私は艦娘または深海棲艦である。正体は未だ不明。   作:キノコ飼育委員

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深海棲艦
研究所攻略部隊
残存艦数117隻。

ウチワケ
駆逐33隻
軽巡7隻
雷巡14隻
重巡11隻
軽母15隻
空母6隻(ヲパール含む)
戦艦10隻
潜水6隻
護衛要塞2体
輸送12隻
艦隊総旗艦である戦艦棲姫『サリー・オクラホマ』。


謎の軍艦
艦数1隻

ウチワケ
主人公+尻尾



フロム・ザ・ボトム

 ヲパールは研究所から飛び出し、夜の浜辺の一点を目指してかけていく。

 目指すは己の仕える姫、超弩級戦艦『サリー・オクラホマ』の御前。

 

 サリーの前に跪き、ヲパールは淡々とした口調で報告する。

 

「姫様、申し訳ございません。任務に失敗しました」

 

 正直もう少しすまなそうな顔とか声色とかしろよと思うレベルで淡々としている。

 その様子に頭痛を覚えるサリーだったが、とにかく失敗の理由を聞かねばならない。

 

「……どうなったの」

 

「未確認艦と遭遇し、交渉を試みましたが一方的に破棄され戦闘状態に移行。鹵獲に切り替えましたが標的は非常に強力な兵装を有しており、さらには卑劣な不意打ちによって空母を撃沈されました。私も援護のために直援機を向かわせましたが、無念ながら力及ばず。ベレロフォン様は未確認艦の鹵獲のため不退転の勇猛さで「ヲパール」」

 

 流暢な言葉使いで長々と説明するヲパールを遮り、サリーは言った。

 

「ヲパール、私は貴女の正直なトコロを買っているのよ。何があったの?」

 

 促された途端、ヲパールの淡々とした口調に皮肉げな色が混じった。

 

「援護を拒否され現場を追い出されました。ベレロフォン様は鹵獲を行っていますが、既に艦隊は半壊しつつあり成功するとはとてもとても」

 

 相変わらずの無表情だからか、皮肉げな口調が嫌に目立つ。

 

「失敗の確率は?」

 

「6割かと」

 

 聞けば即答。

 

「お前の私見を全て真とすれば?」

 

「8割以上」

 

 さらに聞けばなおも即答。

 

「それほどまで?」

 

「はっ、敵は戦艦並の火力を持ち、ベレロフォン様の空母、駆逐艦を一撃で轟沈させました。それも狙ってのことです。脱出の障害になると判断するや一切の躊躇なく攻撃を開始。こちらの空母を撃破し、自らの艦載機を展開、流れるように一方的な戦闘状況を作りにきました。これまでに鹵獲した、ただの強力な獣ではありえません。強力かつ狡猾な怪物です」

 

「……貴女の感じた脅威はどれほど?感覚でいいわ」

 

「……恐らく、かの『ワルキューレ艦隊』に匹敵するかと」

 

「なるほど……あの『ワルキューレ』が相手、といった具合なのね…」

 

 厄介なことだとサリーは思考を回す。

 かの『ワルキューレ』は正しく強力無比。

 比喩抜きに単艦で一個艦隊分の戦闘力を発揮してくる存在が相手では、鹵確は難しいだろう。

 

 仕方がない、せめて死体だけでも持ち帰ろう。

 

 そう考えるサリーの思考を、またもヲパールは遮った。

 

「いいえ姫様、『ワルキューレ』単艦ではありません。『ワルキューレ艦隊(・・)』を相手にしたかのような心地でした」

 

 そう言ったヲパールは変わらぬ無表情だったがしかし、声は皮肉げではなく真剣そのものだった。

 

「奴はあまりに異質。何と言いましょうか、我々とは全く違う『何か』と言えるでしょう。もちろん『艦娘』ともかけ離れています」

 

「……それはいったい何かしら?」

 

