赤茶けた富士型の火山からは、煙が常に上がっている。活火山であることは想像できたが、今は大人しいのだろう。穏やかに細い糸のような白煙をあげているだけであった。
「最近、地震が多いって言っていたけれど、あの火山は大丈夫なのかな? あるいは、バルナの身震いが地震の原因だから……火山性の地震では無いから大丈夫なのかな?」
地震大国日本に住んでいる自分は、そんなことを考えてしまう。僕の中で地震の時に起こるで怖い事ベスト5は、家屋の倒壊、火事、土砂崩れ、津波、噴火だ。
僕がそう心配していると、ケマポンが「大丈夫だよ~」と言った。
「あの火山は、土器を焼くための熱を吐き出すだけだから~」
「そういう、ものなの……かぁ」
地球とは違う成り立ちの火山なのかもしれない。しかし、地球では地震と火山は関係があるので、たとえあの山が熱を作るだけの山だったとしても、僕は一概に安心はできなかった。
火山の麓にある建物に着いた。火山の斜面を利用し、密接するように建てられた登り窯で、今も大量の土器が焼かれているのだろう、火の何かを焦がす匂いが風に乗ってほのかに漂ってきた。
「作られた土器すべて、ここで焼かれるんだよ」
「そうなんだ」
「そして、あそこにいる彼が、火山炉の主任ホルノだよ」
ホルノは、3本指の生えた重厚な腕が特徴的で、がっちりとした印象のある土器人である。この体のおかげだろうか、燃え盛る火山炉の中にあっても臆することなく、すばらしい土器を焼いている。
「用がねえんだったら、とっととけぇんな!」
火山炉の窯をただただ見上げていた僕に気がつき、それを見たホルノは、そう声をかけてきた。
……気が短そうだ。
「これを焼いてほしいのですが……」
僕は、恐る恐る
「こ、こりゃあ、おめぇ、伝説の……
そう言うとホルノは、専用の器具を使い熱気すさまじい釜の中へ
「ちいっとばっかししたら、焼きあがるぜ! 焼きあがるまで、どこかで時間つぶしてな!」
そして、ホルノは窯の様子を食い入るように凝視し、細かい調整をしはじめた。
「はい、お願いします」
僕は、
数刻後、ホルノが
「ほらよ、よおーっく焼けてるぜ! 伝説の
「わざわざ、ありがとうございます!」
僕は
「す、すごい」
「これが、
ケマポンも感嘆の声を上げている。
焼き物のことはよく分からないが、少し前まで2つに別れていたとは信じられないほど……そう、まるで新品のようなできばえだ。
「まっ、何か焼いてほしいものがあったら、来な! こんがり焼いてやるってことよっ!」
そう言うと、ホルノは、
「ありがとうございました!」
僕は思わずその後姿に礼をしてしまった。
「これを祭壇にささげれば、とうとう土器王が復活するんだね……」
あの巨大な転体の体が動く……子供のころ夢見た戦隊ロボットを発進させるような、そんなわくわくとしたちょっとした興奮が湧き上がる。しかし、一方で、土器王が復活すれば、僕の役割も、旅も、終わり……そう思うと、少しさびしいような気分にもなってしまう。
「まぁ、とにかく行こう」
僕は、土器王を復活させるために祭壇へと向かった。