魔法少女ばかりな日常記録(旧:配信系魔法少女が沢山いる魔法少女モノ) 作:何処にでもある
魔法少女の秘密!ロボ編
①ロボの時は子供達に引っ張り出されてはよく遊んでいたため、友達が沢山いる。
「さーて、久々に魔法少女系の動画見るっスか〜。今日はどんな配信があるっスかね〜♪」
[キラメきチャンネル〜!今日はホイップさんと一緒にケーキを作ろうと思います!]
[フィヒヒ…最近占い界の小物になったデビィちゃんの部屋にようこそ…]
[爆熱!熱血!みんなで一緒にー!ファイヤー!!……うわー!指から血が出たもうマジむぃ〜!]
[カレーマンです。今日はカレーメシ作ります。先ずはスパイスをお店から買って来─ました。道中遭遇した魔物は倒したのでノルマ達成です]
[それで最近旅行に行こうと思ってましてー、しばらく「魔法少女を目指して」チャンネルの更新は出来ないと思いますー。代わりに旅行の生放送でもしようーかなーなんてー思ってたり?]
「うーん…」
寝る前なので飛ばし飛ばしに見ては次の動画を見て、最後に下の方にあった二つの魔法少女チャンネルの封鎖を見て、スマホを脇に追いやった。
前までは笑いながら観ていたものが、どうしてか観ていると心がもやっとする様になってしまった。
「なんか…使ってる魔法も魔物の強さも…弱くないっスか?なぁーんか弱体化してるっていうか…脳天撃たないし血の雨もないし…もしかして、ガチバトってる私が異常?」
怪人が出ないのは当然だとしても…あんなに弱い魔物が世間の害になり得るのだろうか?そも、魔物って本当に社会の敵か?
今までは気にしてなかったが…いざこうして魔法少女をやっていると、彼女達が役目を放棄して遊んでいる連中に見えて仕方がない。
……というか、ぶっちゃけ敵に見える。観ててそうやって一生遊んでろって気分になる。
「寧ろ、魔物の方に親近感覚える様な…気のせいっスかね〜?」
一体何故だろうか。動画をどう見ても、怪物の姿をしているのは魔物の方だというのに……不思議とドラゴン爺の同類に見えて仕方がない。よく見たら可愛く無い所とか、造形が動画に映るマスコットよりナマモノっぽい所とかまんまだ。
「……わからんっスね。寝よ」
幾つか最悪な想像をして、流石にそれは無いと振り払った。
寝る前はアンニュイな想像をしがちとも言うし……あんなにキラキラしてて彼女達が実は敵だーだなんて…そんなしんどい事実は流石にないだろう。
「かはは…てか」
私が魔物側だとしたら…怪人は改造された魔法少女って事になるし、私は既に二人は殺していることになる。流石に悪趣味過ぎるしない…よね?
チャンネル名:歴史マニア系ビガガガのダベリバ
登録者数533人 チャンネル封鎖
チャンネル名:パラサイト⭐︎ラブ伝説〜虫がメインなので苦手な方はブロックして下さい〜
登録者数973人 チャンネル封鎖
きっと、偶然の筈だ。
ピピピ ピピピ ピピピ
「ぐおお…ぐおお…うーん虫将軍が……」
ピピピ ピピピ ピピピ
「…お義姉ちゃん、起きるなら今の内だよ。…3! 2! 1! 行くよロボ!」
「了解。飛び込みます」
「ぐおおお!?かはあっ!……二人同時はやめろぉ…マジでやめろぉっス…」
最近、我が家でのヒエラルキーが日に日に下がっている感覚がある。
というのも、キッカケ自体は私はが招いたこと。ロボが我が家に招いたことが発端であった。
この侵略者は最初こそ招き入れた私に対して、主に妹から非難が集まったものだが…今では小癪にもそのあざとさと無知さを武器に我が家の一員として溶け込んでしまった。
そして溶解性の物質は、一度溶けてしまえば取り出すのは非常に難しい。今では義妹の追撃のホーミングミサイルとして、日々二人同時に私に飛び込んでいる始末だ。
