俺たちは部室で慈のチャンネル、"ハロめぐチャンネル"を花帆たちと見ていた。
慈『ハロめぐ〜! 全国五千万人のめぐ党さん、藤島慈だよ。今日も元気だった? どう? めぐちゃんに会えなくて寂しかった〜?』
花帆「あっ、この人!」
さやか「梢先輩が言ってた……去年スクールアイドル部に居たっていう……」
花帆「それに、梢センパイのお見舞いにも来てた!」
瑠璃乃「めぐちゃんは、ルリのお姉ちゃんなんだ。前からね、誘ってもらってたんだ。スクールアイドル楽しいから、一緒にやろうよ、って」
さやか「でも……確か……」
花帆「部活では一度も見たことない……」
瑠璃乃「え、どういうこと?」
ルリちゃんは花帆に詰め寄る。
花帆「ちょっ、近い! センパイ説明してあげてください!!」
康太「そうだな……瑠璃乃ちゃんには、話しておいた方がいいだろうな。慈は、きっともう、スクールアイドルクラブには戻ってこない」
瑠璃乃「えっ?」
康太「花帆たちには前言ったけど、慈は去年のラブライブ地区予選に向けての練習中に怪我をした。でも、怪我自体は、もうとっくに完治してるんだ」
瑠璃乃「え? じゃあなんで……」
康太「慈は、その時の事が相当ショックだったらしくて精神に異常をきたしてな。普段は大丈夫だけど、ステージに上がると、その時の事が脳裏にフラッシュバックして、足が竦んで踊れなくなってしまったんだ」
さやか「!! まさか……イップス?」
康太「さすがに、スポーツをやってるさやかちゃんは知ってたか。医者からそう言われた。踊れないと知った慈は、スクールアイドルであることを……辞めてしまったんだ……」
瑠璃乃「っ!! ルリ、めぐちゃんに会いに行かなくちゃ!!」
瑠璃乃ちゃんは走って寮に行ってしまった。
花帆「瑠璃乃ちゃん!? さやかちゃん、あたしたちも行こう!」
さやか「は、はい!!」
そして、1年生3人は女子寮の慈の部屋に向かっていった。
梢「あの子たち……また、奇跡を起こしてくれないかしら……」
康太「さすがに、希望的観測すぎるけど……でも、」
綴理「うん、ボクとこずを助けてくれたみんななら……もしかしたら……」
康太「今度は、俺も力になれると良いけど………役立たずはゴメンだぞ」
梢「先輩が役に立ってないなんてありませんよ?」
綴理「うん」
―――そして翌日、スクールアイドル部室。
瑠璃乃「ルリ、夏休み中にすっげーライブをします!」
康太「えっ?」
瑠璃乃「めぐちゃん、蓮ノ空スクールアイドルクラブの大きなステージは、欠かさず見てるみたいだから! だったら、めぐちゃんをその気にさせるために、まずルリが頑張ることにしたんだ! めぐちゃんの心に火をつけるような、メラメラのスペシャルサマーライブやっちゃえばいいじゃん! って!」
花帆「瑠璃乃ちゃん……、いいね! それすっごく良いと思う!」
瑠璃乃「だしょだしょ!」
梢「そう、ライブ……。いいわね。ただ、入部早々ライブをやり切るのは、いくら瑠璃乃さんでも大変よ?人の心を動かすものなら、なおさら」
瑠璃乃「そこは先輩方に、どーんっと特訓してもらって!」
康太「へえ……どーんと……」
花帆「だめだよ瑠璃乃ちゃん! 気軽に梢センパイと康太センパイにそんなこと言っちゃ! ミイラにされちゃうよ!?」
花帆がそう言うと梢は少し怒った口調で、
梢「花帆さんのドライフラワーは、さぞかし綺麗でしょうね」
花帆「ヒィっ! 康太センパイ助けて!!」
康太「自業自得だろ……。花帆には追加で俺がサッカー部時代にやってた基礎体力向上メニューもやらせようかな」
花帆「そんなーーっ!?」
すると、
綴理「はい」
さやか「どうしたんですか? 綴理先輩。おねむですか?」
綴理「いや、違、ボクなんなの。じゃなくて、合宿したい」
康太「合宿かあ……」
綴理「去年、海に行こうかって話があって」
花帆「海!?」
康太「そういえば、あったな」
梢「なんだかんだで立ち消えになっちゃったやつですよね?けれど、よく覚えていたこと」
綴理「うん。『今日は海に行くのかな。どうかな』って毎日思ってた」
梢「そう……」
さやか「サンタさんからのお手紙を待っている子みたいですね……」
花帆「え!? 海! 海行きたいです! ね、瑠璃乃ちゃん! ね、ね!」
瑠璃乃「うん。いつも波が荒くて、ひとっこひとりいないような冬の海とか、最高だよね」
花帆「あたしの思う海と違う!?」
瑠璃乃「くっ……、うっ……。でもでも、たとえめちゃくちゃ人ばっかりの海水浴場だとしても……合宿は行きたい!」
さやか「えっと、大丈夫ですか? その、普段よりも一緒に過ごす時間が長くなると思うんですけど、充電とか……」
瑠璃乃「絶対だめだと思う!」
さやか「え!?」
瑠璃乃「でも、全部めぐちゃんをその気にさせるためだから!
