輸血パックが手放せないアカデミア   作:AMEN!!

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入試ってのは受難だらけ!

 

「これで何ポイント目だ?20か、30か、40か……。」

 

 数えるのも億劫になる数を、血液を用いて串刺しにしていった。おかげで若干栄養失調気味です!俺の個性って血液を対価に発動させるから余計に輸血パックが手放せないのよね。

 

 なので輸血パックを吸いながら、翼を出して辺りを散策中です……『使い魔』にも手伝ってもらってます……っと噂をすれば。

 

「コウモリ……よし、あっちか。」

「キキキィ!!」

 

 俺の所にやってくるのは、赤黒い色をベタ塗りにした様なコウモリのシルエットを持つ謎の獣。俺の使い魔って奴で、俺はコウモリって呼んでる。

 

 このコウモリモドキ、結構使えて俺と感覚をリンクさせて索敵させたり、俺の身体をこのコウモリに変化させて緊急回避なんて真似もできる。

 

 っと、コウモリの情報によると……おぉ、高ポイントが大量だ……だけど、あのタイプの仮想敵。って装甲硬くて厄介なんよな、血液の槍だと弾かれるかもな。

 

「……なら、出力上昇。……やれ、『クドラク』」

 

 俺がそう言って服をはためかせると、服の影から黒いオオカミが現れる。まるで幻影が幻のようにゆらゆらと揺れるこのオオカミも、コウモリモドキと同じく俺の使い魔だ。

 

「GRRRRRRRRA!!!」

 

「食っていいぞ、鉄分は取っと居たほうがいいからな。」

「WOOOOOOOOOON!!!」

 

 使い魔のオオカミ……クドラクは、その大顎を裂ききれそうなほど開いて、目の前の高ポイントの仮想敵に齧り付く。

 

「ブチコロ――」

「クワレ!!――」

「本体ヲ狙――」

 

 クドラクは一体一体の仮想敵を確実に噛みつき噛み潰す。噛み潰して、噛み砕いて、咀嚼して……口に合わないのか乱雑に放り投げる。

 

 そして、俺を恨めしそうに睨みつけながら唸り声をあげる……正直バカみたいに怖い。

 

「だぁ……分かった。今度また肉やるから……だから今だけは機嫌直してくれよ。な?」

「GRRRRRRRR!!」

 

 よし、機嫌直ったみたいだ。こいつはコウモリとかと違って少し聞き分けが悪い……あんまり人使いが荒いとブチギレて襲いかかってくる。肉をちゃんと食わせてやって機嫌を取らないといかん……

 

 まぁ、その分アホみたいに強いんだけどね。クドラク……こいつほおっておいてあらかた食わせるだけでこの試験は片が付くかも知れないくらいには。

 

 だけど、そうする訳にも行かない。クドラクをコウモリとは違って強い、強いしなんにでも襲いかかっていく。

 

 よほどの乱戦状態ならともかく、試験のこの場で解放すると受験者も襲いかねない、そうなりゃアンチヒーローな行いで俺は一発退場だ。だから俺は手綱を握るのも込めてクドラクからは目を離さないようにしてる。

 

「よし、クドラク。戻れ。」

 

 それの指示のもと、クドラクは渋々ながらも俺の懐に還っていく。

 

「ふぅ……そう言えば、0ポイントヴィランって奴。まだ見てないな。」

 

 どんな仮想敵かはしらないが、強いなら強いだけ燃えてくるってものだ。

 

 

 

 

 そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

 

「っ!?地震!?」

 

 突如揺れる大地……ドシンドシンと唸る足音。まるで巨大な何かがじっくりとこちらに近づいているようにも聞こえる。

 

 俺の他の受験生も、何やら嫌な予感がしたのかそっと顔を音の鳴り響く方へと向ける。そこに現れたのは、市街地をもした試験場の原寸大のビルよりも遥かに巨大な仮想敵だった。  

 

 ビルを含めたあらゆる物を粉砕して進む鉄の怪物。下手をすれば普通に命を落とすような試験に、ほかの受験生達は大慌てだ。あたりの人間を押しのけて我先にと逃げようとしている。

 

「や、やべぇ!?」

「あんなのどうにかできるわけねぇって!!!」

「に、逃げるぞ!!」

 

 いやぁ、みんな逃げてる逃げてる!そりゃそうだよな、あんなバカみてぇなサイズの仮想敵と戦うなんて正気の沙汰じゃねぇよな。

 

 俺だって少し前ならこんな化け物がでてきたら逃げてたと思う。けどさ、いざ実際にこうして圧倒的な体格差ってやつをみてみるとさ……なんつーか、アガって来るんだよな。

 

 そりゃあ、勝てるかどうかはお天道様のみが知るって奴だし、俺が負ける可能性もある。本場ヒーローの職場でも、逃げの一手は大事な戦略だ。

 

 それはそれとして……

 俺思うんだわ……『それ、カッコ悪くね?』って。

 

 どんなに相手が強くたって、負けるとわかっているからって、戦わなきゃならない時はかならず来るんだ。オレにとっちゃ、言葉もその戦わなくちゃならない場面の一つだ。

 

 なんてったって()()()()()()()()()()()()()()なんだから。ヒーローが逃げる訳にもいかねぇだろぉぉぉが!!!