「テメェ等!夏休み初日に叩き起こすとか人の心がないんスか!」
「当機に人の心はプログラムされてません」
「きゃー!怒ったー!逃げるよロボ!」
「こやつらぁ…言わせておけばいけしゃあしゃあと…逃げるなー!くすぐりだけでは済まさないっスよー!」
あれから一週間。中学校で初の夏休みが始まった。
部活があればこのくそ暑い中活動する事になるが、幸い私は陸上マネージャーなので走る奴らよか動く事は少ない。つまり私はこれからクソ暑い中活動してのたうち回る。くそが。
だが初日だけは違う。先生達の息抜きしたいご意志もあり、部活動がないのだ。こんなん爆睡一択やろ…怪人がそろそろ来そうだけど知らねー眠てー。
「きゃははははひひひふふふ…!!やめてよお義姉ちゃん!やめて!もうお母さんに言いつけるからー!」
「当機…は…笑…う…き…っっ……へふっ…脱走成功、逃走開始」
「へっ勝ったな。懲りたら二度と私にダイブすんじゃねっス」
謎の勝利宣言に見えるだろう。しかしこう考えよう。どうせ明日もダイバーに対する海の如く飛び込まれるだろうが、この瞬間だけは絶対勝ってるのだ。だったら勝ちで良いでしょ。
「しかし…あれから一週間。何も無いのは幸いっスけど…ロボをこのまま閉じ込めたままにするのはなー…あれっスよねぇ…」
洗脳かます奴をぶっ倒して一週間。ロボは私の家でこの事態が落ち着くのを待っていた。
まあ順当に考えればそうなるだろう。なんせ犯罪者にさせられたのだ。
国に対する報告は無駄に終わり、ロボは社会的信用と立場を失った。その結果がネットの心無い誹謗中傷と魔法少女の被害者という存在への様々な反応だ。
配信している魔法少女の反応は基本無視、話題に出さず出されたら痛ましい顔をしている人が多い。中にはキャラ作りの都合でアレな反応をして炎上しているのも居るが…それはまあ良いだろう。
「本人…あいや本機は否定するだろうけど…ストレス、あるっスよねえ?」
ネットは見せてないし、接続は控えるように言っている。だが、それでも気になるのだろう。ある日、何も言わずに私のベッドに入ったことがあった。
魔法少女の姿のままなのが、今のロボなりの防衛反応なのだろう。常になっている辺り、相当だ。
「どげんかせんといかーん!寝てる場合じゃなかったっス!」
思い立ったが吉日だ。やる事やんなきゃこの夏は絶対に楽しめないとみた。
タダでさえ不穏な財団とやらがやべー奴をけしかけてくるのだ。後方の憂いは断つべきだろう。
そうと決まれば財布を持っていざ鎌倉だ。
「ロボぉ!……すぅぅ──」
「…?協力者、ご用件をお申し出下さい」
「──今日は美容院いって服買ってイメチェンするっスよ!ロボの外出スタイル決定戦グランプリ開催っス!」
「……逃走開始」
「あっ待てこら逃げるなっス!」
その後逃げ続けるロボを妹と母と父の総出で逮捕し、ついでに寝てるドラゴン爺と我が家に遊びに来たあぶちーも車に押し込めて出発した。
「それじゃあ出発ぅー…」
「しんこー!きゃはは!」
「あっははイェーイ!」
「父ちゃんもトバしてくぞー?」
「お願い聞いた分、帰ったら家事のお手伝いねー?」
「当然っスよ!」
「……当機の外出スキンにここまで資金を使用する必要性がありません」
「へっあまちゃんが。一週間過ごした奴はこの家じゃ家族扱いなんっスよ」
「……理解不能」
へっあまちゃんが。どれだけヒエラルキーが上でも我が家で出不精はこうなる
そうでなくても、そろそろ誰かが似た様なことを言い出していただろう。この家はそういう懐の深さがある。
「てな訳でイオンに到着っス!こうなったからにはもう受け入れるしかないっスねー!」
