オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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異世界の痴女と転生者なオレ―2

さて、紅茶を持って総二の部屋に入ったわけではあるが、なんだかトゥアールさんはそわそわしてる、というよりも口に出して「そわそわ」と言っている。彼女は一体何がしたいんであろうか?

 

「兄さん、カップは3つなのか?」

 

総二、お前……

 

「トゥアールさんの事は秘密にしてんだろうが。だったらオレ含めたお前と愛香ちゃんの分までの3つしか用意できるわけないだろう?」

 

「あ、そっか。でもそれじゃあトゥアールの分は?」

 

「そこは、オレの分を回せばいいさ。オレは……」

 

と、そこでオレは懐に手を伸ばして、中から爽健○茶のペットボトルを取り出す。

 

「コイツで十分だからな」

 

「………相変わらず兄さんの内ポケットはどうなってんだよ」

 

そこはほら、な

 

「秘密だ」

 

「あの……その辺のことはいいから、そろそろ聞きましょうよ。ブレスレットの事とか、あの化け物の事とかさ」

 

ん、愛香ちゃんの言うとおりだな。オレもアイツらの事は気になっていたし。何よりもアレ1体だけだというわけでもないようであるし。

アイツは確かに切り込み隊長と言っていた。つまり複数体の団体様であることは容易に想像がつく。

しかも結構な数の戦闘員がいたことから、その規模はかなり大きいことがうかがえる。そして奴らの事をよく知っている人物は、ここにいる。ここにいるのだが……。

 

「黙ってはなさんかぃぃぃぃいいいいっ!!」

 

「ひぃぃぃぃいっ!矛盾してますぅぅぅう!!」

 

愛香ちゃんにまた何か言ったのであろう。胸倉を抑えられてブンブン振り回されていた。

……大きい声を出したら気付かれるということを忘れているのであろうか、彼女らは……。

 

「落ち着けって愛香。これもトゥアールなりな気遣いなんだって」

 

いや、総二。アレはどう見てもそういう感じじゃなかったと思うぞ。

 

「フフッ……総二様はなんでもお見通しなんですね。かなわないなぁ……」

 

なんて言ってゲームの1枚絵にしても問題ない感じにしているが、よく見ると結構な冷や汗が流れているからな、彼女。

 

「ね、そーじ、この部屋、なんか武器なぁい?ハンマーとかアックスとか?」

 

「可愛く言っても物騒な事には違いないからな!!?」

 

………平和だなぁ。

 

「失礼しました。色々先走ってしまいました。それでは順を追って説明させていただきます」

 

トゥアールさんも流石に命の危機を感じたのであろう。居ずまいを正し、神妙な顔で話し出した。

 

「まずは、ブレスレット、テイルギアについてです」

 

「テイルギアとは属性力(エレメーラ)を核とした対エレメリアン用強化装甲の事なのです。すなわち、人を戦士へと変えるスーツみたいなものです」

 

「それは使ったからよく分かる。普段じゃ絶対出ないような力が出てきていたからな。で、それよりも最も気になることがあるんだ」

 

そして、総二は息を吸い込み、言い放つ。

 

「なんで、女に!幼女になるんだよ!?まずそこを教えてくれよ!!」

 

「え?女の体を教えてほしいですか?もう、総二様ったら昂ぶってらっしゃるんですね!いいでしょう、私も男の家にノコノコやってきたんですから、その覚悟はとうに……」

 

「んなこと言ってないから、さっさと説明しろごらぁぁぁああっ!」

 

「んぎゃあああっ!肘にもう1つ関節ができるぅぅぅううっ!」

 

だから、ばれるんじゃ……うん、もう気にしてないんですね、わかります。

 

「えーとですね、1つは正体バレを防ぐための物です。テイルギアには認識攪乱(イマジンチャフ)で容易にはばれませんが、用心に越したことはないですからね。2つにやはり、幼女の姿だと、相手も油断しますからね。そして、最後に……」

 

「最後に…?」

 

「私の趣味ですよ!悪いですか!!」

 

「「「開き直ったぁ!?」」」

 

最後の最後でとんでもない爆弾を放ちやがった!

 

「やっぱり幼女はいいものですよね、ね!」

 

「下がれ、この変質者がぁぁああっ!!」

 

「あぁ!胸がすりつぶされるぅぅぅぅうっ!!」

 

愛香ちゃん、変質者は同意だけど、トゥアールさん、死んじまうから程々になー。

 

「えーと…あの怪物たちも気にはなるけど、トゥアールの事を先に教えてくれないか?」

 

「まってましたぁ!さぁ、すみずみ、まで……いえ、なんでもないです」

 

おもむろに白衣を脱ぎ去ろうとしたが、愛香ちゃんの鬼の形相を見て、ヤバいと思ったのだろう。動きを止めて、震えだす始末であった。

 

「えー、とですね。私は異世界から来た異世界人といったころでしょうか。といってもまるきり違う世界といったことではありません。並行世界というものですね」

 

「並行世界?」

 

流石に分からないか。

 

「並行世界、可能性世界とも言ってな、無数の選択肢の数だけ、存在すると言われてるものだ」

 

「おや、よくご存じですね。その無数の世界の1つから私はやってきました。この世界よりも少し科学が発展していますが、さほど大きな違いはありません。名称こそ違いますが、私はこの世界で言えば日本人のようなものです」

 

「「うそぉ!?」」

 

「マジかよ」

 

流石にこれにはびっくりである。ということは並行世界であってもそれなりの距離の離れた世界であるということなのであろうか?