 

「さぁて、本丸ブチのめすか?……いや、それより先に!!」

 

 俺は血液で翼を形成し、羽ばたかせてもう一度空を舞う。そして、0ポイントの仮想敵により生み出された瓦礫を、血液を武器のように伸ばして突き崩して行く。

 

 ある瓦礫は貫き、ある残骸は腕のように形成して握りつぶす。デカい瓦礫を何とかぶち壊して行く……だが、さすがに全てを壊せるわけじゃない。

 

 ふと索敵として出した使い魔のコウモリと感覚を共有すれば、取りこぼした瓦礫に足を取られた受験者が居るではないか。丸顔の可愛らしい女の子だ。

 

「っち、流石に全部は凌げなかったか……!!」

 

 何とか助けに行こうと翼をはためかせようとした瞬間、地面から緑の稲妻と共に、一人の緑髪の少年が飛び出していた。

 

「はぁっ!?」

 

「ッッッッ!!SMAAAAAAAAAASH

 

 その緑髪の少年は、腕に力を込めた一撃……たったワンパンで、目の前の超巨大な0ポイント仮想敵のをぶっ飛ばしてしまったのだ。……いや、化け物か!?パワーえげつなさすぎだろ!?

 

 と言うか、なんで急に飛び出してきたんだ……?もしも、俺と同じ様にヒーローとして見て見ぬふりは出来なかったか……もしくは()()()()()()()()()()()()()()()()どちらかは分からないが、流石にあそこまでの力を見れるとは……賞賛したい。

 

「緑髪!アンタすげぇ……」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 ギャァァァァァァァ!?

 緑髪の子落ちたぁっ!?腕ヤバい色になってんだけしもしかして着地のこと考えてなかったの!?

 

「流石にヤベェッ!?」

 

 俺は咄嗟に翼をはためかせて、なりふり構わず血液を消費して、まるでジェット噴射の様に血液の様なエネルギーを噴出させて落下していく緑髪へと駆け寄る。

 

「……!!もう少し……!!ッ!!!」

 

 良し!掴んだ!

 ……でも、ちょっとヤバいな!?

 

 このままだと受け身が間に合わねぇ!?翼も消えかけてる!さっきのジェット噴射で血液使いすぎたか!?俺は平気だけど、この緑髪の怪我で耐えられるか!?腕変色してんだぞ!?

 

「クッッッソ!!!」

「こっち!こっちに来て!手を!」

 

  そう声をかけてくるのは……瓦礫に挟まってた丸顔女子!?何かわからんが何か考えがあるんだろう!

 

 俺は地面が直ぐそこまで迫る中、絞りかすの血液を身体から伸ばして足場にして丸顔女子へと近づき、緑髪と共に手を伸ばす。

 

 パチン!!と乾いた音とともに少女は俺と緑髪の少年の伸ばした腕を叩く……すると、地面から一センチも無い所で俺と緑髪の身体がふわりと浮いて、そっと地面に倒れる。

 

「ぜぇ……はぁ……あ、あっぶねぇ。助かったぜ、あん……」

「おえええええええええええ!!!!」

「……た……」

 

 助けてくれた女の子が滅茶苦茶吐いてる。えっ、大丈夫なのこの子!?

 

「み、緑髪……大丈ぶ……」

 

「ぐっ……だめだ……ここまでのは……んどう……予測でき……」

 

 緑髪の子も死にかけてんだけど大丈夫なの!?い、いやこういう時の相場は決まってる!助けを呼ぶんだ!!

 

「え、衛生へェェェェェェェェェェェェい!!!」

 

 俺は兎に角死にかけの二人を救うために、血液使いすぎて貧血でふらふらな頭でも、全力で助けを呼ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみにこの後リカバリーガールって治癒系の個性持ってる人が来て、緑髪の子を直してくれました。やったね!!ちなみに俺も血液が足りなくてやばかったので輸血パックもらいました。

 

 雄英の輸血パック、結構味が良かったです。

 




紅導の個性について…………

血液:血液を媒体にして生成する血液っぽいエネルギー。翼にしたり触腕にしたり武器にしたり形は変幻自在。血液の消耗が激しいので輸血パックが手放せない。

コウモリ:紅導の使い魔。索敵に使われる事が多い。可愛い。

クドラク:使い魔その2.ほぼHELLSINGのアーカードが持ってるバスカヴィル。あれほど聞き分けのいい忠犬ではないのは注意。

追記:ジェヴォーダンがB組の宍戸くんのヒーロー名と丸被りだったので、名前をジェヴォーダンからクドラクへと修正いたしました。教えていただきありがとう御座います!
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