輸血パックが手放せないアカデミア   作:AMEN!!

1 / 4
吸血鬼って個性は不便

 

 皆さん初めまして、俺の名前は『紅導 蛮(アカド バン)』……なんの因果か、すんごい特殊な能力を持って生まれついた輸血パックの手放せない中学三年生です。

 

 俺が生まれついて手に入れた個性は大分独特……と言うか、癖が強いと言うか、手間がかかると言うか……つまりその、何んと言うか……要するに面倒くさい個性だ。

 

 俺の個性は『吸血鬼』

 吸血鬼っぽい事なら大抵何でもできる……いや、しなくちゃならないと言った方が俺にとっては適切だ。

 

 やれる事も多様にあり、影や血液の様なエネルギーを操り武器にしたり、コウモリやオオカミ等の黒い獣へ変身したり使役したりもできる。

 

 再生能力も高く、両腕を千切られたくらいなら直ぐに再生する。お陰で絆創膏を貼った事が無いのが自慢だ。だって、直ぐに直るんだもの。

 

 まぁ、そんなこんなで戦闘面に置いてはかなりの強個性な俺の個性だが、それ相応のデメリットが存在する。

 

 まずデメリット1つ目……吸血鬼の食料といえば何を思い浮かべるだろうか?

 そう、生き血を啜らなければならない事だ。血を啜り己の糧にしないと生きていけない。それが吸血鬼。

 

 俺の場合は輸血パックが欠かせない。食料のすべてを血液に依存している訳じゃないが、少なくとも定期的に輸血パックで血液を飲まないとかなり身体が貧弱になる。

 

 それこそ、1週間血液を飲まなかったら、個性の大部分が使用不可になり、俺の身体は無個性同然……いや、それ以下の耐久値となるのだ。最低3日に1回。できれば毎日輸血パック二袋は飲んで起きたい所だ。

 

 二つ目の弱点は日光……これもそこそこ辛い。

 

 素肌に日光が当たるとじわじわと焼けるのだ……これがまた痛い。痛いで済む分大分優しいが、それでもかなり痛い……ので、専用の保護クリームを身体に塗って、その上でなるべく露出の少ない服を着込んでいる。

 

 真夏なのに長袖長ズボンでフードを深くかぶって全力で日光を避けるその姿は、完全に不審者のそれだ……何よりくっっっっそ暑い。暑いを通り越して熱い。

 

 折角日光の直火焼きを免れたのに今度は普通に蒸し焼きにされそうだ。

 

 他にもニンニクが駄目だったり、招かれない限り家に入れなかったり、塩も駄目だし、十字架もキツイ。川とか海とかの自然の流水も苦手だ。どれも苦手とか生理的に無理レベルで日光ほど対策を取らないと駄目な訳ではないが、案外弱点が多い。

 

 まぁ、ぶっちゃけこんだけ色々だめだと日常生活にも流石に支障をきたす訳で……輸血パックとか専用の保護クリームとか値段高いからバカにならない訳で……親には金銭面的にも精神面的にも大分負担を掛けたと思う。

 

 そのせいで最終的に……と言うか、わりと早い段階で『化け物』呼ばわりされて孤児院に捨てられました。

 案外軽く話すなって?笑い話にもしないと心が壊れそうなんだよ……いわせんな察しろ。

 

 まぁでも、送られた孤児院はなかなかいい所で……年下の子供は可愛いし養母さんは金に糸目をつけずに俺の事を助けてくれる。正直かなり嬉しかったよ。途方もない恩を受けたと言ってもいいくらいには感謝もしてる。

 

 そんな孤児院へ恩返ししようとなった時、俺が思いついたのは『ヒーロー』になる事だった。ヒーローになって金を稼いでみんなに楽をさせる……俗っぽい理由だ。だけど、大事な事だとも思う。

 

 ……まぁ、正直建前的な所もあるけど。

 本当は、まぁ、その、何と言うか……格好良いからだ。誰かの為に身を削って手を伸ばすヒーロー、悪くない。

 

 それを世間からは悪者として扱われることの多い吸血鬼がやったら、それはそれで面白くはないだろうか?