「……」

 

 その言葉にヲパールはしばし思案し、こう答えた。

 

「―――『超兵器』、かと」

 

「『超兵器』……ね。御大層な評価だけど……わかったわ、意見を受け入れる」

 

「ありがとうございます」

 

 戦艦棲姫がその白魚のような細腕を振れば、意を汲んだ大男が彼女を肩の上に載せて立ち上がる。

 護衛要塞を伴い歩み出し、一歩下がってヲパールもそれに続く。

 

「『外洋艤装』を用いた砲撃で出てきたところを粉砕するわ。ヲパール、貴女が観測しなさい」

 

「かしこまりました」

 

 そのまま砂浜から海面へ足を進め、『水の上』を歩み始める。

 大男が一歩、足を進めるごとにどうしてかそれ以上の距離を移動するようになり、陸から離れるごとにその動きは滑るような動きに変わっていく。

 

 そうして艦隊の中心辺りにたどり着く。

 その周辺に軍艦の姿はなく、ぽっかりと海上の広場になっており、彼女たちはそこに数十メートルの間隔を開けて広がった。

 

 そうして島のほうに向き直り、サリーが言葉を発する。

 

「『外洋艤装』を展開せよ」

 

 その宣言と同時に、大男がけだものと修羅を掻き混ぜたようなおぞましい咆哮をあげる。

 そして世界を呪うかのような禍々しい光が周囲に瞬いたかと思うと、既にソレは顕現していた。

 

 光を反射しない漆黒の船体、全長は190メートル、全幅は33メートル。16inch三連装砲を4門、12.5inch連装副砲を4門搭載し、艦首にはこの世に在らざる艦である証明か、なんと牙を剥き出しにした口があった。

 不気味な巨大戦艦が海原に、まるで最初からそこに存在していたかのように鎮座している。

 発生した高波(リバウンドウェーブ)だけが唯一、巨大な質量が突如として出現したことを物語っていた。

 

 そしてヲパールもまた、同じく宣言する。

 

「『外洋艤装』展開」

 

 またも禍々しい光が瞬き、空母が一隻姿を現す。

 こちらも漆黒の船体と、艦首に牙があり、甲板上には既に暖機運転中の艦載機が並んでいる。

 この艦載機も全て漆黒に塗り込められており、機種に牙が存在している。

 

 どの艦も無機質ながらどこか生物めいており……いや、どうしてだろうか。

 寒気が来るほど人間めいた何かを感じる。

 

 弩級戦艦『サリー・オクラホマ』艦橋。

 そこでは白骨化した海兵たちが配置につき、機材の調子を確かめ、艦の各部とのやり取りを行っている。

 やがて艦長席に座るサリーより命令が下された。

 

「旗艦より全戦艦へ命ずる。研究所入口に照準を合わせよ」

 

 旗艦サリーの命令はすぐさま伝達され、海域にいた戦艦の主砲が回頭していく。

 

 そのころ、ヲパールもまた麾下の艦載機に短く指示を与えていた。

 

「偵察機出撃。目標確認および弾着観測用意」

 

 空母ヲパールより偵察機が2機、カタパルトにより射出される。

 レシプロ機とは思えないほど静かに、いやどころか僅かな駆動音すら発さずに闇夜に飛び立っていく様は、まさに幽鬼そのものだ。

 さらに今宵は新月。漆黒の機体とその静音性はこれ以上ない隠蔽率を発揮していた。

 

 偵察機が飛び立つと、その偵察機からの映像がヲパールの脳内に表示された。

 

『姫様、研究所入口を視界に収めました』

 

 ヲパールからの通信を聞き、再度、サリーは周囲に命令を発する。

 

「旗艦より全戦艦へ命ずる。本艦に合わせて斉射せよ」

 

 そこからは誰も、何も発さず、ただ闇夜の海に不気味な沈黙のみが広がった。

 

