アメアガリグリーンとの初恋   作:松兄

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俺と沙知のスクールアイドルとの出会い

 ――翌日、蓮ノ空の部活動勧誘週間を迎え、先輩たちがブースを作って新入生を勧誘する中、康太と沙知は一緒に行動していた。

 

 

 

 

沙知「……………………」

 

 大賀美沙知はいつも考えていた。何もかも、家の言う通りな自分を変えたい。

 もっと特別な、自分だけの何かをやりたい。

 何かを全力でやりたい。

 

 じゃあ…何をする? アタシは今まで何をしてきた?

 

 アタシには、なにができる?

 

 桜の花のつぼみが花咲く。冬の寒さとは既にお別れし、春の陽気が芽吹く。春は暖かいだけでなく始まりの季節でもある。

 

 そんな中、大賀美沙知は何かを探していた。

 

先輩「おっ、サッカー部に入部希望?」

 

康太「はい!」

 

先輩「じゃあここに名前書いてくれる?」

 

 俺が入部希望用紙に要項を書く。

 

先輩「えっと、神城康太……金沢西中出身……って、去年の全中準優勝の」

 

康太「ええ。まあ」

 

先輩「そっか。大歓迎だよ」

 

 そして入部登録を済ませる俺。席を立つと沙知と一緒にいろいろと周る。

 

康太「沙知、なんか目ぼしいのあるか?」

 

沙知「そうだねぃ………」

 

 沙知の幼馴染の康太は運動能力、飛び抜けサッカーに長けていて、今でも全国区の選手として名がし知られている。

 

 こんな事を言ったら無いものねだりに聞こえるかもしれないが、沙知は人として康太より劣っているとすら考えている。

 周りは康太を沙知よりも下と見るが、沙知自身はその評価を間違っていると感じていた。

 

 そして、沙知は今こうして康太のそばにいることに「ホントにアタシでいいのか?」とも思ってしまっているのだった。

 

沙知(アタシは…………)

 

 

 

 

 康太と話しながら歩いていると、強風が吹いて近くのブースのチラシの山が吹き飛ばされてしまった

 

?「ああっ! チラシが!!」

 

 アタシと康太がそっちを見る。瞬間、二人の身体は動いていた。

 

沙知「あっ、大変だ!!」

 

康太「手伝います!」

 

?「あ、ありがとう……!」

 

 慌てて康太と一緒に拾うのを手伝うとチラシの内容に目が止まった。

 

 ―夢中になりたくて、

 

 ――全力になりたくて、

 

 ―――脇目も振らずに走りたくて、

 

 ――――でもどうすればいいかわからなくて、

 

 燻っていた私の全てを吹き飛ばすようなものと出会いたくて……、

 

沙知「…………つ!」

 

 そんな私の、運命の物と出会ったんだ。

 

 

 

 

沙知「………スクール……アイドル?」

 

 ――それが、アタシ。大賀美沙知と、スクールアイドルクラブの出会いだった。

 

 

?「!! キミ、興味あるの?」

 

沙知「え、えっと………すみません。アタシ、アイドルとかそういうの疎くて」

 

 先輩の圧に少しビビってしまうアタシ。

 

?「あっ、ゴメンね? まあ……そうだよね。アタシは3年の矢野明日美(やのあすみ)。あなたは?」

 

沙知「大賀美沙知って言います。矢野先輩」

 

?「沙知ちゃんね。よければ、このあと部活紹介でライブやるんだけど、見るだけでも良いから見てくれない? 見て何も沸かなかったらそれっきりで良いから!」

 

康太(グイグイくるな……この先輩。沙知は……)

 

沙知「まあ……見るだけで良いなら」

 

明日美「ありがとう沙知ちゃん! このあと11時から講堂ね!」

 

そして先輩は部活勧誘に戻っていった。

 

 

 

 

沙知「スクールアイドル………」

 

 アタシは、その言葉を反芻していた。

 

康太「興味あるの?」

 

沙知「え? いやいや! アタシがそんなガラじゃないでしょ……。康太だってアタシがアイドル衣装着て歌ってたら引くだろ……?」

 

康太「いや、むしろ『I LOVE 沙知♡』って書いたはっぴ着て鉢巻巻いてペンライト持って応援に行く」

 

沙知「んな事するな! 恥ずかしくて死んでしまうよ!///」

 

 

 

 

 やれやれ

 

康太「でも、嫌だとは言わないんだな?」

 

沙知「そ、それは………///」

 

 俺は沙知に優しい笑顔を向け、

 

康太「まあ、俺はおかしいとは思わないぞ? 沙知は可愛いから、似合うと思う」

 

沙知「フェっ!?//////」

 

 顔が真っ赤になる沙知。可愛いのう………。

 

沙知「ふん! もう知らないからね!!」プンスカ

 

 あらら、怒ってしまった。からかってないのに。

 

康太「ゴメンって!」

 

