土器王紀-埴輪の愛。土偶の夢-   作:まいまいഊ

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1部-5章 宇宙のエントロピー

「む、迷ってしまったか」

 地上へ出ようと、歩いていたら見知らぬところに出てしまった。もと来た道を戻ったつもりだったが、どこかで道を間違えてしまったらしい。

「ケマポン、ここどこ?」

「ええとね……ここは……ダクトルームだね」

 たしかに、壁や天井一面に、無数の管が敷き詰められている。

 

 このダクトルームで働く人たちなのだろうか、何人かの土器人を見かけた。ケマポンによると、修理をする人たちらしい。

 僕は、仕事の邪魔になるといけないので、軽く挨拶をするだけにとどめようとしたが、ウニバルから来たと彼らに言ったら、折角だから、造力室も見て行けと強く言うので、彼らに従って、そこへ案内してもらうことにした。

 案内するのは、アロアとアドビ。体の色が少しが違うだけで、双子のように似た形をしている。それは、同じような仕事をするからだろうか。

 

「最近、何かありました?」

 何も話さないまま、無言で歩くことに耐え切れなくなってきたので、話題を振ってみた。

「時々、ビブリオ……造力室にくる。なにも、ないのに……」アロアは言う。

「ビブリオは研究熱心という話を聞くし、単純に造力室に興味があるんじゃないのかな」

 実際、僕も少し興味があるし。

「そう……なのか」

 アロアは、納得したような、してないような返事をする。

 

「ビブリオと言えば……キュラ、来る……ふたり、とても、仲が良い」アドビが言う。

「見た……仲が良い」アロアも言う。

「キュラ?」

「キュラは、アルシラにあるアルマ寺院の偉い人だよ! 」

 ケマポンは言う。

「へぇ、寺院ねぇ……」

 ビブリオとキュラは、いわゆる「噂になる」ような仲なのだろうか。寺院の人は恋愛しちゃいけないとか、そういう規律があるのだろうか。土器人の文化や、感覚がいまいちわからないので、どういった意図の仲が良いなのか判別がつかなかった。

 しかし、どこの世界も、噂話と言うものはあるものなんですね。

 そんな、たわいもない噂話をしながら、僕たちは造力室へ向かった。

 

 造力室の扉を開くと、熱気があふれてきた。部屋の中央には、円柱状の柱が立っている。低い音を立てながら、薄暗い部屋を紅の色に染めている。

「宇宙のデータ、たくさん流れる……パイプ、とても熱い……」

 アロアは、職場についての不満を言う。

「確かに、ちょっと、熱いね」

 彼ら土器人は焼き物だけれど、熱さは感じるということに驚きを隠しつつ、同意をする。

「宇宙の情報(データ)はエネルギーを持っていて、情報はたくさん流れるから、とても熱くなるね。役目を終えた宇宙は、冷たい石のようになって崩れちゃうんだってサ。」ケマポンは、言う。

 

「壺の中にある宇宙……閉ざされた宇宙、冷たくなる宇宙の死?」

 僕はその言葉をきいて、あることを思い出していた。

 

 

 

 

 熱を持ったエネルギーにあふれる閉ざされた宇宙。我々の住む宇宙が「閉じた宇宙」

 

ならば、宇宙は最終的に絶対零度に向かう熱的死に達するという説がある。宇宙の状態

 

(エントロピー)が最大となったとき、宇宙は死を迎えるというものである。

 

 ビブリオのいた部屋で見た宇宙のデータ壷。一つの壷に、一つの宇宙の法則が入っているといっていた。

 あれが宇宙の形なのだとしたら。

 壷に入った閉じた宇宙に、熱を持った情報は蓄積していき、そして、最期は石のように冷えて死んでしまう――

 

熱的死、宇宙の死因。

 もしもこれが本当に宇宙の姿であるならば、科学者たちが頭を悩ませている宇宙の形、法則、未来の姿、それらの謎の答えにつながるかもしれない素材がここにあるのだ。

 僕が宇宙物理学者か何かであれば、もっと色々理解し、悟ることもあるのだろうが、学生時代にほんの少しかじったくらいの知識では、それ以上の真理を求めようもない。

「ここは、とんでもない世界なのかもしれないな」

 僕は、ただただ驚嘆するしかなかった。

 

 僕は、しばらく造力室を隅々まで見回した。

「ん?これは?」

 造力室の隅のほうの棚に、小さな小瓶がいくつか並んでいることに気がついた。少し機械的な、この場所にはちょっと不釣合いなモノのように思えたのだ。

「これ……土器王、残した……とっても、あぶない、秘薬……」

 アドビが説明する。

「ひとつない、どうした……」

 アロアがアドビに尋ねる。

「……本当だ。ひとつ、足りない」

「そ、それは、大丈夫なのかい?」

 僕は、心配になる。

「……出来損ないの薬……だから、あぶない……」

 何がどういう風に危ないのかは、よくわからないらしい。特にあわてる様子もないので、そんなに危ないものではないのかもしれない。

 ……というか、そんな危ない薬を、こんな誰でも勝手に持ち出せそうなところに、しかも、こんな高温な場所に保管するなって、突っ込みたくなってしまった。




ちなみに、「熱的死」という言葉とは裏腹に、宇宙全体は絶対零度に近い温度になるらしい。熱が拡散しすぎるのかしら。
熱力学第二法則とか、よくわからない。

うん、結局よくわからなかったのです!
一夜漬けのよくわからないままに、書いてしまういい加減さ(笑)

しかし、この土器王紀というゲームはSFだったのだなぁと実感するのです。
「超弦理論」とか「トポロジー」が理解できたら、もう少しいろいろかけたような気もする。
色々調べて、深読みすると、とんでもない裏設定がありそうで、ある意味で怖いゲームです……
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