【書籍化】告知事項(隣人がVtuberです)【進行中】   作:関係ないよ

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カノンボールはぁ!

枚方(ひらかた)カノンオリジナル楽曲制作決定』の下に文字列が新たな情報が追加された。

その内容は『登録者数八万人記念&夏服お披露目配信』だ。

 

「私枚方(ひらかた)カノンはぁ! 夏のお衣装へ衣替えする事になりました! 登録者八万人記念配信にてお披露目致しまーす!」

 

おっ!

やるやん!

これこれ、こういうの!

八万人記念何やるのー?

 

「八万人記念はねー、まぁ当日考えますわ」

 

いつもの

社長に案だしてもらえよ

記念だし今日ぐらい早めの時間にやってもいいんじゃない?

アーカイブで見るの寂しいから夜中にやらんでな

今日ぐらいの時間にやってねー

 

ちょうどイラストレーターの先生の手が空いていたのか、発注を投げてから一週間もしないうちにカノンの夏服衣装が返ってきた。

シュシュさんは毎日毎日夜中に生放送をしているからか、これまで記念配信をやった事がなかったらしいし……

ちょうどいいから記念配信と一緒に夏服のお披露目をする事にしたのだ。

コメントの反応も概ね好評、まぁ衣装が増えて喜ばないファンはいないからな。

 

「それでは次の議題ー」

 

配信ソフトを操作すると、次に表示されたのは『グッズ発売予告』の文字。

 

「私枚方(ひらかた)カノンはぁ! このたび色々グッズを作って頂ける事になりましたぁ!」

 

ほう

お手並み拝見やね

まぁこれまでグッズなかったしね

色々出るのも社長のおかげ?

 

「そうそう、社長が色んなとこにメールして電話して足つこてで色々やってくれてんのよ」

 

カノンは長谷川に仕事全投げしてそう

セコカンの手を逃れた長谷川を待っていたのはまた地獄だった

何出すの?

ブラインドは勘弁してちょーだい

 

「えー、出るのはねぇ……まずはアクリルスタンド! 全三種! ハセやん、これ隠れてるのは夏服?」

「はいハセやんです、夏服です」

 

ハセやん

ハセヤンやん

ハセやんって呼ばれてるんだ

ハセやんパワハラ受けてない?

 

正直シュシュさんは迂闊すぎるとは思うが……まぁもう本名がバレているのだ、何も怖い事はない。

カノンさんはアクスタ、缶バッジ、ステッカー、キーホルダーというよくあるグッズを紹介し、俺がリアルタイムでSNSを更新しながら販売ページの案内を補足した。

Tシャツとかパーカーとかも定番だとは思うが、利益率と、最悪売れ残った場合の在庫管理を考えた結果……このラインナップとなった。

衣服系はイベントがあればよく売れるとは思うが、V自体が盛り上がり切っていない現時点ではまだまだ需要も少ないだろう。

 

「それでは次の議題に参りましょう」

 

配信ソフトを操作すると『グッズ発売予告』の下に『枚方(ひらかた)カノン3D化への道』という文字が表示され、画面はそれでちょうど一杯になった。

 

「私枚方(ひらかた)カノンはぁ! このたびクラウドファンディングに挑戦する事になりましたぁ!」

 

3D!?

ついに!

ていうかスタッフ一人でこれだけの企画を!?

ハセやん働き過ぎやろ!

死ぬぞ!

 

枚方(ひらかた)カノンは何の役にも立たないという前提でコメントが来ているが、やはり視聴者の方が本人よりもよくわかっているものだ。

シュシュさんはだいたい何か手伝おうとしては、気づいたら投げ出しているからな……

 

「えーっとこれは……社長の仕事やね」

「はい、ここからは社長が説明致します。まずクラウドファンディングという仕組みについて、簡単にはなりますが説明させて頂きます」

 

クラウドファンディングというのを簡単に言えば、皆から金を集めてでっかい事をやろうという仕組みだ。

出資者(バッカー)は金を出し、クリエイターは最初に約束した成果(リターン)を返す。

だがクラウドファンディングの難しいところは、必ずしも成功するわけではないという事だ。

金が集まらずに頓挫する場合もあるし、金が集まっても上手くプロジェクトが進まず頓挫する場合もある。

クラウドファンディングは皆でやるギャンブルなのだ。

俺はそこら辺をできるだけ柔らかく話しながら、シュシュさんにでもわかるぐらい噛み砕いて説明した。

 

「もし今回資金が集まりきらなくとも、いずれは必ず枚方(ひらかた)カノンの3D化は成し遂げます。もちろんリターンの方も、私が責任を持って会長と共に制作致します。あくまで皆様のご支援によって、枚方(ひらかた)カノンの3D化が早くなるという形になります」

「そういう事! みんな応援したってや!」

 

はえー、アカウント作ってみるか

まぁどうせ3D化は既定路線だろうし、そういう形になるか

ボイスで名前呼んでもらえるの楽しみ

直筆サイン入りカードのプランに金入れまくってカノンの手首ぶっ壊そうぜ

5000円- 3D化の足しにしてください

 

3D化クラファン発表でそこそこ盛り上がり、あとは終わるだけという空気だが……

俺は最後にサプライズとして、もう一つの項目を用意していた。

 

「さて、本日の議題はこれで終了……ではございません!」

 

ハセやん!?

社長、何を……

これ以上?

発表が多すぎるっピ!!

 

ざわめくコメントを見ながら配信ソフトを操作すると……

画面にババンと新しいスライドが表示された。

それこそが、シュシュさんが理解を諦めた発表内容。

『カノンボール一期生ライバー募集予告』という発表だった。

 

うおおおおおおお!!

えっ!?

ライバー募集!?

カノンに後輩ができるって事?

一気に動きすぎだろ!!

 

俺は隣でニヤニヤしながら、滝のように流れるコメントを眺めているシュシュさんの肩を叩き、マイクを指差した。

でもわかるよ、俺もこんなにいい反応が貰えるとは思わなかったもんな。

彼女は台本の最後のページをめくり、息を吸い込んだ。

 

「……カノンボールはぁ! このたび第一期生となるライバーを募集する事になりましたぁ!」

「最初の募集は三人、これより募集要項をご説明させて頂きます」

 

この夏俺が選んだのは、ゴン攻め。

会社にある金を本当に全ベットしての、全力のコンテンツ制作(せつびとうし)だった。

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