たくさんの誤字報告ありがとうございます…。
書いてるときに気づければいいのですが、中々気づけず申し訳ございません!!
引き続き当作品をよろしくお願いいたします!
「皆、朝のHRが始まる!席につけー!!」
「ついてるよ。ついてないのおめぇだけだ」
「しまった!」
2日間の休校と土日を挟んだ月曜日。あんな事件があったのにも拘らずA組の面々はいつもと変わらない様子で椅子に座っています。というより、いつもと変わらないようにいたいという考えもあるかもしれませんね。
「おはよう」
「相澤先生復帰早ええええ!?」
朝のHRには顔全体と両腕を包帯ぐるぐる巻きにされた相澤先生がご登場してクラスは騒然としました。いや、あれだけのケガしたのに休んでなくて大丈夫です…?
「先生無事だったのですね!!」
「無事言うんかなぁアレ…」
「俺の安否はどうでもいい…」
どうでもよくないでしょ。
「何よりまだ戦いは終わってねぇ…」
「え!?」
「戦い?」
「まさか、まだ敵が―!?」
「雄英体育祭が迫ってる!」
『クソ学校っぽいの来たあああ!』
突然の歓声にびっくりしました…。というかあれだけのことがあったのに中止とかせずに続行するとは思いませんでしたね。実際不安視している人もいますし。
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が磐石だと示すって考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。何より、ウチの体育祭は『最大のチャンス』。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」
「いやいやそこは中止にしよう?」
峰田君が弱弱しく反対の意見を挙げていますが、すでに決定していることでしょうから覆ることはないでしょうね。
しかし雄英体育祭ですか。体術の参考にならないかと情報収集のためにE組メンバーと研究したことがありましたね。結局個性を応用したものばかりであまり参考になりませんでしたけどね。
かつてスポーツの祭典と呼ばれたオリンピックは、個性の発現によって年々縮小、形骸化しました。椚ヶ丘でも、野球などのスポーツをする生徒は居ましたしけど、個性使用の有無を考えるとスポーツの衰退は仕方ないことではありますね。それでもそれが好きでやっている人達もいますから馬鹿にできません。
代わりとして台頭したのが雄英体育祭で、選りすぐられたヒーローの卵たちによるガチバトルは毎年日本中を熱狂させます。いやぁ、プロ選手もいるようなスポーツの台頭となるのが高校生の殴り合いというのもなんだかなぁと感じますね。どれだけ争いごとに飢えてるんですか。これだから戦争はなくならないのです。見る人もスポーツマンシップに則ってほしいです。
「ヒーローを志すなら、絶対外せないイベントだ。心してかかれ!!」
『はい!!』
雄英体育祭。まさか自分がその場に立つなんてあの頃は思ってもみませんでしたが、いざ目の前に来てみるとわくわくが止まりませんね。せっかくのチャンスです。最大限に活かしたいですし、天国にいる殺せんせにも見てもらえるくらい活躍したいです。せんせ、見てて下さいね?
~*~*~
防衛省。
奴が暗殺された後所属していた特務部は解散され、イリーナと共に別の部署に異動になるはずだったのだが、各方面への対応、生徒たちのアフターケアなど、しばらくの間は元E組生徒のサポートに動いていた。なのだが…
「…それは確かな情報なんだな?」
「ええ。私だって信じたくないわよこんなこと…」
ある情報が俺達に流れてきた。これが事実なのだとしたら大問題だ。それにあの子達にも多大な影響が出てしまう。1番危険なのはあの子か…。
「だがそうなると…」
「分かってるわ。私が伝えに行ってくるわ。あなたはやるべきことをしてなさい」
「…ああ」
彼女にとってとても残酷なことを迫ってしまうことはとても心苦しい。だが、彼女を守るためには仕方のないことか。…本当にそうなのか?
