トガちゃんは元暗殺者   作:ぶらっきー

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#9 強化の時間(1)

 

「…やることがないと暇ですね」

 

あの後それぞれ事情聴取を受け、その日はそのまま下校となりました。敵がヒーローを育成する学校を襲ったんですからそれはそれは大きく騒がれました。マスコミの対応や警備体制の見直しなどから2日間臨時休校になりました。そのまま土日も挟むので4日間の休みになりましたね。普通の高校生なら喜んだでしょうが、ヒーロー志望の私としては貴重な時間が休みになってしまったのでちょっと悲しいです。

 

ニュースで情報が出回ると、元E組メンバーからたくさんメッセージが届きました。特に2学期から転校する予定の3人からは凄い質問責めにあいました。心配なのは分かりますが、ちょっと疲れます…。

 

「ん。…一言だけとはいえ、律儀ですね」

 

その日の夜、寝る前にお母さんから一言『私達はあなたを信じます』とメールが入っていました。…繋がりは薄くとも、こうやって連絡をくれるのは素直に嬉しいですね。

 

 

冒頭に戻りますが、臨時休校になったので2日間丸々時間が出来ました。なんですが、やることがありません。ステイン先生との訓練も決まった日にしかやらないので、いきなり休みになったからと訓練できるわけでもないですし、出かけるにしても目的もないのですぐ飽きちゃいそうです。

 

「…あ、いいこと思いついちゃいました!」

 

思いついたら吉日、早速連絡をします。

 

『もしもし、なにかあったか?』

「烏間先生、ちょっと聞きたいんですけど――」

『――はぁ…それは問題ないが、念のためこちらから人を出すぞ』

「大丈夫です、ありがとうございます!」

 

やりました!これで話が進みますね。

 

『も、もしもし渡我さん?どどど、どうしたの!?』

「イズク君、強くなりたいですか?」

 

 

 

~*~*~

 

 

 

「…変わってませんね。まあまだ1ヶ月も経ってないんですけど」

「と、渡我さん、ここは一体…?」

「ここは私がよく訓練していた場所です。ここなら人目に付きにくいですし、個性の使用も可能です。特訓するには最適な所でしょ?ちょっと遠いのが難点ですが」

 

イズク君を連れてきたのは椚ヶ丘。私達の学び舎がある山です。卒業前に山の土地を報酬金で丸々買い取っているので、事実上私達元E組メンバーの私有地になるので個性の使用も出来るのではないかと烏間先生に確認したら、監視の人をつけていれば良いとOKをもらえたので早速行動に移ったわけです。ちなみに監視の人というのは…

 

「来たわねヒミコ。その子が例の特訓させたい子?」

「ビッチ先生!」

「ビ、ビッチ!?」

 

私達の卒業後に防衛省に入ったビッチ先生でした。身内ということもあって気軽に関われるのは嬉しいですね。きっと烏間先生も配慮してくれたんでしょう。基本的に危ないことをしない限りは口出ししないとのことなので結構自由に出来そうです。なんなら後で特訓のアドバイスも聞いてみましょう。

 

「さ、時間は有限です。早速特訓に入りましょう」

「う、うん!」

「まず最初に確認しておきたいのですが、普段個性を使用する時どんなイメージで使っていますか?」

「えっと、電子レンジの中で卵が爆発しないようにってイメージしてるかな」

「なるほど…道理で暴発するわけですね」

「え?」

「いいですか?爆発しないようにという曖昧な表現になっているが故に分かり切ってる数値が0か100しかないような状態です。如何に自壊を最小限に抑えていてもそれじゃあいつまで経っても加減が分からないままです」

「な、なるほど…」

「なのでまずそのイメージから変えていきます。力を出すイメージはレンジではなく蛇口です。少しずつ蛇口を捻って出力を調整します」

「は、はい!」

「ついでに、イズク君の力の出力が局所的過ぎます。ケガを抑えるために局所的にしているようですが、個性は一部に作用させるのではなく、血液の循環のように体全体で使うものです。局所的に使って暴発するなら、範囲を広げて一部分にかかる力を抑えるようにしてみて下さい」

「一部ではなく体全体に…血液を循環させるように…!うわっ!?」

 

すると体全体に赤いラインが巡っていきました。ですがうまく力を調整できなかったのか、バランスを崩して後ろに倒れてしましました。結果は失敗でしたけど、力を制御する足掛けにはなったみたいですね。

