土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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異世界エスパッシ
1部-1章 浮遊大陸セレブロ


 眼前には見たことが無い、青い世界が浮かんでいた。

 

 雲の合間に見えるのは、空中に浮かんでいる不思議な形の二つの島だった。

 二つの島が重なったような2段構造の青い島と、赤褐色の火山のある島。

 その二つの島が、空に浮いていた……

 

 僕は、水をたたえた方の島へ一直線に、落ちていく。

 

 青々とした美しい水、石灰のような色をした台地、そして、いくつかの建物らしきものが見える。

 どうやら、そのうちの一つ、島の1段目にある建物に引き寄せられているようだ。

 そして、僕は、その半円形の建物の中に吸い込まれていった……

 

 

 

 気がつくと、そこは、壷の中のような小さな部屋だった。

「……ここは?」

 

 僕は、目の前の扉のような部分に触れた。

 ざらりとした、焼かれた土でできた扉は、簡単に開いた。

 扉の外は、研究所のような部屋であった。

 

 ……と、僕の目の前に、一つの赤い光が、すっと現れた。それは、不思議そうに僕の顔を覗き込んでいる。

 赤いレンズの中が、好奇心にあふれているかのように煌々と丸く光っている。

 3本の小さな指が、僕に触れようとする……

 

「あの……」

 僕が、言葉を発すると、レンズの中の光が大きくなり、その生物は後ずさる。

 まるで、驚いたかのように、それは、くるくると回って、部屋の中心へ移動する。

 

 そして、僕の方を見て、止まる。

 その小さな生物は、先ほど、画面に映っていた壷のような人物と同じような材質でできていた。しかし、その形は、まるで土偶のような人型の形をしてる。

 

「……も、もしかして、きみ、テルミナスに……呼び出された人……?」

 土偶に似たモノは、おそるおそる、僕にそう尋ねてきた。

 

 ……テルミナス、そういえば、先ほどの壷のようなモノが、そう名乗っていたような。

「そうだよ」僕は、うなずいた。

「やっぱり! よかったぁ! ……で、きみ、だれ?」

 聞き方がストレートだなぁ……そう思いながらも、僕は、自分の名前を名乗る。

 

「変わった名前だね……ぼく、ケマポン。テルミナス司書長の、たった一人の助手さ……」

「ケマポン?」

 君の名前も、だいぶ変わっているけれど……この世界では、普通の名前なのかもしれない。

 

「……あのね……ねっ、聞いてくれる?」

 ケマポンは、言葉を覚えたての子供のように、つたない 口調で僕に話しかける。必死な様子に、僕はほほえましく思ってしまう。

「うん、いいよ。話してごらん」

 

「よかったぁ! 実はね……『ウニバルのデータ壷』が、みつからないの。『ウニバルの壷』がないと、ウニバル、くるっちゃうの……」

 

 む、さっそく、わけの分からない単語が出てきたぞ?

 しかし、それに構わず、ケマポンは話を続ける。

 

「司書長が、君を呼び出しているところ、転送壷のそばで、見ていたんだけれど……いっきなり、だれかに、頭をガッツーンと、なぐられて、気を失っちゃったんだ……気がついたら、君がいて……あ~、なにから話していいか、わからない!」

 ケマポンは、赤い目を点滅させる。

 

「まぁ、落ち着いて……まず、ウニバルの壷っていうのは、何?」

 とにかく、分からない言葉を聞いていこう。分からないことは、聞いておかなくては、多分、この先、やっていけないだろう……

 

「ウニバルは、きみの住んでいる宇宙だよ。ウニバルの壷は……きみを、呼び出すため、転送壷に置いて、使ってたんだけど、なくなっちゃった……」

 

 ようするに、その壷は『ウニバル』に住んでいた僕を召還するのに使った道具ということかな……

 

「ええと、それじゃあ、その僕を呼んだ司書長……テルミナスさんはどこに?」

 僕を呼び出したテルミナスに話を聞いた方が、早そうだと、そう思ったのだ。

「ぼくが、気を失っているあいだに、ウニバルのデータ壷といっしょに、どこかにきえちゃったの」

 

 僕を呼び出した司書長が壷といっしょに消えた……

 そういえば、ケマポンも、何者かに襲われてと言っていた。

 これは、事件の気配?

 

「それで、僕は何をすれば良いの?」

 いなくなった司書長や壷も気になるが、まずは、これを確かめなくては、いけない。

 僕が、この世界に呼び出された理由を。

「……土器王の復活を、手伝って欲しいの」

「土器王……?」

 雑音の混じる中、テルミナスもそのようなことを言っていたことを思い出した。

「土器王は……全てを支配した、伝説の、土器大人だよ。復活には、きみの助けが、必要らしくて……司書長が、きみを呼び出したんだよ」

 

 また、分からない言葉が出てきた。

「土器大人って?」

「体の大きな、土器人らしいよ」

 そのままかい!……聞くまでもなかったかもしれない。

 

「……そういえば、ケマポンは、土器人なんだよね?」

 テルミナスが、「わては土器人やねん 」と言っていたのを思い出したのだ。

 ケマポンは、ちょっと変わった土偶にしか見えないけれど。

 

「そう、ぼくは土器人。アルシラで生まれる者たちは……みんな、土器人」

 ケマポンは、僕がこの世界から来たばかりということを忘れているのではないかと、思ってしまう。次々と出てくる僕の分からない単語。

 

「アルシラ? ……ここは、アルシラという所なの?」

「……ええとね、ここは、セレブロ。アルシラは、赤くて、火山がある島の名前。この世界には、アルシラと、セレブロは、浮いていてぇええええ、わわわぁ……」

 

 ケマポンが、この世界の説明をしていると、激しい揺れが襲った。世界が、揺れる。

 まるで、崩壊の予告のような、大きな地震が。

「うわ~~~~~~~~~~~こ、こんなこと……こ、ここじゃ……お、おきないはずなのに~~~~~~~~エスパッシこわれちゃうう~……はやく、土器王、復活させなくちゃ!」

 

 地震はおさまったが、ケマポンは、まだ、両手を挙げて、くるくると回っていた。

 この世界の置かれている状況は、思わしくないようだ。

 

「お願い。この世界を、ぼくらの世界、エスパッシを助けて!」

 ケマポンは、僕の腕をつかみ、必死にお願いしている。

 

「あ、あぁ、分かったよ……」

 そのケマポンの懸命な姿に、思わずうなずいてしまった。

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