 やがてヲパールより通信が飛んだ。

 

『――――目標確認!』

 

()ェーー!!」

 

 戦艦11隻による一斉砲火が闇夜に咲いた。

 一隻につき十数トンもの砲弾が投射され、破壊の雨あられが、怪物のいるであろう場所に着弾する。

 

 『多少正確な砲撃でなくとも問題はない』、そう言わんばかりの物量投射は、研究所入口一帯を完全に消し飛ばした。

 

『……目標付近に着弾確実。戦果確認を待たれたし』

 

 無音で飛ぶ偵察機が、爆煙くすぶるその場所を索敵していく――――

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ぐ……ぅ……」

 

 何だ、何が起きたんだ?

 真っ暗だ、何も見えん。目を動かしている感じはするんだ、眼球が潰れたわけではないだろう。

 手足の感覚は、ちゃんとあるな。

 あとは――――

 

「あぁぁっっぶねええエエエエ!!危うくくたばるとこだったぜ!」

 

 チッ、尻尾もぴんぴんしているようだな。

 

「アン?ブッハ!お前瓦礫の下敷きになってるじゃねえか!助けてほしいか?ん?ドゥーユーウォンtマイハンd?」

 

「ほざけ」

 

 この程度で誰が頭を下げるか。

 無理矢理力を込めて思いっきりもがく。

 

「……ッグ…ラァッ!!……ふぅ」

 

 フン、どうだ抜けてやったぞ。

 

「チッつまんねー」

 

 馬鹿が、この程度、この程度どうということもないんだよ。

 

 さて?状況は?ここは……あぁ、研究所の中か。

 

 あの時、直前で砲弾の降ってくる音が聞こえ、咄嗟に入口の中に飛び込んだのだ。

 

 結局衝撃で天井が崩落したが、艦砲射撃の嵐に直接巻き込まれるよりかはマシだろう。

 見上げれば夜空……は、見えないな。完全に天井が崩落した訳ではなかったようだ。

 

 

 それにしても、ふぅむ……。

 

 まず腕を前にし、掌を上に向けるだろ。

 で、グッと拳を握る。力の限り全力でな。

 そのまま腕を左右に開いていって、ガッツポーズ的な感じにすると―――?

 

鬼怒(おにおこ)ぽいぽい丸」

 

 ―――ふはっ!

 

「ふはっ!ハハ、ハハハハあはははは!!」

 

 あぁ駄目だクッソ笑える!

 思わず腹を抱えて嗤ってしまう!

 

「おい!おいおいオイオイまたかよ!!頼むから正気に戻れよオイ!」

 

 正気?私はまともだ、正気そのものじゃないか!

 

 ハハハハハ!いやぁ愉快じゃないか!?

 何か忘れたと思えばあの空母だ!アイツを逃がしていた!

 

「ハハハハ!っと!?ふ、はハハハ!!」

 

 足を滑らせて尻餅をついてしまった!

 いつの間にか床が泥のように溶けていた。

 かまわんこのまま嗤い転げるとしよう!

 

 にしても暑いな?熱いなぁ?

 コートの前を開けておくか。

 おぉ!床が、壁が天井がドロドロと溶けだしたぞ!

 

 しかしまぁ滑稽なことだな!警戒すべきと考えていたのに、勝利に酔ってポロッと忘れていた!

 慢心してスコーンと足元を掬われてしまったな!

 

「アッハハハハハくひっ!くひひっ!くひははははよし殺す」

 

 跳ね起きて走る。

 どこへ?

 決まっている。

 

 このまま馬鹿正直に地上を突っ走れば高確率で死ぬことになるだろう。

 艦砲射撃の餌食だ。艦載機の的だ。

 カモ撃ちにされるのは屈辱過ぎてもはや当たらなくても憤死する。

 

 だから走るのだ、施設の奥へな。 戦術的後退!攻めるために引く!