 

「凄い、イメージを変えただけでここまで変わるなんて…」

「飲み込みはとっても早いみたいですね。その感覚を忘れないようにして下さいね?相澤先生も言っていたように、出来るようになればやれることも増えていきます」

「はい!」

「じゃあイメージを体に馴染ませる為に、次の訓練に行きましょう」

 

場所を変えてやってきたのは校舎から少し歩いたところにある裏山です。ここではフリーランニングの訓練を行います。飛行能力がない者は結局走ることが前提になります。不安定な足場を駆け抜けることは、災害時や市街地での入り組んだ地形で役に立つことが多々あります。それに個性の制御をするなら実際に動きながらの方が効率もいいです。

 

「今がお昼過ぎなので、夕方位まではここでフリーランニングをします。適宜指示やアドバイスしてくのでそのつもりで。最初は個性無しで行って、動きに慣れてきたら個性の制御も織り交ぜながらやっていきましょう」

「分かった!」

 

まずは私がお手本を見せて、その動きを真似てもらいます。最初は慣れないのもあってすぐに転んだり足を踏み外したりしてましたが、分析と適応力の高さで夕方には時間はかかるもののコースを走破出来るまでになっていました。まさか数時間でここまで成長するとは思わずびっくりしましたね。

 

「このまま次に…と言いたいところですけど、出久君もボロボロなので今日はここまでにしておきましょうか」

「はぁ…まだ、大…丈、夫…!少し、休めば…!!」

「ダメです。本来は今日ここまでする予定はなかったんですよ?焦って更に大ケガされたら私が困っちゃいます。今日はしっかり休んで、明日からまた頑張りましょ?」

「う、うん…分かったよ」

「素直な子は好きです。明日もお願いしますね」

「す、好き!?」

「好きですって!?ヒミコあんたもう男を――」

「違います」

 

ビッチ先生の追求から逃れつつ、宿泊するホテルに送ってもらいました。親に顔を見せるのも考えましたが、下手に刺激を与えないよう、私もホテルに泊まることにしました。もちろん当たり前ですが、イズク君とは別室ですよ?流石に異性なんですから別に決まってるじゃないですか。ビッチ先生もここぞとばかりにハニートラップの極意を教えようとしてこないで下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特訓2日目です。今日はスペシャルなゲストが来ました。

 

「…ここか」

「待ってましたよかっちゃん」

「え、かっちゃん!?」

「ア”ァ!?なんでデクがここにいんだぁ!!」

「そりゃあ私が特訓しているからです。そして今日の先生は烏間先生です。主に格闘術に関して教えてもらって下さい。もちろん、個性なしの純粋な格闘です。かっちゃんはまだしも、イズク君は格闘に関してはまだまだ未熟です。個性に応用もできるはずですのでしっかり学んでください」

「う、うん」

「改めて、烏間だ。訓練だからと言って容赦はしないから覚悟しておくように」

「よ、よろしくお願いします!」

 

次はかっちゃんです。かっちゃんは昨日イズク君が行っていたフリーランニングから始めてもらいます。イズク君と違って抜群のセンスであっという間にクリアしていきましたけど。それなら次と、障害物が多くあるコースに挑戦してもらいます。菅谷君お手製のトラップに流石のかっちゃんも苦戦を強いられてるみたいです。私だってこれをクリアするのに時間を要しました。しかもクリアしたらすぐに次のトラップが増設されていって、挑む度に仕様が変わる不思議のダンジョンみたいになってました。

 

DOOOM!!

 

「だから個性は使うなって何度言ったらわかるんですか!!直すのだって一苦労なんですからね!?」

「チッ!わぁってるわぁ!!」

「分かってたら個性使わないで下さい!!」

「クソがぁ!!」

 

難易度も上がったことで癖なのか爆破でトラップを破壊しそうになることが増えてきました。というか既にいくつか破壊されました。後で菅谷君に謝っておきましょう…。

 

 




いかがでしたでしょうか?

本当は1話にまとめようと思っていたのですが戦闘もそんなにしてないのに文字数だけ増えてしまったので分割します。
今回はデク君のフルカウルを早めに習得して、体術関係の強化が入りました。烏間先生に教わるんですから、シュートスタイルの確立も早まるでしょうし、フルカウルを習得したことでケガの頻度も落ちました。さあ、体育祭どうしましょうか…(汗)
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