこなんです。たしかに観測者もヴォイドに干渉はできないこともありませんが、普通はプロレス技でダメージは与えられないんですよ」
「俺にはできたぞ?」
「できないはずなんですよねえ……!」
「建設的に事実ベースで話したが良くねえか」
「なんでしょう。そこはかとなく理不尽を感じますが、まぁおっしゃるとおりです。ですので剛田さんには調査にご協力いただければと思いまして」
ととと、と戦車の前に歩み出てきた右衛門が、ガラス玉のような青い目を輝かせてそう言った。
「協力なぁ、具体的には」
「
軽く頭を踏み抜く。
ぐにゃりと白い大きな頭がへこんだ。
「ひどいですよ、剛田さん」
「お前の提案のがよっぽどだわ。いきなり人外しぐさ見せてきやがって」
「ちょっとしたお茶目な冗談じゃないですか」
「シャレにならない冗談なんだわ。自分の立ち位置考えて物言えよ」
持ち上げて頭を戻そうと引っ張っていると、右衛門は人が腕組するように前足を交差させた。
「では身体検査にご協力いただくということで体組織などなどをご提供いただければ……」
「あんま変わってねえぞ、などってなんだ。具体的に言えよ」
「そうですね、髪の毛に
「いっきにそれっぽくなったけど、微妙に嫌なラインナップきたな……」
「もしくは門倉さんとセックス!していただくかですね」
「だから普通に言え」
はあとため息をつきながら戦車は五人ほどが並ぶ列の最後尾に落ち着いた。
「そんで、いきなり話が変わってねえか?」
「いえ、門倉さんの状況は常時データどりをしておりますので、データとしては採取できます」
「プライバシーェ……!」
「ちゃんと本人に了承を得ているうえに、収集したデータは目的以外のことには誓って使っておりません」
「本当、妙なところで形にこだわるやつだな――黒二つで」
「はーい」
あっという間に列はさばかれ自分の番となった戦車は、小銭を出しながら店員に告げる。
「おまたせしましたー」
「ども」
紙袋を受け取るとベンチへと向かい、たい焼きを取り出して右衛門の口元へもっていく。
大きな頭が右にかたむき、青い目が戦車を見上げる。
「私は人類や他の生物のように食べ物は必要としないのですが」
「食えねえわけじゃないだろ」
「ではご厚意にあずかりましょう」
首の角度を戻して右衛門がたい焼きに口をつける。
腹部に横からかみつく形だった。
「どうよ」
「悪くありませんね」
素直でない物言いにそうかいと苦笑して戦車も頭からたい焼きにかじりついた。
ほどよくパリッとした皮の下に、みっちりとあんこが詰まっている。
「それでセックス!の件ですが」
「…………食い終わってからにしてくれ」
気づけばぺろりとたいらげていた右衛門がゆらゆらと尻尾を揺らしながら続ける。
「お返事は好きなときで結構ですが、剛田さん曰く正当防衛とはいえBまでされた仲じゃないですか。いまさら何をためらわれることがあるんです?」
「……前伝えたとおりだよ」
「まったく地球人類はむずかしいですね」
「うっせ」
こいつやっぱ異星人か異次元人の手先っぽいな、と思いつつ戦車はたい焼きの尻尾を口に放り込む。
もっちゃもっちゃと
「あんだよ」
「剛田さんの体格で一つで足りるものかと思いまして」
「このあと飯も食うしなァ――食い足りなかったのか?」
「いえ、あと一つで十分ですよ」
「そりゃ二つも食えば十分だろうよ」
苦笑しながら紙袋を丸めて尻ポケットに突っ込み、もう一度列へ向かうべく立ち上がる。
「次は白あん行くか?」
「違いはなんでしょう」
「そりゃ原料じゃねえの」
「とはいえ先ほどのものも十分美味でしたが、剛田さんは試す価値があるとお考えで?」
「完全に個人の好みだと思うが、両方かって分けるか」
「良い考えで――」
そこでぴたりと右衛門が言葉を切る。
どうしたと視線を下ろせば、天敵を目にした動物のように通りの反対を見て止まっていた。
「ヒエッ」
その視線を追えば、二人の人物が静かな怒りを感じさせる無表情で立っていた。
「――へえ、デート?」
「右衛門ちゃーん、ちょっとお話しよっか☆」*3
アンケート締め切りました
世間は魔法少女でなくてチャラ男とマスコットものを求めている可能性……?
あと評価フル到達謝謝茄子!
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右衛門