「……ピピっ」
「不服そうな顔で読み込み中の顔になってる!」
「きゃはは、おめめぐるぐるしてるー!」
そんな訳で其々が服を持ち寄り試着ショーが始まったが…これが中々に白熱する事になった。
「チェック柄の探偵風っス!」
「……ピピっ」
「これなんてどう?フード付きパーカーとスカート!」
「…スカートは兎も角、フードは顔を隠すのに適してますね」
「お姫様みたいなひらひら!ロボなら絶対似合うよ!」
「……ピピっ」
「ロボちゃんは可愛いより…クール?なのが好きなのよねー?なので店員さんに選んで貰いました」
「…お母様、顔を隠さなければ意味はないかと」
「ロボ君ってよく僕の近くで過ごそうとしてるよね。それで思ったんだけど、ロボ君って女の子らしくないって言うか、お風呂で僕と一緒に入ろうとしたり、中身は男の子だと思うんだ。ロボの時は警察ロボだったらしいしね。それで顔を隠すとなると…こうだね」
「お父様、貴方は警察の制服デザイン賞で優勝出来る素質があります。100%です」
髪が長い上に銀髪で桃色の目をしている美幼女だ。そもそも素体が良いので何を着ても合う。
どれも決め難いものだったが…最終的にはロボの熱いプッシュによって父の選んだ渋めのメンズ服になった。私としてはそれよりも探偵風が良かったと思うが…押し付けは良くないのでこれでヨシとしよう。
後は美容師で髪を整え……切ったり茶髪に染めるのは出来なかったのでウェーブを作るだけにした。後は別れて親と妹は食べ物を、私とあぶちーとロボは遊びにでも行って外出は終了である。
「ロボ、結構悪くなかったっしょ?」
「人類の個体差が出来る光景は興味深いものでしたね」
「だけど髪が切れないのは残念だったよね?私ロボちゃんの短髪も見てみたかったなー」
「魔法少女だからっスかね?美容師さんも驚いてたっスし…ドラゴン爺、おい、説明!」
私の頭にに乗っかって寝ている爺をペチペチし、説明を要求した。相変わらずよく寝る爺である。
「んお…?基本的に変身後の容姿は本人の理想の姿じゃ。これはその姿になりたいという意味でなく、有り様に最短で行ける象徴に近い。それに変化があるとすれば、それは理想により近付き、その姿に固執する必要が無くなった証左じゃろうな」
「過去一で難解な言い方っスね?…まあ、悪い方に行ってないならそれで良いっス」
「あ、カッシー、ロボ、あれ見て!ヒーローショーやってる!」
「え、こんな時間にっスか?お、丁度変身した場面っぽいスね」
あぶちーが指差した方を見てみると、確かにホールでショーが始まっていた。
仮面ライ◯ーのショーらしく、ヒーローのピンク姿とタイヤの奴が遠くからでも確認出来る。どうやら丁度主役が登場したみたいで、敵役のゥワタシハ──カミダアアァ!!という、めっちゃ大きな叫び声も確認出来た。すげえなホールが揺れたかと思ったわ。名演技だなあ。
「ほーん、んじゃゲームコーナーにでも」
「……ピピっ」
「ん?どうしたんスか立ち止まって…」
「いえ、当機に異常はありません。行きましょう」
ロボが不服な時に出す声に反応して振り返ると、名残惜しそうに会場をジッと見つめていた。
声をかけた途端先に進もうとしたが…流石に、これを気にしないのはナシだろう。
「あーなんか急にヒーロー観たくなったなー!暫く立ち見でもするっスかねー!」
「……!」
「あっははいいね!折角なら近くに行こう!」
「……当機は命令に従います」
「後は…背が低いし観にくいっスよね?ほい肩車ー」
ドラゴン爺はロボに持たせ、ロボのサングラスを外してから肩車をする。最近ドラゴン爺の寝床として使われまくった特訓の成果だ。子供一人くらい楽勝なんだよなぁ?
