土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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3部-4章 最愛の妃が眠りし場所

 ビブリオの話が終わり、あたりは沈黙に包まれた。

 

「……すでに起こってしまった事は、仕方ありまへん。急いで、メモータルいきまひょ。そこに、解決の糸口が、きっと、ありまんがな」

 口を開いたのは、テルミナスだ。

 そうだ、その通りだ。今は、感傷にふけっている暇は無いのだ。

 ウニバルの壷を棚に戻したので、これでひとまず、僕の宇宙が狂って滅びることは無い。しかし、バルナをどうにかしない限り、危機は存在したままだ。

 早く、土器王を復活させなくては!

 

 僕とテルミナスは、メモータルへ向かった。

 

 メモータルの入り口にいるオツゲイシは、言葉を放つ。

「聞け! 土器王……かく語りき! 『女神の愛にて、我再び目覚めん!』」

 あれ、しゃべっていること、変わっている?

「女神?」

 僕は、オツゲイシの言葉の中にあった単語を、口に出した。

「土器王の妃、ムチャチャのことや! 土器王復活のための秘薬を、持ったまま封印されたはずや」

「そうなんだ」

 さすがテルミナス。物知りである。

 

 

「そういえば、この前来た時は、動かないエレベーターがあって……行けなかった場所があったはず。足りない部品があってエレベーターが動かなかったんだ」

 メモータルの入り口から続く廊下を歩きながら、僕は思い出したことをテルミナスへ伝えた。

「そや、そや。あんさんに会ったら、コレ、渡そうと思っていたんや。倉庫整理していたら出てきはってなあ。でも、石になってしもうて、渡しそびれてしまいましたわ……」

 テルミナスは、どこからともなく丸い宝玉を取り出した。

「なんだか、ご都合主義だなぁ……」

 

 エレベーターを制御する台座にその宝玉をはめ込むと、ボタンに光が灯る。これで、動くようになったようだ。

「いきまひょか~」

 エレベーターの先には、いったい何が眠っているのだろうか。僕は期待に胸を膨らました。

 

 

 エレベーターの着いた先は、1階よりも小さな部屋だった。壁には一面、()が描かれている。それは、文字のようにも見え、何かの絵のようにも見えた。

 部屋の中央は少し高くなっており石棺のようなものが設置してある。棺の中央部には、青い石が埋め込まれていた。そして、棺から少し離れたところに祭壇があり、5本指の手の形をしたくぼみが2つあった。

 テルミナスは、その壁画を真剣に凝視していた。

『王は、遠きウニバルとなり、永き、再生への眠りにつく……。我が復活を 望むものは、世界の秘密を望むもの……ウニバルより召喚されし者、その身がすべてを導くであろう……』

 解読したテルミナスが言う。

 

「その身がすべてを導く……」

 僕は、祭壇につけられた手形を見つめ、そして、自分の手に目を落とす。

「あんさんの手、置いてみはったら?」

 テルミナスの言うとおり、確かに、それは手を置いてくださいとばかりの形をしているのだ。僕は、両手を置いてみた。すると、思ったとおり動き出した。

「確かに、この仕掛けは、僕じゃないと攻略できないね」

 土器王の復活には、召喚されたウニバル人が必要と言う理由が、分かったような気がした。

 

 祭壇から左右に放たれた光は、壁を反射し、棺の宝石めがけて飛んでいく。光の三角形が完成した。光のすべてが、石に吸い込まれ光が収まると、石の棺の蓋がゆっくりと開いた。棺が開放されると同時に、中にいたその人物は姿を現した。

 

「わわわ」

 銀色のその肢体は、焼き物というより、金属でできた完全な人間型で女性の形をしていた。僕の世界の女性に近い容姿で、土器人離れした外見だ。銀色の肌がとてもまぶしい。締め付けるような金属製の服が体のラインを強調している。

 僕は少し目のやりどころに困る。

「む、胸が……」

 かなりの巨乳さんなのでした。

 

「我が名はムチャチャ……土器王の妃」

 彼女はそう名乗った。

「我が目覚めは、王の目覚め。……土器王、復活のときは来た! 土器王に招かれし、ウニバルの者よ。これを……」

 土器人の瞳に似た宝石が施された縄文土器のような壷を託された。

「この記憶の壷と鉾槍 (ハルバード)を眠れる王に捧げよ。すべて、古よりの定め……」

 

「けったいな壷でんなぁ……」

 テルミナスは、土器王から預かったと言う記憶の壷をなめるように観察する。

「眠れる王に、これを使えば……眠れる王って、どこにおるんやろ? ……眠れる? ……んん? ……ま、まさか!!」

 テルミナスの赤い瞳の光が大きくなり、突然そう叫んだ。

「まさか?」

 テルミナスには、何か思いあたることがあるらしい。

「あんさん! 司書室へ戻りましょ」

 僕はわけがわからないまま、テルミナスについていく。

 

「……ケマポンのヤツ。ドキツカサやないのに、妙にようしゃべるなあ、思うとったんやけど」

「え……まさか! ……ケマポンが……?」

 僕らは、司書室へいそいだ。




 テルミナスの推理力と理解力は、異常だと思うことがある。全部知っているんじゃないかと思ってしまう。
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