梢との会話を終え、そして花帆ちゃんと一緒にブースに向かうと、むくれた顔をした綴理が待っていた。
ヤベェ……怒ってる。
康太「あの〜、綴理?」
綴理 プイッ
綴理がむくれた顔でプイッと顔を背ける。ヤベェ、超怒ってる……。
康太「ゴメンって!! 新入生が脱走してさ、気づいて追い掛けたんだよ! ほら、山は危ないから!!」
綴理「新入生?」
花帆「あっ、はい。あたし、日野下花帆と言います。えっと……」
綴理「ボクは夕霧綴理だよ? よろしくねかほ」
花帆「あっ、はい、よろしくお願いします。綴理センパイ!」
康太「綴理、新入生は何人か来たか?」
綴理「……さっき1人興味のある子がいたからライブに誘った」
やっぱ怒ってるなぁ……
康太「言葉足らずで置いていったのは謝るよ……。けど、スクールアイドルクラブを見捨てることはしないから」
綴理「……約束だよこーた?」
康太「おう」
花帆(?)
康太「じゃあ、講堂行くか」
そして講堂に行くと、スクールアイドルクラブの時間が近づいて来た。
綴理「あっ、時間だから行ってくるね?」
康太「おう!! じゃあ花帆ちゃんも見やすいところに 行くか」
花帆「は、はい…」
そして、見やすい場所に向かった俺たち。舞台袖から見ようと思ったら先客がいた。
花帆「えっ!? さやかちゃん?」
さやか「日野下さん! ……と、先輩ですか?」
康太「知り合い?」
花帆「はい。友達です!」
康太「そっか……。改めて2人に自己紹介しようかな。俺は神城康太。スクールアイドルクラブの3年生だ」
花帆&さやか「「3年生!?」」
驚く2人。
花帆「先輩3年生だったんですか?」
康太「俺、梢に先輩って言われてなかった?」
花帆「あ、そう言えば!」
俺はクスリと笑う。すると、場内が暗くなり幕が上がる。
康太「あっ始まるぞ? まずは梢からだぞ」
ステージに上がってくる梢と綴理。まずは自己紹介からだ。
梢「皆さんこんにちは! 蓮ノ空学院スクールアイドルクラブの
綴理「
梢「今日は、私達スクールアイドルクラブのライブを披露します。まずは私、乙宗梢が披露します!!」
そして音楽が始まると、梢はライブを始める。
花帆「…す、凄い」
花帆ちゃんは完全に引き込まれ、キラキラした目で梢を見ていた。
そして曲が終わり、
梢「次は、もう一人のスクールアイドル。夕霧綴理のステージよ!!」
交代でステージに立ったのは綴理。梢の優しい曲調とは違う、どちらかと言うとカッコいい曲調の曲に会場は盛り上がる。
さやか「凄い……!!」
村野さんは綴理の圧倒的なパフォーマンスに目を見張る。
綴理は天才だからな。
そしてスクールアイドルクラブのステージが終わると拍手喝采。2人はこちらにやってきた。
梢「どうだったかしら?」
花帆「あ、梢センパイ……。えと、あの、なんだか、凄くて……」
綴理「楽しんでもらえたら、良かったよ」
花帆「はい!」
綴理「改めて、ボクは夕霧綴理。こずと同じ、スクールアイドルクラブの2年生だ。因みに好きな教科は数学だよ。答えが決まってるっていいね」
花帆「あっ、はいっ。えっ?」
花帆ちゃんが綴理の言葉の話し方に戸惑う。
梢「ごめんなさい、この子、ちょっと距離感が独特でしょ? でも、ステージ上のパフォーマンスはとても素晴らしいのよ?」
花帆「あっ、はい、それはもう!!」
さやか「あの! お誘いいただいて、ありがとうございました! 夕霧先輩の舞台、本当にきれいで……!」
綴理「ありがとう。褒められてうれしい。うん。ここまでとは思わなかったけど。」
村野さんは綴理を尊敬の眼差しで見つめる。
綴理「……じゃあ、例の件は、考えてくれた?」
さやか「はい。私……、夕霧先輩にご指導お願いしたいです。どうか、スクールアイドルクラブに入れてください!!」
花帆「えっ、ええええええっ!? そうなの!? さやかちゃん!」
よし、新入部員1人ゲット!!
さやか「はい、花帆さん。私、決めたんです。せっかく、自分を変えるためにこの蓮ノ空にやってきたんですから、この学校で、新しいことを始めてみよう、って」
花帆「それが、スクールアイドルクラブ……?」
さやか「はい!」
綴理「というわけで」
さやか「きゃっ」
ったくコイツは……、
綴理「今日からよろしくね、さや。ボクと一緒に、スクールアイドルになれるよう、がんばろう」
さやか「は、はい! よろしくお願いいたします!」
梢「ふふ、良かったわ、綴理。あなたの後輩ができて。これで少しは上級生としての自覚が芽生えるかしら?」
康太「去年は苦労したからなぁ……」
梢「そうですね……」
俺と梢が遠い目をすると、
綴理「そうだといいね?」
梢「あなたのことでしょうあなたの。もう」
そして梢が花帆ちゃんに向き直る。
梢「というわけでね、花帆さん。私とこの子、そしてマネージャーの康太先輩と3人で、スクールアイドルクラブ活動をしているの」
綴理「今日から4人、うれしいなぁ。よしよしよしよし」
康太「ほら、綴理やめろって……」
村野さんの頭を撫でる綴理を俺が止める。
さやか「ちょ、ちょっと、夕霧先輩……。は、恥ずかしいです……」
花帆「………」
梢「ねぇ、花帆さん。あなたがもしよかったらなんだけれど」
花帆「えっ、あの、はい」
梢「……。また来週にもライブがあるの。だけど、見ての通り、ぜんぜん手が足りていなくて。よければ、手伝ってもらえないかしら?」
花帆「あ……はい。それぐらいなら、あたしでよかったら」
梢「そう。嬉しいわ」
あ〜、これ、梢は花帆ちゃんをロックオンしたな……。
花帆「あの、ライブ、すっごく素敵でした! それだけ言いたくって。それじゃあ、失礼しました〜!」
やれやれ、だけど、花帆ちゃんの中にやりたい気持ちが芽生え始めたみたいだな。
―――その翌日の昼休み、沙知に生徒会室に呼ばれた。
康太(スクールアイドルクラブの話か?)
コンコン
俺は、生徒会室の扉をノックする。一応生徒会長と一般生徒の立場なので敬語でやる。
淳平「3年の神城です。生徒会長に呼ばれて来ました」
沙知「康太か、入れ」
康太「失礼します!」
俺が生徒会室に入ると、沙知1人しかおらず、俺が沙知に近づくと……、
沙知「む〜……なんでそんなよそよそしいんだい?」
康太「一応今は生徒会長と一般生徒って括りかと思って……」
沙知「じゃあ今はいいね。何のために役員をあらかじめ追い出したと思ってるんだい?」
淳平「はぁ、分かった……」
そう言って俺は沙知先輩を抱きしめて頭をよしよしと撫でる。沙知はニヘラァと溶けたような笑顔になる。まったく……。
沙知「いやぁ、やっぱり良いな。キスとかは……」
康太「今は自重しろ……」コツン
沙知の頭に軽くチョップすると、沙知は頭を擦って「えへへ」と笑った。
―――ったく、
康太「今度一緒に外出したらな」
沙知「!! 約束だよ?」
それから数日後、紆余曲折あり、花帆ちゃんがスクールアイドルクラブに加入。
花帆ちゃんと梢のライブは――、それは見事なものだった。
― つづく ―
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