「……!……!?………!!」
ちょっと足がプルプルするが…息遣いや握る力、足の強張りで楽しんでいるのは伝わってきた。
密着してると案外伝わるもんである。欠点は私がショーを観る余裕がないことか。
「ロボちゃん、楽しそうだね。笑ってるよ」
「そっスか?私は肩車してて顔見れないんスけど…それなら良かったっスね。…所で手伝ってくれないっスか?」
「言い出しっぺとして頑張れー。カッシーならいけるよー」
「この外道!鬼!あぶちー!」
「あっはは、なんとでも言いたまえー。耐えたのならロボちゃんの百面相の写真後で送ってやるー」
「マジ?ちょっとやる気出てきたっス!」
「おやー?そこに居るのはもしやちょっと前に話題になった被害者の子ではー?」
その声を耳に捉えたのは、ある種奇跡だった。
人々の盛り上がる声、ヒーローショーのくっそ煩いカミダアアァ!!の台詞、その他諸々の喧騒。
その中で唯一、動画で聴いたことのあるのんびりとしたソプラノ声が耳に届いた。
確か──「魔法少女を目指して」チャンネル。魔法少女になる為に配信でアピールしていて、登録者10万越えのかなりのベテランさんだ。毎回新しい魔法少女が現れては悔しいーと言いながら丁寧に紹介し、のんびり屋で優しい声で癒しを届けている。
最近は旅行に出たと言っていたが…まさか、地元だったとは。
「カメラ映ってますかー?あー映ってますかー。みんな盛り上がってますねー?そうですよー、機械による性犯罪が話題になってー、その被害者の子の特徴と同じなんですよー」
「どうしてあんな所で楽しんでるんでしょー?案外トラウマにならなかったのかなー?みんな心配していたけど、元気そうなのは良かったですよねー?…正面は許可を取ってからですよー?個人情報って大事ですからねー」
声の方向からして、まだ遠い。ロボやあぶちーはショーと写真に夢中で気づいていない。
変身は…出来ない。つまり敵意はない。それならあまり警戒し過ぎるのもダメだろう。
向こうは新人魔法少女の紹介が売りの一つ。配信する子は当然として、しない子も隠れ魔法少女としてプライベートでウォッチしに行く程度には魔法少女ファンだ。手荒な真似はしないとみた。
そうだ。びっくりしたが、焦る必要はない財団の連中じゃないし安心していいんだ。ちょっと神経質になっていた。
「…あれー?みなさん違和感がありませんかー?ショーの方のー観客がー…ヤケに静かじゃないですかー?」
ん?ショー?観客?
「……協力者、戦闘準備を」
「あれ?どうしたんスかロボ?」
「ショーを見ていなかったのですか?であれば見てください──財団です」
なるほど。後ろばかり気にして、正面が疎かになっていたらしい。
ショーの上に、新たな研究者が居た。
意識を切り替えた。後ろが無害なら、私がやることはこっちだ。
ロボを降ろし、洗脳されているのかヤケに大人しい観客の横を走る。途中で変身して…ロボと私で研究者を挟むように、ショーの上に着地した。
「で、今日は何用っスか。毎回私の周りにやってきて、迷惑なんスよ」
「お早い到着で嬉しいなあ。いやね、今回はちょっと凝った実験でね、早く始めたかったんだ」
「あなた方に許されるのは自首だけです」
「お堅いなあ。折角今回は「上司に今までの実験の総決算」を見せるのに…そんなに肩凝っちゃ楽しめないよ?」
「まだ2回しか実験してないっスけど?」
私がそう言うと、研究員はちょっと驚いた様に片眉を上げ、それから手を叩いて笑った。
「あっはははは…ちゃんちゃらおかしいよね。PC3、君が出会ったのは初回の実験じゃないよ。君は途中参加者なんだ」
「途中参加者っスか…それ、PC3って呼び方と関係ある話っスか?」
「なんだ分かってるじゃん。予想通り、PC1とPC2、それらを管理するPLが、この実験ゲェムには存在するんだよ」
「へー、そいつらどこ行ったっスか。つか、そろそろゲームの説明くらいしても良いと思うんスけど?」
「えー?そうだなー…」
あくまでもゲーム呼ばわりか。どうやらコイツらはなんでもゲームとして扱う癖がある様だ。
MGP財団の自称のGがゲームなだけはある徹底ぶり…デスゲームの一つや二つ、開催してそうだな。
そんなことを考えている間に、研究員は髭顎に手を当て悩んだ後、指を私の方…いや、ドラゴン爺の方に向けた。
「先ずソイツがPLだ。この実験ゲェムに付き合わせる為に、幾つか不都合な記憶を消して…それから敗北したPC1と2の存命させる代わりに、年齢と活動時間を奪った。よく寝る奴だと思うでしょ?そうしないと死ぬ身体にしたんだよね。面白いよねー」
「はっ?マジで?」
マジかよドラゴン爺にそんな事情があったのか。全然面白くない事実だな。ゲーム制作やめたら?
というか存命…私より先に魔法少女になった人達が居て、殺されそうなのを防いだのか…待て、それならその二人はどこに行った?