 

 

 

 ――そして時間になり講堂。俺たちはスクールアイドルだという先輩のライブを観に来た。

 時間になると、講堂が暗くなり、ステージにそれぞれ雰囲気の違う衣装を着た3人の先輩が出てくる。

 

明日美「みなさんこんちには! 私たちは……!」

 

明日美&?&?『スクールアイドルクラブです!』

 

 周囲から歓声が上がる。有名なのか? あの人たち……

 

沙知「……?」

 

 沙知もこの雰囲気に戸惑う。無理もない、こんな場所に来たこと無いんだから。

 

?「今日は、皆さんに私たちのライブを披露したいと思います!」

 

?「是非聞いていってね!」

 

 

 

 そして始まる先輩たちのライブ。

 聞いた話では、この蓮ノ空のスクールアイドルクラブにはスリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!という3つのユニットがあり、それぞれに競い合いながらも互いに協力して活動しているらしい。

 

 スリーズブーケの先輩は石動真織(いするぎまおり)先輩。

 

 DOLLCHESTRAの先輩は矢野明日美先輩。

 

 みらくらぱーく!の先輩は藤原美琴(ふじわらみこと)先輩。

 

 

 

 

 それぞれのライブは、見る者の心を鷲掴みにする見事なものだった。

 

沙知「凄い………」

 

康太(…………………)

 

 沙知が食い入るように見ている。こんな沙知は初めて見るな。

 

沙知「こんな世界知らなかった………」

 

 

 

 

 そして、ライブが終わって舞台袖に行く俺と沙知。明日美先輩と美琴先輩、真織先輩が気づいて寄ってきた。

 

明日美「沙知ちゃん! 来てくれたんだ!」

 

沙知「あっ、はい。先輩たち、凄かったです」

 

美琴「嬉しいこといってくれるじゃん! しかも……ちっこくて可愛な〜この子!」

 

沙知「小さいって言わないでください!」

 

 あちゃ、沙知のコンプレックス踏んじゃった。

 

美琴「あっ、ゴメンね……」

 

 気づいたのかすぐに謝る先輩。

 

 

 

 

真織「沙知ちゃんって言ったっけ? どの人のライブが良いと思った?率直な感想でいいよ?」

 

 言いにくいことを聞くな……。この先輩は、

 

沙知「え……ん〜と、正直に言って良いんですか?」

 

 先輩たちが頷く

 

沙知「えっと、明日美先輩ですかね?」

 

明日美「よしっ!」

 

 ガッツポーズする先輩。残りの2人は……

 

真織「まだまだ練習足りなかったわね」

 

美琴「頑張らないとだな〜」

 

 向上心あるなこの先輩たち……。

 

 

 

明日美「とまあ、この3人で今は活動してるんだけど、沙知ちゃん、どう? スクールアイドルクラブは……」

 

沙知「えっと………」

 

 迷う沙知。けど、今までだったら迷うこと無く断ってたはず。それだけこのライブが沙知の心に刺さってると言うことだ。

 

康太(俺は…………)

 

康太「沙知」

 

 俺はそっと沙知の手を握る。

 

沙知「康太………?」

 

康太「自分を変えたいって昔から言ってただろ?もしも"コレだ!"と思ってるなら、迷わず飛び込んでも良いんじゃないか? 入ってみないと分からないものは多いし。楽しい毎日が待ってるかもしれないぞ?」

 

沙知「康太………」

 

 先輩たち、「良いぞ良いぞ!」じゃなくて……。

 

 

 

康太「なんかあったら俺が一緒になんとかしてやるから。俺と沙知の仲だろ?」

 

沙知「―――!!」

 

 沙知は、決心を固めた。

 

沙知「先輩、アタシを――スクールアイドルクラブに入れてください! 家の問題で、世間には疎いから迷惑もかけるかもしれないけど、でも、アタシが初めて"自分の意志"でやりたいと思ったこと、一緒にさせてください!」

 

 沙知が頭をさげる。言い切ったな。

 

 先輩たちは優しい顔で笑顔で――、

 

先輩『沙知ちゃん! ようこそスクールアイドルクラブへ!!』

 

沙知「はい! 先輩、よろしくお願いします!」

 

 こうして、沙知はスクールアイドルクラブに入部。スクールアイドルの世界へと足を踏み入れることになった。

 

康太(さて、俺も頑張らないとな……)

 

 そして、俺と沙知の、高校生活が本格的に幕を開ける。

 

 

 

 

 

真織「ところで、家の問題って?」

 

康太「沙知の家、代々この学校の理事を務めてる家系なんすよ。お祖父ちゃんが今の蓮ノ空の理事長らしくて……いわゆる超お嬢様です」

 

美琴「マジ……? 凄い子を勧誘しちゃった? ま、良いけど!!」

 

明日美「よろしくね!」

 

沙知「はい!」

 

 

― 続く ―




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