 『後退』と考えるだけで吐きそうになるが、これは逃げるのではなく攻めるためのものだ!

 効果的な『攻撃』のための『後退』、否!『攻退』である!

 

「寒いぞ!」

「黙れ」

 

 階段を全段飛ばして飛び降り、廊下を疾駆し、ええい面倒だ廊下を掘り返す!!

 ツルハシを召喚し、思いきり叩きつけ、砲弾をぶち込む!!

 一枚!二枚!三枚四枚ごーろく789十枚目ェ!!ハハ、何ということだ目的地に2分で着いてしまったぞ!

 

 あの(ガン!)海底火山の見えた窓に(ガァン!)なぁ(バッキャァン!!)!!

 

 ツルハシが深々と分厚いガラスに埋まり、透明だった壁が一瞬で一面真っ白に変わったかと思うと、すぐさま粉々に砕け散った。

 莫大な量の海水が壁となってなだれ込み、私に触れてジュウと音を立てたかと思うと、すぐさま扉のあったコンクリ壁を殴り付け破壊して侵入していく。

 

 いやはや爽快だな!水の影響を一切受けない身としては周囲が加速したかのような錯覚に陥る。

体に触れた海水が片っ端から泡になり、すぐさま後ろへ流れていくから尚更そう感じる。

 

 と、あっという間に施設の容量を満たしたのか、周囲の流れが緩慢になる。

 

 とんっと軽く床を蹴り、浮力に乗って海中の中へ入る。

 眼下から美しい海底火山の赤光が広がり、暗い海の底との対比が私の心を奇妙にざわめかせる。

 

 深海の水温と水圧がマグマの熱を抑え込んでいるのだろうか、周囲の水温は火山の真上だというのに驚くほどに低い。

 しかし……私はいつの間にこんな深くまで降りてきたんだ?

 深度計……3022メートルだと?

 そんなに深くまで降りたか?

 

 

 あぁいや、どうでもいい。

 

 

 とにかく脱出成功、獲物は直上!

 奇襲するには絶好の位置取り!!

 

 

「『外洋艤装』展開!皆殺しだ!」

 

 ―――あぁ、身体が熱い。発散しなくては。

 




おこ→鬼怒(おにおこ)鬼怒(おにおこ)ぽいぽい丸→ムツ着火ファイアー→ツム着火フェニィィィイイイックスゥ→鬼怒(おにおこ)なのデスティックファイナリアリティぽいぽいナイトメア

どうでもいい用語解説!
『リバウンドウェーブ』
艦娘または深海棲艦が本来の姿である『外洋艤装』を展開した際、一瞬で巨大な質量が水上に顕現することにより、その分の水が一気に周辺に押し出される現象のこと。

ところで…

護衛要塞って、何なんでしょう?
アニメ見てると対空専門の護衛艦のようなイメージが…。
もしくは、深海棲艦驚異の技術力によって運用される廉価版デススター…?
この世界の駆逐級は軒並みデカい魚に大砲付けたような感じなので、そう考えるとクラゲ的な奴でもイケそう?

ちなみに

今回ヲパールやサリーは普通に軍艦になりましたが、他のノーマルやエリートではさらに艦がおどろおどろしく、生物的な肉腫や血管が浮いており、より幽霊船に近い姿になります。
では何故彼女たちはそうではないのか。
それは位階が上がり、『理性』と『負の感情』の精製が進んでいるからです。
『外洋艤装』とは感情の具現化したモノ、と捉えてください。
そしてより精錬され、研ぎ澄まされた感情は、より効率的な姿をとります。
それが無駄なく完成された兵器の姿、『軍艦』です。
そしてその膨大な攻撃的感情の具現である軍艦は、宇宙人の言うようにエントロピーを凌駕し、搭載されている兵器以上の破壊を生み出します。

そして最後にひとこと。

これ本当は本編で説明したかったぁぁぁぁあああああああああ!!
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