 

「そして、今日、総二様とお義兄様が倒した存在はエレメリアン、そして奴らが求める属性力(エレメーラ)についてお話しします」

 

トゥアールさんの説明曰く

 

属性力(エレメーラ)とは心の力。人の趣味嗜好や身体的特徴、職業、得意分野等の様々なモノがあるのだそうだ。

そしてそれが失われれば、それに掛けた思いまで消滅し生涯で二度と取り戻せないという。

例えば、今日のようにツインテール属性を失ってしまったならば、もう2度とツインテールにすることはおろか、したいとさえ思わなくなるようなのだ。

 

「ツインテール好きってだけで、あんなにも力が出せるもんなの?」

 

流石に話が突飛すぎたのであろう。愛香ちゃんは疑問に感じたようだった。しかしオレにはそうは感じなかった。心の力ってのは時として恐ろしい効果を巻き起こすことが多々あるのだから。

 

「精神力はどんな燃料や化学エネルギーにも勝る、莫大なエナルギーなんです。精神が肉体を凌駕するとかっていいません?」

 

「なるほど、確かに」

 

「そう考えると不思議はないんだな」

 

「そして、普通の生身の人間では、集中力が増加するとか、少しの間だけ限界を超えるとかが限度ですが、テイルギアはその先、それらを高威力なエネルギーへと変換し、力とするモノなのです」

 

「それから、総二様が戦いのあと拾った宝石ですが」

 

あのひし形の宝石か。あれは勝手に総二の籠手に回収されてたようであったが。

 

「あれは属性力が結晶化したもの……属性玉(エレメーラオーブ)と呼ばれています」

 

「属性玉か……」

 

そろそろツッコもうかな。気になってる部分があるわけだし。

 

「ところでトゥアールさん、その属性力ってのは、こう、フェチみたいなのだけなのか?ほら家族愛とか友情とかあるじゃない」

 

「確かに普通に考えるならそれらが強いように思えます。しかしある一定の知的生命体ならばそれらは必ず備わっているもの。いわば精神の土壌なのです。だったら全ての人が普遍的に持つものでは大きな力というのは生まれてこないものです。何に魅入られ何に打ち込んだのか、いわば心にかけた力といえばいいのでしょうか、そういったものなんです」

 

「……つまり、総二はツインテールに人生掛けてるってことね……」

 

「んだよ。わりぃか?実際強かったじゃないか」

 

「そう、ツインテール属性はもともと属性力の中でも最大級に力のある属性なんです。だからこそ私もその力を利用してテイルギアを作り出したんですから」

 

「マジか。ツインテールが最強だって!」

 

「「えー……」」

 

総二は嬉しそうであるがオレと愛香ちゃんはげんなりしていた。だって、そんなんに最強の力があるとか信じきれないだろう、普通は。

 

「まぁ、この事を知らない方からすると、そのような反応が普通ですね。しかし物々しい肩書きの属性が強いとは限りません。なにそれ、と首をかしげる属性が強いことだってありますから」

 

まぁ、人それぞれではあるし、そんなもんなんだろう。

 

「テイルギアはツインテールの属性を核として作ったものです。それを扱えるのは強力なツインテール属性を持つ者だけなのですが、何故か自身で結ぶことのない男性で世界最強なまでの属性力を持つことはないのですが……」

 

それだけ総二のツインテールにかけた思いというのは強いということなのであろう。

 

「俺は選ばれし者だったのか!」

 

「そうです!選ばれし者なんです!」

 

盛り上がってんなぁ……。

 

「で、あの怪物は一体何なのよ」

 

「とりあえず属性力を狙っていることだけは分かったけども」

 

「そうですね。奴らの名はエレメリアン。そして奴らの組織はアルティメギルといいます」

 

「アルティメギル……そういえば、リザドギルティがそんなことを言ってたな」

 

オレの言葉に総二も頷く。

 

「アルティメギルというのは、エレメリアン達の組織名です。そしてエレメリアンとは属性力の負の産物と言われています」

 

「負の産物……」

 

「精神力が肉体と自我を得、そしてやつらの主食となるのが同じくな精神力――――そう、属性力だったのです」

 

「やつらは高度な科学力とその大群という力を持ち、いくつもの世界を滅亡させていったのです。私の世界もそんな無数の世界の1つです」

 

「トゥアールの世界もか!?」

 

「はい。私の世界の属性力は全てアルティメギルに奪われました。俯瞰すれば何も変わらない世界です。だって、奴らは命は奪いはしませんから。しかし残されたのはどこか無機質で、空虚で覇気のない人間だけが残された世界なんです。これほど静かで残酷な侵略もないでしょうね……」

 

「トゥアール……」

 

「だからこそ、私は来たんです。属性力の認知されていない世界では驚異の悪魔です。私の世界の復讐という形ではありますが、ここにやってきたんです。もう2度と私の世界に属性力が戻ることはありませんが」

 

「どうしてよ?今日みたいにすれば」

 

「24時間以上経過してしまいますと2度と戻らないんです。だからこそ生産性のない復讐なんですよ、私のこれって」

 

「……そっか」

 

愛香ちゃんも流石に何も言えなくなったらしい。

 

「利害の一致ということだからこそ、協力できるんだな、オレ達は」

 

「そうです、お義兄様。まぁ、私の事はそんな感じなんですが……お義兄様、私は貴方の事も気になります」

 

「おいおい、総二だけじゃなくてオレにもなんて、目移り激しいな」

 

「そういうことではなく。貴方からはツインテール反応がありませんでした。しかし実際蓋を開けてみると貴方もツインテールの戦士となれていたではないですか」

 

「そういえば」

 

「兄さんのこともあった!」

 

「お義兄様、貴方は一体何者なんですか、そしてあれは一体なんですか?」

 

「オレは………」

 

さて、どうするかな?

 

 




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