「…やるせないな」
~*~*~
『1年A組渡我被身子さん、至急職員室にお越しください――』
「…渡我、今度はなにしたの?」
「何もしてませんけど!?」
「こんな短いスパンで職員室に呼ばれるって大分じゃない?」
「勝手に危険人物扱いしないで下さい…」
食堂でお昼を食べ、響香ちゃん達と談笑していると呼び出しが入りました。こんな短い期間に何度も職員室に呼ばれ、危険人物なんていう非常に不名誉なレッテルが張られかけますが、なんとか防いで職員室に向かいます。職員室に着くと、前回と同じように校長室に案内されました。まあなんとなくそんな気はしましたけど。
「3日ぶりね、ヒミコ」
「ビッチ先生?烏間先生じゃないんですか?」
「カラスマは別件の対応中よ。なに、私じゃ不満かしら?」
「いや、そうじゃないですけど。連絡や情報展開は烏間先生が主に対応してるイメージだったので」
「私にそういったことが振られるくらい忙しいってことよ」
「なるほど。で、今回はどのような要件です?」
ソファに座り、用件を聞こうとすると途端にビッチ先生の表情が暗くなった。なにか重大な問題が発生したんでしょうか?
「これから話すことは、あなたにとって酷なことを言うわ。覚悟してちょうだい」
「?はい」
「校長先生、申し訳ありませんが…」
「うん、ここでの話は僕から外部に漏らすことは絶対にしないと誓うよ」
「お願いします」
そうして話された内容は、私に絶望を与えるものでした。
「え…」
「以上のことから、あなたの安全を考慮して体育祭への参加を控えて、いいえ参加させることはできないわ」
~*~*~
「な、なんだぁ!?何事だぁ!!」
授業も終わって放課後。さっさと帰ろうとしているところに廊下が他クラスの生徒で埋め尽くされた。チッ、邪魔でしかねぇ。
「出れね~じゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ。敵の襲撃を耐え抜いた連中なんだから体育祭の前に見ときてぇんだろ。んなことしても意味ねぇから、さっさと散れ。出るのに邪魔だ」
「誰でも彼でも当たるのは辞めたまえ!!」
メガネから叱責を受けるが気にしねぇ。事実敵情視察にしても、普段の姿を見たところで意味はほとんどねぇ。やるなら訓練中だろうが。
「どんなもんかと見に来たが…随分と偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「あ?」
目の前に来たのは紫色の立った髪に目の下に濃い隈がある野郎だ。啖呵切ってくる割にはたいして鍛えてねぇのがすぐ分かる。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ…。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた?」
「それがどうした…?」
「だけど体育祭の結果次第じゃ、ヒーロー科への編入も検討してくれるんだって。そしてその逆もまた然り…。敵情視察? 少なくとも俺は、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
下剋上タイプか。だが口だけデカくなって実力が見合ってねぇ。入試までは努力したけど落ちて普通科に入ってからは大した努力もしてねぇ。だからテメェは普通科なんだよ。
「おうおうおう!隣のB組のモンだけどよぅ!!敵と戦ったっつぅから話聞こうと思ったんだがよ!!エラく調子づいちゃってんなオイ!!本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」
調子づくか…。本当に調子に乗ってんならもっと言ってるわ。こちとらボロクソに負けて天狗になってた鼻折られたばっかだわ!すぐにでもリベンジしたいところだが、今はどんなにやったところで勝てないのは目に見えてる。だが諦める気は毛頭ねぇ。チャンスがあればいつでも勝利を求めていく。俺が憧れたヒーローはそういうもんだ。俺はこいつらの言葉に気にも留めずに教室を出る。
「待てコラ爆豪、どうしてくれんだ!おめーのせいでヘイト集まりまくってんじゃねえか!」
「関係ねぇ。上に上がりゃ関係ねぇだろ」
そう。勝てば俺の強さを証明できる。例え今は負けても、最後に勝てばそれでいいんだ。
~*~*~
「あ、かっちゃん…」
「…トガ」
帰ろうかと思い昇降口に向かうとかっちゃんとばったり遭遇しました。校長室での話の後、私の情緒が不安定だったのもあり、大事をとって保健室で休ませてもらいました。クラスの人には貧血で体調がすぐれないので保健室で休むと先生から伝えてもらっていました。
「…体調は」
「一応大丈夫です。明日からは普通に教室に行きます」
「そうか」
その後はお互い無言のまま校門を潜ります。途中まで一緒の道なのでそのまま2人で下校します。
