「む、迷ってしまったか」
地上へ出ようと、歩いていたら見知らぬところに出てしまった。もと来た道を戻ったつもりだったが、どこかで道を間違えてしまったらしい。
「ケマポン、ここどこ?」
「ええとね……ここは……ダクトルームだね」
たしかに、壁や天井一面に、無数の管が敷き詰められている。
このダクトルームで働く人たちなのだろうか、何人かの土器人を見かけた。ケマポンによると、修理をする人たちらしい。
僕は、仕事の邪魔になるといけないので、軽く挨拶をするだけにとどめようとしたが、ウニバルから来たと彼らに言ったら、折角だから、造力室も見て行けと強く言うので、彼らに従って、そこへ案内してもらうことにした。
案内するのは、アロアとアドビ。体の色が少しが違うだけで、双子のように似た形をしている。それは、同じような仕事をするからだろうか。
「最近、何かありました?」
何も話さないまま、無言で歩くことに耐え切れなくなってきたので、話題を振ってみた。
「時々、ビブリオ……造力室にくる。なにも、ないのに……」アロアは言う。
「ビブリオは研究熱心という話を聞くし、単純に造力室に興味があるんじゃないのかな」
実際、僕も少し興味があるし。
「そう……なのか」
アロアは、納得したような、してないような返事をする。
「ビブリオと言えば……キュラ、来る……ふたり、とても、仲が良い」アドビが言う。
「見た……仲が良い」アロアも言う。
「キュラ?」
「キュラは、アルシラにあるアルマ寺院の偉い人だよ! 」
ケマポンは言う。
「へぇ、寺院ねぇ……」
ビブリオとキュラは、いわゆる「噂になる」ような仲なのだろうか。寺院の人は恋愛しちゃいけないとか、そういう規律があるのだろうか。土器人の文化や、感覚がいまいちわからないので、どういった意図の仲が良いなのか判別がつかなかった。
しかし、どこの世界も、噂話と言うものはあるものなんですね。
そんな、たわいもない噂話をしながら、僕たちは造力室へ向かった。
造力室の扉を開くと、熱気があふれてきた。部屋の中央には、円柱状の柱が立っている。低い音を立てながら、薄暗い部屋を紅の色に染めている。
「宇宙のデータ、たくさん流れる……パイプ、とても熱い……」
アロアは、職場についての不満を言う。
「確かに、ちょっと、熱いね」
彼ら土器人は焼き物だけれど、熱さは感じるということに驚きを隠しつつ、同意をする。
「宇宙の
「壺の中にある宇宙……閉ざされた宇宙、冷たくなる宇宙の死?」
僕はその言葉をきいて、あることを思い出していた。
熱を持ったエネルギーにあふれる閉ざされた宇宙。我々の住む宇宙が「閉じた宇宙」
ならば、宇宙は最終的に絶対零度に向かう熱的死に達するという説がある。宇宙の
量が最大となったとき、宇宙は死を迎えるというものである。
ビブリオのいた部屋で見た宇宙のデータ壷。一つの壷に、一つの宇宙の法則が入っているといっていた。
あれが宇宙の形なのだとしたら。
壷に入った閉じた宇宙に、熱を持った情報は蓄積していき、そして、最期は石のように冷えて死んでしまう――
熱的死、宇宙の死因。
もしもこれが本当に宇宙の姿であるならば、科学者たちが頭を悩ませている宇宙の形、法則、未来の姿、それらの謎の答えにつながるかもしれない素材がここにあるのだ。
僕が宇宙物理学者か何かであれば、もっと色々理解し、悟ることもあるのだろうが、学生時代にほんの少しかじったくらいの知識では、それ以上の真理を求めようもない。
「ここは、とんでもない世界なのかもしれないな」
僕は、ただただ驚嘆するしかなかった。
僕は、しばらく造力室を隅々まで見回した。
「ん?これは?」
造力室の隅のほうの棚に、小さな小瓶がいくつか並んでいることに気がついた。少し機械的な、この場所にはちょっと不釣合いなモノのように思えたのだ。
「これ……土器王、残した……とっても、あぶない、秘薬……」
アドビが説明する。
「ひとつない、どうした……」
アロアがアドビに尋ねる。
「……本当だ。ひとつ、足りない」
「そ、それは、大丈夫なのかい?」
僕は、心配になる。
「……出来損ないの薬……だから、あぶない……」
何がどういう風に危ないのかは、よくわからないらしい。特にあわてる様子もないので、そんなに危ないものではないのかもしれない。
……というか、そんな危ない薬を、こんな誰でも勝手に持ち出せそうなところに、しかも、こんな高温な場所に保管するなって、突っ込みたくなってしまった。
ちなみに、「熱的死」という言葉とは裏腹に、宇宙全体は絶対零度に近い温度になるらしい。熱が拡散しすぎるのかしら。
熱力学第二法則とか、よくわからない。
うん、結局よくわからなかったのです!
一夜漬けのよくわからないままに、書いてしまういい加減さ(笑)
しかし、この土器王紀というゲームはSFだったのだなぁと実感するのです。
「超弦理論」とか「トポロジー」が理解できたら、もう少しいろいろかけたような気もする。
色々調べて、深読みすると、とんでもない裏設定がありそうで、ある意味で怖いゲームです……