 

 夜の闇にやってくるヒーローも。

 陽の光に照らされて来る吸血鬼も。

 

 どちらも、格好良いじゃないか。

 

 

 

 

 だから、目指すんだ。

 

 

 

 デメリットが多かろうがなんだろうが、生まれついて手に入れた、この力で。

 

 

✙✙✙✙✙

 

「ハイ、スタート!」

 

 

 

 

 

 そんな決意表明は、突然鳴らされた試験のゴングによりかき消された。ここは雄英高校ヒーロー科実技試験の場。

 

 個性を使う犯罪者、ヴィランへの対抗策。ヒーローを育てる育成機関……その最高峰と言われる場だ。No1ヒーローオールマイトを始めとした、数々のプロヒーローを輩出している学校。

 

 ヒーロー目指すものとしてこれほどあこがれる場は無い。

 

 

 ……無いのだが……

 

 

 

『どしたァ!?本番にカウントダウンなんて物はねぇぞ!?走れ走れェッ!賽は投げられてんぞ!!』

 

 

 急すぎませんかねぇ!?まだ輸血パック飲み終わってな……あぁ、みんな早い。もう先に進んじゃってるよ。流石にちんたらしてる奴は居ないな。

 

「しょうがねぇ……俺も行きますか。」

 

 俺は飲みかけの輸血パックをポッケにしまって、『個性』を発動させる。

 

「取り敢えず……羽根だな。」

 

 すると、俺の背中に赤黒い血液のような物体が生成され、それが変形し翼を形成する。

 

 俺は先程飲んでいた血液を媒体に身体能力を増強させ、地面がえぐれるほどの勢いを込めて、地面蹴り上げ空へと飛び出した。

 

「ッッッ!!!」

 

 大空へと飛び上がり、あっという間に先を進む受験者達を追い抜いて俺は先へと進む。空からだと仮想敵がよく見える……

 

 あ、この実技試験の内容は、簡単に言えば仮想敵ってロボを倒していくと、そのロボットに応じてポイントがもらえるって仕組み。

 

 なんか0ポイント仮想敵も居るらしいけど、それは後半のギミック扱いらしい。どんな奴かは分からないけど取り敢えずブチのめす位の気概でやります。

 

 さて、仮想敵の数も限られるだろうしさっさと倒そう。俺は仮想敵が集中している場所に向かって翼をはためかせて、思いっきり急降下する。

 

「!?標的ハッケン!!……ブチコロス!」

「ブチコロス!」「ブチコロス」「ブチコロス!」

 

「おぉ……怖い、怖い!!!」

 

 俺は翼を形成してる物質――便宜上血液って事にしておこうか――を、鋭く尖る槍状の武器に変形させて飛ばす。

 

 飛ばされた槍は弾丸のように仮想敵に突き刺さり、辺りの仮想敵をバラバラに砕いていく。

 

「いやぁ、案外脆いな……なるほど、パワー系じゃない個性の為にも脆くしてるのか。って言う事は戦闘力だけを見てるわけでもなさそうだ……」

 

 俺はそんな事を考えながらふと仮想敵の残骸を観る……すると、ぶっ壊れた仮想敵の腕の残骸が見事にクロスして十字架を………

 

 

 

十字架!?

 

 

 

 

 

「ギャァァァァァァァ!?」

 

 俺は咄嗟に翼を腕のように伸ばして残骸を払いのける。払いのけると言うか、その実態はほぼ残骸を殴り飛ばしていた。

 

「何アイツ……急に発狂して……」

「ヤバっ……」

 

 アカン(アカン)。明らかにやばいやつだと思われた……いや、ごめんなさいね本当に。

 

 でもあっぶねぇ……十字架は生理的になんか無理なんだよなぁ。これも個性の影響なのだろうか、特に身体に害はないけどね。

 

 マジで気持ち悪くなるくらいで。クロスしたもの全般苦手……まぁ気づかなきゃセーフだし生きてるとそんなに気になることもないんだけど。

 

 あくまで生理的に無理だから克服しようと思えばできる気もする。

 

 そもそもなんで十字架駄目なんでだろ、俺キリスト教徒ではないんだけどさ。っとそんな事はどうでも良くて……

 

「これで何ポイントだ?……まぁいいか。兎に角やれるだけやってみよう。」

 

 俺はもう一度血液で作った翼をはためかせて、大空を舞い上がる。

 また仮想敵を探すために……何処までやれるかは分からないが、やれるだけやっておこう。今だけは、ヒーローになった気分で!

 

 

 

 

 

 更に向こうへ……Pulls Ultraってな!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。