「そういえば、イズク君と仲直りしたみたいですね」
「…仲直りというよか、元々俺が避けようとしてただけだ。テメェの言った通り、自分のことを勘定に入れない自己犠牲の塊みてぇな考え方を持つあいつを俺は恐れてた。だからいじめて俺から離そうとした。けど、いつまでも他者を見下したままで自分の弱さに気付けてなかった。それに関しちゃ感謝してる」
…イズク君と仲直りしてから、随分と素直になりましたねこの子。それに、結構色々考えてたみたいですね。
「これでようやく俺はスタートラインに立った。今はテメェ勝つことは無理に等しい。けどこっからだ!こっから俺は1位になってやる!!」
「…少しはマシになったじゃないですか」
「まずは雄英体育祭だ。そこでテメェに勝つために力をつける」
「いいですね。応援してます」
「今に見てやがれ!すぐにテメェを抜いてそんなこと言ってられなくしてやらぁ!!」
「そうですね…」
「…何があった」
「なんです急に?」
「いつものテメェならそんなシケた対応なんてしねぇ」
「…意外と人を見てるんですね」
「はぐらかすんじゃねぇ!」
「…細かいことは言えないんですけど、私体育祭には出れなくなっちゃいました」
「…は?」
「あ、ちなみにこのことは他言無用ですよ?当日病欠で出れない予定なので」
「それじゃ――」
「もちろんかっちゃんの特訓には付き合いますよ?私より強くなるって言ったんですからちゃんと有言実行してもらわないとですから。まあできるか怪しいですけどねぇ?」
「おい――」
「あ、かっちゃんだけじゃなくてイズク君もでしたね。個性の制御はできてきたんですし、あとはどれだけ強化できるか考えないとですね。でもイズク君ならちゃんと自分で考えて――」
「聞けよ!!」
かっちゃんに肩を掴まれて壁に押し付けられました。その勢いで持っていたスクールバックが少し飛んでいっちゃいました。
「テメェはこのままでいいn――」
「いいわけないでしょう!!」
今までずっと我慢してたものが溢れてきます。
「いいわけ、ないじゃないですか…。私、だって体育祭にでて、強くなっ、た私を見てもらいた、かったですよ!!けど…けど、もう、どうしようも、ないんです…。こればっかりは、どうしようも…」
人前で声を上げて泣いたのは殺せんせを暗殺した時以外では初めてでした。あの時は殺せんせがいなくなってしまった悲しさで泣いていましたが、今回は悔しさが勝っていました。なんで、あんなに頑張ってきたのにこんな仕打ち、あんまりです。
かっちゃんは私が落ち着くまでずっと傍にいてくれました。かっちゃんも意外と気遣いができるんですね。
~*~*~
「ここまでで大丈夫です。ありがとうございました」
「…おう」
「それじゃ、また明日」
かっちゃんにアパートの前まで送り届けてもらいました。お礼を言って部屋に入ります。ビッチ先生から伝えられた情報に精神的ダメージを受けたのに加えて、わんわん泣いたのもあってか体が重く、そのままベッドに倒れこみます。制服に皺がついちゃうかもですがいまは気にしてられません。
「…出たかったなぁ」
割り切ったつもりではいましたが、やっぱりすぐには切り替えることはできません。ですがどうしようもないですよね。
~*~*~
『一昨日入った情報なのだけれど、防衛省が管轄する病院に入院していた柳沢誇太郎が行方不明になったわ。それに加えて、ほぼ同時刻に別の精神病院に入院していた鷹岡明も行方不明になりました。防犯カメラを確認したところ、黒いゲートに包まれたと思ったらそのまま姿が消えていたわ』
『黒霧のワープゲート…』
『その可能性が高いわ。つまり2人は敵連合に誘拐されたとみるべきね』
『ですが一体どうして?2人とも正常な状態ではないんですよね?そんな2人を誘拐して何になるんです?』
『改人脳無の概要は聞いてるかしら』
『はい。いくつかの細胞が無理やり1つの形にされているツギハギの存在で複数の個性を持っているという…まさか』
『可能性はあり得るわ。それに柳沢に関して言えば、少量とはいえ触手の細胞をまだ体内に持っていたわ』
『それじゃあ敵連合に触手細胞が渡ってしまった可能性があるんですか!?』
『そうなるわ。それに加えて、既に機密情報であるあなた達のことも流出しているかもしれないわ。じゃなかったらわざわざ正常でもない2人を探して誘拐する必要がないわ』
『…』
『情報が流出しているのならば、元E組の情報、それに”あなたの体内に触手細胞が残っている”ということも知っている可能性が高いわ』
『え…』
『以上のことから、あなたの安全を考慮して体育祭への参加を控えて、いいえ参加させることはできないわ』
いかがでしたでしょうか…?
最後に衝撃の事実が。一体彼女になにがあったのか…!!
次回はそこを深掘りしていきます。お楽しみに。