ノエル達はシェリーを助ける為闇のノエルに立ち向かう。
「許さないのは団長の方だよ!!」
ノエル達は武器を構える。
「うぁぁぁぁぁぁ!!!」
闇のノエルが叫ぶとスケルトンが4体に増える。
「行け、スケルトン共!」
闇のノエルの一言でスケルトン達が走り出す。
「負けるわけにはいかない!行こうフレア!」
ノエルは魔力で、防御力をを上げて走り出す。
(魔力の消費が激しい魔力障壁を出しながらなら強力な魔物は召喚できないはず)
フレアはさつきとそらの方を振り返る。
「ふたりはシェリーちゃんの近くにいてあげて。すぐに終わらせてくるから」
そう言い残し、フレアもエルフレと共に闇のノエルへ向かって走り出す。
「おねえちゃん…」
「大丈夫、大丈夫だからね」
震えた声でつぶやくシェリーをそらが優しく抱きしめる。
(ママみたいにあったかい)
*
闇のノエルの元へ向かうノエルとフレアにスケルトンが2体づつ立ち塞がる。
(このスケルトン、思ったより強い!)
ノエルとフレアはお互い連携しようとするが、スケルトンに阻まれる。スケルトンに苦戦するノエルとフレアを見て、闇のノエルが最後のスケルトンを生み出す。最後のスケルトンはノエルとフレアの間を抜け、まっすぐシェリーの方へ走って行く。
「まずい、フレア!」
「わかってる!」
フレアは、エルとフレイに短時間だけ魔力障壁を纏わせ、フレアを中心に回るように指笛で指示を出す。そして、腰からペイントガンを取り出し、素早くスケルトンの背中に向ける。トリガーを引くと特殊なインクが発射され、スケルトンの背中に付着する。そしてそのインクを目印にエルとフレイが飛んでいく。フレアに出来たその一瞬の隙を逃さず、2体のスケルトンがフレアに畳み掛ける。
(あのスケルトンは2人に任せるしかない)
ペイントされたスケルトンは、エルとフレイの妨害を受けながらも確実にシェリーの方へ進む。
「そら、来るよ!」
そらは、ゆっくりシェリーを離して立ち上がる。
「ごめんね、ちょっと行ってくるね」
そらはさつきの隣に立ち、刀を構える。そらがスケルトンへ向かって走りだし、同時にさつきは火球を放つ。火球が飛んでくるのに合わせてエルとフレイはスケルトンから離れる。スケルトンは盾で火球を受け止め、そこに走ってきたそらが刀を振り下ろす。だが、スケルトンはそれをかわす。
「…ッ!」
そのまま体制を崩したそらに剣を振り上げて近づくスケルトンにエルとフレイが再び纏わりつき、その隙に後ろに回りこんださつきが後ろ足に体重を残したまま剣を横に振る。その攻撃はスケルトンに防がれるが、さつきはすぐにスケルトンから離れ再び火球を放つ。スケルトンは火球をかわせず、直撃する。続けてそらが刀でトドメを刺しスケルトンは消滅していく。
「ぐきゃぁぁぁ」
スケルトンが叫び声を上げ、消滅するのを確認して、エルとフレイはフレアの元へ戻って行く。エルとフレイはフレアが戦っている2体のスケルトンの1体に狙いをつけ、スケルトンの横から突撃していく。エルとフレイの連続攻撃を受けたスケルトンは大きくよろける。その隙を逃さずフレアが槍でスケルトンを突き刺す。もう1体のスケルトンは盾で身を守り、後退していく。
「一体だけなら!」
フレアは軽く息を吸い、指笛を吹く。その音を合図にエルはスケルトンの正面から、フレイは背後へ回り込みスケルトンを挟み込むように逃げ道を塞ぐ。フレアは槍を使ってジャンプし、槍をスケルトンに向けて急降下する。槍はスケルトンを突き刺し、スケルトンは消滅する。
*
「まずい、フレア!」
「わかってる!」
ノエルはフレアがペイントガンを取り出すのを横目で確認し、目の前にいる2体のスケルトンに意識を戻す。
2体の内1体のスケルトンが正面からノエルに斬りかかる。ノエルは魔力で全身を硬化させ、腕で剣を受け止める。ノエルはそのままメイスで反撃するが、横からもう1体のスケルトンが盾でノエルを押し出し体勢を崩す。そのまま剣を振り下ろしてくるスケルトンを、ノエルは横に躱しす。そしてメイスを腰の高さで構えて横に振るが、スケルトンは後ろに跳んで躱す。
「くそ、すばしっこい!」
身軽に動き回り連携するスケルトンに翻弄されノエルは少しづつ焦りが生まれる。焦りによって攻撃的になったノエルに対して、スケルトンは少しづつ距離を取るようにして、交互に斬りかかる。魔力で硬化したノエルの体には傷こそつかないが、魔力は消耗し焦りが強くなる負のスパイラルに陥る。
「あたれぇぇぇ!」
ノエルは両手でメイスを振り上げ力任せに振り下ろすが、スケルトンにひょいと躱されメイスが地面に埋まる。その背中を狙って2体のスケルトンはノエルの両側から斬りかかる。だが、剣が振り下ろされる瞬間、片方のスケルトンの頭に槍が突き刺さる。
