私は艦娘または深海棲艦である。正体は未だ不明。 作:キノコ飼育委員
全身に激しい衝撃と痛み、次いで落下の浮遊感。
そしてザボンと入水。
ゆっくりと身体が沈んでいく。
いや、昇っているのか?
どうやらいくつもの階層が水没しているようで、造りがほぼ同じなせいか上下がわかりにくい。
……頭を冷やすのはこのくらいでいいか。
ぬるい海水で冷静になれた。
「ほとんどダメージ無し……しかし不愉快だ。非常に不愉快じゃないか!えぇ?!」
嘘だよ!顔真っ赤だゃ……あぁもう!噛んだ!!
「オゥイェアイライラすんぜファッキンサノバビッチ!!俺らをハメやがった!」
尻尾がのたうち身体を反転させ上下を正しくする。
「あぁ1匹じゃない。3、4匹はいた」
どうも先程の場所に何体も敵が隠れていたようだ。小部屋の中だろう。
ご丁寧なことに一番目立つ赤いコートだけが同じで尻尾の武装だけが違っていた。
おそらく入れ替わりで部屋に出入りすることで階層を移動したように見せかけていたのだろう。
そして追いかけていったところを三次元的に包囲、上下左右から攻撃を浴びせたというわけだ。
しかしどうやって我々のソナーを掻い潜ったのだ?
ん?
「いーや6匹だ。一個艦隊分いやがる」
尻尾が水面を見上げて言うが……今はどちらかと言うと下を見るべきだな。
「……どころかもう5匹追加だ」
「レ〜♪」
また私に似た連中が出た。水没した下の方から上がってくる。
ただやっぱり少しずつ私と違う。
服は光沢のある水色のレインコート。
脚がなく代わりにイルカのようなヒレがある。
あの尻尾は……フハ!両腕の代わりに付いている!海蛇みたいな口だ。
武装は海蛇の頭に魚雷がしこたま。
頭にメカニカルなリングを付けており、顔は、幼女だ。幼い少女のもの。
無邪気に笑っており、目が殺意でギラギラしている。実に子供らしい。
「ついでに保護者も来たぜ」
「ふん、こっちは完全なバケモノだな」
さらに大きな影が上がってきた。
光沢のある黄色いレインコート、凛々しい顔立ちに長い金髪。
尻尾は、ハハ、ないな。足もだ。
代わりに6本、蛸みたいなメカニカル触手がコートの下からうねうね出ている。手も脚としてカウントすれば8、つまりデビルフィッシュ型か。
触手の先端は鋭利に尖っており、アクセサリーのように魚雷もセットでついている。
「Re――――――」
いやはや、不愉快極まりない鳴き声だ。ほとんど怪音波だな。
それにしても……クク。
「……ククク、ククク……ハハハハハハハハ!!」
あぁなんと言うか、自然と笑いが零れる。
いや、そんな状況でないのはわかっているのだが、どうしても笑いが治まらないんだ。
「オーゥ、マイガー……とうとう狂ったか」
「いやその、なんだ」
あぁもう本当に笑えてくる。
「―――もう我慢ならん」
あまりにブチ切れてな。
「Re」
「「「「「レ」」」」」
化け物どもが一斉に魚雷を放ってくる。
私はそれを―――避けもしなかった。
魚雷が私の体に突き刺さり、次々に爆裂していく。
爆圧によって水中に真空形成、それを握り潰すように周囲の水が引き戻され、そこでようやく爆発のエネルギーが弾け飛んだ。
20本以上の魚雷が発するエネルギーは凄まじく、それによって水没した廊下や柱、壁が崩れ、もうもうとコンクリが舞う。
……何を呑気に解説しているかって?
