土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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2部-8章 火山炉の土器焼き職人

 赤茶けた富士型の火山からは、煙が常に上がっている。活火山であることは想像できたが、今は大人しいのだろう。穏やかに細い糸のような白煙をあげているだけであった。

「最近、地震が多いって言っていたけれど、あの火山は大丈夫なのかな? あるいは、バルナの身震いが地震の原因だから……火山性の地震では無いから大丈夫なのかな?」

 地震大国日本に住んでいる自分は、そんなことを考えてしまう。僕の中で地震の時に起こるで怖い事ベスト5は、家屋の倒壊、火事、土砂崩れ、津波、噴火だ。

 僕がそう心配していると、ケマポンが「大丈夫だよ~」と言った。

「あの火山は、土器を焼くための熱を吐き出すだけだから~」

「そういう、ものなの……かぁ」

 地球とは違う成り立ちの火山なのかもしれない。しかし、地球では地震と火山は関係があるので、たとえあの山が熱を作るだけの山だったとしても、僕は一概に安心はできなかった。

 

 火山の麓にある建物に着いた。火山の斜面を利用し、密接するように建てられた登り窯で、今も大量の土器が焼かれているのだろう、火の何かを焦がす匂いが風に乗ってほのかに漂ってきた。

「作られた土器すべて、ここで焼かれるんだよ」

「そうなんだ」

「そして、あそこにいる彼が、火山炉の主任ホルノだよ」

 ホルノは、3本指の生えた重厚な腕が特徴的で、がっちりとした印象のある土器人である。この体のおかげだろうか、燃え盛る火山炉の中にあっても臆することなく、すばらしい土器を焼いている。

 

「用がねえんだったら、とっととけぇんな!」

 火山炉の窯をただただ見上げていた僕に気がつき、それを見たホルノは、そう声をかけてきた。

 ……気が短そうだ。

 

「これを焼いてほしいのですが……」

 僕は、恐る恐る鉾槍( ハルバード)をホルノに見せる。

「こ、こりゃあ、おめぇ、伝説の……鉾槍( ハルバード)じゃねぇか。へへ……これを、焼くのかい。よっしゃあ! 確かにあずかったぜ! おいらの腕の見せ所ってぇもんだ!」

 そう言うとホルノは、専用の器具を使い熱気すさまじい釜の中へ鉾槍( ハルバード)を置く。

 

「ちいっとばっかししたら、焼きあがるぜ! 焼きあがるまで、どこかで時間つぶしてな!」

 そして、ホルノは窯の様子を食い入るように凝視し、細かい調整をしはじめた。

「はい、お願いします」

 僕は、鉾槍( ハルバード)が焼けるまで、村の子供たちと遊ぶことにした。

 

 

 数刻後、ホルノが鉾槍( ハルバード)を持って現れた。わざわざ届けに来てくれたようだ。

「ほらよ、よおーっく焼けてるぜ! 伝説の鉾槍( ハルバード)を焼けるたぁ、一世一代の大仕事、させてもらったぜ!」 

「わざわざ、ありがとうございます!」

 僕は鉾槍( ハルバード)を手にした。焼き物であるはずなのだが、手に触る心地は吸い付くように持ちやすい。

「す、すごい」

「これが、鉾槍( ハルバード)の本当の姿……」

 ケマポンも感嘆の声を上げている。

 

 焼き物のことはよく分からないが、少し前まで2つに別れていたとは信じられないほど……そう、まるで新品のようなできばえだ。

「まっ、何か焼いてほしいものがあったら、来な! こんがり焼いてやるってことよっ!」

 そう言うと、ホルノは、颯爽(さっそう)と去っていった。いわゆる職人気質なのだろう。言葉は悪いが、仕事は確かである。

「ありがとうございました!」

 僕は思わずその後姿に礼をしてしまった。

 

「これを祭壇にささげれば、とうとう土器王が復活するんだね……」

 あの巨大な転体の体が動く……子供のころ夢見た戦隊ロボットを発進させるような、そんなわくわくとしたちょっとした興奮が湧き上がる。しかし、一方で、土器王が復活すれば、僕の役割も、旅も、終わり……そう思うと、少しさびしいような気分にもなってしまう。

「まぁ、とにかく行こう」

 僕は、土器王を復活させるために祭壇へと向かった。

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