私は艦娘または深海棲艦である。正体は未だ不明。   作:キノコ飼育委員

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見切り発車オーライ。打ち切り目指して出発進行!
えー、艦娘も深海棲艦もバタバタ死にます。喰われます。
苦手な人は注意してね♡


ハロー・ワールド

「―――イ、ヘイ!」

 

 誰かが、私の肩を揺さぶっている。

 

 頭が、痛い。

 

「ヘーイヘーイ、起きろよオヒメサマよー」

 

 軽い調子の、男の声だ。聞いた瞬間私は、間違いなくこいつは下衆な野郎だと直感した。

 

 だが私は頭が痛い。本当に痛いのだ、痛くて痛くてたまらない。何もしたくないと思うほどに酷い痛みが私の頭を襲っているのだ。

 身を起こすよりも、このままこの固い床にうつぶせに伏せて休息を取り続けたいのだ。

 

 だがそんなことはお構いなしに下衆な声は叫ぶ。

 

「ファック!!いつまで俺はテメェを揺さぶんなきゃダメなんだ?優しく起こして王子様ってか?いっそ思いっきり引っ叩きたいぜ!」

 

 ……誰かが、いや『何か』が私の傍でビタンビタンしている…?

 

「でも無理だよな!何てったってお互い繋がってんだ、テメェをぶっ叩くと俺も痛い!あ、エサはっけーん!!」

 

 今度は傍らで銃声、いやこれは……砲撃音?

 同時に少し離れた場所で派手な爆発音が。

 て、うあぁぁ音が、音が頭に響く、痛い、イタイ。

 

「シャハハハハ!!イッタダッキマース!!」

 

 さっきから喧しい『何か』はご機嫌な声を上げて移動したようだ。その速度は声の聞こえてくる場所の移動から推測するにかなり素早い。

 ところで私は、ここで『何か』の言った“繋がっている”という言葉の意味を理解した。

 『何か』の移動に合わせ、私の身体もぐぐぐ、と引きずられたのだ。

 

 ……尻の辺りを中心に。

 

「むーしゃむーしゃチアワチェェエエエってか!ゆ虐!フィーバー!!駆虐!サイコー!!ビバ★ヒューマンカルチャー!!シャーハハハハハ!!」

 

 汚らしい咀嚼音の後、『何か』は『エサ』とやらに体当たりをかましているらしく、鋼鉄同士がぶつかり合うような重低音と、エキセントリックな叫びがこだましている。

 何故『体当たり』とわかるか?それは、その感覚が私にも来ているからだ。

 

 と、頭痛が少し和らいだ。ほんの少しだが。

 その代り、今度は全身が痛み出した。なんというか頭の痛みに誤魔化されていたような感じであり、確実に重傷とわかる痛みだ。それは腹立たしいことに先ほどから好き勝手する『何か』の部分も含まれていると感じられた。

 

「ていうかいい加減に起きろォ!!」

 

 と、『何か』が力いっぱい()()()()()。となれば当然繋がっている私にもその『うねり』が伝わり――――

 

「げっふぁ!!」

 

 手酷く全身を床に打ち付けた。

 

「イッテェェェェェ!!ファック!やっぱクソ痛ぇぜチクショウ!」

 

「ぐ……ぁ…」

 

 やはり同じ感覚を共有しているのか、『何か』も床に倒れこんだようだ。

 私はのろのろと身体を起こし、顔を上げた。

 

 暗い。あまり明るくはない場所、室内だ。すぐそばから潮の香りが漂ってくる。

 天上にバチバチと明滅する照明が一つあるが、それではこの広々としたホールは照らしきれまい。

 

 と、同じく起き上がった『何か』が、私に声をかけてきた。

 

「やぁっと起きやがったか、気分はどうだオヒメサマ?」

 

 さて振り向いて御対面……しなければよかった。

 なぜならそこにいたのは、真っ白な歯がキラリ素敵なシャークヘッドだったから。それも私の頭を一口にできそうな。

 ……いや、頭がメタリックな白い装甲板で覆われている上、両脇に小さな戦艦の三連装砲が一門ずつ、頭に少し大きな三連装砲が二つ直列に並んでいる。蛇のように長い胴体には背びれの代わりに空母の飛行甲板のようなものがズラーっと並んでいる。なんというかその無機的な兵器と有機的なボディの合体がサイボーグを彷彿とさせた。

 そしてその胴は、私の背後、ちょうど尻のあたりに……。

 

 ……つまりコイツは私の一部か、ビビって損した。

 

 ふむ……さしあたって、次に解決すべきはこの“新たな疑問”だろう。

 というわけで、私はその尻尾にこう尋ねることにした。

 

「……貴様は誰だ?」

 

「……ハァ?」

 

 ソイツはコテっと首を傾げた。その凶悪な面とは裏腹に、何故だか可愛いと思う。

 ここで『見りゃわかんだろ!尻尾だよ!』という返答が返ってくるのかもしれないが、私はこれまでの情報から彼から確固とした人格を感じていた。だから尋ねたのだ。

 

 だがこの“新たな疑問”は、手近な人間に三つ続けて聞くことで初めて成立する『お約束』なので、彼の混乱を放置して私は続ける。

 

「ここは、どこだ?」

 

「おい、おい待てよまさか……」

 

 待たない。あと一つなのでな。

 

「あと、私は誰だ?」

 

 ソイツは口をパクパクと酸欠の金魚のようにさせた後、

 

「ファァーーーーーーーーック!!!!」

 

 盛大な罵声をホールいっぱいに響き渡らせた。意外といい声してるじゃないか。

 

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