残った方のスケルトンは消滅する仲間を見て呆気にとられる。
「うおりゃぁぁ!」
その隙にノエルが埋まったメイスを引き抜く勢いのままスケルトンに向かって振り上げる。スケルトンは何とか盾で受けるも盾は弾かれ、そのまま振り下ろされたメイスに頭を殴られ、消滅していく。
「ありがとう、フレア」
「もっと落ち着いて戦わないと駄目だっていつも言ってるでしょ」
小言を言いつつ、フレアは槍を拾う。
「わかっちょんけん、どうしてもついカッとなちゃうんよね。もう落ち着いたから大丈夫!」
「本当に?」
ノエルとフレアは話しながら、闇のノエルと向き合う。ノエルは仁王立ちしてメイスをまっすぐ闇のノエルに向ける。
「さあ、後はあんただけだよ!覚悟しな!」
そう言うと、ノエルは闇のノエルに向かって走り出す。ノエルがメイスを振り下ろし、闇のノエルはそれをメイスで受け止め、弾き返す。そのまま頭に向けて、横に振られたメイスをノエルはしゃがんで躱し、回転して勢いをつけてメイスを振り返す。メイスは闇のノエルにあたるが、ノエルと同じく全身を硬化させているため、魔力は消費するがほとんどダメージはない。そのまま反撃しようとメイスを振り上げる闇のノエルの目に、フレアが走ってるのが映る。
(このタイミングで来るフレアは幻影。消えるまでは本物が来ることはない)
そう考え、ノエルに意識を戻しかけた闇のノエルはハッとして再びフレアに視線を戻す。
(槍の先端から魔力を感じない!)
闇のノエルは突き出された槍を咄嗟に躱し、慌てて魔力障壁を展開する。
「今の攻撃、ノエルだったらホロライブしてすぐに見破れたよ。どんなに真似したところで、しょせん偽物は本物を超えられないってわけ」
「クソがぁぁぁ!」
闇のノエルは叫び声を上げ、のこった魔力を解放する。甲冑は金色に輝き、頭には金色の脳みそ型のヘルメットを着け、メイスはより大きいグレートメイスに変化する。
黄金騎士になった闇のノエルを見てノエルも魔力を解放する。
「はあぁぁぁ!」
ノエルの魔力は複数の装甲となって実体化し、鎧となってノエルを包み込む。その鎧は胴体部分が丸みを帯びて、まるでダンゴムシのような見た見になる。
「ダンゴムシバッタ戦法!!」
ノエルは闇のノエルに向かってジャンプして、その勢いでメイスを叩きつける。闇のノエルは、空中の無防備なノエルにグレートメイスを叩きつけるが、硬く、何層にも積み重なったノエルの鎧はダメージも衝撃も吸収し、落下の勢いでそのまま落ちてくる。メイスは闇のノエルの頭を殴るが、闇のノエルも怯むことなくグレートメイスを叩き込む。ノエルも、闇のノエルも魔力に物を言わせお互いノーガードで殴り合う。何度も何度も殴り合ったところで、ノエルの後からフレアが飛び出し槍を突き出す。
「そんな攻撃!」
闇のノエルはグレートメイスでフレアを振り払うが、グレートメイスが当たった瞬間フレアが消える。
(幻影か!!)
気づいた頃には跳び上がったノエルのメイスが闇のノエルの頭を捉える。思わず怯んだ闇のノエルにメイスが突きつけらる。一瞬の間を置いてメイスを媒介にしてノエルに残った全ての魔力が槍を形成して、闇のノエルを貫く。
「ぐあぁぁぁぁ!」
闇のノエルは叫び声を上げ力尽きる。
闇のノエルが消滅するとノエルはそのまま地面に倒込む。
「ノエル!」
倒れるノエルをフレアが両手で支えてゆっくり地面に寝かせる。
そこにそら達が走ってくる。
「ノエちゃん!大丈夫!?」
「大丈夫だよ、ちょっと疲れただけだから」
小さな声で答えるノエルにシェリーが抱きつき、大声で泣き始める。
「怖かったよー!」
「よしよし、もう大丈夫だよ。よくがんばったったね、えらいえらい」
シェリーを慰めながら頭をなでるノエルをフレアが回復魔法で治療する。
「どう、立てる?」
「ありがとう、フレア。大丈夫だよ」
ノエルはそう言うとシェリーを離して立ち上がる。
「それじゃあ、帰ろうか」
そう言って歩き出したノエルだが、すぐにふらつき始める。
「ちょ、危ない!」
再びフレアがノエルをささえようとするが、ノエルはそのまま歩こうとする。
「ちょっと、まだ無理だって!」
「でも、シェリーちゃんを早く帰してあげないと」
そう言って再び倒れるノエルの前に、突然ピンク色の、丸みを帯びた恐竜が現れる。その顔はのほほんとした笑みを浮かべ、頭にはそらと同じような星形の髪飾りに赤いリボンが付いている。
「え、何この子?」
突然の事に困惑したフレアの後からそらが声を上げる。
「そらザウルス!!来てくれの!」
笑顔を浮かべるそらにさつきが質問をする。
