土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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2部-6章 土器王の宮殿

 飛行器械に乗って、セレブロに戻ってきた。

 

 上の庭園は、下に広がっていた庭と同じように白い道が敷かれ、花や木が並んでいた。人気(ひとけ)が無いのでどこか物悲しい雰囲気がある。失われた主を懐かしむように、風だけが音楽を運んでいた。土器王が復活すれば、ここも活気に満ちるのだろうか?

 

「あそこが、宮殿だよ。すごいでしょ!昔、土器王が住んでいたんだって!」

 庭園の中心にある釣鐘状の外観をした建物が土器王の住んでいた宮殿らしい。

 宮殿の入り口には、ガタイのいい土器人が門番をしていた。彼が、宮殿の門番グアルダであろう。まるで鎧のような肩当をつけ、腹の部分には渦巻きの模様が刻まれたものを身に着けていた。左手には棘の生えた鉄球のような武器を、右手には3本の巨大なつめが生えている。不法侵入しようものならば、あの両手に持った武器でひとたまりもないだろう。キュラとはまた違った迫力がある土器人である。

 

「宮殿の中に入っても大丈夫ですか?」

 僕は、この貫禄のある土器人に恐る恐る尋ねた。

「どうぞ……土器王の……使者よ」

 グアルダは、僕の姿を認めると通してくれた。しゃべるのはあんまり得意そうではないが、意外と丁寧な物腰だった。

「ありがとう」

 グアルダにうながされ、宮殿の中に入る。

 

「あっさり通してくれたねぇ」

 ケマポンが言うには、今までみんな追い返されていたとの事。土器王と土器王が許可した者以外通さないというのを徹底していたらしい。テルミナスもキュラも、グアルダが思いを寄せているルピカという子でさえも。 

「……忠実なんだねぇ」

(……ルピカって、誰だっけ? ……まだ会ったことがない土器人かな)

 短い間に、たくさんの人に会ったので、いまいち名前と顔が覚えきれない僕なのでした。

 

 

 宮殿の造りはシンプルで、扉を2枚ほどくぐると天井の高い部屋に出た。この宮殿唯一の部屋で、その部屋には、見上げるばかりの巨大な玉座がある。その玉座の前に台座があり、その上には黄金色に輝く巨大な兜のようなものが飾られていた。

「大きいねぇ……土器王の兜、なんだか見覚えのあるような……」

 ケマポンはつぶやいている。

 

 その兜を調べてみると、頭頂部に取り外せそうな金属の板を発見した。金属質で円形の板には、三角形が描かれている。その三角形のそれぞれの頂点には赤い小さな石が、そして中央には青く大きな石が埋め込まれている。

「これが……もしかして、徽章(メダリオン)?」

 ケマポンが言う。

「きっと、そうだよ。これ以外にそれっぽいものないし」

 玉座の間を、じっくり吟味したけれど、他に手がかりになるようなものは無かったので、とにかく次は、転体を見に行ってみよう。転体の封印をとけば、道は開けるはずだ。

 

 

 

 

「ここに、土器王が眠っているんだね」

 飛行器械でアルシラに渡り、魔法陣の描かれた広場にやってきた。僕は早速、手に入れたばかりの徽章(メダリオン)を台座にはめ込んだ。すると、メダリオンが赤く輝き、台座は僕を乗せたまま、地下へ沈み込みはじめた。

「おおっと!」

 突然のことに、僕は思わず声を上げてしまった。今さらのことだけれども、この世界は仕掛けが好きだな、と思ってしまった。

 

 台座は僕を乗せたまま、地下へ降りていく。

 広い空間に出ると、目の前に巨大な土器の人間がいた。土器王がいつの日か復活するために焼いておいた巨大な器は、人型の埴輪のような形だった。

「これが……土器王の転体……」

「おおきいねぇ」

 僕もケマポンも、あまりの大きさにそれ以上の言葉が出なかった。

 

 台座が床に到着した。僕は台座を降り辺りを見回した。

「戦隊のモノのロボット格納庫みたいだな」

 地下に隠された巨大な空間の壁際にたたずむ巨大な人型は、太古の昔に作られたとは思えないほど、傷ひとつなかった。徽章(メダリオン)をささげたからだろうか、その体は今にも動き出しそうに見えた。

 

 その転体の目の前に、手の形をした台座がある。指がひとつ欠けているようだ。

「土器王の指……」

 僕は、荷物の中にそれがあるのを思い出した。

「これをはめ込めば、転体の封印は解けるのかな」

 僕はリテラにもらった「土器王の指」をはめ込んだ。ガシャン、と澄んだ音がして、描かれた模様が不気味な青に輝いた。そして、その手が地下へ沈んでいく。

 

 少しすると、その手には、鉾槍( ハルバード)の刃が握られていた。僕は、刃をそっと持ち上げた。

「墓所で鉾槍( ハルバード)の柄の部分を見つけているけれど、どうもくっつきそうもないなぁ」

 僕は手元にある柄と刃を交互に見た。プラモデルのように、簡単に組み立てられると思ったのだが、そうもいかないようだ。

 

「ドースに直してもらおうか。彼はすごい土器職人だから、きっと元通りにしてくれるよ」

 ケマポンは、ドースと言う土器職人を紹介してくれた。

「土器職人か……」

 どんな人だろうと思いながら、僕はドースへ会うために土器人たちの村へ向かうことにした。

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