いやいや、何ら焦る必要がないのでね。何もおかしくはない。
「―――便利だな」
私は、身に纏ったレインコートの表面を撫でながら言った。
その滑らかな光沢を持っていたコートは、今は鱗のような半透明の皮に覆われている。
そうあの有名な『バリア』ってやつだ。原理は知らん。
「ゲージアーマー減衰率、38パーセントォ!あの列車砲からのコンボは結構効くなァ!オラ!さっさと反撃しようぜ!!」
「もちろんだ。お前も『艦装』を展開、状況に最適化しろ」
「オーゥケイ、シャバドゥビダッチヘンシーン!!」
さぁ虐殺だ。
派手に死んで私を慰めろ。
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名を忘れた怪物に一斉射を喰らわせた、海蛇型とデビルフィッシュ型の乙女たち。
普通の潜水艦、どころか鬼級だろうと確実に轟沈させるだけの威力だが、彼女たちに安堵の文字はない。
何故なら、彼女たちにはわかるのだ。
彼女たちだからこそわかるのだ。
自分達を縛りつけていた怪物が未だ健在であると。
そして―――何故かはわからないにせよ―――首輪の外れた今をおいて、この怪物は殺せないと。
そして攻撃は順調だ。
奇襲で砲撃を浴びせ水中に、彼女たちのキルゾーンに突き落とした。
溺死はもちろんないだろうが相手は『戦艦』、水上では大火力を発揮するだろうが、水中では無力だ。
『砲一発撃つこともできない』し、『ろくに動くこともできない』。
この世界では、『深海棲艦』は水中で航行が可能とされている。
だがそんなことはない。
『艦娘』の長門や大和が水中を移動しないように、『深海棲艦』のル級やタ級も出来ないのだ。
もちろん異なる点はある。
例えば『深海棲艦』は水中でも呼吸が可能であるとか。
海底(というか足がつく時)なら水の影響を受けない活動が可能だとか。
浮上と潜航だけはどの艦も可能だとかである。
あぁいや、『艦装』を消せばル級も水中を(平泳ぎ的な意味で)泳げるだろう。
だがそんなことをすれば燃料をしこたま喰うのはもちろん装甲がさらに下がって非常に危険なのは言うまでもない。
さらに言うなら、『溺れない』存在である彼女たちは一人残らず泳ぎ方を知らない。イヌカキすらできない。
つまり結論としては、水中で自在に動ける存在は未だ魚しかいないのだ。
―――彼女たち『潜水艦』を除いて。
だがそんな思惑も、もうもうと濁る水を魚雷が突き破ってきたことで霧散する。
それも一本や二本ではない。
ひとりにつき6本計36もの魚雷が迫っていた。
「Re!!」
回避を命じられ、彼女たちは各々迅速に行動した。
戦艦からまるで雷巡のような魚雷が来たのは驚いたが、ある意味予測できたことだったので動揺には至らなかったのだ。
ここにいるのは皆二つ以上の“艦種”を兼ね備えている艦ばかり。
例えば少女たちは潜水艦と軽巡の特徴を持っていたし、その中心の彼女はといえば潜水艦と空母を兼ね工作艦技能も有していた。
彼女達はすぐさま散開し、魚雷の射線から離れ、薄れ始めた白煙を警戒する。
一方的に倒す計画は頓挫した。
ここからは死力を尽くした怪物退治である。
怪物がそこから動いていないのは喧しいほど打っているピンガーでわかっている。
―――ゆえに、自分達の横を通り後ろで爆発するはずの魚雷が、水中でぐるりと回頭したことに、誰も気がつかなかった。
回頭した魚雷―――否。
魚雷と魚を混ぜたような姿をした、『コバンザメ甲標的』はその場に留まり、彼女たち目掛けて改めて魚雷を発射した。
後背からの奇襲という『視界の死角』、そして相手はひとりという『意識の死角』を突かれ、魚雷は全て直撃した。
水中に超音波のような悲鳴が幾重にも木霊し、爆発によって発生した水流に彼女たちは壁に叩きつけられた。
―――二体の怪物を除いて。
一体は、そうなることを予期していた、名を忘れた怪物。
そしてもう一体は、他の個体より強力な力を持っていた、デビルフィッシュ型の怪物――――この実験施設最深部を守護する『施設棲姫』である。
だが、施設棲姫は内心戦慄していた。
白煙の先にちらりと見えた怪物の姿は、アレだけの魚雷を受けて何ら損傷を負っていなかったのだ。
そしてもうひとつ。
明らかに、艦装が変わっていた。
先ほどまでは超弩級戦艦ばりの砲台を有していたはずが、まるで潜水艦のようにスマートに、アーモンドのような形状になっており、さらには先端にエグい形状のドリルが、イッカクのように突き出ていた。
胴の長さはかなり短くなっており、甲板は配置を変えて鱗鎧のように纏っている。
本体の方も変わっており、手には水かき、足はシュノーケルのようなものになっていた。
きっとあれは虚仮脅しの類いではないと、施設棲姫は直感した。
最大限警戒すべきだと、自らの艦装である触手をもたげて怪物を睨みすえ、その顔に拳をぶち込まれた。
『―――ェRe?!』
「ほぅ、耐えたか」
一瞬。
瞬きした瞬間にはもう拳が目の前にあったのだ。
その混乱から立ち直るヒマなどもちろんない。
目の前で怪物がぐるりと背を向ける。
スキを晒した?まさか。
攻撃態勢に入ったのだ。
「では死ね!」
短くなっていた尻尾が凄まじい速度で『伸びた』。
尻尾の先は先ほども述べたとおりドリルだ。そんなモノに頭突かれたらどうなるかなど明白。
咄嗟に彼女は両手でそのドリルを掴んだ、瞬間!
「イェアアアアア!!ファッキュー!!」
そのドリルが回転を始めた!