「おい外道。その生き残った二人、どうした?」
「外道って酷いなぁ…ちゃんとお願い通り日常に帰したんだぞ?その後普通に拐って改造したけどね。永遠にーとか文面に含めてないんだから、バカなPLを持ったPCは苦労するよねー?」
「バカはテメェだろ。ゲームの運営が誠実じゃねーなら、だれもプレイなんてしねーっス」
「おっと、そんなこと言っても難易度しか上がらないよ?具体的には説明なしに始めちゃうね──ゲェムすたぁと」
コイツらクソっスね。忌憚のない意見っスわ。
研究員が消えた直後に今まで以上の重苦しい空気が満ち満ちて──世界が、割れた。
ドゴンッ!!
最初に、イオンが天井から真っ二つに割れた。
その過程で何十人も落ちたのが見えた。
ドラゴン爺も横殴りの瓦礫にぶつかって吹っ飛んだ。
『───ォォオオオオオオオ!!!!』
次に、割れた隙間から魑魅魍魎が這い出てきた。見たことない怪人、怪物、怪獣、怪奇──その中に、私が倒した武将と蛾の群れも居た。
理解する。これは、私が参加する前の魔法少女が──会えなかった先輩達が倒してきた全てだと。
「ロボォ!!死ぬ気で止めろォ!!!」
「《拘束電磁パルス──出力リミッター解除、10倍》!!!」
電撃が走り、暴れようとした怪人達を拘束する。状況を把握した人々が悲鳴をあげ、立ち尽くす者の手を引いて逃げ始めた。
この街で今まで平和に過ごした裏で、どれだけの戦いがあったのか知るよしもないが……今は、その感謝の念すらも弾丸にして、この街を、家族を守ろう。
「はわー!い、今まで見たことない規模の魔物がー!えっなにこれー!?」
「…お?よく見ればお主、中々良い心を持っとるな。どれ、魔法少女に…」
「えーっ!?今ですかー!?」
彼女がカメラを回しているからだろうか。不思議と──最高に調子が良かった。
「《
発射と同時に弾丸が分裂し、観客を回避して、怪人達の防御を無視して内部を破壊する。最新の怪人である武将や蛾も殺せる一撃…おかげて殆どは塵と消えた。
残ったのは2体──魔法少女としてロボに対し覚える親近感と同様のものを感じる、二人だけ。
「はは…もしや先輩方で?平和な話し合いは」
ギィーン!ドッ!!
「グハァ!!《
拘束が破られ、私達を標的にして迫る。私には焔の拳が、ロボには氷の槍の雨が。吹き飛ばれ、壁に叩きつけそうなのを、銃弾で壁を破壊してそのまま外に出て、受け身を取った。
そんな感じで容赦ないが、先輩達に施された改造も容赦がない。
例えば目の前の彼女の顔は剥がれていて、全身が真っ黒になるほど炎に焼かれてしまっていた。
服は灰のようで、裾は炎によって今も燃えている。頭から捻れて生えた角も相まって…彼女が魔人だとと言われたら信じてしまいそうな、そんな悲痛な姿だった。
『ア"ア"ァ"……』
「おっと早速魔法を──あー…回避は無理っスか」
壁から飛び出して来た焔の魔法少女の拳に、炎が集まり凝縮する。
単純明快な火力、構えてるだけで周囲のアスファルトが溶けて、生木や草が発火する熱。
それがただ一点──私に向けて、放たれようとしていた。
熱い、暑い、アツイ、あつい。膨大な熱が、そこにあるだけで私を焦そうとする。
立っていられない。全身に熱が覆い被さって逃げ場がない。身体が燃えて、溢れる血が蒸発して煙と化す。
一撃を入れることすらままならない。トリガーにかけた指が溶けていく感覚がする。
「だからってぇ──諦める訳にもいかないんスよ!!」
それでも、私は守るべきものがある。家族も、この街も、全て──もう二度と取りこぼしはしない。
───その時だった。状況に合わないのんきなソプラノ声が聞こえたのは。
「その啖呵、サイコーですー!ではーバフを撃ち込みます!《絵から出た餅》!」
その姿を見る余裕はない。何をされたのかも、何を言ったのかも理解する余裕がない。
だが、溢れる力が私を後押しした事実だけは、確かに理解することが出来た。
暴力的な魔力が、私の口を使って形を創り出す。
緑色の願い星が、地表に舞い降りようとする太陽を穿つべく突き進む。
