土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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破壊神と土器王の復活
3部-1章 衝撃的な衝撃波


 僕は鉾槍( ハルバード)を持って、祭壇の前へ行く。村の人達も、遠巻きではあるが、期待に満ちた目で広場の中心を見守っている。彼らも、土器王の復活に、いてもたってもいられなくなったのだろう。

 

「復活の時は、来た! さぁ、 鉾槍( ハルバード)を、そこに!」

 司祭のキュラは、広場に描かれた三角形の中心部で両の手を上げ、天に祈りをささげている。彼の過剰装飾気味な造形のせいだろうか、今にも邪神を召還しそうな、そういう黒魔術的な感じの儀式をする神官のようにも見えてくる。そんな様子のキュラに苦笑いしながらも、僕は言われるままに、台座に鉾槍( ハルバード)を差し込んだ。

 その瞬間、広場がぼんやり煌きを持ち始め、台地が揺れ出した。祭壇から光があふれ、光の線が陣の模様を描がき始めた。とうとう、土器王が復活するのだ!

 

 すると、キュラが突然、笑い出した。

「ごくろうだったな、ウニバル人。これで貴兄の役目も終わりだ……。破壊神、バルナ復活の時は来た!」

「えっ……バルナって、何を言っているの、キュラは……土器王を復活させるんじゃ、なかったの?」

 僕はもちろん、ケマポンも驚きの色を隠せない。

 

 キュラは、不気味な光を瞳にたたえて、笑っている。

「ここまで簡単に、引っ掛かるとはな……。まあいい。説明は後回しだ。バルナ復活を、共に祝おうではないか! ……今こそ、封印は解かれた! ……めざめよ! ……バルナ! 」

 キュラがそう叫ぶと、今まで青かった空が急激に暗くなる。大地は揺れ、何本もの稲光が地上に突き刺さる。描かれた三角の陣が輝きだし、中央部分から光の柱が立ち上る。巨大な何かが陣から現れた。……奇妙な模様を緋色に煌かせた土器の鯨である。

 

 

「バ バルナァーーーーー!!」

 

 

 土器鯨(バルナ)に意識をとられていたが、その声に僕はキュラを見た。すさまじい光の衝撃で、キュラにひびが入るのが見えた。腕が天に舞い、飾りは砕け、体が割れていく。光に散り、消滅していく。そして、彼の姿が完全に消えた。――それがキュラの、彼の最期であった。

「え?」

 僕の戸惑いをよそに、土器鯨(バルナ)は稲妻をまといながら天へ昇っていく。体に描かれた模様が、熱を帯びたように赤く、白く輝いているのがとても印象的だった。

 

 揺らぐ空に滞空しているバルナは、その大きな口を開く。折りたたまれた避雷針のような収集器が、その左右にそびえたち、口の中に収納された砲身が回転しながらせり出してくる。収集器に光のエネルギーが集まっていく。光の筋が砲身に集い始め、体の模様はますます強く輝き、そして、膨大な閃光と雷光をその巨大な口から放射した。光線の振動で空がゆがみ、暗黒の深淵が開いた。

 その開いた闇の中に、破壊神(バルナ)は吸い込まれるように宙を泳ぎ……そして、空は、何事もなかったかのように、美しい青色を取り戻した。

 

 

 

「……あれが、バルナ……」

 僕は、ただ呆然と立っていた。

「キュラは、何であんなものを……?」 

 通信機の向こうにいるケマポンも、何がどうなっているか分からない様子だ。

 

 空は、何事も無かったかのように穏やかで青い。

 ここは静かである。

 ここは静寂で満たされている。

 その静けさが逆に不気味である。まるで、先ほどまでの出来事が夢のような感じがする。

 しかし、目の前の祭壇には鉾槍( ハルバード)が確かにささっており、あの儀式は確かに行われたのだと実感する。

 

「ボク、なんだか、さっぱりわかん……な……あ、あれ……」

 ケマポンの声が聞き取りにくい。通信に不具合でも起きたのだろうか?

「あれ……急にめまいが……い……一体……ボク……どうしちゃったんだろ……」

「ケマポン? 大丈夫?」

 僕は呼びかけるが、ケマポンは聞こえていないようだ。

「……はやく……きて……ビ、ビブリオが……司書長、に……はやく……」

 そして、そこで通信は切れてしまった。

 

 

 ――静寂。

 

 

 

 一体何が起きているんだ。

 ビブリオが司書長に……?

 ボクの知らないところで、事が起こっている。

 キュラがバルナ復活をたくらんで……

 そういえば司書長が石になっていて……

 なぜ、今ビブリオが?

 

 

 

 

 あぁ、空は静かで変わらぬ青を映している。世界は、宇宙は、どうなってしまうのだろうか。




「え?」
 これは、バルナ復活のムービーを見ている時、自分が思わず口に出してしまった言葉です。
 あれは、衝撃でした。
 ボケ体質の自分も、ツッコミたくなる。
 バルナ復活の衝撃で、悪者が、ただあっけなく割れていく。
「えっ、われちゃったの? それで、彼の野望は終わりなの?」そんな感じだった。

 しかし、「貴兄の役目も終わりだ」……「貴兄」と言い放ったキュラに萌えてしまったことは、ここだけの話。
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