今回は、エンディング48のその後を描こうと思います。
「じゃあね、”親友”。」
意識が途切れる直前、そんな言葉だけが、オレの耳に残った。
身体に力が入らない。立ち上がろうにも、異血を失いすぎた。きっと俺は死ぬ。そんなことを考えたその時、胸の辺りに暖かさを感じた。蒼月の言葉を搔き消すように、アイツの言葉を思い出す。
(キミなら絶対にみんなを救える。生き残るんだ!)
(…頼んだよ。)
そうだ、俺は約束したじゃないか…!
…でも、もうどうしようもない。FBとしたあの約束はもう叶わない。皆を助けるために、霧藤を殺す選択を選んだからだ。
その選択に後悔はない。しちゃいけない。後悔してしまえば、オレはとうとう何の約束も守れないヤツになってしまう。
…でも、霧藤には生きてて欲しかった。好きな女の子を殺したくなんてなかった。海、花火、昨日の夜。オレは霧藤と青春をまだまだ続けたかった。それがオレの偽らざる本音だ。
それが叶わないのなら、せめて最後くらいは、一緒に逝きたい。オレはとっくに尽きたはずの気力を振り絞って霧藤の方に這っていく。
一心不乱に彼女の名を呼ぶ。それに応える声なんて無いのは分かっていたけど。それでも呼ばずにはいられなかった。オレの目にはもう彼女しか映っていなかった。遠くの方で特防隊のみんながなにか言ってる気がしたけど、それに応えることは出来なかった。
長い時間をかけて、オレはやっと彼女のもとにたどり着いた。彼女の横顔は土と血で汚れていたけど、なによりも綺麗だった。
「霧藤、終わったぞ。」
彼女の手にオレの手を重ねる。彼女の手を優しく握ったまま今度こそオレは意識を手放した。
暗い意識の底から浮かび上がるような浮遊感を感じる。真っ黒に途絶えたはずの視界は白く染まっており、一人誰かが立っているのが見える。
後ろ姿でもオレが間違えるわけがない。
「霧藤!」
「…澄野くん、こっちに来るの早いよ。わたし、もっと待つと思ってたのに。」
なぜだか少し怒ったような、困った様子の霧藤がいた。
「早いったって…しょうがないだろ…」
「それより、ここはどこなんだ?こっちって言ってたけど…」
「多分、澄野くんの想像通りだよ。死後の世界ってやつかな。」
「正確に言うと、今わたしたちが話してる場所はその通り道の途中。この先がどこまで続いてるかは…分からないけど…」
霧藤の説明を受けたが、さっぱり分からない。そもそも、それが正しいとしてなぜ霧藤だけがここにいたんだ?
「なぁ、霧藤。その説明は誰からされたんだ?それに霧藤だけがここに留まっている理由も分からないし。」
オレがそう言うと、霧藤は少し言いにくそうに答えた。
「えっと、ここの説明はね、FBがしてくれたんだ。」
「FBが!?あいつもここにいるのか!?」
「ううん、FBはもう先に行っちゃったの。それに説明っていうのもわたしの中にあった我駆力を通してだったから姿は見てないかな。」
そうか…じゃあその説明が正しいかは分からないけど、今まで散々でたらめなことが起きていたからな。今の状況も受け入れるしかないのだろう。
「それでね、わたしがここにいた理由なんだけど…君を待ってたの。」
「え…?オレを?」
「FBの説明は受けたけど、何があるか分からないし…」
「…それに、死んだとしても澄野くんと一緒が良かったから…」
くっ…可愛い…!
どうせオレたちは死んだんだ。死んだ後位、好きにしてもいいよな?っていうかいいはずだ。うん。
オレは霧藤をそっと抱き寄せた。
「嬉しいよ、霧藤。」
「お前を殺したオレが言う資格は無いと思うけど…霧藤がいてくれたあの青春はオレの宝物だ。」
「オレは、霧藤のことが好きだ。」
腕の中の霧藤が震えてるのが分かる。見ると、彼女の瞳から涙がこぼれていた。
「わたしもっ…キミのことが好き…」
「だから待ってたんだよ…!あの戦いの後、無事に生きて幸せに暮らしてっ、人生を全うしたキミを一目見れたらそれでよかった…!」
「なのにすぐ来ちゃって…!わたし、怒ってるよ……」
「…ごめん。」
滔々と溢れる涙を拭き、彼女の顔を見据える。
「でも、皆を守ることは出来たんだ。オレはこの結末を後悔してないよ。」
「……それに、もう霧藤とは会えないと思ってたんだ。こんなサプライズがあるなんて、案外死後の世界ってのも悪くないかもな。」
「なんなのそれ…」
涙は止まらないながらも、彼女は笑みを浮かべてこちらを見つめてくる。
「でも、そうかもね…わたしも死んじゃった時は澄野くんにもう会えないと思った…だから、ここに来た時はまた会えるかもって期待しちゃったな…」
「すぐ会うことになるとは思わなかったけど。」
「おい…もういいだろ…」
微笑む彼女の頬を伝う涙はいつの間にか止まっていた。
「そろそろ行こっか。」
「あぁ、今度こそ二人で、一緒に行こう。」
オレたちは白い道を進む。いつまで進むのか、どこに辿り着くのかなんて分からない。
それでも、彼女と一緒なら大丈夫だ。
オレたちの今は終わってしまったけど、二人の青春はまだ終わらない。
どこまでだって行こう。オレは彼女の手を取り、白い光の先へ歩み始めた。
エンディング48after:死すら二人を分かつことなく
青春篇蒼月共倒れルートの後の二人は死後の世界で幸せに暮らしていて欲しいです…あの世界は異血なんてとんでもパワーがあるので死後の世界だってきっとあることでしょう。さて、先に旅立ってしまった二人は幸せな死後を楽しんでいますが、残された特防隊はどうなっているんでしょうねぇ。残されたメンツの中でリーダーシップがあるのは一応雫原ですが、一度は出ていった身。色々と思うところはあるでしょう。そうなると学園に残った人はどうかと考えますが、筆者的には丸子にリーダーになってもらいたいなぁと思っています。丸子は甘ったれなだけで、甘えられる存在、最終防衛学園で言うと澄野のようなリーダーがいなくなったら頑張ってくれると思うんですよね。やらざるを得ない環境に追い込めば輝くタイプであってほしいと思っています。そもそも残った理由も青春の思い出が理由ですから、情に厚い一面もあるのかな?って感じです。という訳で次回はこのルートにて取り残された特防隊について描きたいと思います。ここまで読んでくださりありがとうございました!