『―――ッッッ!?』
ドリルの側面に付いた刃に掌の装甲をガリガリ抉られ、飛び散る火花と激痛に顔を歪める。
腹に大穴を空けないために、必死にそれを掴むが、無情にもドリルはじりじりと彼女に近づいていた。
はっと気づけば、怪物がこちらに向けてツルハシを振り上げているところだった。
それを触手で受け止めようとした、途端にドリルの勢いが増す。
すぐさま触手のうち4本でドリルを抑え、1本でツルハシを掴む。
最後の1本、そこに備わった魚雷発射管を怪物に向け――――怪物が尻尾の後方を『殴った』。
結果、勢いのついたドリルが施設棲姫の腹をぶち抜く。
『―――――――ッッッ!!!!』
鼓膜が破れそうなほどの悲鳴が木霊する。
触手が激しく暴れ、ドリルが背骨を砕いた瞬間動かなくなる。
「イィェエエアアアアアア!!ぽんぽんグチャグチャになるまでファックしてやんよぉおおお!!!」
「惜しい!残念賞だ!」
凶悪に笑った怪物が触手を振り払い、ツルハシを施設棲姫の頭部に叩き込む。
一度大きく痙攣し、施設棲姫は動かなくなった。
「ん?おぉっと!」
後方から接近しつつあった魚雷へ、怪物は尻尾を振って施設棲姫の死体を投げることで対処する。
「レェッ!!?」
味方を撃ってしまった動揺に海蛇型の怪物が悲鳴を上げ――――
「動揺するなよ、化け物だろ?」
次の瞬間にはツルハシが横腹に突き刺さり、そのまま引き裂かれる。
「ハハハハ!まったく遅すぎるな!」
名を忘れた怪物は通常の潜水艦ではありえないほどの高速機動で動き回り、大破している残存海蛇型を次々に仕留めていった。
そのタネは、怪物の短くなった尻尾にあった。
「ゲボゲボゲボゲボゲボゲボ!!!!っぺ!カァッーーーッペ!あぁマジダリィな!おい、さっさと補給すんぞ!」
尻尾が大きく口を開け、そこから大量の水を高圧で吐き出すことで高速での移動を可能にしていたのだ。
つまりはハイドロジェット推進である。
「そうだな、上にもいるんだ。あのデカいのだけ食ったら戦艦形態で突っ込むぞ」
「オーケィ!」
そう言って尻尾は甲板を開く。
そこへ向けて甲標的が帰還、格納されていく。
名を忘れた怪物は、そのまま施設棲姫の死体に群がり、貪りつく。
触手を食いちぎり、手足をもぎ取って骨ごとばきばきと噛み砕いていく。
その時だ。
怪物の真っ白なレインコートから、白い筋が昇っていく。
白い筋―――それは泡だ。
いや、よく見ればその泡の筋は、怪物のいたるところから立ち昇っている。
「何か、熱いな……あぁうん、熱い…」
怪物がコートの前を開けると、途端に大量の泡が、莫大な熱量が周囲に拡散した。
そのあまりの熱量に、周囲の水があっという間に沸騰していく。
さらにはその腹は真っ白に赤熱しており、暗い水底まで照らし出した。
そして名を忘れた怪物の、その黒真珠のような瞳から、白い炎が涙のように立ち昇る。
「ふぅー、少しは涼しくなった。さぁさっさと戦艦形態、浮上するぞ。上の連中を片付け、あの巨砲娘をツルハシで耕してやる!」
「オーラィ!」
その掛け声とともに、名を忘れた怪物の姿が変わる。
手の水かきが引っ込み、脚のシュノーケルがもとの足に戻る。
尻尾の変身はさらに大規模だ。
流線型だった頭部が元のように角張り、上部や側面がボコボコと膨れていく。その膨らみが徐々に形を為し、元の艦砲になる。
胴の長さも元通りになり、甲板の並びが背びれ配置に移動する。
ただ……ドリルだけが戻らず、未だ雄々しくそびえたっている。
「気に入ったのかそれ?」
「クールだろ?」
ニィと牙を剥く尻尾に、怪物は肩をすくめるだけで返した。
主人公のおかしな点はおいおいわかっていく予定ですんで、今はそういうものとして楽しんでくださいな。
ドリルって男の子だよな。通常のアラハバキのではなくプレイヤーの、二本並んだドリルのデザインがいかにもよく削れそうで大好きです。
ちなみに主人公、実にあっさりと変身してますが、彼女自身はこれを「指先を尖らせる」ことの延長と捉えています。
この話を書いた後、「そういやどうしてコイツ水没してんの?水面に着地しないの?」と気づきましたがあとの祭り。雰囲気重視でこれでいきます。
いや、やっぱり変えるかも。
『施設棲姫』はオリです。言葉は話せませんが人間並みの知性があり、明石のようなこともできます。今回の奇襲は彼女の立案。
しかしいいところなくあっさり退場。本当はかなり強いはずだったんですがねぇ……
そんなことよりアニメの話です!
艦これ始まりましたな。思ったよりは面白いですね、いい傾向です。
水の上を滑るあれは……まぁ、そのうち慣れますよwストパンと同じですw
戦闘シーンで泊地のまわりに展開されていたあれはプライマル……ゲージですねわかります。
個人的には駆逐艦のスケートみたいな動きがとても可愛かった…あれはいい。
よく見るとずっと足を動かしているのは駆逐艦だけで、残りはたまに動かす艦とずっと不動の艦にわかれてました。詳しくないのであまり言えませんが何か意味あるんですかね?夜戦の滑りはまんまニンジャでしたが…
そうそう話は変わりますが多摩の「そこニャー」のあれ……初めて見た時… なんていうか……その…下品なんですが…フフ……b
(´・ω・)▄︻┻┳═一<言ワセネェヨ ――――――(/;゚茸゚)/<ヒデブ!―――・