入学式の翌日、今日は学校の部活動の勧誘時間があるので康太は今年度の部長に指名した2年生の梢、そして同じく2年生の綴理と一緒に部活のブースを作っていた。
順番が来たらスクールアイドルクラブはステージでライブを行うので、それまでに如何に新入生に興味を持ってもらえるかがポイントだろう。
梢たちなら、ライブさえ見てもらえれば多分やりたいという子は居ると思うしな。
梢「康太先輩、私は大倉庫に行きますね……」
康太「分かった。こっちは任せとけ」
綴理「こず、いってらっしゃい」
そして梢は大倉庫に向かって行く。
康太「よし、じゃあ綴理。やりますか!!」
綴理「うん、こーた。いっしょにがんばろう」
そして綴理と一緒に部活のブースを運営していると、校門の辺りに人影が見えた。
なんだあの子………
見ると、オレンジ色のボブヘアーの女の子が、校門の辺りで何かキョロキョロと見渡している。
康太(…………?)
康太が訝しげな視線を送っていると、その子は校門を飛び出して外に出ていった。
康太「(あの子!! 脱走か!?)すまん綴理!! 少し1人でやっててくれ!!」ダッ!!
綴理「え?」
康太はダッシュで今の女の子を追い掛ける。蓮ノ空は山の中にあるため、下手をすれば遭難の危険がある。
康太「くそ、どこ行った……?」
―――すると、
?「うわぁ〜!!」
茂みの奥から声が聞こえた。
康太「ッ!! あっちか!!」ダッ!!
声のした方に向かって全力ダッシュ。しばらく走ると、女の子の背中が見えてきた。
康太「キミ!!」ガシッ!!
俺が女の子の肩を掴む。
?「ヒィッ!! 化け物!!」
――誰が化け物だよ……!
康太「落ち着いて! 人間だ!」
?「え……?」
その子が落ち着いてこちらを見る。――すると、ネクタイの色に気づいたのか、
?「………先輩?」
淳平「まったく……何脱走してんだ!!」
?「す、すみません……。でも……、この学校……」
しょんぼりと暗い顔をする女の子。
―――もしかして、
康太「もしかして、規則規則でがんじがらめで牢獄みたいだとか思ったのか? 自由を求めて脱走したとか」
?「凄い! もしかして先輩エスパー!?」
女の子が驚いた顔で俺を見る。やれやれ………
康太「たまに君みたいな子がいるらしいんだよ。ハァ……まぁ一部分しかこの学校を見てなきゃそう思うよな……」
?「え?」
康太「じゃあさ、取り敢えず見てほしいものがあるんだ。君を夢中にできるかもしれない、キラキラしたものを見せてやるよ」
?「え?」
女の子が顔を上げる。取り敢えず俺たちは蓮ノ空に戻ることにする。
俺が女の子の手を引いて森を抜けて蓮ノ空に戻る。すると大倉庫の脇に出た。――すると、さっきここに向かった梢がいた。
梢「あら? 康太先輩どうしてこんな所に……?」
康太「脱走した1年生を追いかけてた……」
?「す、すみません……」
梢「脱走……アナタ、名前は?」
康太「あ、そう言えば名前聞いてなかったな」
?「あっ、日野下花帆です!!」
花帆さんか。
梢「とにかく、今回は康太先輩が気づいてくれたから良いようなものの、二度とこんな事しないように! 毎年耐えかねて山に入って戻ってこなくなる生徒が100人くらいいるんだから」
花帆「ええっ!?」
――ん?
梢「私の同級生も、ずいぶん行方不明になったわ………」
花帆「あわわわわ……」
怯える花帆ちゃん。完全に信じちゃってるよ。純粋な子だなぁ……
康太「梢、あまり新入生をからかうんじゃないの。信じちゃってるじゃん。それとそれ沙知の―――」
梢「ふふ。スミマセン先輩♪」
梢がクスッとお茶目に笑う。
花帆「冗談だったんですかぁ!?」
ショックを受ける花帆ちゃん。
梢「まあそれは冗談だけど、山が危ないのは本当よ? もう脱走しないでね?」
花帆「は、はいい………」
やれやれ………。
康太「梢、この子をライブに誘っていいか?」
梢「はい。もちろん。中々良い人材の気がします」
なら良かった。――すると、
花帆「ライブ? あの、先輩たちは……」
康太「俺たちか? 俺たちは………」
そして花帆ちゃんに、俺たちの名前を告げる。――それが、花帆ちゃんにとっても、自分の運命を変える物との出会いになるのだった。
花帆「スクールアイドルクラブ………?」
― つづく ―
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