「そらザウルスってこの前言ってたそらの友達?」
「そうだよ!」
そらザウルスはノエルの前で、しゃがみ込む。その背中にあん肝が乗ってノエルに手を差し伸べる。
「乗れって言ってるの?」
フレアが聞くとあん肝が小さく頷く。
「じゃあ、お願いするね。ノエル、少しだけ頑張って」
ノエルはフレアに支えられながらそらザウルスの背中に乗り、あん肝にもたれるように身を預ける。
ノエルが乗ったのを確認してそらザウルスは立ち上がり、歩き始める。
「それじゃあ私たちも行こうか」
フレアはそう言ってシェリーの手を取って歩き出す。さつき達もフレアに続いて歩き始める。
しばらくするとさつきはそらザウルスの歩き方に違和感を覚える。よく見ると脚が6対あり前脚はティラノサウルスのような手になっていて、真ん中の脚が象のような太く丈夫な脚で、1番後ろの脚は鳥のような脚になっている。
(そらの友達って不思議な子ばかりだな)
そんな事を思いながらさつきは歩いていく。
しばらく歩くと洞窟の出口が見え始める。洞窟から出たところで、フレアが立ち止まる。
「町までまだ距離があるから少しだけ休もう。」
フレアの言葉で一行は立ち止まる。
「ノエルは寝ちゃってるな、悪いけどこのまま寝かせて上げてもらっていい?」
フレアが言うと、あん肝とそらザウルスは頷く。
「そういえばお茶もまだたくさんあったな」
そう言ってさつきはお茶の準備を始める。お茶を待つ間、シェリーはノエルたちが来る少し前のことを思い出す。
「そう言えばフレアお姉ちゃん達が来る前にね、黄色いスズランを見たの」
「本当に!!」
驚きの声を上げるフレアに、お茶を配り始めたさつきが質問をする。
「黄色いスズランってそんなに珍しいんですか?」
「黄色いスズランっていうのは山で遭難したり、魔物に襲われたり、そういったときにだけ現れる花なんだよ。普通のスズランが幸福はもう一度訪れるっていう花言葉だから、黄色いスズランは、"希望はまだある"っていう花言葉がついてるんだよ」
「希望はまだある…」
「そう、実は1人で起こせる奇跡なんじゃないかって言われてるんだけど」
「えっと、奇跡って何ですか?」
さつきの疑問に今度はそらが答える。
「奇跡っていうのはホロライブが使える人が2人以上集まると起こる大きな不思議な力で、過去には災害を防いだり、たった2人で戦争を終わらせたりしたこともあったんだって」
「じゃあ、今も使おうと思えば使えるってこと?」
「ううん。奇跡が起こる条件はよく分かってなくて、ホロライブできる人が複数人いると起きるって事だけが辛うじてわかるってだけなんだ」
再びフレアが話し始める。
「しかも実験の結果、起こそうと思っていると絶対に起こすことはできないって結論になったから、起きるときもどんな形で起こるか予想できないんだよね。で、もしかしたら奇跡として認識できないだけで、小さな奇跡は日常的に起きてて、その中の1つが黄色いスズランなんじゃないかって言われてるってわけ。すぐに消えちゃうから確認のしようがないんだけどね」
そう言うとフレアは残ったお茶を飲み干す。
「それじゃあそろそろ行こうか」
「そうだね」
マグカップを片付け、一行は町へ向けて歩き出す。森を抜けて町が見えるころにはノエルも目を覚まし、今度こそしっかりとした足取りで歩き出す。
*
町に着くとノエルはさつきとそらの方を向いて手を広げる。
「ようこそ、オーイタウンへ!」
オーイタウンはどこか中世ヨーロッパを連想するような建物が並んでいた。
少し歩くとシェリーは声を上げて走り出す。
「あ、ママ!」
「シェリー!」
シェリーの母親はしゃがんでシェリーを抱きとめる。
「シェリー、無事で良かった!」
ノエル達がシェリーの母親の前まで来ると、シェリーの母親は顔を上げる。
「団長さん、シェリーを助けてくれて本当にありがとうございます」
「いえいえ、騎士として当然の事をしたまでですから。じゃあね、シェリーちゃん」
「うん、団長さんありがとう」
シェリーはノエルに手を振るとそらの方を見る。
「お姉ちゃんママばいばーい」
そう言ってシェリーは家へと帰っていく。
「いや、お姉ちゃんママって何!?お姉ちゃんでありママでもあるってこと!?お姉ちゃんはわかるけどママはどこから出てきたの!?」
1人で困惑するそらの様子を見て3人は笑いだし、そらはまた赤ちゃんのようなふくれっ面をする。そこに、町に入るときから4人を見ていた老人が話しかける。
「白銀聖騎士団団長の白銀ノエルさんでよろしいかな?」
声をかけられかノエルは振り向いて答える。
「そうですけど、どうかしましたか?」
老人の後ろには1人の青年と、フードを目深にかぶった少女が立っていた。