なんとかなるなる!」
瑠璃乃「もしかしたら、またご迷惑かけてしまうかもしれませんけど……、できる限りミジンコにならないように頑張りますので……。先輩方、なにとぞーよろしくお願いします! ルリのこと、鍛えてください!」
梢「ええ、分かったわ。任せて? それじゃあ、今年の夏はみんなで合宿しましょう」
花帆「やったー! うーみー!!」
綴理「うん」
さやか「よ、良かったですね、綴理先輩。1年待っていたかいがありましたね……。……あれ、合宿ってことはもしかしてわたし、24時間綴理先輩のお世話を……?」
そして話は纏まり、練習時間……
瑠璃乃「合宿ーーっ!」
花帆「海ーーっ!」
さやか「お、お世話ー……」
その様子を眺める、ひとりの人影が……
慈「………………っ。ん、私だって、練習ならできるのにな……」
――すると、
康太「慈。何やってんだ?」
慈「康太先輩……と、げ……」
梢「『げ』、はないでしょ?」
綴理「やっほ。めぐ」
慈「ん」
康太「この間のライブだって、見に来てくれてたよな。気になるか? 瑠璃乃ちゃんのこと」
慈「……いえ。私はもうスクールアイドルクラブとは関係ないし。あの子がやることに、いちいち口出す筋合いもないし」
綴理「るり、今度ひとりでライブををするんだよ」
慈「えっ!? 早くない!? さすがにまだ身体できてないんだし、もうちょっと基礎練に力を入れたほうが……は! ま、まあ、私には関係ないけど!」
康太「瑠璃乃ちゃんがさ、どうしても! ライブを見せてやりたい相手がいるんだってさ?」
慈「……ふぅーーーん」
綴理「ねえ、めぐ。ボクとこずは、一緒のステージに立ったよ」
慈「……そうみたいだね」
綴理「ラブライブ!の全国大会を辞退しようって、4人で話し合って決めた時に、約束したよね。もう、ボクとこずとめぐの3人はお互いに関わらないようにしようって。めぐも、自分のリハビリに付き合わせて、ボクたちの時間を使わせたくないからって」
慈「うん。誰もそんなこと言ってないけど」
綴理「え? 言ったよ?」
慈「くっ……えぇと」
綴理「言ったよね? こず。めぐは泣きそうなのに笑って、もう私のリハビリに――」
慈「ああもう! なんなの!? こいつなんとかしてよ、康太先輩! 梢!」
康太「慈がいなくなってから、俺たち2人に負担が来たんだけど? 特に梢が」
梢「そうね。大変でした……」
慈「それはごめんだけど! じゃなくて! 謝る義理とかないし! つまり、3人とも何が言いたいわけ!?」
梢「ええと、つまりね……。あれから1年経って、あのの約束は、もう破られてしまったってこと」
慈「んっ……そんなの勝手すぎ。どっちみち、ムリだよ。だって、私はまだ……」
梢「ねえ慈、いつかみんなで海に合宿に行こうって話したわよね」
慈「あ~覚えてる。結局立ち消えになったやつ、懐かし〜」
梢「それ、来週行きましょう?」
慈「………はぁ〜!?」
― つづく ―
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