緑谷兄妹
「選ぶがよい、みとどけるのはどちらだ?」
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「全員席ついてるかー、ホームルーム始めるそー。これから進路希望の紙を配るけどー、まあ皆だいたいヒーロー科志望だよね〜」
担任の言葉にクラス中が騒ぐ。そんな中3人は周りみたいに騒いでいなかった。
「先生ェ!皆とかいっしょにすんなよ!俺は模試では雄英高でもA判定!!あのオールマイトをも越えて、トップヒーローと成り!!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!」
「爆豪は雄英高校だったな、そういえば、緑谷兄妹も雄英だったな」
「は?神目ならともかくデクぅてめぇがヒーローになれるわけが!」
「ヒーローじゃないよ、かっちゃん、サポート科、私の夢は兄さんが継いでくれたから、私はそれをサポートする、」
「だそうだ、あまり突っかかるなよ爆豪」
「お前はそれでいいのか!」
「それはあの時にもう言った」
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「ごめん、ごめんなぁ、不甲斐ない兄で」
「いいよ、確かに何も見えないけど、ねぇ…私の夢、託していい?」
「うん、うん、絶対にオールマイトのようなヒーローになるから、なって目を戻すから!」
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小学生の時の記憶、二人で散歩に出て、出久の視力を対価に手に入れたこの目、元々糸目の俺は簡単に隠せる、けど出久の目は小さな星が輝くような暗い碧の眼がはっきりとわかる。
神々の遊び、おいそれと手が出せないこの眼は最悪の場合一生このままの可能性がある。どちらにせよ、何とか繋いでいる出久の眼は俺が動けなかったことの責任だ。罰だ。出久も母もそれを許してはくれているが、無個性でもあきらめなかった出久にヒーローという道を断念させる原因だから、この眼は、個性に匹敵する力を持つ、個性を持つ俺が犠牲になればよかった。なんで俺は出久から奪っていくんだろうな…………
「ちっ!」
放課後になり出久と共に帰っていると、人が塊となって騒いでいる、ヴィラン事件だろうか、出久に被害がいかないように、前に出ようとすると、聞き慣れた爆音が響いてくる。
「おいおい、なんでヒーローは動かないんだよ」
「相性が悪くて近づけないんだと」
「あれは…爆豪?!」
「助けなきゃ!」
「まてっ」
よくわからない、謎のドロドロとしたヘドロに飲まれながら、必死に抵抗する爆豪がそこにいた。周りにいるヒーローはパワー系のデステゴロ、巨大化能力のMt・レディ、確かに動ける者はいない、一人を除いて。
爆豪を助けようと飛び出す出久の腕をつかみ静止させる。全く、こんな時にも他人の心配か、大丈夫かね、まぁ…出久に行かせるわけには行かない、これ以上傷つけないためにも。
「お兄ちゃん!」
「!」
出久がお兄ちゃんという時は本心からの本気のお願いである時だ。全くそんな顔でそんな言われ方したら、
「引くに引けないじゃないか〈
ゴーグルをつけて、よくわからないドロドロを観る。個性ヘドロ、自身をヘドロ状にし動く。生物を乗っ取りその個性も使える……弱点は…なるほどわかりやすい。
「すいません、塩って持ってますか?」
「?味の素ならありますが」
近くにいた主婦に質問をする。塩ではないが味の素を手に入れる。それじゃあ行きますか。
「おいっ!何してる!」
周りの忠告を無視して走る。爆豪の爆破を見切って、交わしていく。
「なんで、来た!」
「目つぶれ!爆豪」
目をつぶったことを確認すると。塩をヘドロにかける。
「あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」
「よしっ!離れた!」
「なんで、助けた、恨んでる筈だろ」
「それは出久がか?なら問題はないな、本気で懇願してきたから」
「おい!なんて無茶を…」
「デステゴロ、手を」
「?まぁいいが」