絶望的な戦力差があるだろう。一撃だけでは、決して焔の魔法少女よりも弱いだろう。
ちっぽけな一撃だ。小さな願いだ。ぶっちゃけショボい。しかし──束ねれば違う。
「私の魔法は流星群だ──孤独とは無縁なんスよ」
誰かが願う。この災害から助けてくれと。
誰かが願う。早くこの悪夢を終わらせてくれと。
誰かが願う。みんなが無事に帰ってくれと。
「ハァァァァ!!!!」
その願いが一つ、また一つを集まって太陽を空に押し留める。
人々の願いが、私の魔法を介して立ち向かっていく。
それはいずれ大きな光線となり、太陽を押し返し──その苦痛を貫いた。
「あ…うわわ!っっぶねっス!」
気絶した事で変身が解除され、全裸で落ちてくる少女を慌ててキャッチした。間一髪だ。
見れば何処にでも居そう感のある、美人な主人公顔が穏やかに眠っており……どうやら改造されたあれこれが消え去ったらしい。
多分私の魔法の効果だ。具体的に何が出来るかは知らないが、願いとか名前にあるしなんか都合よく行ったのだろう。周囲のアスファルトはダメでも、燃えた生木とかは復活してるから……多分これ回復魔法か何かだ。それも状態異常も治せる奴。私はゲームに詳しいから分かるんだ。
「…ってそうっス!あっちの手助けを!でも置いてけないし…」
「ならー私が持ってますねー?」
「うわあなにものだあ!!」
突然後ろから声をかけられたのでガチ目に驚き距離を取る。
全く気配がなかったから全然油断していた。本気で驚いた。
この私より背の低い羊みてぇな女、隠れ魔法少女を激写しまくっただけあって只者じゃないな。
…変身済みなはずなのにめちゃくちゃ現代的な服だな。カメラが武器なのも珍しいと思う。
「元魔法少女希望ゆうちゅーばーにしてー、バフ系カメラマン魔法少女の
「あぁさっきなんかやってくれた人っスか!あざっス!しゃっス!お願いしゃっス!行って来まっス!」
「わーっとー。ではお気を付けてー。あーそうだー、バフは持って後2分ですよー」
「初めての変身なのに使いこなしてる!すっげ!」
話もそこそこに、この前助けられたお返しだと意気込みながらモールの中に入さっむ!!
こっちもバフをされたのだろう。ビットから無数の雷の鎖を出し、氷の魔法少女や周囲の人々を地面に縛りつける。
しかし…そこに辿り着くまでに…なにか、致命的なことがあったのだろう。
「…ここ、氷河期かなんかっスか?」
氷漬けになった、氷像と化した無数の人々が。
氷の槍で貫かれ、串刺しになった人々が。
老若男女問わず、か細い雷の鎖を命綱にして、横たわっていた。
─ーだが、それは絶望する理由にはならない。
「ロボぉ!周囲の死者はぁ!?」
「……協力者、遅か」
「良いから答えろっス!まだコイツら生きてるか答えろ!」
「…この魔法の力により、生きています。ですが…」
「いや──良くやったっス!」
ニィーっと笑う。既に体力は底を付いているが、一発くらいなら気絶前提で撃てる余地がある。
だったらこの捕まった魔法少女と一緒にまとめて治療しちまえば全部解決するって寸法だ。私ったら天才だなあ!
「んじゃあ後は頼んだっスよ!せっかく助けた奴らが死ぬとかなしっスから──!?」
ぞわりと。命を振り絞る感覚を覚えて──それを無視して魔法を行使する。
さっきは熱と死が近づく感覚で分からなかったが…どうやらこの魔法は、寿命かなにか削るようなものらしい。
だが構わない。私は長者番付があれば一位になれる逸材だと妹からお墨付きを貰っている。なので多少削った所で問題ない。ちょっと削っても…バレへんか!
その後どうなったか、気絶した私には分からない。
全てを把握したのは病院から目覚めた後……一週間の昏睡から目覚めた後だった。
◼️次回予告
今後協力者改めカッシーには魔法少女になるのを禁止させて貰います。
私はこのチームだと新人だけどー…無茶しすぎだよねー?あ、ロボちゃんも禁止だよー?
………!?
次回ー!「全員集合!中堅魔法少女チーム結成!」
先ずはー鍋パして自己紹介ー。