爆豪の自責の念は俺には興味が無い、正確には虐められていた本人が許すなら俺はいい、デステゴロに注意を受けるが、手に塩をかける。
「これで攻撃が効きます」
「あ、ああ」
そこからは終始悲鳴を上げるヘドロとヒーローの戦いを見て終わった。因みにこってりと怒られました。
「はぁ…怒られちゃった」
「ごめん、私が頼んだばかりに」
「いや、いいよ」
家に向かって歩いていく。母さんにかなり心配させてきたからな、まぁ進路先は許してくれたけど。
「私が来た!」
「……オールマイト!!」
「あ、あのサインお願いします!」
「びっくりした君いつも持ち歩いてるの?はい…君は?」
「俺はいいです、ところで何のようですか?その怪我が関わっていたり?」
「すごいな、そんなことも分かるのか」
「まぁ…」
急に現れたオールマイトに驚きつつ、通常運転の出久を見ながら。質問をする。
「そうだね、それを含めて話そう、少し場所を変るがいいか?」
「問題ないです」
「私も」
「そうか、単刀直入に言うが君たちは、私の‘力’を受け継ぐに値する!」
「力?」
「そう、私の力言わば個性だ!週刊誌では〈怪力〉や〈ブースト〉と言われ、記者会見では爆笑ジョークで茶を濁してきた。私の個性は聖火のごとく引き継がれてきた個性なんだ!」
どういうことだ、この言い方的にこの人は、平和の象徴たるオールマイトは、無個性だったと言っているような、
「まさか、貴方も無個性…」
「そうだ、私はこれを師匠から受け継いだ、そして今度は託す番、One for allを、君達がどんな力を持っていたか分からないが、あの時誰よりも速く、動いた君と、それを止め己が動いた。君達だから受け継ぐに値する」
「……」
「どうした?」
「正直言ってうれしいです、ですが俺個人としては出久に受け継がせたい、でも!出久は視力がないから」
「……」
視力がなければどんな力を受け取っても意味はない、感知系の力なら、受け継がせたけども、パワー系なら出久には重すぎる。
「お兄ちゃん、お願い!」
「でも!」
「詳しく聞いていいか?その眼について」
「わかりました、
小学生の三年の時、急に空間を裂くように現れたそいつは「選ぶがよい、みとどけるのはどちらだ?」そう言って眼を差し出してきた。同時に俺と出久は理解した。見届けないものに、視力は要らないと、そうも言っているのだと。
俺はあまりの事に動けなかった、そんな時、出久が「奪うなら私からにして、」そう言って、俺はこの眼を〈神々の義眼〉を手に入れて、出久は視力を失った。
「俺は、卑怯者だ!」
「兄さん…………」
「理由は分かった、なおさら君はヒーロになれる!君はその時のことに負い目を持っている、そして君の妹えっと…」
「出久です、緑谷出久」
「緑谷少女はそれを許した!それに納得できず、君は諦めずに走っている、それを摘むのはもったいない」
その言葉に、目と一緒に流された、少量の血液から存在しない、こことは違う世界の記憶が流れ出す。
「ひとつだけ認識を改めたまえ、■■■■■君。君は卑怯者ではない。なぜなら、君はまだ諦めきれずにそこに立っているからだ。光に向かって一歩でも進もうとしている限り、人間の魂が真に敗北することなど、断じて無い!」
そんな言葉だ。なら残る選択は一つだ!
「わかりました、受け継ぎます!ですがらそれは俺はではないです。俺の個性は〈適応〉体内に入ったものを喰らい自身に無害なものとする。この眼は喰らえませんでしたが、おかげで使いこなすことはできます」
「では緑谷少女かい?」
「いえ、あなたの血を九割、俺の血を一割で、出久のサポートアイテムに与える、俺としてはこれがいいです」
「サポートアイテム?」
「これです、私の視力を補助する物です、視力がなくなったときからの自由研究の積み重ねです」
鳥型のサポートアイテム、出久の視力をサポートするために、肩に乗せて案内をする、俺がいる時はその限りではないが、
「ふむ、いいだろう、初の試みではあるが君に与えるよりはよさそうだ」
出久のサポートアイテムに血を垂らす。俺の個性と混ざり合い、黒だったものが、金と赤のラインが増える。どういう原理だこれ。
「それじゃあまた会おう!」
「はい!」
「分かった」
「よかったな出久」
「うん!」
血界戦線が捨てられない……